永住権の申請前に
永住権を取得するにあたり最低限満たしていなければならない条件があります。この条件を満たしていない場合は、申請をしても不許可になる可能性が高くなります。そのため永住権の条件を満たした上で申請をすることが望ましいです。このページでは永住権の条件について解説していきます。
永住権の条件
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。素行についての要件になります。具体的には、過去の懲役刑や罰金刑、交通違反のことを指します。過去に懲役刑や罰金刑を受けている場合は、処分の日から期間をあけてから申請することを推奨します。どのくらい期間をあけるかは、刑の重さや支払った罰金の金額により異なりますが、目安として5年から10年程度になります。
また、交通違反については、行政罰と刑事罰のどちらを課せられたかによってことなります。一時停止違反等の軽微な違反は行政罰に分類されるので、数回程度であれば特に問題はありません。飲酒運転や重度のスピード違反は刑事罰に分類されるので、これに該当する場合は、処分の日から期間をあけてから申請することを推奨します。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
収入があることが条件となっています。いくら収入があれば良いかと質問をよく受けますが個々の状況により基準は異なります。1つの目安として300万円以上、扶養者1人につき20万円から30万円の上乗せが必要です。収入の判断基準は市区町村発行の課税証明書で判断されることになります。
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
生活保護を受給し公共の負担になっている場合は、永住権の取得は難しいです。難関資格を取得して仕事に活かしている場合や、貯金がたくさんある場合はプラスに作用します。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。
ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。引き続き10年以上日本に住んでいて、そのうち就労系(技術人文知識国際業務等)の資格をもって5年以上、または居住資格をもって5年以上日本に住んでいることが必要です。また、引き続きの内容が重要となり出国が多い場合等は、引き続き10年以上の要件のカウントがリセットされることがあります。1年間で半年以上出国した場合は、リセットされると考えて差し支えありません。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。
公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
住民税と年金を適正な時期に納めていることが必要です。未払いがある場合は論外ですが、支払い済みの場合でも納付期限に遅れがあれば永住申請で許可を得るのは難しいです。永住申請では適正な時期に適正な納税をしていることが必要です。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
現在付与されている在留資格の在留期間が、最長であることが要求されています。つまり、在留期間が1年で付与されている場合はこの要件を満たしません。日本人の配偶者等や技術人文知識国際業務等の在留資格は、1年、3年、5年の在留期間となっています。この場合、3年の在留期間で申請できるのかがポイントとなりますが、結論として申請可能です。心配な方は一度お問い合わせください。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
テロリストや反社会勢力に加入している場合が該当します。
条件の緩和について
上記で永住申請の条件を解説しましたが、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合や、難民の認定を受けている者の場合には一部の要件が緩和されます。詳細については、別ページで解説しています。
永住権の条件についてのポイント
このページでは永住権の条件を解説いたしました。この条件は最低限満たしている必要があるものです。条件を満たしていない場合でも申請することは可能ですが厳しい結果になることが想定されますので、条件を満たした上で申請することを推奨します。