永住申請お役立ちコラム

審査に約1年 ― 3年ビザでの永住申請は逆算して動くべき理由
- 2026年08月21日


目次
ここ1〜2年、永住に関する制度が、かつてないペースで動いています。在留期間の要件、申請にかかる手数料、そして永住を取り消す事由 ― 性格の異なる複数の変更が、ひとつは2026年秋(手数料の値上げ)、もうひとつは2027年春(在留期間の要件と取消事由)と、時期をずらして相次いで動こうとしています。
これだけ重なると、「何がどう変わるのか」「自分は何をすればいいのか」が分かりにくくなりがちです。ニュースの断片だけを見て、必要以上に不安を感じている方も少なくないと思います。
そこでこの記事では、当事務所がこれまで個別の記事で取り上げてきた変更点を、一枚の地図のように整理します。細かい論点はそれぞれの記事に譲り、ここでは「全体像」と「自分にどれが関係するのか」をつかんでいただくことを目的とします。
先に結論をお伝えします。変更の規模は確かに大きいのですが、ルールを守って誠実に暮らし、必要な手続きを踏んでいる方が、過度に恐れる必要はありません。ただし、いくつかの変更には明確な「期限」があります。当てはまる方は、放置せず、早めに見極めることが何より大切です。
(1)今回の一連の変更は、永住の3つの局面に分けて考えると、すっきり整理できます。
(2)大まかに言えば、①と②はこれから永住を申請する方に、③はすでに永住をお持ちの方に、主に関係します(もちろん、両方に関わる方もいます)。まずは下の早見表で、それぞれの「内容・時期・関係する人」を押さえてください。
|
変更点 |
主な内容 |
時期 |
主に関係する人 |
|
①入口 |
在留期間「3年」での申請ができなくなり、原則「5年」が必要に(最長5年の資格の場合) |
2027年4月1日〜(経過措置は3月31日まで) |
これから申請する人 |
|
②費用 |
永住申請の手数料が1万円→20万円に(更新・変更も値上げ) |
2026年10月1日施行の方針(9月30日までの受付分は現行料金) |
これから申請する人 |
|
③維持 |
税金等の故意の不払い・重大犯罪などが永住の取消事由に |
2027年4月1日〜 |
すでに永住を持っている人 |
(3)これから永住を申請する方は「2」「3」を、すでに永住をお持ちの方は「4」を中心にお読みいただくと、必要なところがつかみやすいと思います。以下、順に見ていきます。
(1)永住申請の要件のひとつに、「いま持っている在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」があります。技術・人文知識・国際業務や経営・管理など、多くの在留資格では、この最長の在留期間は「5年」です。
(2)これまで実務では、在留期間が「3年」の方でも、この要件を満たすものとして扱われてきました。しかし2026年2月24日のガイドライン改訂で、この取扱いに期限が設けられ、2027年4月1日以降は、原則として「5年」の在留期間が必要になります。
(3)ただし、2027年3月31日までは、これまでどおり「3年」でも申請できます(経過措置)。注意したいのは、これが一度きりの措置だという点です。具体的には、次の二つを両方満たす必要があります。
(4)ここで鍵になるのが審査期間です。永住審査には近年おおむね9〜10か月かかり、申請が集中する東京出入国在留管理局では1年〜1年半に及ぶこともあります。「3月31日までに出す」だけでは足りず、結果が自分のビザの有効期間内に収まるかを逆算して動く必要があります。期限まで1年を切った今、この逆算はとりわけ重要です。なお、この経過措置には、「永住審査中に在留期間の更新許可を受け、ふたたび『3年』を付与された場合」の取扱いをめぐって、ガイドラインの文言が明確でなく、複数の読み方ができてしまうという論点もあります(後掲の別記事「審査に約1年 ― 3年ビザでの永住申請は逆算して動くべき理由」で解説しています)。
(5)なお、事業の状況の確認に時間がかかる経営・管理の方は、審査が長引きやすいため、この見極めをより慎重に行う必要があります。
(6)もうひとつ、混同しやすい注意点を挙げておきます。今回の変更が関わるのは「在留期間が3年か5年か」という要件だけです。これとは別に「原則10年の居住」という要件があり、今回の措置は10年の居住年数をゆるめるものではありません。居住年数がまだ足りない方は、措置の期限とは関係なく、まずその要件を満たす必要があります。
(在留期間の要件と申請のタイミングは、別記事「3年ビザでの永住申請は2027年3月まで ― 今申請すべきか、5年を待つべきか」で詳しく解説しています。あわせて、審査期間の逆算は「審査に約1年 ― 3年ビザでの永住申請は逆算して動くべき理由」、経営・管理の方は「経営・管理ビザでの永住申請も『5年』が原則に|2027年からの注意点」もご覧ください。)
(1)2026年5月29日、在留審査手数料を大幅に引き上げる改正入管難民法が成立しました。永住許可の手数料は、これまで1万円でしたが、法律上の上限が30万円まで引き上げられます。そして2026年7月3日、実際の徴収額を定める政令案が公表され、永住許可は20万円とされました。
(2)値上げの対象は永住だけではありません。在留資格の変更・更新も、これまでの一律6,000円から在留期間に応じた段階制に変わり、政令案では5年で7万5,000円、3年で6万4,000円などとされました。ご家族で手続きをする場合、人数分だけ負担が積み上がります。
(3)ここで大切なのが、手数料は通常、許可(処分)の時点で納めるものの、今回の政令案は、新料金を適用するかどうかの基準を「申請を受け付けた日」としている点です。つまり、2026年9月30日までに申請を受け付けてもらえれば、審査が長引いて許可が10月以降になっても、現行の1万円で済む見通しです(前回2025年4月改定時の取扱いにならったもの)。永住審査には9〜10か月(東京入管ではさらに長く)かかるため、受付日が基準であることの意味は大きいといえます。
(4)2026年7月3日、この手数料額を定める政令案が公表され、意見公募(パブリックコメント)が行われました。それによると、施行日は2026年10月1日で、同日以降に受け付けられた申請から新料金(永住は20万円)が適用される方針です。裏を返せば、2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても現行の1万円で済む見通しです(最終的な内容は政令の公布で確定します)。なお、経済的に困難な方への減免も政令案に盛り込まれています(永住の場合、2万円まで減額される案)。オンライン申請の割引も設けられますが、永住許可はこの割引の対象外とされています。
(手数料については、別記事「永住申請の手数料が20万円に|現行の1万円で申請できるのは2026年9月30日まで」で詳しく解説しています。)
(1)ここまでは「これから申請する方」向けの話でした。一方、すでに永住をお持ちの方に関係するのが、取消事由の拡大です。2024年の入管法改正で、永住者の在留資格を取り消す事由が広がり、2027年4月1日に施行されます(入管法第22条の4。施行日は令和7年政令第340号により確定しています)。
(2)新たに加わる主な事由は、次のとおりです。
(3)報道だけを見ると「未納が一度でもあれば即取消し」のように受け取られがちですが、そうではありません。対象は、あくまで「故意」かつ「悪質」なケースに限られます。支払う能力がありながらあえて払わないような場合が想定されており、病気・災害・失業などやむを得ない事情で払えなかった方は対象外です。過失の交通事故や罰金刑にとどまる場合も、第9号の対象にはなりません。
(4)また、取消事由の疑いがあっても、いきなり取り消されるわけではありません。事実関係の調査を経て、本人が事情を説明する機会(意見聴取)が設けられます。仮に該当しても、多くの場合は「定住者」など別の在留資格への変更が検討されるとされています。
(5)なお、どこからが「故意・悪質」と判断されるのか、その具体的な線引きについては、2026年中に入管庁がガイドラインで示す見通しだと報じられています。施行が近づくにつれて、より詳しい運用が明らかになる予定です。
(取消事由の全体像は別記事「永住権が取り消される7つのケースとは?防ぐための対策【2027年法改正】」、税金・年金の具体的な確認方法は「税金・年金の未納で永住が取り消される時代に ― 永住者が今すぐ確認すべきこと」で、それぞれ詳しく解説しています。)
(1)三つの変更を時間軸に並べると、次のようになります。
(2)こうして並べると、山場が二つあることが分かります。まず2026年10月1日 ― 「費用」が上がる時期。次に2027年4月1日 ― 永住の「入口」が狭くなる時期です。これから永住を申請する方にとっては、先に来るのは費用の壁です。要件がすでに整っている方なら、2026年9月30日までに申請を受け付けてもらえれば、現行料金(1万円)で申請できる可能性があります。その半年後には在留期間「5年」要件も原則化されるため、費用と要件、二つの締め切りを、それぞれ逆算して動く必要があります。
(参考)なお、永住制度そのものの変更ではありませんが、2026年6月14日からは、在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード」の交付も始まっています(取得は任意です)。永住者を含む中長期在留者に関わる動きとして、あわせてご紹介しておきます。
(1)最後に、ご自身がどう動けばよいかを、二つのタイプに分けて整理します。
(2)まず確認したいのは、要件がどれくらい整っているかです。
(3)どちらに当てはまるかで、取るべき行動は正反対になります。「安いうちに」「期限が来るから」と焦るのではなく、ご自身の状況を冷静に見極めることをおすすめします。
(4)むずかしいことはありません。ご自身について、次のような点を確認しておけば十分です。
(5)これらができていれば、今回の取消事由の拡大を、過度に恐れる必要はありません。
2026年から2027年にかけての一連の変更は、永住制度にとって確かに大きな節目です。しかし、これらは誠実に暮らす多くの方を脅かすためのものではなく、制度を適正に運用し、一部の悪質なケースに対応するためのものです。
これから申請する方は、「いつ・どの状態で出すか」を早めに見極めること。すでに永住をお持ちの方は、基本的な手続きを誠実に守り続けること。やるべきことは、突き詰めればこの二つに整理できます。
とはいえ、いくつかの変更には期限があり、「自分はどちらのタイプか」「いつ動くべきか」は、お一人おひとりの状況によって変わります。当事務所は、永住申請から、永住取得後のサポートまでを専門に取り扱っています。「自分の場合はどうなるのか」を確認したい方は、お気軽にご相談ください。
| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
|---|---|
| 2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
| 専門分野 | 外国人在留資格、帰化申請 外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応 |
| セミナー実績 | 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 |
| 運営サイト | 行政書士法人タッチ 国際結婚&配偶者ビザサポートセンター 帰化申請サポートセンター 就労ビザサポートセンター 永住ビザサポートセンター 経営管理ビザサポートセンター アメリカビザサポートセンター ビザサポートセンター |
スムーズな申請に向けて、
まずは無料相談をご活用ください