ケース別の永住申請

就労ビザから永住権を取得するには

就労ビザからサムネ

日本の代表的な就労ビザについて

日本の就労ビザは19種類あり、就労ビザで日本の企業で働いていくうちに永住権を取得したいと考えるようになる外国人の方が多くいます。まずは、代表的なの就労ビザを下記に記載をします。

日本の代表的な就労ビザ

  1. 教授ビザ
  2. 高度専門職ビザ
  3. 経営・管理ビザ
  4. 技術・人文知識・国際業務ビザ
  5. 介護ビザ
  6. 技能ビザ

この中でも永住申請をする外国人で最も多いのが(4)技術・人文知識・国際業務ビザではないでしょうか。次いで(3)経営・管理ビザ、(2)高度専門職ビザになるかと思います。

このページでは就労ビザから永住権を取得する際のポイントを解説いたします。

※なお、高度人材ビザからの永住申請は、他の就労ビザからの永住申請と要件が異なりますので別ページで紹介をしております。

在留資格該当性

まず、前提として在留資格に見合った活動を継続しているかが審査のポイントとなります。例えば技術・人文知識・国際業務ビザを保有していて、会社を経営したり、勤務先で単純労働をしている場合は在留資格に見合った活動をしているとはいえません。

経営・管理ビザの場合も、例えば経営するレストランでオーダーをとることはできません。

保有している在留資格の活動範囲を遵守した上で、在留資格に見合った活動をしていることが必要になります。

住居要件について

就労ビザから永住申請をするには、引き続き10年以上日本に在留していることが必要で、そのうち就労ビザの在留資格をもって5年以上日本に住んでいることが必要です。

例えば、留学で7年在留してから就労ビザに切り替えて3年在留している場合は住居条件を満たしません。この場合は、留学で5年、就労ビザで5年以上在留している必要があります。

また、この就労ビザの在留資格をもって5年以上とは、永住申請から起算して直近5年のことを指します。したがって、例えば就労ビザで2年間勤務した後、留学の在留資格に切り替えて学校に通い、その後、就労ビザに再度切り替えて3年就労している場合は、直近5年間が就労ビザでの在留ではないため、住居要件を満たしません。

さらに、この場合は収入要件を満たすことも困難ですので、永住申請から起算して直近5年間は就労ビザをもって日本に在留している必要があります。

出国に対する考え方は他の在留資格から永住申請をするのと同様で、出国が多い場合は、引き続き10年以上の要件のカウントがリセットされることがあります。1回の出国で90日以上、または1年間で半年以上出国した場合は永住申請においてマイナスの要因となります。

在留期限について

現に有している就労ビザについて、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していることが必要です。

現在付与されている就労ビザの在留資格の在留期間が、最長であることが要求されています。つまり、就労ビザの在留資格を持っていても在留期間が1年で付与されている場合はこの要件を満たしません。

就労ビザの在留資格は、1年、3年、5年の在留期間といずれかとなっています。この場合、5年の在留期間が必要と考えるかと思いますが、3年以上の在留期間でこの要件を満たすことができます。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

就労ビザからの永住権の取得の場合、収入に関する条件は他の在留資格からの申請とほとんど変わりません。1つの目安として300万円以上、扶養者1人につき20万円から30万円の上乗せが必要です。結婚して配偶者が家族滞在ビザで在留していてアルバイトをしている場合、配偶者の収入は加算されません。

経営管理ビザをお持ちの方は、役員報酬の金額で審査されることになりますので、役員報酬の金額を最低でも300万円以上に設定することが重要です。また、経営管理ビザから永住申請をする場合は事業の安定性も1つの審査ポイントとなります。そのため、会社を経営してから2期以上の決算が終わっていることに加え、黒字決算であることが望ましいです。

日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

生活保護を受給し公共の負担になっている場合は、永住権の取得は難しいです。結婚している場合で配偶者が生活保護を受けている場合も同様です。

素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

就労ビザから永住権を申請する場合の1番の注意点は、既婚者の方で配偶者が「家族滞在」の在留資格のケースです。資格外活動許可を得てたとしても週28時間を超えて働いている場合は素行善良要件を満たしません。これは、申請者自身のことでなくとも監督不行届として素行善良要件に影響してきます。その他の要件は他の在留資格からの申請と同じです。

罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

住民税と年金を適正な時期に納めていることが必要です。未払いがある場合は論外ですが、支払い済みの場合でも納付期限に遅れがあれば永住申請で許可を得るのは難しいです。永住申請では適正な時期に適正な納税をしていることが必要です。

就労ビザから永住権を取得することについてのまとめ

このページでは、就労ビザから永住権取得のためのポイントを解説いたしました。就労ビザから永住権を取得する場合の収入要件は、2019年7月から、直近5年分(それまでは直近3年分)の課税証明書の提出が必要となりました。

これまでは3年分の課税証明書の提出でよかったのですが5年分になったため、より長期間安定した収入を維持する必要があり、以前より収入の条件のハードルが上がっています。

また、2021年10月からは【了解書】という書類が追加され、審査期間中に転職をした場合は直ちに入国管理局に報告する必要があります。

永住申請は年々厳しくなっている傾向がありますので、現在要件を満たしている方は早前に申請することを推奨いたします。永住権は持っていて損になることはありません。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表

グローバルHR事業協同組合 代表理事

湯田 一輝

専門分野:外国人ビザ(在留資格)・帰化申請
開業以来、国際業務を専門とし、年間1000件以上の在留資格・帰化実務に対応

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