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[Youtube]【2025年1月】スタートアップビザ(起業ビザ)全国展開がスタート!外国人起業家のビザ取得が簡単に?『新制度、実際のところはどうなる?』
スタートアップビザ(起業ビザ)の全国展開がスタート 2025年1月から
今般、法務省及び経済産業省が定める関係告示が改正され、国家戦略特別区域のスタートアップビザを、全国で実施されている外国人起業活動促進事業(経済産業省)と一本化し、さらに、事業所の確保及び事業の規模の二つの要件を猶予する期間を最大2年間とした上で、全国展開します(令和7年1月1日から施行)。
内閣府発表
今までの制度
通常、「経営管理ビザ」を取得するためには、
ア 500万円以上の出資金or2人以上の常勤の職員
イ 事業所の確保 等
の要件の充足を経て、入管へ経営管理ビザの申請を行います。
しかし、入国前から500万円の出資金を用意することや、日本における事業所を確保することは、外国人にとって非常にハードルが高いです。
そこで、外国人の日本での起業活動を促進するため、上記アイの要件の充足を一定の期間、猶予していたのが、
①国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業
②外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)
でした。
制度併用等により最大1年6か月間猶予
①国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業と②外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)の二つの制度を活用し、最大1年6か月間の猶予期間を得ることができ、外国人起業家はこの間に要件を充足させ、入管へ経営管理ビザの申請を行うことができます。
新制度で何が変わる
この①②の事業を一本化し、全国で展開したのが新たなスタートアップビザです。
また「事業所の確保」及び「事業の規模」の二つの要件の充足を猶予する期間は、最長1年6か月であったものが、最長2年間に延長されました。
全国展開と猶予期間が2年間へ延長
制度全体のフロー
制度全体のフローを図でご紹介します。
制度に対する行政書士からの私見
弊社では、外国に住んでいて日本に協力者がいない外国人の経営管理ビザのサポートを多く行っておりますが、その経験を踏まえた私見は以下のとおりです。
- おそらく流行らない
- 使い勝手が非常に悪い
- 工数がかかりすぎる
二段階の審査が必要
経営管理ビザを直接申請する場合は、入管のみの審査となります。
スタートアップビザの制度を用いる場合は、「地方公共団体」または「民間事業者」の審査を経て、「入管」の審査と、二段階の審査が必要です。
猶予期間が延びるだけで要件が緩和されるわけではない
ア 500万円以上の出資金or2人以上の常勤の職員
イ 事業所の確保 等
の要件が最長2年間充足されるだけであり、結局は経営管理ビザの申請までに要件を充足させなければなりません。
そのため、弊社ではわざわざスタートアップビザを挟まずに、アイの準備が整ってから、直接経営管理ビザの申請をすれば良いと考えます。
日本に協力者がいないから、会社設立ができない問題は、経営管理ビザ4か月の活用でクリア可能です。
スタートアップビザ制度活用のメリット
現時点で活用する実務上のメリットとしては、
事業所の確保が猶予されるので、審査中の無駄な家賃が発生しない点が挙げられます。
逆に言うとそれくらいしかありませんので、今後、特例や運用方針が出てくることに期待したいところです。