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【帰化申請】居住要件が5年から10年に?「厳格化」と「取消し制度」の実現性を行政書士が解説

居住年数「5→10年」案と帰化取消し制度をめぐる議論

※本記事は、2025年12月時点での報道内容や公開されている政策提言等をもとに、行政書士としての見解をまとめたものです。今後、法改正や運用の変更により内容が変わる可能性があります。

2025年末、帰化制度をめぐる2つの動き

202511月末以降、複数のメディアで、外国人の「帰化」をめぐる重要な動きが報じられています。

1つ目は、政府による帰化要件の厳格化です。
現在「5年以上」とされている帰化の居住要件を、在留資格「永住者」の原則10年と同水準へ引き上げる方向で検討している、という報道が相次ぎました。

2つ目は、日本維新の会による「帰化取消し制度」創設の提言です。
2025
9月、日本維新の会は「外国人政策及び『移民問題』に関する政策提言」を公表し、その中で国籍取得審査の厳格化や、帰化後に重大な問題が判明した場合の「帰化取消し制度」の創設を盛り込んでいます。

本記事では、これら「帰化の居住要件引き上げ」と「帰化取消し制度」という2つの議論について、実務を担当する行政書士の立場から、

  • 現在の制度がどうなっているのか
  • どこまで実現性があると考えられるのか

を整理してお伝えします。

 

現行制度の整理:永住許可と帰化の違い

まずは、いまのルールを簡単に確認します。

1)帰化(日本国籍の取得)

いわゆる「普通帰化」の場合、国籍法は

  • 「引き続き5年以上日本に住所を有すること」

を一つの要件としています(居住要件)。

2)永住許可(在留資格「永住者」)

一方、出入国在留管理庁の永住許可ガイドラインでは、

  • 原則10年以上日本に在留していること
  • そのうち5年以上は就労・居住資格で在留していること

が、在留期間に関する大きな目安とされています。

数字だけを並べると、

  • 永住許可:原則10年在留
  • 帰化  :5年以上の住所

となっており、より重い法的地位であるはずの「国籍」の方が、短い年数で取得できるという、いわゆる「逆転現象」が生じています。

この点については、以前から政治の場や世論で、

「永住10年・帰化5年というのはおかしいのではないか」

と問題視されてきました。

 

 帰化の居住要件「5→10年」案はどこまで現実的か

1)「居住年数だけ」で帰化が永住より緩いとは言えない

よく世の中では、居住年数だけを取り上げて、

  • 「永住は10年なのに、帰化は5年で日本国籍が取れる」
  • 「帰化の方が永住より要件が緩いのはおかしい」

といった議論がなされます。

しかし、実務の感覚からすると、これは少し誤解を招く見方です。

帰化の審査では、居住年数のほかにも、例えば次のような点が総合的に確認されます。

  • 素行の善良性(犯罪歴・違反歴・日常の生活態度)
  • 納税・社会保険料の状況
  • 家族全体の生計の安定性
  • 本国にいる家族の情報・関係性
  • 日本語能力や日本社会への定着の程度
    (条文上は明文の規定はないものの、実務上は非常に重視されています)
  • 日本国憲法を尊重し、日本国民として生活していく意思があるかどうか

永住許可の審査も当然厳格ですが、
「国籍」という非常に重い地位を新たに付与する手続きである帰化の方が、審査の範囲・深さはむしろ広く・深くなることが多い、というのが現場の実感です。

したがって、

  • 「居住要件だけ見て帰化の方が永住より緩い」
  • 5年あれば誰でも簡単に日本国籍が取れる」

というイメージは、実務を見ている立場からすると、かなり実態とズレていると言わざるを得ません。

2)それでも「永住10年・帰化5年」のままで良いのか

とはいえ、だからといって、現在の

永住10年・帰化5年

という構造をそのまま放置して良いのかというと、ここには制度としての整合性の問題も残ります。

  • 居住要件は、永住・帰化いずれにとっても非常に重要な「中核的要件」であること
  • 法的地位の重さでいえば、「永住<国籍(帰化)」であること

を踏まえると、

「より重い地位である国籍の方が、永住より短い居住年数でよい」

という現在の設計は、やはりバランスを欠く部分があると言えます。

その意味で、

「一般的な普通帰化については、永住許可と同等の“10年要件”にそろえるべきだ」

という議論には、制度として一定の合理性があると考えています。

3)簡易帰化まで一律に引き上げるべきかは慎重な議論が必要

一方で、現在の国籍法には「簡易帰化」の枠組みがあり、

  • 特別永住者
  • 元日本国籍の方
  • 日本人の配偶者 など

日本や日本人との結びつきが強い方については、居住要件が緩和されています。

今回の「居住要件引き上げ」の議論が、どこまでの類型に及ぶのか――
特別永住者や日本人配偶者等に対しても、一律に10年要件を課すのかどうかについては、慎重な検討が必要です。

少なくとも、一般的な「普通帰化」の居住要件については、
永住の10年に近づける方向の見直しが行われる可能性は、十分にあるのではないか
――これが、実務家としての現在の見立てです。

 

「帰化取消し制度」創設論と、その課題

続いて、帰化取消し制度について整理します。

1)現行法に「一般的な取消し制度」はないが、理論上は取消しうる

前提として、現行の日本の国籍法には、

  • 一般的な「帰化取消し制度」を定めた明文の条文

は存在しません。

もっとも、帰化許可は法務大臣による行政処分の一種であるため、
申請時に重大な虚偽や詐欺があった場合には、

  • 行政法の一般原則に基づき「取消しうる」

と解釈されています。

しかしながら、実際に帰化許可を取り消した事例が公表されることは極めてまれであり、

  • 不正な帰化があった場合、現行法制のもとでどこまで対応可能なのか
  • どこから先が取消しの対象となりうるのか

といった点は、長年グレーゾーンとして残ってきました。

2)維新の提言のイメージ

こうした状況を受けて、日本維新の会は政策提言の中で、

  • 国籍取得審査の厳格化
  • 帰化取消し制度の創設

などを盛り込み、法務大臣への申し入れを行っています。

ここで想定されているイメージとしては、例えば

  • 帰化後に重大な虚偽申請が発覚した場合
  • テロ行為その他、国家の根幹を揺るがすような行為があった場合

などに、裁判所の関与を前提として国籍の取消しを可能にする制度を整備すべきだ、という方向性だと言えます。

3)「無国籍」という非常に重いハードル

この点について、私は帰化取消し制度そのものを頭から否定する立場ではありません。
明らかな詐欺やテロ行為など、極端なケースにどう対応するかという議論は、諸外国でも行われています。

ただし、日本で同様の制度を導入するとなると、非常に大きなハードルになるのが、

日本が原則として二重国籍を認めていない

という点です。

多くの方は、帰化した時点で元の国籍を喪失しているか、喪失することが予定されています。
この状態で日本国籍まで取り消してしまうと、

どこの国の国籍も持たない「無国籍者」を生み出してしまうリスク

が非常に高くなります。

世界人権宣言第15条は、

  • 「すべての者は、国籍を持つ権利を有する」

と定めており、国家が制度として無国籍者を生み出すことは、基本的に許容されません。

したがって、もし帰化取消し制度を導入するのであれば、

  • 取消し後に元の国籍を確実に回復できること
  • または、他国の国籍が確実に付与されることが制度上担保されていること

など、無国籍を絶対に生まない仕組みとセットでなければならないと考えます。

これらを丁寧に設計せずに、

  • 「とりあえず取消し制度だけ先に作ろう」

という議論が先行すると、人権保護の観点から非常に危うい方向に進みかねません。

その意味で、居住要件の引き上げと比べると、
帰化取消し制度の実現可能性はかなり低い、というのが現時点での見立てです。

 

今後の見通しと、帰化を検討している方へのメッセージ

ここまで、

  • 政府による「帰化の居住要件『5年以上→10年以上』への見直し案」
  • 日本維新の会による「帰化取消し制度」の創設提言

という2つの動きについて整理してきました。

改めてまとめると、現時点での私の考えは次のとおりです。

  • 居住要件だけをもって「帰化の方が永住より緩い」と言い切るのは、実務上の感覚からすると語弊がある。
    帰化は国籍という極めて重い地位を付与する手続きであり、審査の範囲・深さでは永住を上回る場面も少なくない。
  • ただし、より重い法的地位である国籍の方が、永住より短い居住年数で足りるという現在の制度設計は、やはり制度としての整合性に課題がある。
  • その意味で、普通帰化の居住要件を永住許可と同等の10年程度に見直す議論には、一定の合理性があると考えている。
  • 一方で、帰化取消し制度の創設については、日本が原則として二重国籍を認めていない以上、無国籍や国際人権との整合性という非常に重い課題があり、実現のハードルは高いと考えざるを得ない。

今後、「外国人の受入れ・共生社会に関する政府内の会議」や、法務省・出入国在留管理庁による具体的な方針の取りまとめが進むことで、より明確な方向性が示されることが想定されます。

帰化を検討されている方にとっては、不安や疑問も多い時期かと思いますが、
重要なのは、

  • 制度全体のバランス
  • 無国籍を生まないなど、人権保護の視点

を踏まえた冷静な議論が進んでいくことだと考えています。

行政書士法人タッチでは、最新の制度動向を踏まえながら、

  • 帰化申請
  • 永住許可申請

に関するご相談に継続的に対応しています。

「自分のケースではどう影響しそうか知りたい」
「今のうちに準備しておくべきことを確認したい」

といったご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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帰化申請にあたっては、帰化の要件を確認し、滞りなく必要書類を収集し、各申請書は不備なく完成させなければなりません。「どのような書類を集めたらいいですか」「私は帰化の要件を満たしていますか」といったお問い合わせが多いです。必要な書類については、各人の家族状況、仕事、来歴等によって変動します。一人一人集める書類は異なります。

帰化申請は今後の人生に大きな変革をもたらす重大な決断だからこそ、行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、帰化の要件を満たしているか、どのような書類が必要か、どのように帰化申請を進めていけばいいかご確認をさせて頂きます。

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この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
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