永住権取得

永住権とは

永住権とは? サムネイル

永住権とは

永住権とは、外国人が在留活動や在留期限を制限されずに滞在国に在留できる権利をいいます。日本では在留資格「永住者」を取得した外国人が永住権を取得することになります。

永住権の特徴

通常、外国人が在留資格を取得して日本に在留する場合には厳格な在留管理がなされます。具体的には、日本で行うことができる活動が在留資格に見合う一定の範囲に限定される、数か月~数年おきに在留資格の更新が必要、といったことが挙げられます。

この更新も必ず許可されるというわけではありません。不許可になってしまうと、再申請や他の在留資格への変更などを行う必要があり、それが功を奏さなかった場合にはビザを喪失し、日本から出国しなければならなくなってしまいます。

永住者は在留活動および在留期間がいずれも制限されないという点で、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。

そのため、永住権の取得(=他の在留資格から「永住者」への在留資格変更)は、通常の在留資格の変更の時よりも慎重に審査される必要があるとされています。

慎重な審査のため、一般の在留資格の変更許可手続とは異なる独立した規定が設けられているなど、厳格な審査となっています。

なお、「永住者」の在留資格を取得した後でも、

  • 再入国許可を取得せずに日本から単純出国した場合(みなし再入国許可を含む)
  • 出国後に再入国許可の期間を徒過した場合

は「永住者」の在留資格を喪失し、永住権を行使できなくなるので注意が必要です。

※みなし再入国許可
「短期滞在」・「3か月以下の在留資格」以外の在留資格を持っている外国人は、日本を出国した日から1年以内に再入国する場合には原則として通常の再入国許可の取得を不要とする制度

帰化との違い

「永住権の取得」と「帰化」の違いがよくわからないという方もいます。「永住権の取得」と「帰化」はどちらも外国人が日本において多くの権利が認められるようになる点で共通します。

しかし「帰化」は日本国籍を取得すること(=完全に日本人になる)、「永住者」はあくまで在留資格の一種(=外国籍のまま)という点で異なります。

「永住者」は永住権という強い権利を取得するにすぎず、後述のように、日本人にしか認められない権利は永住者であっても享受することはできません。帰化の場合は完全に日本人になっているので、日本人にしか認められない権利も享受することができます。

永住権を取得するには

永住権を取得するには以下の要件を満たしていることが必要です。

各要件の詳細についてはこちらのページ(永住権の条件について)をご覧ください。

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. 日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
  4. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(以下のア~エを満たすこと)
    ア 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
    イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること
    ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
    エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

永住権の効果

  • 在留期間の更新をしなくてよくなる
  • 就労する仕事の種類や就労時間の制限がなくなる
  • 配偶者ビザと異なり、離婚しても在留資格の変更は不要
  • 通常の在留資格の場合に必要になる入管への各種届出が不要になる
  • 事実上の効果として社会的な信用が向上するため、ローンや銀行の融資が受けやすくなる

日本国籍になる「帰化」とは異なり、「永住者」は外国籍のままです。

したがって、以下のような日本国籍である者に対してのみ認められている権利は永住権を取得しても行使することはできません。

  • 国政の選挙権や被選挙権
  • 国家公務員になること(一般的な国家公務員のほか、警察官や自衛官など)
  • 戸籍を持つこと

特別永住者

「永住者」には上記のようなものの他に「特別永住者」というものもあります(特別永住者と区別して上記のような永住者を「一般永住者」と呼ぶことがあります)。

特別永住者はサンフランシスコ平和条約によって日本国籍を失った外国人とその子孫に認められている在留資格です。

特別永住者も一般永住者と同様に永住権を享受することができます。

おわりに

永住権を取得すると日本での活動に大幅な自由が認められます。既に数回ビザの更新を行って長期間日本に在留している方は、永住権の取得を検討するのも選択肢のひとつです。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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