帰化申請お役立ちコラム

日本で会社を経営する外国人が帰化するための手続きを解説
- 2025年05月21日
日本で働く外国人、特に、日本国内の企業で働く会社員の方が、帰化するためには、国籍法5条1項に定められている基本条件を満たすことが原則です。
また、就労系在留資格を有していることが前提になるため、在留資格該当性を満たしているか? 3年以上安定した年収を得ているか? といった特有の注意点もあります。
この記事では、日本で働く外国人(会社員)が帰化するための手続きを解説します。
目次
帰化とは、外国の国籍を喪失して日本国籍を取得することを意味し、帰化許可申請はそのための申請手続きのことです。
永住許可の場合は、許可取得後も外国国籍のままなので、出入国管理法24条の退去強制事由により、国外退去となることもありますし、在留カードや再入国手続き等が必要になります。
一方、帰化した場合は、日本人と同様になるため、退去強制事由になることはありませんし、外国人が日本で暮らすための在留資格関係の手続きも必要なくなります。
日本で働く外国人の方は、「技術・人文知識・国際業務」、「高度専門職」、「経営・管理」といった就労系在留資格を有しているのが一般的です。
こうした在留資格を有していることを前提に、一般的な帰化要件を満たすことが求められます。
具体的には次のとおりです。
・住所条件:引き続き5年以上日本に住所を有すること。
・能力条件:18歳以上で本国法でも成人していること。
・素行条件:素行が善良であること。
・生計条件:自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能により生計を営むことができること。
・重国籍防止条件:国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によりその国籍を失うべきこと。
・憲法遵守条件:日本政府を暴力で破壊することを企てる主張をしたり、そうした組織に加入していないこと。
・日本語能力要件:条文にはありませんが日本社会で生活するための最低限の日本語能力が必要とされています。目安としては、小学生3年生レベルの日本語力が必要とされています。
この中で、特に重要なのが、生計条件です。
自力で生計を維持できるだけでなく、安定した年収を継続できているかどうかが審査されます。
本人1人で申請の場合は、年収にして300万円以上は必要とされています。扶養家族が多ければ、年収の要件も上がります。
また、会社員の場合、転職や育児休業を取得することもありますが、転職した直後や育児休業中だと、帰化が難しいこともあります。
転職直後や育児休業明けに、安定した収入が得られるとは限らないためです。また、転職先での在留資格該当性も審査されます。
おおむね同じ会社で3年以上働き続けて、安定した年収を確保していることが望ましいです。
また、「経営・管理」の在留資格の場合は、自らが経営する会社の業績が安定していることや、十分な役員報酬を得ていることも要件になります。
やはり、起業直後だと帰化は認められにくいので、3年以上安定した経営を続ける必要があります。
帰化許可申請は、出入国在留管理局ではなく、法務局又は地方法務局で申請を行います。
申請者が15歳未満のときは親権者、15歳以上のときは本人が自ら出頭して書面により申請することになっています。
帰化許可申請に必要な書類は事案ごとに異なりますが、主に次のような書類が必要です。
・帰化許可申請書(15歳未満の場合は帰化許可申請書のみ作成)
・親族の概要を記載した書面
・動機書(実筆)
・履歴書
・宣誓書
・生計の概要を記載した書面
・在勤及び給与証明書
・居宅、勤務先付近の略図
・本国の戸籍謄本などの身分関係を証する書面
・家族の各種届出記載事項証明書
・外国人住民票
・納税証明書
・家族のスナップ写真
・卒業証明書、在学証明書、資格証明書等
帰化許可申請は在留資格許可申請とは異なり、オンラインでの申請は受け付けていません。
法務局又は地方法務局の窓口に出向いて行う必要があります。
帰化許可申請の流れを確認しましょう。
1. 法務局又は地方法務局の窓口で相談する
2. 提出書類の取り寄せと作成
3. 住所地を管轄する法務局又は地方法務局に申請する
4. 審査開始
5. 面接、追加書類の提出
6. 法務大臣(法務省)への書類送付と審査
7. 法務大臣の決裁
8. 許可・不許可の通知
帰化許可申請の必要書類は、事案ごとに異なるので、何が必要になるか、事前に窓口で相談する必要があります。
帰化が許可されれば、法務局から通知があり、さらに官報にも掲載されます。
帰化許可申請から許可・不許可が出るまでの審査期間は、標準処理期間が公開されていないため、明確ではありません。
ただ、一年以上の時間がかかることが多いようです。
日本で働く外国人(会社員)が帰化許可申請する際は、一般的な注意点と会社員(就労系在留資格の方)特有の注意点があります。
一つ一つ確認しましょう。
住所条件は、「引き続き5年以上日本に住んでいること」とされています。
引き続きですから、5年間の間に長期間、日本を離れていた期間がある場合は、この条件を満たしていないことになります。
貿易関係に従事している方の場合、海外に滞在している期間が長いこともありますが、年間100日程度海外に滞在していると、帰化許可は認められにくいです。
また、日本に留学し、そのまま日本の会社で就職した方は、留学期間中も含めると入社してから1年でも、引き続き5年以上日本に住んでいるという要件を満たしていることもあります。
しかし、留学生として入国した方については、就職後、3年程度の社会経験があることが望ましいというのが法務局の考え方とされています。
そのため、留学生から就労系在留資格を取得した方は、就職後3年以上経過してから、帰化申請することを推奨します。
素行条件は、細かく規定されていませんが、永住許可と同様に犯罪を犯していないことや交通違反を犯していないこと、納税義務を守っていることなどもチェックされます。
永住許可よりも緩いわけではないので注意しましょう。
具体的には下記の通りです。
・交通違反
5年以内に軽微な違反が5回以上ないこと。また、免許停止になるような重大な違反がないこと。
上記に該当する場合は、最後の違反をした日から5年以上無事故無違反であれば許可される可能性があります。
・犯罪
罰金刑以上の刑罰に課せられたことがないこと。
罰金刑に課せられた場合は、罰金を支払った日から5年以上経過すれば許可される可能性があります。罰金刑以上の刑に課せられ在留特別許可を受けた場合は、在留特別許可を受けた日から15年以上の経過が必要とされています。
・税金の滞納
現に税金を滞納していないこと。
税金を滞納している場合は帰化申請が許可されることはありません。申請前にすべて支払えば許可される可能性があります。
日本では、二重国籍が認められていないため、本国の国籍から離脱しなければなません。
本国の国籍を離脱するつもりでも、本国が国籍離脱を認めていないケース(ブラジル、アルゼンチンなど)もあるので注意しましょう。
本国で兵役義務を終えていない場合や納税義務を果たしていない場合は国籍離脱が認められないケースもあります。
帰化許可申請の必要書類は、申請者の状況によって大きく異なります。
在留許可申請と比べると用意すべき書類が多く、必要年数や有効期限もそれぞれ異なります。
取り寄せる書類も簡単に手に入るものもあれば、時間がかかるものもあります。
ネットで調べただけでは必要書類がすべてそろうわけではないため、法務局の窓口か、帰化申請に詳しい行政書士に相談することが大切です。
帰化許可申請は、在留許可申請のようにオンラインでの受付は行っていません。
窓口は法務局又は地方法務局ですが、いきなり窓口に赴いても対応してもらえるとは限らず、事前に予約しなければならないのが一般的です。
書類を準備してから、法務局に連絡を入れる流れだと、実際に受け付けてもらえるのは数カ月先となってしまい、準備した種類の有効期限が切れてしまうこともあります。
帰化のメリットとしてよく挙げられるのが日本国のパスポートを持てることです。
日本国のパスポートは最強と呼ばれることがあります。
2025年の時点で、ビザなしで入国できる国が193カ国となっており、1位のシンガポール(195カ国)に次ぐ多さです。
特に、中国や東南アジアの国々の方は、この点に魅力を感じて、帰化申請を行うことがあります。
また、在留資格の場合は、在留期間更新許可申請が必要ですし、永住者の在留資格でも7年に1回は在留カードの更新が必要です。日本人ではないので、日本国内で暮らすのに何かと不便なこともあります。
日本で暮らし続けるつもりなら、帰化した方がメリットが大きいと言えます。
ただ、いったん日本国籍を取得した場合は、後で本国の国籍に戻りたくても、国によっては、難しいケースもあります。
国籍は、気軽に入ったり抜けたりできるものではないので、慎重に検討しましょう。
帰化許可申請は、原則として本人が法務局又は地方法務局の窓口に出向いて行う手続きです。
必要書類も相談した際に説明を受けるので、説明に従って準備するだけです。
ただ、作成が難しい書類やどのように揃えたらよいのか分からない書類も出てきます。また、必要書類を確認する面談の予約に半年程度かかるケースも増えてきています。
そんな時は、帰化許可申請に詳しい行政書士に相談すると、代わりに作成してもらえたり、申請方法についてアドバイスを受けられます。
また、書類の内容によっては、帰化許可申請に不利になるものもあります。
そのような場合は、他の書類をそろえたり、少しでも有利になるように工夫することが大切ですが、行政書士なら、個々の書類が帰化許可申請にどのような影響を及ぼすのか検討したうえで、必要なアドバイスを行うことができます。
帰化許可申請にあたっては膨大な量の資料収集及び申請書の作成が必要です。法務局に提出する書類は100枚以上に上ります。
また、帰化許可申請の準備から始めて、実際に帰化が認められるまでは1年以上の時間がかかります。何か一つでもミスがあると、そのために不許可となってしまい、申請のために費やした時間が無駄になってしまうこともあります。
こうした事態を避けるためにも、帰化許可申請を思い立ったら、早めに専門の行政書士にご相談ください。
当事務所では、帰化許可申請のサポートを全面的に承っています。
お客様が帰化許可の条件を満たしている場合は、確実に帰化できるようにサポートしますし、満たしていない場合は何が足りないのか、どうすればよいのか、アドバイスさせていただきます。
帰化許可申請をお考えの方は「行政書士法人タッチ」へご相談ください。
帰化申請にあたっては、帰化の要件を確認し、滞りなく必要書類を収集し、各申請書は不備なく完成させなければなりません。「どのような書類を集めたらいいですか」「私は帰化の要件を満たしていますか」といったお問い合わせが多いです。必要な書類については、各人の家族状況、仕事、来歴等によって変動します。一人一人集める書類は異なります。
帰化申請は今後の人生に大きな変革をもたらす重大な決断だからこそ、行政書士法人タッチでは、無料相談にてお客様一人一人のご状況を伺い、帰化の要件を満たしているか、どのような書類が必要か、どのように帰化申請を進めていけばいいかご確認をさせて頂きます。
無料相談のご予約方法は当事務所に①お電話でのお申込み・②お問い合わせフォームから承っております。帰化申請に関するご不安やお悩みをサポートさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
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2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
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