インドネシア人の方が日本に帰化したい場合は、法務局の窓口で帰化許可申請を行う必要があります。
帰化許可申請に当たっては、帰化の要件を満たしているかどうか、帰化許可申請のための必要書類を得られるかどうかがポイントになります。
帰化の条件を満たすためには、一般的に5年以上の日本への在留が必要ですし、必要書類も100枚以上になることもあります。
この記事では、インドネシア人が帰化許可申請する際の注意点、条件、必要書類について解説します。
目次
インドネシア人の帰化について
2024年6月の在留外国人統計によると、日本に滞在するインドネシア人は約17万人となっています。そのうち、留学生や技能実習生として来日し、そのまま日本で就職・定住を希望する方も増加傾向にあります。
安定した在留資格としては永住者が挙げられますが、日本に定住するつもりなら、日本に帰化することも選択肢の一つです。
帰化申請とは
インドネシア人の方が、日本に長期間、安定して滞在したい場合は、永住者の在留資格か、帰化を検討することになります。
この二つの選択肢は、インドネシア国籍を保つか、日本国籍を取得するかで大きく異なります。
永住者の在留資格の場合は、インドネシア国籍を持ったまま日本に滞在します。在留活動に制限はありませんが、強制退去事由になることがありますし、参政権も認められません。
一方、帰化した場合は、インドネシア国籍を喪失し、日本国籍を取得します。日本国内での活動に制約がなくなりますし、退去させられることもありません。
インドネシア人の帰化の条件
在留期間が長ければ、誰でも帰化許可申請が通るわけではなく、いくつもの条件をクリアしなければなりません。
一般的な帰化条件を確認しましょう。
インドネシア人の帰化の条件① 居住条件
居住条件とは、引き続き5年以上日本に住所を有することです。
「引き続き」とあるので、5年間継続して日本に住んでいることが条件です。帰省や仕事などで、1回の出国で3か月以上外国に滞在したり、年間の出国合計が100~150日程度に達してしまう場合は、条件を満たしていないと判断されやすいです。
また、日本の居住は適法なものでなければならないので、在留資格の範囲を超えない適法な在留を5年間継続していることが条件になります。
インドネシア人の帰化の条件② 能力条件
能力条件とは、日本と本国の双方で成人年齢に達しているかどうかの条件です。
インドネシアでは成人年齢は21歳、日本では18歳です。
したがって、インドネシア人の方は、21歳以上でなければこの条件を満たしません。
なお、未成年でも両親と一緒の場合は、帰化申請をすることができます。
インドネシア人の帰化の条件③ 素行条件
素行が善良であるかどうかの条件です。犯罪歴だけでなく、普段の生活で日本の社会に迷惑をかける行動をしていないかという点も加味されます。
また、税金の納税義務を果たし、社会保険など必要な保険に加入して保険料を支払っているかどうかもポイントです。
特に下記の点は注意が必要です。
交通違反
5年以内に軽微な違反が5回以上ないこと、または、免許停止になるような重大な違反がないこと。
直近の違反は特に厳しく扱われ、1年以内に2回違反があると帰化申請が不許可になる可能性があります。
該当する場合は、最後の違反をした日から数年無違反状態を継続する必要があります。
犯罪
罰金刑以上の刑罰に課せられたことがないこと。
罰金刑に課せられた場合は、罰金を支払った日から5年以上経過すれば許可される可能性があります。罰金刑以上の刑に課せられ在留特別許可を受けた場合は、在留特別許可を受けた日から15年以上の経過が必要とされています。
税金の滞納
- 現に税金を滞納していないこと。
- 税金を滞納している場合は帰化申請が許可されることはありません。申請前にすべて支払えば許可される可能性があります。
年金保険料、健康保険料の滞納
- 年金保険料や健康保険料を滞納していないこと。
- 少なくとも、直近1年の年金保険料や健康保険料に滞納がある場合も帰化申請は許可されません。
インドネシア人の帰化の条件④ 生計条件
ご自身や生計を同じくしている家族の収入により、日本で生活に困ることなく、暮らしていけるかどうかに関する条件です。
ご自身に安定した収入があることが一番望ましいですが、配偶者やその他の親族に安定した収入があり、問題なく暮らしていれば、条件を満たすことが可能です。
一般的には、世帯年収で300~350万円程度が金額の最下限です。
インドネシア人の帰化の条件⑤ 重国籍防止条件
日本では、二重国籍は認められていないため、インドネシア国籍を有するインドネシア人の方は、帰化の際にインドネシア国籍を喪失します。
インドネシアでも、二重国籍は原則認められていません。インドネシア国籍法では、18歳に達してから3年以内に国籍の選択をしなければならない旨が規定されています。
インドネシアの国籍を喪失してもよいのか、よく検討することが大切です。
インドネシア人の帰化の条件⑥ 思想条件
日本の政府を暴力で破壊を主張したり、こうした企てを行う団体に加入している場合は、帰化が認められません。
インドネシア人の帰化の条件⑦ 日本語能力条件
日本で日常生活を送るのに支障がない程度の日本語能力を有していることが求められます。会話だけでなく、読み書きも必要です。
ひらがなとカタカナ、漢字も日本の小学校2年生程度の読み書きができなければなりません。
法務局で日本語テストを行う場合もあり、その難度は概ね日本語能力試験のN4程度です。
インドネシア人の帰化申請にあたって必要な書類
インドネシア人が帰化許可申請する際は、本国(インドネシア)で用意する書類と日本で用意する書類の2種類の書類が必要です。
ご自身で帰化許可申請する場合は、どちらも自分でそろえなければなりませんが、行政書士に依頼すれば、日本で用意する書類は、代理で取得することも可能です。
本国(インドネシア)で用意する書類
本国(インドネシア)で用意する書類は原則としてご自身にそろえていただきます。
次のような書類です。
- 国籍証明書:本人のもの
- 出生証明書:本人、兄弟姉妹のもの
- 結婚証明書:本人、両親のもの
- 離婚証明書:本人または両親が離婚している場合
- 死亡証明書:父または母が死亡している場合
- 家族関係証明書:本人とその父母、兄弟姉妹、配偶者、子供との関係を記した写真付きの書類
- 申述書:本人の母(または父)に家族関係について説明してもらう文書
なお、必要書類は、ケースごとに異なりますので、法務局や専門の行政書士と相談して、間違いがないように揃えてください。
また、これらの書類はすべて、日本語訳しなければなりません。インドネシアで発行されるこれらの書類は、インドネシア語か英語で書かれることが多いですが、できれば、英語の方が、誤訳が少なくて済みます。
日本で用意する書類
日本で用意する書類は、ケースごとに異なりますが一般的に必要な書類は次のとおりです。
- 帰化許可申請書
- 親族の概要を記載した書面
- ご自身の自筆による帰化の動機書
- 履歴書
- 生計や事業の概要に関する書面
- 在勤及び給与証明書
- 居宅、勤務先付近の略図
- 住民票の写し
- 納税証明書(源泉徴収票、課税証明書・納税証明書、確定申告書控え、年金保険料領収書等)
- 家族のスナップ写真
- 各種証明書類(卒業証明書、在学証明書、資格等の証明書等)
インドネシア人の帰化申請の手続きの流れ
帰化許可申請は、法務局の窓口に出向いて行います。
在留資格申請と異なり、出入国在留管理庁ではないので注意してください。
また、オンラインでの申請も受け付けていません。法務局の窓口に出向く必要があります。
帰化許可申請の流れを確認しましょう。
- 法務局又は地方法務局の窓口で相談する
- 提出書類の取り寄せと作成
- 住所地を管轄する法務局又は地方法務局に申請する
- 審査開始
- 面接、追加書類の提出
- 法務大臣(法務省)への書類送付と審査
- 法務大臣の決裁
- 許可・不許可の通知
帰化が許可されれば、法務局から通知があり、さらに官報にも掲載されます。
帰化許可申請から許可・不許可が出るまでの審査期間は、標準処理期間が公開されていないのではっきりしませんが、一年以上の時間がかかることも多いです。
必要書類が膨大なので、何が必要なのか、事前に窓口で相談が必要です。ご自身でそろえるのが難しいとお思いでしたら、早めに専門の行政書士に相談してください。
インドネシア人の帰化申請を行政書士に依頼すべき理由
帰化許可申請は、原則として本人が法務局の窓口に出向いて行う手続きです。自分で法務局に相談しても、一通り必要書類の説明を受けることはできます。
ただ、説明通りに揃えたつもりでも、足りないものがあったり、さらに追加の書類提出を求められることもあります。
また、作成が難しい書類やどのように揃えたらよいのか分からない書類も出てきます。帰化許可申請を自力でやろうとすると、先に進むことができず、途中で挫折して、あきらめてしまうことも少なくありません。
長い時間と労力をかけて、手続きしたのに、結局、不許可となってしまうこともあります。
このような事態を避けるためには、帰化許可申請の手続きが難しいと感じたり、用意した書類で大丈夫なのか不安を感じている場合は、早めに帰化許可申請に詳しい行政書士に相談することが大切です。
書類の内容によっては、そのままでは帰化許可申請に不適切なものもあります。そのような場合は、他の書類をそろえたり、説明書を作成したりすることが大切ですが、法務局等の窓口では、そのようなアドバイスはしてくれません。
行政書士なら、個々の書類が帰化許可申請にどのような影響を及ぼすのか検討したうえで、必要なアドバイスを行うことができます。
インドネシア人の帰化申請はお早めに専門家にご相談ください
帰化許可申請に必要な書類は、100枚以上に上ります。
適切に書類収集を行わないと、申請のために費やした時間と労力が無駄になってしまうこともあります。
帰化許可申請でどのような書類を提出すべきかは、一人ひとり異なります。ネットでは、大まかな情報は得られますが、あなたにぴったり当てはまるとは限りません。
ですから、帰化許可申請を思い立ったら、早めに専門の行政書士にご相談ください。
当事務所では、インドネシア人の方をはじめ、様々な国の方の帰化許可申請のサポートを全面的に承っています。
お客様が帰化許可の条件を満たしている場合は、確実に帰化できるようにサポートしますし、満たしていない場合は何が足りないのか、どうすればよいのか、アドバイスさせていただきます。
帰化許可申請をお考えの方は、ぜひ専門家にご相談ください。
無料相談
帰化申請にあたっては、帰化の要件を確認し、滞りなく必要書類を収集し、各申請書は不備なく完成させなければなりません。「どのような書類を集めたらいいですか」「私は帰化の要件を満たしていますか」といったお問い合わせが多いです。必要な書類については、各人の家族状況、仕事、来歴等によって変動します。一人一人集める書類は異なります。
帰化申請は今後の人生に大きな変革をもたらす重大な決断だからこそ、行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、帰化の要件を満たしているか、どのような書類が必要か、どのように帰化申請を進めていけばいいかご確認をさせて頂きます。
無料相談のご予約方法は当事務所に①お電話でのお申込み・②お問い合わせフォームから承っております。帰化申請に関するご不安やお悩みをサポートさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
この記事の監修者

- 行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
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2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 運営サイト 行政書士法人タッチ
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