経営管理ビザを初めとする在留資格を取得するためには、出入国在留管理局に書類を提出した後で在留審査を受ける必要があります。
経営管理ビザの審査期間は、全国平均では日数にすると80日〜110日程度、つまり、3〜4ヶ月ほどの期間がかかります。
他の在留資格と比較しても審査期間が突出して長く、審査も厳しくなっているため、要件を満たしていることを確認し、スケジュールにも注意して申請する必要があります。
経営管理ビザが必要になる場合
経営管理ビザとは、日本において、貿易やその他の事業の経営を行い、その事業の管理に従事するための在留資格です。
例えば、次のようなことを行おうとしている場合に必要になります。
- 日本で会社を設立してその経営や事業の管理に従事する。
- 日本の会社の取締役等の役員に就任し、経営に参画する。
- 日本の会社の部長、工場長、支店長等に就任し、事業の管理に従事する。
経営管理ビザの取得要件
経営管理ビザを取得するためには、
- 事業規模の要件を満たすこと。
- 事業を営むための事務所が日本国内に存在すること。
- 事業の安定性、継続性が認められること。
主にこれらの3つの要件を満たす必要があります。一つ一つ解説します。
事業規模の要件を満たすこと。
経営管理ビザ取得のための事業規模の要件は、次の3つのいずれかに該当する必要があります。
- 経営や管理に従事する人以外に日本に居住する2人以上の常勤職員を雇用していること。
- 会社の資本金の額または出資の総額が500万円以上であること。
- 上記2点に準ずる規模であると認められること。
日本に株式会社などを設立したうえで、その会社の経営者として、経営管理ビザ取得を目指す場合は、会社の資本金を500万円以上とすることが一つのポイントになります。
事業を営むための事務所が日本国内に存在すること。
事業を営むための事務所を日本国内に確保する必要があります。
バーチャルオフィスのように実態がない場合は事務所が存在すると認められません。
また、事務所は事業に合わせた実態を有している必要があります。
パソコンだけでできる事業ならば、小さなレンタルオフィスでも経営管理ビザ取得が可能ですが、在庫を抱える事業の場合は、在庫を保管できる広さがあるかどうかもポイントになります。
なお、自宅兼事務所は基本的には事務所として認められません。住む場所と事業を営む場所は区別されている必要があるためです。
もっとも、自宅兼事務所でも、自宅と事務所を明確に区分できる物件ならば、認められることもあります。
事務所の要件を満たすか分からない場合は、行政書士に相談しましょう。
事業の安定性、継続性が認められること。
事業の安定性、継続性が認められるかどうかは、事業計画書や収支計画書によって確認します。
事業計画書や収支計画書の記載内容が重要になりますので、申請前に行政書士等の専門家にチェックしてもらいましょう。
経営管理ビザ取得までのスケジュール
経営管理ビザ取得までのスケジュールは、既に日本で会社を設立しているかどうかにより大きく異なります。
日本に会社を設立したうえで、経営管理ビザ取得を目指す場合は、会社設立や営業許認可取得にかかる時間も考慮する必要があります。
会社設立(1ヶ月程度)
経営管理ビザ申請前に会社を設立する必要があります。会社の事業内容等が決まっているものとして次のような手続きのために1ヶ月ほどはかかります。
- 定款を作成する
- 公証役場で定款認証を受ける
※株式会社の場合。合同会社の場合は定款認証が不要です。 - 金融機関で資本金の振込を行う
- 法務局で法人設立登記を行う
税務署への各種届出(2週間程度)
税務署に次のような届出を行います。
- 法人設立届
- 給与支払事務所等の開設届
- 源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
税務署の届出の控えは経営管理ビザ申請時の必要書類のため保管しておきましょう。
営業許認可取得(1ヶ月程度)
営業許認可の取得が必要な業種については、基本的に会社設立後に行政機関に申請する必要があります。
「届出」だけでよい場合は時間はかかりませんが「許可」が必要な場合は審査に時間がかかります。
例えば、飲食業、不動産業(宅地建物取引業)、製造業、ホテル・旅館、建設業、運送業等、業種により必要な許認可が異なるため、行政書士などの専門家に確認しましょう。
経営管理ビザ申請準備(1カ月程度)
経営管理ビザ申請に当たっては、様々な書類や資料を準備する必要があります。実務では上記の手続きと並行して行うため、別途1カ月かかることは殆どありませんが、入念な準備が必要になることに変わりはありません。
出入国在留管理局による審査
必要書類が揃ったら、出入国在留管理局に提出し審査を受けます。
経営管理ビザ取得にかかる審査期間は後述のとおりです。
経営管理ビザの審査期間はどのくらいか
経営管理ビザの審査期間については、出入国在留管理庁が在留審査処理期間(日数)の平均日数を公表しています。
審査期間は、年度によって、大きく数字が異なりますが、経営管理ビザの審査期間は他の在留資格と比較しても長い傾向があります。
許可月 | 新規 | 更新 | 変更 |
---|---|---|---|
令和5年10月~12月 | 90.5日 | 36.3日 | 68.4日 |
令和6年1月~3月 | 81.3日 | 42.0日 | 79.5日 |
令和6年4月~6月 | 100.2日 | 42.3日 | 87.7日 |
令和6年7月~9月 | 118.5日 | 40.9日 | 84.0日 |
参照https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html
新規で経営管理ビザを申請する場合は、3か月から4カ月の審査期間がかかることを覚悟しておく必要があります。
経営管理ビザ取得までに準備すること
経営管理ビザを取得するためのポイントは、必要書類をしっかり揃えることです。
会社設立の過程で作成したり取得する書類の他に、次のような書類も作成する必要があります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 事業計画書、損益計画表
- 申請理由書
この中でも特に重要なのが、事業計画書、損益計画表です。
新規に会社を設立する場合、ビジネスの内容が実現可能なものであることを審査担当者に納得させる必要があります。
単に熱意を伝えるだけでなく、市場規模、市場動向や収支の見込みなどを客観的な数字やデータを基に説明できるものでなければなりません。
ご自身の経験や勘だけに頼るのではなく、専門家のチェックを受けて、より具体的な事業計画書に仕上げることが大切です。
経営管理ビザ取得は当事務所までご相談ください
経営管理ビザ取得のためには、必要書類を漏れなく集める必要がありますし、また、単に書類を揃えるだけでなく、経営管理ビザ取得の要件を満たしていることをそれらの書類から証明できるものでなければなりません。
経営管理ビザは審査が厳しいため、専門家が目を通していない書類は、審査が通らないことも少なくありません。
経営管理ビザ取得でつまずいてしまうと、日本で会社経営を行うこと自体ができなくなるので、必ず、経営管理ビザに詳しい行政書士のサポートを受けてください。
行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、経営管理ビザ取得に向けて最適な方法を選択させて頂きます。