あなたはどのパターンで経営管理ビザの取得を検討していますか?
- 私は、中国・韓国で会社を経営している。今度、日本にも支店を作りたい。
- 私は、外国人として日本でサラリーマンをやっている。今度、日本で独立して自分の会社を作りたい。
- 私は、外国人として日本に留学している。学校を卒業したら、会社を立ち上げてビジネスをやりたい。
- 私は、中国・韓国に住んでいる。今度、日本で会社を作って経営したい。
- 「経営管理ビザ」というものに興味がある。
- 「経営管理ビザ」についてインターネットで情報を調べたが、これからどのように準備していけばよいのかわからず途方に暮れている。
今、この記事を読んでいるみなさんの中には、このような人がいるのではないでしょうか。単純に言うと、「日本でビジネスをやりたい」ということです。そうだとしたら、この記事は、そんなみなさんにピッタリです。
みなさんの希望を実現するためには、一体どうしたらいいのでしょうか???
詳しくは後述しますが、この記事は、「経営管理ビザを取得するにはどうしたらいいか?方法は?」という点にフォーカスした解説です。経営管理ビザを取得するまでのプロセスは、決して単純ではありません。だから、それらについてのありとあらゆることを詳細にこの記事で書くことはできませんが、この記事を読めば、経営管理ビザを取得するには何をすればよいかポイントをつかむことができます。
この記事で知ることができること
この記事を読むと以下のことが分かります。
- 経営管理ビザを取得するための全体の流れ
- 会社設立の方法
- 経営管理ビザの申請
では、以下これらの点について、具体的なモデルケースを使いながら、分かりやすく解説していきますね。
経営管理ビザを取得するための全体の流れ
(1)3つのプロセス
経営管理ビザを取得するための全体の流れ
外国人として日本でビジネスをするためには、おおまかに言うと以下のような流れになります。
- 会社設立(+事務所の契約)
- 会社を設立した後の手続き(税務署や営業許可等)
- ビザ(経営管理ビザ)の申請
経営管理ビザを取得するまでの順番
ちなみに、みなさんの中にはこんなことを考えていた人はいませんか。
「日本で会社を立ち上げたいが、ビザがとれるかどうか分からない。もしもビザがとれたら、そのあとで会社を設立しよう。ビザがとれるまでは、会社を作らないで様子を見ることにしよう。だって、もしビザがとれなかったら、せっかく作った会社が無駄になってしまうから。なるべく無駄なことはしたくない。」
何の話をしているかというと、プロセスの順番です。上記についていうと、③→①ではなく、①→③であるべきです。つまり、経営管理ビザの申請は、会社設立の前にすることはできません。後述する会社設立登記がない段階で許可を受けることは、事実上困難だと考えられています。そうだとすると、みなさんが予定していたかもしれない上記のようなやり方(③→①)は、できないということになります。
(2)計画的に進めることが必要
このように、経営管理ビザを取得するためには、まず会社を設立することが必要だということが分かりました。その後も事務所を借りたり、必要な営業許認可を取得したり、税務署の手続きをするというプロセスが待っています。しかも、せっかくこれらのプロセスをクリアしたとしても、最後に経営管理ビザの取得に失敗してしまうと、今まで努力してきたことがすべて水の泡になりかねません。
以上から、経営管理ビザを取得するためには、そもそもビザ取得前のプロセスから計画的に処理していくということが求められます。
(3)ここまでのまとめ
以上から、経営管理ビザを取得するためには、適切に手順を踏む必要があるということが分かりました。そこで、以下、経営管理ビザを取得する方法について、会社設立と経営管理ビザの申請にフォーカスして説明します。
会社設立
(1)設立する会社の種類
外国人として日本で会社を設立する場合、はじめに、どのような形態の会社を設立するかという点から検討することになります。実は、日本には、100を超える法人の種類がありますが、多くの方が株式会社か合同会社を選択します。よって、以下ではつぎのようなモデルケースを使用しながら説明することにします。
(2)モデルケース
中国出身のAさんは、日本の大学に留学しています。Aさんとしては、卒業したら独立して貿易会社を経営したいと考えています。そのために株式会社(以下、単に「会社」ということがあります。)を設立し、「経営・管理」ビザを取得する予定です。
(3)株式会社設立の概要
ごく簡単に言うと、会社を設立するためには、つぎのようなステップを踏むことになります。
- 定款の作成
- 出資金の払込み
- 会社設立の登記
(4)用語の説明
基礎を理解することの大切さ
上記(3)を見て少し特殊な専門用語が使われていることに気づいた方もいるのではないでしょうか。何となく見たことがある用語だけど、そういえばどういう意味なのかはっきり理解していないという人もいるでしょう。経営管理ビザの取得に際しては、これからも複雑なシステムや難しそうな用語に直面することがあるかもしれませんが、一つ一つ理解していけば大丈夫です。言葉が難しそうに見えるだけで、その意味は実は単純だということはよくあることです。
逆にいうと、ちょっとしたことを放置して分かった気分になっていると、案外自分の理解が正しくなかったということに後から気づきミスをしてしまうという事態に陥るリスクもあります。
前置きはこのくらいにして、ここからは、上記アの①~③についてごく簡単に説明します。その後で、より詳しくシステムを述べることにします。
定款とは
定款というのは、設立しようとする会社についての基本的な事項を言います。例えば、会社の名前等です。後述しますが、要するに「どんな形のどういう名前のどこにある会社なの?」というような事項です。
出資金とは
会社を経営するためには、お金が必要ですよね。そのお金を事前に払い込むもの、それが出資金です。
会社設立の登記
会社設立の登記とは、簡単に言うと、あなたが設立しようとする会社をオフィシャルな存在にするための手続きです。具体的な方法としては、必要なデータを法務局という役所に提出することにより行います。そうすることにより、会社は法律上成立することになります。
会社設立のアウトラインがなんとなく見えてきたのではないでしょうか。では、この後は、上記①~③のプロセスについてもう少し詳しく注意点などを交えながら解説しますね。
(5)定款の作成
定款の記載例
定款というのは、会社の基本事項を定めたものということはわかりましたが、具体的にどんな感じの書類を作ればいいのでしょうか。目で見た方が分かりやすいので、以下、定款のサンプルを示します。
株式会社タッチ定款
第1章総則
(商号)
第1条当会社は、株式会社タッチと称する。
(目的)
第2条当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1.中古自動車の輸入及び販売
2.前各号に附帯又は関連する一切の事業
(本店所在地)
第3条当会社は、本店を埼玉県さいたま市に置く。
(公告方法)
第4条当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
(以下、続く)
一般的な定款はもっと長いのですが、上記サンプルはその一部だけを示しています。記載事項の例としては、会社の商号、事業の目的、本店所在地、資本金の額、発起人の氏名等です。
公証人による認証を受ける
さて、経営管理ビザを取得する長い道のりの中で、定款の作成が必要だということが分かりましたが、これで定款に関しては終わりですか?そうではありません。株式会社を設立する場合、作成した定款を公証人に認証してもらう必要があります。
具体的な方法としては、定款を書面で作成した場合、それを本店所在地の都道府県内の公証役場に持参することにより認証を受けることができます。その際に必要な書類や手数料等について、事前に確認しておきたいところですね。行こうとしている公証役場のホームページ等に掲載されていることがあります。
(6)資本金の払込み
資本金の払込み方法
定款の認証が終わったら、つぎのプロセスへ進みます。それは、資本金の払込みです。上記のモデルケースにおいて、Aさんがすでに日本の銀行口座(個人のもの)を持っていたら、その口座に振り込むという方法をとることができます。
注意点
多くの方が勘違いするポイントがあります。Aさんが資本金として500万円を払い込んだとします。そのお金って、日本政府に預けるお金なのでしょうか?意外ですが、アンサーはNOです。ということは、Aさんは、会社設立後に払い込んだお金を会社の運転資金として使ってもいいのです。
(7)会社設立の登記
ようやく最後にやるのが会社設立の登記です。その方法としては、必要書類を法務局に提出して行うことになります。その後、1週間前後で登記完了です。
経営管理ビザの申請
(1)経営管理ビザを取得するには
端的に言うと、「私はこういうビジネスをやっていきます。私に経営管理ビザをください」という書類を作成し、入国管理局へ提出することになります。ただし、書類さえ提出すればいいのではなく、一定のポイント(審査基準)をクリアしていないと不許可になってしまいます。そうすると、経営管理ビザを取得するためには、さらに正確に言うと、審査基準をもクリアしている必要があるということです。
(2)経営管理ビザの審査基準
そうすると次に問題となってくるのが、経営管理ビザを取得するための方法として避けて通れない審査基準とはどのようなものかという点です。以下、第一に正式な審査基準を示した上、第二により具体的に説明することにします。
上陸許可基準の定め
以下、一部のみ抜粋してあります。
申請人(例えば、上記モデルケースのAさん)は、以下のすべてに該当している必要があります。
二申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
その経営……に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員……が従事して営まれるものであること。
資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。ハイ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
なかなか難しいような表現がされていますが、いったいどういうことなのでしょうか。以下で、モデルケースのAさんのケースを踏まえながらより具体的に説明させてください。
審査基準の一
ラフな言い方をしてしまえば、ビジネスをするためのまともなオフィスがある、あるいは今後用意できそうだということです。
では、こんなケースはどうでしょうか。最近、マンスリーのレンタルオフィスのようなサービスがありますよね。具体的には、数か月だけ借りて、その後はどうなるかはっきり分からない。便利かもしれないけど、ちょっと落ち着かない感じのするパターンです。Aさんがそのような簡単なタイプのオフィスを契約することによって、上記審査基準をクリアすることはできるのでしょうか?そのアンサーは、残念ながら原則としてNOです。
なぜなら、あくまでも経営管理ビザに関するアクティビティについては、そのビジネスが継続的に運営されることが求められるからです。
審査基準の二
イとロという二つの基準がありましたね。そこで、以下、それぞれについて説明します。
はじめに、上記基準二号イによると、原則として、日本に居住する常勤の職員が2人以上勤務することが求められています。例えば、Aさんの大学の同級生が考えられます。日本在住の日本人の同級生です。Aさんのビジネスモデルに共感して、仕事を手伝ってくれるという友人がいるかもしれませんね。ただし、「常勤」であることが求められます。要するに、パートタイムジョブ等では認められません。
つぎに、上記基準二号ロによると、資本金の額又は出資の総額が500万円以上であることも求められます。ここで気になることがありませんか。先ほどのモデルケースのAさんは、自ら500万円を出資しなければならないのでしょうか?実は、申請人(Aさんのことです)自身の投資額は、許可要件ではありません。ただし、ここで一つ注意点があります。それは、Aさん自身の投資額が経営管理ビザの審査において重要な判断要素になるという点です。
さらに、Aさんについて言うと、Aさんは留学生です。アルバイトをするにしても限度がありますから、大金を持っているとは通常考えられないカテゴリーに属する人です。そうだとすると、「高額な投資額をどのように調達したのか」ということが当然問われます。そこで、Aさんとしては、その点に関する説明をちゃんとできるように用意することになります。
まとめ
経営管理ビザを取得する方法について、この記事で記載したエッセンスを抽出すると以下のようになります。
- 計画的に
- 会社を設立する;定款の作成、出資金の払込み、会社設立の登記
- 設立後の手続き
- 審査基準にそった申請をする。
最後まで記事を読んでくださってありがとうございました。実は、この記事で書かれていることはほんの一部です。このほかにも様々な注意点やシステムがあります。もしかしたら、この記事を読んでいるあなたならではの注意点もあるかもしれません。
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