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経営・管理ビザでの永住申請も「5年」が原則に|2027年からの注意点

公開日:2026.08.21
最終更新日:2026.08.21

 

はじめに経営・管理の方には、「二つの変化」が同時に押し寄せています

永住申請をめぐっては、2027年に向けて大きなルール変更が進んでいます。多くの就労ビザに共通するのが、「永住申請には原則として最長の在留期間(多くは5年)が必要になる」という変更です(これは別の記事「3年ビザでの永住申請は2027年3月まで」で詳しく解説しています)。

経営・管理ビザ(在留資格「経営・管理」)をお持ちの方にも、当然この「5年ルール」が当てはまります。ただ、経営・管理の方には、もう一つ、経営・管理に固有の、しかも非常に大きな変化が重なっています。それが、20251016日に施行された、経営・管理ビザそのものの許可基準の大幅な厳格化です。

つまり経営・管理の方は、

  • 永住申請の要件である「5年」という在留期間のハードル(2027年〜)
  • 永住の土台となる、経営・管理ビザ自体の要件の引き上げ(202510月〜)

という二つの変化を、同時に見ておく必要があるのです。

最初にお伝えしておくと、すでに経営・管理ビザをお持ちの方が、これでただちにビザを失うわけではありません。在留期間の更新には経過措置(猶予期間)も設けられています。ただ、こと「永住」に関しては、これまでより明確にハードルが上がりましたこの記事では、経営・管理の方に向けて、二つの変化の中身と、では今どう動くべきかを整理します。

 

まず全体像経営・管理の方が直面する二つの変化

1)細かい話に入る前に、二つの変化を並べて押さえておきます。

  • 変化A:永住申請に、原則「最長の在留期間(多くは5年)」が必要になる 2026224日の永住許可ガイドライン改訂によるもので、202741日以降に本格化します。これは経営・管理に限らず、最長が5年であるすべての在留資格に共通する変化です。
  • 変化B:経営・管理ビザ自体の許可基準が大幅に厳格化された 20251016日施行で、資本金や雇用などの要件が大きく引き上げられました。こちらは経営・管理(および経営・管理活動を前提とする高度専門職)に固有の変化です。

2)この二つは、別々の話のようでいて、実は深くつながっています。永住は、いま持っている在留資格(=経営・管理)の上に乗っているものだからです。土台である経営・管理の基準が上がれば、その影響は永住申請にもそのまま及びます。だからこそ、経営・管理の方は「二重のハードル」を意識する必要があるのです。

 

変化A ― 永住申請に「最長の在留期間(原則5年)」が必要になります

1)まず、全在留資格に共通する変化Aから見ていきましょう。2026224日の永住許可ガイドライン改訂により、永住申請の要件のひとつである「最長の在留期間をもって在留していること」の扱いに、期限が設けられました。

  • 2027年3月31日まで在留期間「3年」でも、これまでどおり申請できます(ただし後述のとおり「初回限定」などの条件があります)。
  • 2027年4月1日以降原則として、その在留資格で定められた最長の在留期間が必要になります。経営・管理の場合、最長は「5年」です。

2)ここで経営・管理に特有の事情があります。経営・管理ビザは、そもそも「5年」の在留期間を取ること自体が簡単ではないという点です。事業の安定性や納税の実績などが十分に示せないと、更新のたびに「1年」しか出ない、というケースも少なくありません。「では5年を待とう」と思っても、5年の在留期間にたどり着くまでに時間がかかることがあるのです。

3)この「3年で今申請するか、5年を待つか」という判断そのものや、審査期間を逆算して動くべき理由については、別の記事「審査に約1年 ― 逆算して動くべき理由」で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

 

変化B ― 202510月の改正で、永住の「土台」そのものが変わりました【最重要】

1)ここからが、経営・管理の方にとって最も重要なポイントです。2025年(令和7年)1016日、経営・管理ビザの許可基準が大幅に厳格化されました。主な変更点は次のとおりです。

  • 資本金・出資総額:500万円 → 3,000万円(約6倍)。従来の「資本金500万円 または 常勤職員2名以上」という選択制が廃止され、3,000万円が必須になりました(法人の場合は資本金・出資の総額、個人事業主の場合は事業に投下する財産の総額で判断されます)。
  • 常勤職員:1名以上の雇用が必須に しかも対象は、日本人・特別永住者、または身分系の在留資格を持つ外国人(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に限られます。技術・人文知識・国際業務などの就労ビザの外国人は、常勤職員としてカウントされません。
  • 日本語能力:新たに要件化 経営者本人または常勤職員に、B2相当(日本語能力試験N2以上など)の日本語能力が求められます。
  • 経歴:新たに要件化 3年以上の経営・管理の実務経験、または経営に関する修士・博士・専門職学位(MBA等)が求められます。
  • 事業計画書:専門家の確認が必須に 中小企業診断士・公認会計士・税理士などの専門家による確認が求められます。
  • 事業所:独立した事業所の確保が必要に 自宅兼事務所は原則として認められなくなりました。

2)そして、永住を考えている方にとって決定的に重要なのがここです。入管庁の資料では、施行日(2025年10月16日)以後、改正後の許可基準に適合していない場合、「経営・管理」(および経営・管理活動を前提とする高度専門職)からの永住許可は認められない、とされています。

つまり、経営・管理から永住を取るには、土台となる経営・管理(会社の資本金や雇用などの体制)が、改正後の新基準を満たしている必要があるということです。

3)ここで、取り違えやすい、大切な点があります。それは、「在留期間の更新」と「永住申請」では、経過措置の扱いが違うということです。

  • 在留期間の更新には、3年間の経過措置があります。 すでに経営・管理ビザをお持ちの方が、施行日から3年後(20281016日)までに更新申請を行う場合は、新基準を完全に満たしていなくても、経営状況や「新基準に適合する見込み」などを総合的に考慮して許否が判断されるとされています(自動的に許可されるわけではなく、専門家の評価書の提出を求められることもあります)。
  • しかし、永住申請には、この更新のような猶予は設けられていません。 入管庁の資料では、永住については施行日以後、改正後の基準に適合していることが前提とされています。

4)たとえば、資本金が2,000万円しかない会社の経営者の場合、在留期間の更新は経過措置で通る可能性があっても、永住申請は今のところ難しくなる、ということです。「ビザの更新は問題なくできているから、永住もそのまま取れるだろう」とは限りません。更新と永住は別の話である、という点は、まず押さえておきたいところです。

5)とはいえ、これも過度に恐れる必要はありません。既存の経営・管理の方が、すぐにビザを失うわけではありません。更新に与えられた3年の経過措置は、「新基準に近づくための準備期間」と捉えることができます。永住を目指すのであれば、この期間に資本金・雇用・納税といった土台を整えていくことが、そのまま永住の準備にもつながります。

 

もう一つの注意点経営・管理は審査が長引きやすく、「逆算」がより重要です

1)経営・管理の永住審査には、もう一つ特有の事情があります。事業の継続性・安定性・納税状況などの確認に時間がかかり、他の在留資格より審査が長引きやすいのです。

2)永住審査は、全国平均でもおおむね910か月(公表値で約282日)かかっています。さらに、申請が集中する東京出入国在留管理局では、1年〜1年半程度かかるケースも珍しくありません。

3)これは、変化Aの「3年ビザでの申請(初回限定の経過措置)」を考えている方にとって、特に重要です。この経過措置を使うには、結果(許可・不許可)が、いま持っている3年の在留期間内に出る必要があるとされているからです。審査が長引きやすい経営・管理では、「331日までに出せば間に合う」とは限らず、審査にかかる時間を逆算して、ご自身のビザの満了日までに結果が収まるかを、より慎重に確認する必要があります。(この逆算の考え方は、別の記事「審査に約1年 ― 逆算して動くべき理由」で詳しく解説しています。)

 

では、経営・管理の方はどう動くべきか

1)以上を踏まえると、取るべき行動は大きく二つのタイプに分かれます。ご自身がどちらに近いか、当てはめてみてください。

今のうちに永住申請を検討した方がよい方

25年ルール」も「新基準」も、すでにクリアできている方です。具体的には、次のようなイメージです。

  • 居住年数の要件を満たしている(原則として日本に10年在留、うち就労資格または居住資格で5年以上)
  • 現在の経営・管理が、すでに改正後の新基準(資本金3,000万円・常勤職員1名以上など)に適合している
  • 税金・社会保険・年金に、未納や遅れがない
  • 事業・収入が安定し、過去の在留状況にも問題がない
  • できれば在留期間が「5年」(または、要件が整っていて、期限内に結果が出る見込みのある「3年」)

3)こうした方は、申請を先延ばしにするメリットがほとんどありません。加えて、永住申請の手数料が現行の1万円から20万円に引き上げられます(202673日に政令案が公表され、施行日は101日の方針。別の記事「永住申請の手数料が20万円に」で解説しています)。要件が整っているなら、現行料金が使えるうちに、早めに動く方が、費用面でも明らかに有利です。

まず土台を整えてから申請した方がよい方

4「新基準」や「5年」に、まだ不安や弱点がある方です。たとえば次のようなケースです。

  • 資本金が3,000万円に届いていない/常勤職員の要件をまだ満たせていない
  • 在留期間が「1年」で、「5年」にはまだ届かない
  • 税金・社会保険・年金の支払いに、過去の遅れ(滞納)がある
  • 転職・事業転換から間もなく、収入や事業の安定性をまだ示しにくい

5)こうした方が、手数料や期限を気にして準備不足のまま永住を申請するのは、おすすめしにくいところです。土台である経営・管理が新基準を満たしていなければ、永住は不許可になるリスクが高く、納めた手数料も戻りませんそれよりも、更新の経過措置(20281016日まで)の期間を活用して、資本金の増強・常勤職員の雇用・納税実績の積み上げといった土台を整え、「5年」の在留期間を取ったうえで、万全の状態で申請する方が、結果的に確実で、費用も抑えられることがあります。

 

取り違えないでほしいこと

1)最後に、特に誤解の多い点を整理します。

2「在留期間更新の経過措置(2028年まで)」と「永住の取扱い」は、別の話です 更新が問題なくできていても、それだけで永住が取れるとは限りません。永住には、土台となる経営・管理が新基準を満たしていることが前提とされています。ここが、経営・管理の方にとって最も重要な誤解ポイントです。

3「在留期間が3年か5年か」と「10年の居住」も、別の要件です 今回の「5年ルール」は在留期間に関する話であって、「日本に原則10年住んでいること」という居住年数の要件をゆるめるものではありません。居住年数がまだ足りない方は、期限とは関係なく、まずその要件を満たす必要があります。

4細部は、今後の発表や政令で確定する部分があります 経営・管理の新基準の具体的な運用や、永住許可での取扱いは、今後の入管庁の発表で固まっていきます。手数料については、202673日に政令案が公表され、永住は20万円、施行日は2026101日の方針が示されています(最終的な内容は政令の公布で確定します)。判断の際は、最新の情報を確認することが大切です。

 

おわりに経営・管理の永住は、「土台」と「タイミング」の両方を見て

経営・管理の方は、永住申請にあたって、「5年という在留期間」(変化A)と「経営・管理ビザ自体の新基準」(変化B)という二つの変化を、同時に見ておく必要があります。永住が取れるかどうかは、土台(経営・管理が新基準を満たしているか)と、タイミング(在留期間・審査期間・手数料の値上げ)の両方で決まる、ということです。

過度に恐れる必要はありません。ただ、「更新ができているから永住も大丈夫」という思い込みは禁物です。ご自身の状況がどちらのタイプに当てはまるのかを、できるだけ早く見極めることが、何より大切です。

当事務所は、経営・管理ビザと永住申請の両方を専門に取り扱っています。新基準への適合状況の確認、「5年」の在留期間の取得、申請時期の見極めから、必要書類の整理・申請手続きまで、一貫してサポートしています。「自分の場合、今のままで永住が取れるのか」「いつ、何を整えてから出すべきか」を確認したい方は、お気軽にご相談ください。

本記事は20267月時点の情報に基づいています。手数料の額(永住20万円)・施行日(2026101日)は202673日公表の政令案にもとづくものです。経営・管理ビザの許可基準の運用、永住許可の取扱い、経過措置の具体的な内容や、手数料の最終的な確定は、今後公布される政令や入管庁の発表により変わる可能性があります。最新の情報をご確認ください。

 

 

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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