経営管理ビザで会社を経営されている外国人の方の帰化申請は、本人や同居の家族だけでなく、経営する会社も審査の対象となります。つまり、帰化申請でクリアする条件や収集する必要書類が増えます。このページでは、経営管理ビザから帰化申請をする場合のポイントを紹介していきます。
~初めに~3期分の決算が終わってからの帰化申請が望ましい?
経営管理ビザから帰化申請をする場合は3期分の決算が終わっている状態での申請を推奨しています。理由としては、会社の法人税等の納税証明書の提出が直近3年分必要となるからです。
つまり、最低でも3期分の決算が終わっていない場合は、3期分の納税証明書は提出できません。また、経営状況と事業の安定継続性も審査の対象となるため、経営管理ビザを取得して会社の決算が3期終わってから申請することが望ましいです。
経営管理ビザから帰化申請
ポイント①会社の経営状況
経営管理ビザから帰化申請する場合は、直近1期分の決算書を提出します。もちろん提出することにより、会社の経営状況と事業の安定継続性が審査されます。つまり、単純に赤字決算の場合や、黒字決算でも借入金等の負債の額が大きい場合は注意が必要です。
会社の財務状況が債務超過(負債が資産を超えていること)にある場合には,事業の安定継続性が確保されているとは言えません。帰化申請する場合は、会社が軌道に乗っている状態で申請することを推奨します。
ポイント②役員報酬
会社を経営している場合は、役員報酬をいくらに設定しているかが非常に重要なポイントとなります。なぜなら帰化申請には、生活に困るようなことがなく,日本で暮らしていけることが必要とされているからです。(生計条件国籍法第5条第1項第4号)
そのため、家賃や生活費、扶養家族の有無等を総合的に加味して、日本で生活できるだけの役員報酬を受ける必要があります。
国籍法の生計条件は、「生計を一つにする親族単位で判断され、申請者自身に収入がなくても,配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば,この条件を満たすこととなる」とありますが、会社経営者の場合は、会社の経営が上手くいっていることを証明するために、自身で生計要件を満たすことが望ましいです。
最終的な判断は、市区町村発行の課税証明書がベースとなってきます。そのため、生計条件を満たすような役員報酬を設定している場合でも、確定申告等で副業のマイナス所得を計上して非課税になっている場合は、注意が必要です。
ポイント③納税
会社経営者の場合は、会社に課せられる税金を納付した上で、非常に多くの税金の納税証明書を提出する必要があります。下記に会社経営者の帰化申請で提出する納税証明書を記載しますのでご参考にしてください。
- 住民税
- 法人税
- 消費税
- 法人事業税
- 法人県民税
- 法人市民税
- 源泉所得税の納付書
- 社会保険料の納付書
1.住民税
会社経営者の場合、特別徴収(給与から天引き)している方が多いかと思います。特別徴収の場合は問題のないケースがほとんどです。普通徴収の場合は、市役所から郵送されてくる納付書を支払うようにしてください。
2.法人税
法人を管轄する税務署に支払いが必要です。支払時期は、申告期限と同様に事業年度終了日から2カ月以内です。 支払時期は、中間申告分と確定申告分の2回あります。 中間申告分は、各事業年度開始の日から6カ月を経過した日から2カ月以内となっています。
3.消費税
消費税が課税されている事業者は税務署に支払いが必要です。非課税の場合でも「無」の証明書が必要になります。
4.法人事業税
法人事業税が課税されている事業者は県税事務所に支払いが必要です。非課税の場合でも「課税額のない証明書」が必要になります。
5.法人県民税
法人県民税は、法人を管轄する県税事務所に支払いが必要です。
6.法人市民税
法人市民税は、法人を管轄する市役所に支払いが必要です。
7.源泉所得税の納付書
本人を含む従業員の所得税を給与から天引きしている場合に必要になります。直近1事業年度分に支払いをした納付書に加え、源泉徴収簿も提出します。源泉徴収簿は従業員全員分ではなく帰化申請人のものだけの提出になります。
8社会保険料の納付書
法人経営者の場合は社会保険の加入は義務ですので、社会保険に加入していない場合は、帰化申請できません。また、個人事業主の場合でも常時勤務する従業員が5人以上いる場合は、社会保険の加入義務が発生します。社会保険料の支払いの証明については、直近1年分の納付書が必要になります。
最後に
経営管理ビザから帰化申請をする場合は、一般的な会社員が申請するのに比べ審査項目と必要書類が多くなります。申請人だけではなく経営する会社も審査の対象となります。
ただきちんと帰化の要件を確認し、納税の義務を果たし必要書類や申請書を揃えて申請をすれば、許可を得ることは十分可能です。当事務所でも非常に多くの会社経営者様の帰化申請をサポートしてきていますので、ぜひ一度お問い合わせください。