経営管理ビザ

外国人が日本で銀行口座を開設するには?会社設立に必要な手続きを解説

外国人が日本国内で会社を設立し、運営を行うにあたっては、日本国内の銀行口座が必要になります。必要な口座は代表者等の個人用口座と法人用口座です。

しかし、外国人が法人の口座開設を行うことは難易度が高いと言われています。

外国人が日本で銀行口座を開設する方法や会社設立の流れについて解説します。

法人口座の開設は難化している

外国人が日本国内で設立した会社のために法人用口座を開設することは難易度が高くなっています。
以前は海外在住外国人でも比較的容易に法人口座を開設することができましたが、代表者に連絡が取れなくなって放置され、銀行側に口座管理費の負担ばかりかかる事態が増えたことやマネーロンダリング等を防止するための様々な規制が設けられたことから、法人口座の開設は難しくなっています。
代表者が日本に居住していることや経営管理ビザを取得していることと言った基本的な要件はもちろんですが、会社の事業内容や規模、年商等も考慮したうえで、総合的に判断されます。

金融機関が求める必要書類を提出するだけでなく、任意に事業計画書等も用意することでようやく、審査が通ることもあります。

会社設立までの流れ

外国人が日本で会社を設立するまでの流れは次のとおりです。

  1. 会社の基本方針を決定する
  2. 会社用の実印を作成する
  3. 定款を作成し公証人の定款認証を受ける
  4. 出資金(資本金)を発起人の個人口座に払い込む
  5. 商業登記申請書類を作成し、法務局で申請する
  6. 経営管理ビザを取得する
  7. 法人の口座を開設する

一つ一つ確認しましょう。

会社の基本方針を決定する

まず、どのような事業をやるのかを明確にし、事業内容に合わせた、「会社の目的」を設定します。
事業によっては、営業許認可が必要なので行政書士等の専門家への相談が必要です。
そのうえで、社名、所在地、資本金、設立日、会計年度、株主や役員、会社の組織等を決定します。
「資本金」については、経営・管理ビザ取得を考慮して、500万円以上に設定するケースが多いです。

会社用の実印を作成する

会社実印は作成に時間がかかることがあるため、社名が正式に決まったら早めに発注します。
実印の大きさは、「辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形に収まる」サイズとされているので確認しましょう。
また、商業登記申請の際に、印鑑届書を提出します。

定款を作成し公証人の定款認証を受ける

定款には、会社の基本方針で決定したことを反映させます。
定款の条項については雛形がありますが、行政書士等の専門家に依頼し、個々の会社に合わせて作成するのが望ましいです。
定款を作成したら、株式会社の場合、公証役場で公証人の定款認証を受けます。

出資金(資本金)を発起人の個人口座に払い込む

出資金(資本金)を、日本国内にある発起人の個人口座に払い込みます。
そのうえで、資本金の払い込みを証明する書面を作成します。

商業登記申請書類を作成し、法務局で申請する

商業登記申請に先立ち、設立時代表取締役の選任などの手続きが必要になりますし、様々な添付書類の作成が必要になります。
添付書類の作成については行政書士、商業登記申請については司法書士のサポートを受けるとスムーズに手続きが進みます。
商業登記申請をした日が会社設立日になります。

経営管理ビザを取得する

日本国内に会社を設立し、取締役等に就任することで、経営・管理ビザを取得することが可能になります。
ただ、経営管理ビザ取得のハードルは高いため、行政書士等の専門家のサポートが必要です。

法人の口座を開設する

日本国内に会社を設立することで、日本国内の銀行に入金・出金のための法人口座を開設できるようになります。
ただ、金融機関の審査を通過する必要があり、容易ではありません。

会社設立のために銀行口座が必要になるタイミング

外国人が会社を設立する際には、次の2つのタイミングで日本国内の銀行口座が必要になります。

  • 資本金の払込み
  • 会社設立後の取引先との入金・出金

それぞれ確認しましょう。

資本金の払込み

資本金の払込みの段階で、資本金の払込管理用の代表個人口座が必要になります。

一般的には、日本国内にある発起人の個人口座で構いません。

ただ、会社設立の時点で日本に住所がないまたは日本国内に6ヵ月以上滞在していない外国人の場合は、日本国内の多くの銀行で個人口座を開設できません。
このような場合は、日本国内に個人口座を開設している人に発起人や取締役に加わってもらうことまたは4か月の経営管理ビザの取得を検討します。

なお、海外から日本の口座に資本金を振り込む際は、送金手数料がやや高めになることが多いため、注意が必要です。

会社設立後の取引先との入金・出金

会社設立後は、取引先からの入金や取引先への出金のための口座が必要になります。
ただ、法人口座を開設するには金融機関の審査をクリアしなければなりませんし、開設まで時間がかかるのが一般的です。
そのため、会社設立当初は、代表取締役個人の口座等で代用することになります。

口座開設のために必要な書類

外国人が日本国内に銀行口座を開設するのに必要な書類とポイントをまとめておきましょう。

個人口座

外国人が日本国内の銀行で個人口座を開設するにはいくつかの要件を満たす必要があります。
まず、「在留期間が6か月以上」であることが基本的な要件になっています。
在留期間が6か月未満の場合は非居住者とみなされるため、口座開設は難しくなります。
口座開設に必要な種類は次のとおりです。

  • 本人確認書類:在留カードやマイナンバーカード等です。
  • 印鑑:原則として銀行用の印鑑が必要になります。
  • 学生証・社員証等:在籍の事実や勤務実態等の確認のために在留カードとともに提示する必要があります。

法人口座

外国人が日本国内の銀行で法人口座を開設するには、まず、日本国内で会社を設立しなければなりません。そして、法人口座は、代表者が申し込むのが一般的ですが、代表者が日本に在住していることがポイントになります。

口座開設に必要な種類は次のとおりです。

  • 履歴事項全部証明書(発行から6ヵ月以内)
  • 法人の印鑑証明書(発行から6ヵ月以内
  • 取引担当者の公的な本人確認資料:在留カードやマイナンバーカード等です。

その他、

営業許認可が必要な業種では、許認可・届出・登録等の完了が確認できる資料

代表者以外に支配的な影響力がある人がいる場合は、実質的支配者を確認できる資料

などの追加の資料が必要になることもあります。

口座開設を断られてしまう場合

外国人が個人口座を開設することは、「在留期間が6か月以上」といった要件を満たせば、それほど難しくありません。
一方、法人口座の開設は、容易ではないのが一般的です。

法人口座の開設を断られてしまうのは次のような場合です。

代表者や役員が信用情報に引っかかる場合

会社の代表者や役員の信用情報をチェックしたうえで、税金、社保、公共料金の滞納等が確認された場合は、法人口座の開設が難しくなります。

定まった事務所がない場合

会社の事務所がない場合は、法人口座の開設は難しくなります。
例えば、事務所がバーチャルオフィス、シェアオフィスとなっている場合です。

融資の可能性が低い場合

金融機関は、法人口座の開設者に融資を受けてもらうことにより、利益を挙げています。
そのため、事業内容や規模からして、融資を受ける可能性が低い場合は、法人口座開設を断られてしまうことがあります。

メガバンク等の敷居の高い金融機関に申し込んでいる

金融機関により法人口座の開設のしやすさは異なります。
取引実績がほとんどない状態で、いわゆるメガバンクに法人口座を開設することは、難易度が高いと言えます。

法人口座を開設しやすい金融機関は次の順序です。

  1. インターネット銀行
  2. 信用金庫
  3. ゆうちょ銀行
  4. 地方銀行
  5. 都市銀行

また、母国の銀行の日本支店を利用できる場合もあるので検討しましょう。

会社設立準備については当事務所にご相談ください

会社設立に際しては、様々な書類を作成する必要があり、考えなければならないことも多岐にわたります。
日本人が国内で法人を設立する場合でも難易度が高いので、外国人の方がご自身で手続きを進めることは、なおさら難しいと思います。
会社の経営に専念するためにも、会社設立の手続きや銀行口座開設については行政書士等の専門家のサポートを受けてください。
行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、外国人の方の会社設立に向けて最適な方法を提案させて頂きます。

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】

国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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