永住申請お役立ちコラム

永住申請の審査期間はどのくらいなのか?
- 2022年06月16日


2026年7月、政府が外国人の永住許可の要件を大幅に厳格化する方針である、と報じられました。
新たに加わるのは「日本人世帯の平均を上回る年収」と「年金の受給見込み額が厚生年金に30年加入していた水準に達していること」の2つです。とりわけ後者は分かりにくく、誤解も広がっています。
最新の公的統計と当事務所の試算をもとに、現時点で分かっていることと、まだ分からないことを整理します。
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この記事で分かること |
まだ分かっていないこと |
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・永住許可に追加される2つの新基準の内容 ・「日本人世帯の平均を上回る年収」の具体的な金額 ・「厚生年金30年加入水準」の意味と試算額 ・いつから適用されるのか。審査中の案件への影響 ・年金が足りない場合に金融資産で補う考え方 |
・基準に使う統計・世帯区分が特定されていない ・年金額をどの時点・どの範囲で見るのかが未公表 ・金融資産で補う場合の必要額・対象範囲が未公表 ・配偶者の要件免除が維持されるかどうか
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本記事は、2026年7月24日〜25日の報道にもとづく解説です。方針・改定案の段階であり、出入国在留管理庁からガイドライン本文はまだ公表されていません。確定した基準ではないことにご留意ください。
本文中では、記述の確からしさを次の3つの表示で区別しています。
目次
入管法上、永住許可の要件は次の3つと定められています。
具体的な運用基準は、出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」で定められています。直近の改訂は2026年2月24日。そこからわずか数か月で、さらに踏み込むことになります。
【報道】 今回、新たに加わるとされているのが次の2つです。
① 日本人世帯の平均を上回る年収に、継続して達していること
② 年金の受給見込み額が、厚生年金に30年加入していた水準に達していること
あわせて、日本人・永住者の配偶者に認められている在留期間の特例も厳格化されるとされています(第8章)。
では、平均収入とは具体的にいくらなのか。現時点で参照できる最新の公的統計は、厚生労働省が2026年7月15日に公表した「2025年(令和7年)国民生活基礎調査」です。
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項目 |
最新値 |
意味 |
|---|---|---|
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1世帯当たり平均所得金額 |
575万2千円 |
全世帯の平均。個人の給与年収ではない |
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中央値 |
451万円 |
所得順に並べた真ん中の世帯 |
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平均所得金額以下の世帯 |
61.5% |
6割超の世帯が平均に届いていない |
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前年からの伸び |
+7.3% |
賃上げの影響。過去最高の伸び |
出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」2026年7月15日公表。所得は2024(令和6)年の1年間のもの。
ここで大事なのが、平均と中央値の差です。平均575万円に対して、中央値は451万円。その差は124万円あります。平均という数字は、一部の高所得世帯に引っ張られて高く出るためです。実際、平均所得以下の世帯は61.5%にのぼります。
つまり、日本人世帯の6割超が届いていない水準を、外国人の永住申請者に「原則」として求める、ということになります。
ただし、この数字がそのまま基準になると決まったわけではありません
ここは慎重にお伝えしたい部分です。理由は3つあります。
第一に、この統計は「所得」であって、個人の給与の額面年収ではありません。高齢者世帯も含む全世帯の数字で、給与所得だけでなく公的年金や事業所得なども含まれます。【未公表】 本人の年収を見るのか、配偶者を含む世帯所得を見るのかも、現時点では分かりません。
第二に、どの世帯区分を使うかで金額が大きく変わります。同じ調査の中でも、次のような開きがあります。
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世帯区分 |
1世帯当たり平均所得 |
全世帯との差 |
|---|---|---|
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全世帯 |
575万2千円 |
- |
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高齢者世帯以外の世帯 |
700万7千円 |
+125万5千円 |
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児童のいる世帯 |
857万3千円 |
+282万1千円 |
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高齢者世帯 |
336万1千円 |
△239万1千円 |
出典:同上
永住申請をされる方の多くは現役世代です。もし「高齢者世帯以外」や「児童のいる世帯」の平均が採用されれば、基準は700万円台、あるいは850万円台になります。どの区分を使うのかは、極めて大きな分かれ目です。
第三に、この数字は毎年動きます。今回は前年比7.3%増と過去最高の伸びでした。基準が統計に連動するのであれば、ハードルは毎年変わることになります。
これまでの実務感覚では、永住申請の年収は単身でおおむね300万円台が一つの目安、扶養家族がいればそこに上乗せ、という運用でした。それが575万円超、場合によっては700万円超が原則となると、基準が一段どころか二段、三段引き上がることになります。
もう一点。報道には「継続して達している」とあります。単年度でクリアすればよいのではなく、複数年にわたって維持していることが求められる書きぶりです。転職直後の方や、収入の変動が大きい方には厳しい要件になります。
ここが今回の本題です。「年金の受給見込み額が、厚生年金に30年加入していた水準に達していること」。これが具体的にいくらなのかを計算してみます。
前提として、ここで問われているのは加入年数そのものではなく、受け取る年金の額です。厚生年金の額は、加入期間だけでなく、その期間の給与によっても変わります。つまり「30年」は、比較の物差しとなる年金額をつくるための期間、と考えると分かりやすいと思います。
モデルとなる金額はいくらか
計算に使うのは、老齢厚生年金の「報酬比例部分」です。
老齢厚生年金とは、会社員や公務員が老後に受け取る年金のことです。全員が加入する国民年金(老齢基礎年金)に上乗せされる部分で、そのうち給与の額に応じて増えていくのが「報酬比例部分」です。
これは、ざっくり次の式で計算されます。
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平均標準報酬額 × 5.481 / 1000 × 加入月数 |
【試算】平均所得の575万2千円を報酬の基準として当てはめると、次のようになります。
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加入期間 |
年額 |
月額 |
達成率 |
|---|---|---|---|
|
30年(=モデルとなる水準) |
約95万円 |
約7.9万円 |
100% |
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10年(=永住申請ができる時点) |
約32万円 |
約2.6万円 |
約1/3 |
当事務所の概算試算です。政府の計算方法は公表されていません。
永住申請の大前提は「原則10年以上の在留」です。仮に10年間、日本の平均世帯所得の水準で会社員を続けたとしても、その10年分で計算した年金額はモデル水準の3分の1にしか届きません。
年収を上げれば、10年でも届くのか
「なら年収を上げればよい」と思われるかもしれません。しかし、それでも届きません。
理由は、厚生年金の計算には給与の上限があるからです。標準報酬月額の上限は、現在は月額65万円。どれだけ高い給与を受け取っても、年金の計算上はここで頭打ちになります。
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10年加入した場合 |
年額 |
約95万円に対して |
|---|---|---|
|
年収575万円 |
約32万円 |
届かない |
|
標準報酬月額の上限(月65万円)まで |
約43万円 |
届かない |
|
上限+賞与も上限まで加味 |
60万円台 |
届かない |
当事務所の概算試算です。
10年分の加入で計算する限り、どれだけ高い給与を受け取っていても、モデル水準には数字の上で届きません。加入期間の壁は、年収では埋められないということです。
まだ分からない点
正直に、未確定な部分も挙げておきます。
そのため、現段階で「年金が月額いくら以上必要」と数字を断定することはできません。
この年金基準について、2紙で書き方に違いがあります。
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媒体 |
年金要件の書きぶり |
読み取れること |
|---|---|---|
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読売新聞 |
厚生年金に30年加入していた水準に達していること |
年収の基準と年金の基準を並べて記載。 どの給与水準で計算するかは不明 |
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朝日新聞 |
この年収水準で30年加入していた場合に受給できる額に達していること |
計算の前提となる報酬水準まで具体的に記載 |
朝日の「この年収水準」とは、文章の流れからすると、直前にある「日本人世帯の平均を上回る年収水準」を指すと読むのが自然です。
仮に朝日の報道が正しければ、日本人世帯の平均を上回る年収——今の統計でいえば世帯年収575万円相当——を30年間維持した人と同じ水準の年金額が、比較の基準になるということになります。
ただし現時点では報道段階です。朝日の書き方が最終的な算定方法と完全に一致するかは、正式な資料で確認する必要があります。
適用時期についても、2紙で書き方に幅があります。
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項目 |
読売新聞 |
朝日新聞 |
|---|---|---|
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ガイドラインの改定日 |
記載なし |
2026年10月1日付 |
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年収(収入)の水準 |
2026年10月から適用 |
2026年4月以降の申請にも適用 |
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その他の要件 |
2027年4月から適用 |
2027年4月の申請分から適用 |
記事の表記は「10月1日」「今年4月」「来年4月」です。報道日(2026年7月24〜25日)から西暦に換算しています。
注目していただきたいのが、朝日新聞の書き方です。収入の水準については、2026年4月以降の申請にも適用する、と報じています。
これが正しければ、すでに入管に提出して審査中の案件にも、新しい年収基準が及ぶことになります。申請したときは基準を満たしていたはずなのに、審査の途中でハードルが上がる。そうした事態が起こり得るということです。
読売新聞には、この遡って適用するという記載がありません。【未公表】 読売の「年収要件は10月から」が、朝日の「10月1日付で改定」と同じことを指しているのかも、現時点では分かりません。
いずれにせよ、すでに申請中の方も「自分には関係ない」とは言えない状況です。正式発表を注視する必要があります。
では、年金が足りない方は永住を諦めるしかないのか。ここで効いてくるのが、報道にあるもう一つの一文です。
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不足する場合は補充できる金融資産を持つこと |
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ざっくり言えば、年金が少ない方でも、その足りない分に見合う蓄えがあれば認める、という考え方です。 |
では、どのくらいの蓄えが必要になるのか。順に見ていきます。
まず、モデル水準の年金は年約95万円。10年加入で計算した年金は年約32万円でした。差額は年間約63万円です。この63万円が、毎年足りない金額ということになります。
次に、この不足を老後の何年分について埋める必要があるのか。ここは公表されていないため、仮に65歳から90歳までの25年間としてみます。すると、63万円 × 25年で、約1,600万円という規模感になります。
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何を見るか |
計算 |
金額 |
|---|---|---|---|
|
① |
求められる年金額(モデル水準) |
年収575万円で30年加入 |
年 約95万円 |
|
② |
実際の年金額 |
同じ年収で10年加入 |
年 約32万円 |
|
③ |
毎年いくら足りないか |
① − ② |
年 約63万円 |
|
④ |
仮に65歳から90歳までの25年分を埋めるなら |
③ × 25年 |
約1,600万円 |
25年という年数は当事務所が仮に置いたものです。政府が何年分を見るかは公表されていません。当事務所の概算試算です。
ただし、肝心なところが全部これからです
いずれも公表されていません。したがって、現時点で「いくら貯金があればよい」と申し上げることはできません。
それでも確実に言えるのは、今後の永住申請では「預貯金や有価証券を、どう立証するか」が重要な論点の一つになるということです。名義、原資、どうやって貯めたのかまで説明できる状態にしておくことをおすすめします。
今回の年金基準が意味するのは、永住審査が、現在の生活の安定だけでなく、老後の経済的な自立まで確認する方向に変わる、ということです。
現在は十分な給与があっても、将来受け取る年金が少なければ、退職後に生活が不安定になる可能性があります。そこで、現在の年収と将来の年金見込み額の両方から、長期的に公共の負担にならず生活できるかを判断しようとしていると考えられます。
算定方法によっては、特に次のような方が影響を受ける可能性があります。
年金の話に注目が集まりますが、実務的にはこちらの影響も甚大です。
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項目 |
現行 |
改定後 |
|---|---|---|
|
婚姻期間 |
3年以上 |
5年以上 |
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在留期間 |
1年以上 |
3年以上 |
対象:日本人・永住者・特別永住者の配偶者。現行は出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)による。
婚姻期間で2年、在留期間で2年、それぞれ後ろにずれます。「そろそろ永住を」と考えていたご夫婦にとっては、計画が2年遅れることになります。
正式なガイドラインが公表され次第、あらためて続報を掲載します。
そのようには読めません。報道で問われているのは加入年数そのものではなく、受け取る年金の額です。「30年」は、比較の物差しとなる年金額をつくるための期間と考えるのが自然です。ただし、当事務所の試算では、10年分の加入で計算する限りモデル水準には届きません。
現時点では断定できません。報道は「日本人世帯の平均を上回る水準」としていますが、政府がどの統計のどの区分を使うかは公表されていません。最新の国民生活基礎調査でいえば、全世帯平均は575万2千円、高齢者世帯以外は700万7千円、児童のいる世帯は857万3千円と、区分によって大きく異なります。
影響する可能性があります。朝日新聞は、収入の水準について2026年4月以降の申請にも適用すると報じています。これが正しければ、審査中の案件にも新しい年収基準が及ぶことになります。読売新聞にこの記載はなく、確定した情報ではありません。正式発表を注視してください。
現時点ではお答えできません。報道では「不足する場合は補充できる金融資産を持つこと」とされていますが、老後の何年分を見るのか、預貯金以外に何が資産として認められるのか、配偶者の資産を合算できるのかは、いずれも公表されていないためです。
現行のガイドラインでは、日本人の配偶者等については素行要件と独立生計要件が免除されています。今回の改定でこの免除が維持されるかどうかは、報道からは読み取れません。免除が外れれば年収・年金の要件がかかることになるため、当事務所としても注目している点です。
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本記事は2026年7月25日時点の報道にもとづく解説です。出入国在留管理庁から改定後のガイドライン本文は公表されておらず、確定した基準ではありません。記事中の年金額および必要資産額の試算は、当事務所が公表されている計算式にもとづき概算したものであり、政府の算定方法を示すものではありません。個別の案件については、必ず専門家にご相談ください。 |
| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
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| 2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
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