永住申請お役立ちコラム

永住理由書の書き方|パターン別の例文つきで行政書士が解説
- 2022年06月21日


昨今の日本では、外国人材の受け入れに関して非常に厳格な対応が進んでいます。経営・管理ビザの省令改正、技術・人文知識・国際業務、帰化、永住等、次々と制度変更が行われ、審査のハードルが上がっているのが実情です。「永住許可は甘い」「もっと厳しくすべき」という世論もある中、専門家の視点では、入管庁は法律に則り、現在非常に厳格な審査を行っています。
本記事では、永住許可申請の3つの法律上の要件について、入管庁ガイドライン(2026年2月24日改訂版)に基づき、行政書士が完全解説します。特に、2027年4月1日以降の在留期間要件の改正にも触れますので、現在永住申請をご検討中の方は必ずお読みください。
目次
本記事の内容は、行政書士法人タッチ代表の湯田が動画でも詳しく解説しています。文字よりも動画で学びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。
まず、そもそも「永住者」とはどういう在留資格なのか、ここから整理します。
「永住者」は、入管法上の在留資格のひとつです。技術・人文知識・国際業務や、日本人の配偶者等といった他の在留資格と並ぶ、ひとつの在留資格として位置付けられています。
永住者は、他の在留資格と比べて、決定的に異なる特徴が2つあります。
ひとつめは、「在留期間に制限がない」ということです。技術・人文知識・国際業務であれば1年・3年・5年といった更新期限がありますが、永住者にはこの更新がありません。一度永住許可を取得すれば、在留期間そのものは無期限となります。
ふたつめは、「就労活動に制限がない」ということです。技術・人文知識・国際業務は大卒相当の専門業務に限定されますし、家族滞在ビザは資格外活動許可の範囲でしか働けません。一方、永住者は日本人と同じように、どんな職種でも働けますし、起業もできます。
こうした特徴から、永住者は日本での生活基盤が圧倒的に安定する在留資格と言えます。だからこそ、入管としても、永住許可の審査は「最終の在留審査」という位置付けで、慎重に判断することになります。
永住者でも在留資格は取り消され得る
永住者になっても、帰化と違って日本国籍を取るわけではないため、入管法上の在留資格取消制度や、退去強制制度の対象には依然として含まれます。「永住者になったから何をしても安泰」ということではありません。詳しくは別記事「永住者の在留資格が取り消される全ケース」をご参照ください。
永住許可を取るために満たさなければならない法律上の要件は、入管法第22条に基づき、大きく3つあります。
ひとつめが「素行善良要件」、ふたつめが「独立生計要件」、3つめが「国益適合要件」です。早見表で整理します。
| 要件 | 内容 | ざっくり言うと |
| ① 素行善良要件 | 素行が善良であること | 法令を守って生活している |
| ② 独立生計要件 | 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること | 自力で生活できる |
| ③ 国益適合要件 | その者の永住が日本国の利益に合すると認められること | 日本の利益にかなう |
それでは、ひとつひとつの要件について、詳しく見ていきます。
最初の要件「素行が善良であること」です。
これは、ガイドラインの言葉でいうと「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」を意味します。簡単に言えば、「法律を守って、まっとうな生活をしている」ということです。
抽象的な表現ですので、具体的に何が問題になるのかを、3つに分けて解説します。
まず一番分かりやすいのが、刑事罰を受けたケースです。具体的には、懲役・禁錮・罰金、これらの刑罰を受けたことがある場合は、原則として素行善良要件は満たさないと判断されます。
ただし、ここには「刑の消滅」という重要な規定があります。
💡 刑の消滅(刑法第34条の2)
・禁錮以上の刑:執行完了後・免除後、罰金以上の刑に処せられず10年経過で消滅
・罰金以下の刑:執行完了後・免除後、罰金以上の刑に処せられず5年経過で消滅
・刑の免除:言渡し確定後、罰金以上の刑に処せられず2年経過で消滅
つまり、過去に罰金刑があった場合でも、5年経過すれば法律上は消滅したものとして扱われます。執行猶予の場合は、執行猶予が無事に終われば、これも消滅したものとして扱われます。
実務上はよくあるご相談で、「過去にスピード違反で罰金刑になりましたが、永住申請できますか?」というケースがあります。罰金から5年経過していれば、刑の消滅の対象となります。ただし、これだけで自動的に問題なしとなるのではなく、他の素行関連の事情も含めて総合的に判断される点には注意が必要です。
ふたつめは、少年法による保護処分が継続中の方です。これは該当する方が限定的なため、本記事では詳細は省略します。
3つめが、実は最もご相談が多いカテゴリです。「違法行為または風紀を乱す行為を繰り返し行う」、これに該当すると素行善良要件を満たさないと判断されます。
具体的にどんなケースが該当するのか、典型例を4つ挙げます。
① 交通違反を繰り返している(特に免許停止処分を受けた場合は、処分日から5年経過しないと永住許可は厳しい)
② 有罪判決がなくても、万引き等の前歴が複数ある
③ 留学生や家族滞在で、資格外活動許可の制限(週28時間)を超えて働いていた
④ 軽微な法令違反でも、同様の行為を繰り返している
特に注意していただきたいのが、ひとつめの「交通違反」と、3つめの「資格外活動許可の超過」です。
交通違反については、青切符レベルの軽微なものでも回数が多いと素行善良要件にひっかかります。実務感覚としては、過去5年間で3回以上の違反があると要注意、というのが目安です。免許停止処分を受けてしまった場合は、最低でも処分日から5年経過しないと永住許可は難しいとお考えください。
資格外活動許可の超過、いわゆるオーバーワークは、留学生の方や家族滞在で来日されているご家族で、しばしば問題になります。週28時間という制限を超えていた事実があると、永住申請では非常に不利になります。これは過去の事実なので消すことはできませんが、その後の改善履歴を理由書でしっかり説明することが重要になります。
ふたつめの要件「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です。
これは、ガイドラインで「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と定められています。
もう少し分かりやすく言うと、「生活保護を受給しておらず、現在も将来も自分の力で生活していけること」を求めています。これを満たすために、実務上は一定の年収が求められます。
| 家族構成 | 必要年収の目安 |
| 申請人本人のみ(独身) | 350万円以上 |
| 被扶養者がいる場合 | 被扶養者1人につき 概ね+20万円程度を上乗せ |
| 【例】夫婦+子ども2人(4人家族) | 350万円 + 20万円×3人 = 410万円以上 |
年収の目安は、独身であれば350万円以上です。これは入管庁が公式に発表している数字ではありませんが、実務上の運用基準となっています。
ご家族がいらっしゃる場合は、被扶養者一人につき概ね20万円程度の上乗せが必要です。例えば、奥様と12歳・6歳のお子さん2人がいて、奥様が専業主婦という4人家族の場合、申請人の年収は410万円以上が必要、という計算になります。
海外在住の親を扶養に入れている場合の注意
海外に住んでいるご両親などを扶養に入れている場合も、その人数分は上乗せの対象となります。「海外在住の親を扶養に入れて節税している」というケースは、永住申請では年収のハードルを上げる方向に働くので、注意が必要です。
もうひとつ重要なポイントが、「いつから今までの年収を見るのか」という確認対象期間です。これは申請者の在留資格や属性によって変わります。
| 申請者の属性 | 確認対象期間 |
| 一般の永住申請(就労ビザからの申請等) | 直近5年 |
| 日本人・永住者の配偶者 | 直近3年 |
| 高度専門職70点以上 | 直近3年 |
| 高度専門職80点以上・特別高度人材 | 直近1年 |
一般的な永住申請、例えば技術・人文知識・国際業務などの就労ビザから永住を目指す方は、直近5年連続で年収基準を満たしている必要があります。
日本人または永住者の配偶者として申請される方は、これが直近3年に短縮されます。同じく、高度専門職70点以上をお持ちの方も直近3年です。さらに80点以上、または特別高度人材に該当する方は、直近1年で済みます。
ですので、過去5年のうち1年だけ年収が大きく下がった年があると、一般の申請ではマイナス評価になりますが、配偶者ビザの方や高度専門職をお持ちの方であれば、その期間が審査対象から外れていれば問題ないということになります。
そして3つめが、本記事の最重要章となる「国益適合要件」です。
ガイドラインでは、ア・イ・ウ・エ・オの5つの基準が示されています。順番に詳しく見ていきます。
まず最初の基準が「原則として引き続き10年以上日本に在留していること」です。
ただし、ここには内訳の条件があります。10年のうち、就労資格、または居住資格で、引き続き5年以上在留していることが必要です。なお、就労資格のうち「技能実習」と「特定技能1号」は、この5年にはカウントされません。
つまり、「留学のみで10年いたから永住申請できる」というわけにはいかないのです。留学で5年、その後就労ビザで5年、合計10年、というパターンが典型的な永住申請の流れになります。
ここで非常に重要なのが「引き続き」という言葉の意味です。
「引き続き」とは認められないケース
・再入国許可・みなし再入国許可を受けずに単純出国した場合特に3つめの「出国日数」は、海外出張が多い方や、母国の親の介護で頻繁に帰国される方にとって、見落としがちなポイントです。
年間のうち半数以上、つまり概ね180日以上を海外で過ごされている年があると、その年は「引き続き在留していない」と判断される可能性があります。合理的な理由がなければ、永住申請は厳しくなります。
実務上は、こうしたケースは非常に多くて、「出国に関する合理的な説明」と「日本での今後の活動見通し」を理由書で丁寧に説明することが、永住許可に向けた効果的な対応となります。具体的には、出入国記録の一覧表を作成し、いつ・どんな目的で・どれくらい海外にいたのかを整理しておく、そして勤務先等から「海外出張は業務上必要で、今後も日本に生活拠点を持ち続ける」といったことが客観的にわかる書類を取得する、こういった準備が有効です。
10年要件には、申請者の状況に応じて、在留期間を短縮できる8パターンの特例が用意されています。
| No. | 対象者 | 必要在留年数 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 婚姻3年+在留1年 | 実子等は在留1年 |
| 2 | 定住者 | 5年 | 継続在留 |
| 3 | 難民・補完的保護対象者 | 認定後5年 | 独立生計要件は不要 |
| 4 | 我が国への貢献者(外交・社会・経済・文化等) | 5年 | 貢献ガイドライン参照 |
| 5 | 地域再生計画区域内の貢献者(特定活動36号・37号) | 3年 | 継続在留 |
| 6 | 高度専門職70点以上 | 3年 | 申請日・3年前共に70点 |
| 7 | 高度専門職80点以上 | 1年 | 申請日・1年前共に80点 |
| 8 | 特別高度人材(特別高度人材省令該当者) | 1年 | J-Skip対応 |
最も使われるのが、(1)の配偶者特例、(2)の定住者特例、そして(6)(7)(8)の高度人材系の特例です。
配偶者特例は、日本人または永住者の配偶者の方が対象で、婚姻生活が3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在留していれば申請が可能です。お子さん、つまり日本人・永住者の実子等であれば、1年以上の日本在留で申請できます。
高度専門職70点以上の方は3年、80点以上または特別高度人材の方は1年の在留で永住申請が可能、と大幅な短縮特例があります。特に2023年4月から始まった「J-Skip」、つまり特別高度人材制度に該当する方は、年収・学歴・職歴の基準は厳しいですが、永住要件は格段に緩和されています。
国益適合要件の「イ」は、公的義務の履行です。これは「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」、そして「納税、公的年金、公的医療保険の保険料の納付、入管法に定める届出等の義務を適正に履行していること」を求めています。
ここで非常に重要なのが、ガイドラインに明示されている次の注意書きです。
ガイドラインの重要注意書き
「公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます」つまり、後から遡って一括納付しても、「期限内に払っていなかった」という事実そのものがマイナス評価になる、ということです。「気付いた時点で全部払えばOK」ではなく、「期限内に払っていたか」が決定的に重要、これがガイドラインで明文化されているのです。
もう一歩踏み込んで実務の現状をお伝えすると、確認対象期間中に一度でも支払いの遅滞があれば、現状ではほぼ不許可となっているのが実情です。ですので、過去に遅滞があった方は、すぐに申請するのではなく、確認対象期間中、支払い遅滞のないクリーンな実績を作ってから申請されることを強くおすすめします。たとえば直近5年が対象の方であれば、遅滞のあった月から5年を経過するまで待つ、ということです。
公的義務の確認対象期間も、申請者の属性によって変わります。
| 申請者の属性【地方税】 | 確認対象期間 |
| 日本人・永住者の実子(特別養子含む)/高度専門職80点以上 | 直近1年 |
| 日本人・永住者の配偶者/高度専門職70点以上/地域再生計画 | 直近3年 |
| 上記以外の外国人(一般の就労ビザ等からの申請) | 直近5年 |
| 申請者の属性【年金・保険】 | 確認対象期間 |
| 日本人・永住者の実子(特別養子含む)/高度専門職80点以上 | 直近1年 |
| 上記以外の外国人 | 直近2年 |
地方税については、一般の就労ビザからの申請であれば直近5年、高度専門職70点なら直近3年、80点以上なら直近1年が確認対象です。年金・健康保険料については、一般の方は直近2年、80点以上の方は直近1年が確認されます。
実務上きわめて重要|同居家族全員の公的義務履行が必要
永住許可の申請人ご本人だけでなく、同居されているご家族全員、日本人のご家族も含めて、全員が公的義務を適正に履行していることが必要、というのが実務上の運用です。ご本人は完璧に納付していても、奥様の国民健康保険料が滞納していると、これだけで不許可になり得ます。ご家族全員の状況を整えてからの申請が必須です。ここからが、本記事で最も知っていただきたい超重要ポイントです。
国益適合要件の「ウ」では、「現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること」が求められています。
簡単に言うと、例えば技術・人文知識・国際業務ビザであれば、在留期間は1年・3年・5年と3種類ありますが、その「最長」つまり5年で在留している必要がある、というのが原則です。
ところが現在、申請者にとって極めて重要な経過措置が設けられているのです。
2027年4月1日以降は、原則として5年の在留期間が必要になります
現行ガイドライン(2026年2月24日改訂)の注1により、
✱ 2027年3月31日までは、在留期間「3年」を有する方も、要件を満たすものとして永住申請が可能です。
✱ 2027年4月1日以降は、原則として在留期間「5年」が必要となります。
つまり、現在3年の在留期間で永住申請をお考えの方は、2027年3月31日までに申請を進めるか、あるいは先に5年に更新してから申請するかの戦略判断が必要です。
| 申請のタイミング | 在留期間「3年」での永住申請の可否 |
| 〜2027年3月31日 | ○ 3年の在留期間でも申請可能 |
| 2027年4月1日以降 | × 原則として5年の在留期間が必要 |
この経過措置の意味するところは、極めて重要です。
現在、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで、在留期間3年で永住許可申請を行う方が非常に多くいます。実際に弊社が扱う永住許可申請も、半数に近い方が在留期間3年で申請を行っています。
それが、2027年4月1日以降は、原則として5年の在留期間が必要になります。これからの数か月から1年で、永住申請のハードルがひとつ上がるとお考えください。
ですので、現在3年の在留期間をお持ちで永住申請を視野に入れている方は、2027年3月までに申請を進めるか、5年に更新してから申請するか、いまのうちに戦略を決めておくことを強くおすすめします。
国益適合要件の「エ」は、現在の在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること、です。これは多くの方が、現在の在留資格を適法に取得・更新できている時点で自然と満たしている要件ですので、通常は問題になりません。
最後の「オ」が、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと、です。一類感染症、二類感染症、指定感染症、新感染症の罹患者や、麻薬・大麻・あへん・覚せい剤等の慢性中毒者の方は該当します。こちらも、通常は問題になりません。
ここまで、永住許可の3つの要件を、ガイドラインに沿って詳しく見てきました。最後にもう一度、ポイントを整理します。
ひとつめが「素行善良要件」。法令違反や交通違反の繰り返し、資格外活動の超過がないことが必要です。
ふたつめが「独立生計要件」。独身で年収350万円以上、ご家族がいれば被扶養者1人につき+20万円程度の上乗せが必要です。確認対象期間は属性によって、直近1年・3年・5年と変わります。
3つめが「国益適合要件」。原則10年の在留、ただし8つの特例あり。公的義務は期限内納付が決定的に重要で、後から遡って払ってもマイナス評価になります。そして本記事で強調した、2027年4月1日以降は原則として5年の在留期間が必要になる、というのは、いま申請を検討中の方にとっては絶対に押さえておくべき重要ポイントです。
💡 専門家から一言
これら3つの要件は「形式的に満たしていればOK」というものではなく、書類の整合性、申請者ご自身の説明、過去の経緯との一貫性まで含めて総合的に判断されます。要件を満たしているはずなのに不許可になるケースは、ほとんどがこの「総合判断」のところでつまずいています。ご自身で判断が難しいケースは、ぜひ専門家にご相談されることをおすすめします。
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| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
|---|---|
| 2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
| 専門分野 | 外国人在留資格、帰化申請 外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応 |
| セミナー実績 | 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 |
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