永住権取得

永住権のメリットデメリットと取得までの流れ

永住権取得までの流れ

永住権とは

永住権は外国人の方が在留期間を制限されることなく、日本に永住できる権利です。永住権は地方出入国在留管理官署に申請を行い、法務大臣の許可によって、付与される在留資格となります。

なぜ永住権を取得するのか

永住権を取得するには、一定期間以上日本に住んでいる必要があり、そして長年日本で生活する外国人の多くが、最終的には永住権の取得を目指されます。
日本に住む外国人の方は、在留資格によって日本で行うとことができる活動が定められており、永住権以外の在留資格は、数か月~数年おきに在留期間の更新が必要となります。

万一在留期間の更新が不許可になり他の在留資格に変更が出来ない場合は、日本に滞在できる根拠がなくなり、日本を出国しなければなりません。永住権を取得することによって、在留期間の更新申請がなくなり、また活動制限がなくなるため、法律の範囲内で自由にそして無期限に日本で生活することが可能となります。

永住権を取得する3つのメリット

永住権を取得する3つのメリットについて説明させていただきます。

①在留期間が無期になり、更新申請の手間がなくなる

永住権を取得することによって在留期間が無期となります。永住権以外の在留資格は数か月~数年おきに在留期間の更新が必要となり、更新申請の度に入管管理局へ訪問し手続を行わなければなりません。

更新申請は毎回審査となり、現に有する在留資格に該当する活動を行っていなければ不許可となることもあり、必ず更新の許可が担保されたものではありません。
永住権を取得することにより、更新申請の度に入管に訪問することや更新申請が不許可になるといったリスクから解放されます。

②活動制限がなくなる

日本に住む外国人の方は、在留資格によって日本で行うとことができる活動が定められており、その活動を行わなければなりません。(日本人の配偶者等、身分に応じて付与される在留資格は除く)

永住権を取得することによって、活動制限がなくなります。例えば、日本で働く外国人会社員の方の多くは、技術人文知識国際業務という在留資格を持っておりますが、当該在留資格では、経営者としての活動ができなかったり、またいわゆる単純作業の職種(建設業の現場作業員、飲食店のホールスタッフ、コンビニのレジ打ち、工場のライン工など)で働くことはできませんが、永住権を取得することによって活動の制限がなくなり、自由に開業をできたり、好きな職種に就いたりすることが可能となります。

また日本人配偶者の在留資格を保持している方は、日本人と離婚をした場合は、在留の根拠がなくなるため、別の在留資格への変更を検討し、該当しなければ日本に住むことが出来なくなります。永住権を取得することによって、離婚後に日本に住めなくなるといったリスクがなくなります。

③社会的信用度が上がる

永住権を取得するには長年日本に住んでおり、様々な要件を満たす必要があります。誰でも取得できるような資格ではありません。そのため永住権を取得することによって、社会的使用度が上がり、具体的には住宅ローンを組みやすくなったり、経営者の方は融資などを受けやすくなったりします。

永住権唯一のデメリット

上記のように永住権を取得するデメリットはないように思えますが、高度専門職の在留資格の方のみ、場合によってはデメリットが発生します。

  • 永住権を取得することにより親の帯同が認められなくなる

現行制度では,就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められませんが, (1)高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合(2)高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合

については,一定の要件の下で,高度外国人材又はその配偶者の親(養親を含みます。)の入国・在留が認められます。

そのため、高度外国人の方で親の帯同を行っている方は、永住権を取得することによって親の帯同ができなくなってしまいます。

永住権を取得するには?

永住権を取得するためには、入国管理局へ申請を行い、許可を得る必要があります。永住権の審査においては、様々な要件が定められており、すべてを満たす必要があります。

永住権取得の条件を確認する

永住権取得までの流れ

  1. 永住申請に必要な書類の取得(1~2か月)
  2. 永住申請に必要な書類の作成(1カ月)
  3. 最寄りの出入国在留管理局で永住申請
  4. 審査期間(約4~8カ月)
  5. 結果の通達

永住申請に必要な書類の取得(1~2か月)

永住申請は他の在留資格申請と異なり、集める書類が膨大にあります。まずは永住申請に必要な書類を滞りなく集めましょう。

⇒永住申請に必要な書類を確認する

永住申請に必要な書類の作成(1カ月)

次に申請書や理由書の作成を行いましょう。また審査上不利になるようなことがあり、やむを得ない事情がある方などは、その内容に関する理由書を作成し、合理的にきちんと説明を行うことが必要です。

最寄りの出入国在留管理局で永住申請

①と②で収集及び作成した書類を持参し、住居地を管轄する出入国在留管理局で永住申請を行います。書類に不備がなければ、申請が受付されます。書類に不備があると申請が受付されない可能性があるので、きちんと準備を行ってから申請を行いましょう。

審査期間(約4~8カ月)

審査期間中、入管より追加資料や状況説明書を求められることも多くありますので、入管から依頼があれば速やかに対応を行いましょう

結果の通達

結果の通達申請から約4~8か月後に結果の通達があります。許可であれば、永住の在留カードを入管で受取、完了となります。

最後に

永住権の取得は長年日本に住んでいる多くの外国人が目指されます。一方で永住権の全体の許可率は50%(2020年)と、申請した外国人のうち二人に一人は不許可になっています。永住申請は、日本での永住権を付与するか否かを決める極めて重要な審査であるため、様々な要件が定められており、その審査や手続きは非常に難解であります。

きちんと永住権取得の条件を確認し、念入りに準備を整えた上で、申請に臨むことが重要です。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
国際結婚&配偶者ビザサポートセンター https://visa-saitama.net/
帰化申請サポートセンター https://visa-saitama.net/kika/
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