アメリカ人の方が日本に帰化したい場合は、法務局の窓口で帰化許可申請を行う必要があります。
帰化許可申請に当たっては、帰化の要件を満たしているかどうか、帰化許可申請のための必要書類を得られるかどうかがポイントになります。
帰化の条件を満たすためには、一般的に5年以上の日本への在留が必要ですし、必要書類も100枚以上になることもあります。
この記事では、アメリカ人が帰化許可申請する際の注意点、条件、必要書類について解説します。
目次
アメリカ人の帰化について
2023年末の法務省統計によると、日本に滞在するアメリカ人は約63,000人です。
主な在留資格としては「家族滞在」「技術・人文知識・国際業務」「永住者」「技能」「留学」「高度専門職」などがあります。
日本で学び、就職後に定住を希望する方も多く、最終的には、在留活動、在留期間のいずれも制限されない「永住者」の在留資格の取得や帰化して「日本人になる」ことを目指されます。
帰化申請とは
アメリカ人の方が日本に長期間、安定して滞在したい場合は、永住者の在留資格か、帰化を検討することになります。
この二つの選択肢は、アメリカ国籍を保つか、日本国籍を取得するかで大きく異なります。
永住者の在留資格の場合はアメリカ国籍を持ったまま日本に滞在しますが、強制退去事由があることや参政権がないなどの制約があります。
一方、帰化した場合はアメリカ国籍を喪失し、日本国籍を取得します。日本国内での活動に制約がなくなり、退去させられることもありません。
アメリカ人の帰化の条件
在留期間が長ければ誰でも帰化許可申請が通るわけではなく、いくつもの条件をクリアしなければなりません。
一般的な帰化条件を確認しましょう。
アメリカ人の帰化の条件① 居住条件
引き続き5年以上日本に住所を有することが必要です。
「引き続き」とあるので、5年間継続して日本に住んでいることが条件です。
帰省や仕事などで、1回の出国で3か月以上外国に滞在したり、年間の出国合計が100~150日程度に達してしまう場合は、条件を満たしていないと判断されやすいです。
また、日本の居住は適法なものでなければならないので、在留資格の範囲を超えない適法な在留を5年間継続していることが条件になります。
アメリカ人の帰化の条件② 能力条件
日本と本国の双方で成人年齢に達していることが必要です。
アメリカの成人年齢は州によって異なりますが、一般的に18歳です。
日本も18歳なので、アメリカ人の方は18歳以上であればこの条件を満たします。
アメリカ人の帰化の条件③ 素行条件
素行が善良であるかどうかの条件です。
犯罪歴だけでなく、普段の生活で日本の社会に迷惑をかける行動をしていないかという点も加味されます。
また、税金の納税義務を果たし、社会保険など必要な保険に加入して保険料を支払っているかどうかもポイントです。
特に下記の点は注意が必要です。
交通違反
5年以内に軽微な違反が5回以上ないこと、または免許停止になるような重大な違反がないこと。
直近の違反は特に厳しく扱われ、1年以内に2回違反があると帰化申請が不許可になる可能性があります。
犯罪
罰金刑以上の刑罰に課せられたことがないこと。
罰金刑に課せられた場合は、罰金を支払った日から5年以上経過すれば許可される可能性があります。罰金刑以上の刑に課せられ在留特別許可を受けた場合は、在留特別許可を受けた日から15年以上の経過が必要とされています。
税金の滞納
現に税金を滞納していないこと。
税金を滞納している場合は帰化申請が許可されることはありません。申請前にすべて支払えば許可される可能性があります。
年金保険料、健康保険料の滞納
年金保険料や健康保険料を滞納していないこと。
少なくとも、直近1年の年金保険料や健康保険料に滞納がある場合も帰化申請は許可されません。
アメリカ人の帰化の条件④ 生計条件
ご自身や生計を同じくしている家族の収入により、日本で生活に困ることなく、暮らしていけるかどうかに関する条件です。
ご自身に安定した収入があることが一番望ましいですが、配偶者やその他の親族に安定した収入があり、問題なく暮らしていれば、条件を満たすことが可能です。
一般的には、世帯年収で300~350万円程度が金額の最下限です。
アメリカ人の帰化の条件⑤ 重国籍防止条件
日本では二重国籍は認められていません。アメリカ国籍を有するアメリカ人の方は、帰化の際にアメリカ国籍を喪失することが原則です。
しかし、アメリカは二重国籍を容認しているため、日本国籍取得後もアメリカ国籍を維持することが可能な場合があります。
実際の国籍の扱いについては、アメリカ大使館等で最新情報を確認してください。
アメリカ人の帰化の条件⑥ 思想条件
日本の政府を暴力で破壊を主張したり、こうした企てを行う団体に加入している場合は、帰化が認められません。
アメリカ人の帰化の条件⑦ 日本語能力条件
日本で日常生活を送るのに支障がない程度の日本語能力を有していることが求められます。会話だけでなく、読み書きも必要です。
ひらがなとカタカナ、漢字も日本の小学校2年生程度の読み書きができなければなりません。
法務局で日本語テストを行う場合もあり、その難度は概ね日本語能力試験のN4程度です。
アメリカ人の帰化申請にあたって必要な書類
アメリカ人が帰化許可申請する際は、本国(アメリカ)で用意する書類と日本で用意する書類の2種類が必要です。
ご自身で帰化許可申請する場合は、どちらも自分でそろえなければなりませんが、行政書士に依頼すれば、日本で用意する書類は代理で取得することも可能です。
本国(アメリカ)で用意する書類
- 国籍証明書(パスポートインフォメーション):本人のもの 在日本アメリカ体育館から取得
- 出生証明書:本人、兄弟姉妹のもの
- 結婚証明書:本人、両親のもの
- 離婚証明書:本人または両親が離婚している場合
- 死亡証明書:父または母が死亡している場合
- 家族関係証明書:本人とその父母、兄弟姉妹、配偶者、子供との関係を記した写真付きの書類
- 申述書:本人の母(または父)に家族関係について説明してもらう文書
これらの書類はすべて日本語訳が必要です。アメリカで発行される書類は英語で書かれることが多いですが、正確な日本語訳が必要です。
日本で用意する書類
- 帰化許可申請書
- 親族の概要を記載した書面
- ご自身の自筆による帰化の動機書
- 履歴書
- 生計や事業の概要に関する書面
- 在勤及び給与証明書
- 居宅、勤務先付近の略図
- 住民票の写し
- 納税証明書(源泉徴収票、課税証明書・納税証明書、確定申告書控え、年金保険料領収書等)
- 家族のスナップ写真
- 各種証明書類(卒業証明書、在学証明書、資格等の証明書等)
アメリカ人の帰化申請の手続きの流れ
- 法務局または地方法務局の窓口で相談する
- 提出書類の取り寄せと作成
- 住所地を管轄する法務局または地方法務局に申請する
- 審査開始
- 面接、追加書類の提出
- 法務大臣(法務省)への書類送付と審査
- 法務大臣の決裁
- 許可・不許可の通知
帰化が許可されれば、法務局から通知があり、さらに官報にも掲載されます。帰化許可申請から許可・不許可が出るまでの審査期間は、標準処理期間が公開されていないため、一年以上かかることも多いです。
アメリカ人の帰化申請を行政書士に依頼すべき理由
帰化許可申請は、原則として本人が法務局の窓口に出向いて行う手続きです。
自分で法務局に相談しても、一通り必要書類の説明を受けることはできますが、説明通りに揃えたつもりでも足りないものがあったり、追加の書類提出を求められることもあります。作成が難しい書類や、どのように揃えたらよいのか分からない書類も出てきます。
帰化許可申請を自力でやろうとすると、途中で挫折してしまうことも少なくありません。長い時間と労力をかけて手続きしても、不許可となることもあります。
このような事態を避けるためには、帰化許可申請の手続きが難しいと感じたり、用意した書類で大丈夫なのか不安を感じている場合は、早めに帰化許可申請に詳しい行政書士に相談することが大切です。
アメリカ人の帰化申請はお早めに専門家にご相談ください
帰化許可申請に必要な書類は100枚以上に上ります。
適切に書類収集を行わないと、申請のために費やした時間と労力が無駄になってしまうこともあります。
帰化許可申請でどのような書類を提出すべきかは一人ひとり異なります。ネットでは大まかな情報は得られますが、あなたにぴったり当てはまるとは限りません。
帰化許可申請を思い立ったら、早めに専門の行政書士にご相談ください。
当事務所では、アメリカ人の方をはじめ、様々な国の方の帰化許可申請のサポートを全面的に承っています。お客様が帰化許可の条件を満たしている場合は、確実に帰化できるようにサポートしますし、満たしていない場合は何が足りないのか、どうすればよいのか、アドバイスさせていただきます。
帰化許可申請をお考えの方は、ぜひ専門家にご相談ください。
無料相談
帰化申請にあたっては、帰化の要件を確認し、滞りなく必要書類を収集し、各申請書は不備なく完成させなければなりません。「どのような書類を集めたらいいですか」「私は帰化の要件を満たしていますか」といったお問い合わせが多いです。必要な書類については、各人の家族状況、仕事、来歴等によって変動します。一人一人集める書類は異なります。
帰化申請は今後の人生に大きな変革をもたらす重大な決断だからこそ、行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、帰化の要件を満たしているか、どのような書類が必要か、どのように帰化申請を進めていけばいいかご確認をさせて頂きます。
無料相談のご予約方法は当事務所に①お電話でのお申込み・②お問い合わせフォームから承っております。帰化申請に関するご不安やお悩みをサポートさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
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この記事の監修者

- 行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
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2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 運営サイト 行政書士法人タッチ
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