外国人雇用の中でも注意が必要な「フィリピン人材の採用」――MWO・DMW手続きをご存じですか?
近年、日本でもフィリピン人材の採用が増えていますが、実はフィリピン人を正式に雇用するには、フィリピン政府所管の「MWO(フィリピン移住労働者事務所)」および「DMW(フィリピン移民労働者省)」による特別な手続きが必要です。
この制度を知らずに雇用を進めると、フィリピン側で「無認可雇用」と判断され、出国できない、OECが取得できない、トラブル時に保護が受けられないなどのリスクが生じます。
目次
MWO・DMW申請手続き サポート内容と報酬額
国際業務専門の行政書士が、現地送出し機関(PRA)との提携、MWO手続き、DMW手続きをトータルサポートし、フィリピン人材の受入れを確実に実現します。
専門家紹介
行政書士
英語通訳
サポート内容
- フィリピン人材の手続きに係る総合的なコンサルティング
- 現地送出し機関(PRA)のご紹介
- 必要書類のご案内
- MWO申請書類の作成及び申請サポート
※英語書類への翻訳は15枚までは報酬額に含んでおります。15枚を超える場合は、1ページあたり4,000円追加となります。 - DMW申請手続きのサポート
※提携の現地送出し機関を通して、手続きを行います。
報酬額
※英語翻訳を含む
※MWO申請を進めるには、必ず現地送出し機関との契約が必要です。日本語対応可能な提携先の送出し機関をお繋ぎしますので、安心して手続きを進められます。
DMW(旧 POEA)・MWO((旧 POLO)とは?
MWO(Migrant Workers Office)は、フィリピン政府のDMW(Department of Migrant Workers)の下部機関です。主な業務は、海外で働くフィリピン人労働者の保護と支援です。
DMW(旧 POEA)とは?
Department of Migration Workers
移民労働者省@マニラ
MWO((旧 POLO)とは?
Migrant Workers Office
フィリピン共和国大使館移住労働者事務所(東京、大阪)
DMWがフィリピン国内で移住労働者の保護や手続きを統括する一方で、MWOは海外においてフィリピン人労働者の権利保護や雇用主との調整を担います。
つまり海外で働くフィリピン人労働者の権利を保護し、雇用条件が適正であるかを確認するための手続きや支援を行う機関であり、フィリピン国籍者が日本で就労する場合には、日本国内にあるMWOの許可が必要です。
なぜDMWやMWOの手続きが必要なの?
フィリピンでMWOやDMWの手続きが必要な理由は、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)の数が多く、彼らの権利保護や国家経済への影響が極めて重要だからです。
以下に具体的な理由を挙げます。
1. 海外で働く人の多さとその影響
フィリピンでは、総人口の約10%に相当する1,000万人以上が海外で生活・就労しています。
海外労働者からの送金額は2022年時点で361億米ドルに達し、これはフィリピンGDPの約10%を占めるほど重要な経済的要素です。
多くのフィリピン人が海外で高収入を求めて働きたいと考えており、家族への送金や生活向上がその主な動機です。
2. フィリピン労働者の権利保護
一部の国や職場では、労働者が不衛生な環境や低賃金、さらには搾取的な状況に置かれるケースがあります。
MWO手続きは、雇用契約が適正であり、労働条件がフィリピン政府および受け入れ国の法律に準拠しているかを確認するために必要です。
3. 国家による監視と管理
フィリピン政府は、海外労働者の収入を把握し、その適正性を確認することで税収増加や経済安定化を図っています。
MWO手続きを通じて雇用主情報をDMWシステムに登録し、労働者が合法的に海外で働けるよう管理しています。
4. 手続きの統一と効率化
以前は複数機関が関与していた手続きをDMWとMWOに統合することで、労働者保護と手続き効率化を実現しました。
海外にいるフィリピン人材を採用する場合の流れ
①フィリピン政府公認の現地送出し機関(PRA)と契約
フィリピン人材を雇用する場合は、PRAを通して行う必要があります。
フィリピン送出し機関と受入れ企業で協定書を結びます。
②MWO(旧POLO)に申請
MWOの申請に必要な書類を作成・収集します。尚、書類はすべて英訳する必要があります。当社では、この英語での書類作成を全面的にサポートしています。
③MWOの審査
MWOの書類審査に係る日数は、10-15日営業日程度です。
書類審査を通過すると、受け入れ企業の代表者等が管轄エリアのMWOに出向き、英語での面接を受ける必要があります。通訳の同席は認められますが、行政書士や登録支援機関が同席したり、第三者が面接を受けたりすることはできません。
※尚、MWOによる面接は必ず行われるものではなく、書類審査の内容によっては面接が免除される場合もあります。
④DMWに労働者雇用登録
上記③で承認されるとMWOから受入れ企業に推薦状等の書類が届くので、それを現地送出し機関(PRA)に郵送します。PRAがフィリピン現地でDMWに当該推薦状等を提出し、労働者雇用登録を完了させます。
⑤PRAを通してフィリピン人材の紹介を受け、雇用する者を確定
DMWで労働者雇用登録が完了後、MWOに申請した求人票等を基に、フィリピンで求人活動を開始できるようになります。具体的には、PRAを通してフィリピン人材の紹介を受け、雇用する者を確定します。
⑥在留資格認定証明書(COE)交付申請(日本の入管) 日本側
雇用する者が確定したら、日本のビザ(在留資格)を取得のため、必要な書類を作成・収集の上、日本の入管に在留資格認定証明書交付申請を行います。審査期間は約1~3か月です。
⑦海外雇用証明書(OEC)の交付 フィリピン側
日本の入管で在留資格認定証明書が交付された後、通常は(フィリピン以外の国は)当該証明書を海外にいる当人に送付し、当人が現地の日本国大使館でビザの発給を受けて、日本に入国する流れとなります。
フィリピンでは、上記の日本側の手続きに加えて、DMWから海外雇用証明書(OEC)の交付を受ける必要があります。この海外雇用証明書(OEC)は、フィリピンから出国する際に、フィリピンの入管から提示が求められます。当然、当該証明書がなければフィリピンから出国することができません。
⑧日本へ入国
上記の手続きをすべて終えて、ようやく日本への入国となります。
日本国内在住のフィリピン人材を採用した場合、MWO手続きは必要か
結論としては、国内在住のフィリピン人材を採用した場合もMWO手続きは必要となります。
具体的な例としては、
-
- フィリピン人留学生を新卒採用し、就労の在留資格に切り替える場合
-
- 技術人文知識国際業務のフィリピン人材が転職してきた場合
-
- 技能実習(育成就労)、特定技能のフィリピン人材が転職してきた場合
-
- その他就労系の在留資格をフィリピン人材が転職してきた場合
尚、就労制限のない「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格をお持ちの方を採用した場合、MWO手続きは不要です。
一部の企業様で、日本国内にいるフィリピン人材を採用した場合に、MWO・DMWの手続きを行っていないケースが見受けられます。日本の入管での手続きを済ませていれば、日本の法令には適合しているため、問題ないと判断してしまっています。
これは誤りであり、日本に在留する方を受け入れる場合であっても、MWO・DMWの手続きは必要です。この手続きをしなかった場合、当該フィリピン人材が、何らかの理由で一時的にフィリピンに帰国をした際、フィリピンから日本に戻ってくることが出来なくなります。
日本国内在住のフィリピン人材を採用した場合も、必ずMWO・DMWの申請手続きを行いましょう。
よくあるご質問
尚、MWOによる面接は必ず行われるものではなく、書類審査の内容によっては面接が免除される場合もあります。

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
国際結婚&配偶者ビザサポートセンター https://touch.or.jp/marriage/
帰化申請サポートセンター https://visa-saitama.net/kika/
就労ビザサポートセンター https://touch.or.jp/work/
永住ビザサポートセンター https://touch.or.jp/eizyu/
ビザサポートセンター https://www.yuda-office.jp/