【2027年施行】監理支援機関とは?監理団体との違いや許可要件、申請時期を徹底解説!

育成就労制度の創設に伴い新設される「監理支援機関」について行政書士が解説。
従来の監理団体との違い、外部監査人の設置義務、許可要件の厳格化、申請スケジュールなど、最新の法改正情報を踏まえて分かりやすくまとめました。

はじめに:技能実習から「育成就労」へ

2024年(令和6年)6月、入管法および技能実習法等の改正法が公布され、従来の「技能実習制度」に代わり、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました。この新制度は2027年(令和9年)4月1日からの施行が予定されています。

この改革において、受入れ企業の皆様や、現在の監理団体様にとって最も大きな変化の一つが、「監理支援機関」の誕生です。

「名前が変わるだけ?」と思われている方もいるかもしれませんが、その役割や許可要件は従来の監理団体よりも厳格化され、より高い中立性と支援能力が求められることになります。

本記事では、育成就労制度の要となる「監理支援機関」について、現時点(202512月)で判明している最新情報をもとに解説します。

1. 監理支援機関とは?

監理支援機関とは、新設される在留資格「育成就労」において、受入れ機関(企業)と外国人の間の雇用関係の成立をあっせんしたり、育成就労が適正に実施されているかを監理・支援したりする機関のことです。

これまでの技能実習制度における「監理団体」の後継となる存在ですが、「人材育成」と「人材確保」を目的とする新制度において、その責任はより重大になります。

主な役割

育成就労計画の作成支援・指導:外国人材ごとの計画作成をサポートし、計画通りに育成が行われているか確認します。
• 監査・訪問:3ヶ月に1回以上の頻度での実地監査、および1年目など初期段階での毎月の確認・指導を行います。
転籍(転職)の支援:これが大きな変更点です。新制度では要件を満たせば「本人意向による転籍」が可能になるため、ハローワークや機構と連携して転籍支援を行う役割も担います。

2. 「監理団体」と「監理支援機関」の決定的な違い

最大の違いは「許可要件の厳格化」「中立性の確保」です。従来の監理団体がそのままスライドして移行できるわけではなく、新たに許可を受け直す必要があります

主な変更点は以下の通りです。

項目 従来の監理団体(技能実習) 新しい監理支援機関(育成就労)
外部監査人 任意(一般監理事業の場合は必須等の要件あり) 原則必須(要件化)
中立性 受入れ機関と役員の兼務等に一定の制限 より厳格化。密接な関係を有する者を業務に関与させてはならない
財産的基盤 債務超過でないこと等 債務超過がないこと(厳格に審査)
職員の体制 常勤職員等の配置 職員1人あたりの受入れ機関数・外国人数に上限設定

特に重要なポイントを詳しく見ていきましょう。

外部監査人の設置義務化

監理支援機関の許可を受けるためには、外部監査人を置くことが求められます。この外部監査人は、以下のいずれかの資格者等である必要があります。

• 弁護士
• 社会保険労務士
行政書士
• その他育成就労の知見を有する者

また、当然ながら監理支援機関と「密接な関係を有さない者」でなければなりません。これは、身内による甘い監査を防ぎ、制度の適正さを担保するためです。

職員配置の適正化

「名ばかりの支援」を防ぐため、業務に従事する職員数に対して担当できる上限が明確に定められます(一部代替要件あり)。

受入れ機関数: 職員1人あたり 8者未満
育成就労外国人数: 職員1人あたり 40人未満

また、監理支援事業を行う事業所ごとに、常勤の役職員2人以上の配置が必要です。

3. 申請時期はいつから?スケジュールを把握しよう

改正法の施行日は2027年(令和9年)41日と閣議決定されました。

これに向けたスケジュール(予定)は以下のようになっています。

~2025年度:基本方針、主務省令等の作成、分野別運用方針の議論
2026年(令和8年)頃:詳細な運用方針の決定
2026年(令和8年)中:事前申請の開始(監理支援機関の許可申請など)
2027年4月:施行・新制度スタート

現在、技能実習の監理団体として活動している団体様も、2026年中には「監理支援機関」としての新規許可申請を行う必要があります。要件が厳しくなっているため、早めの体制整備(財務体質の改善、外部監査人の選定、人員確保)が不可欠です。

4. 監理支援機関に求められる「新しい役割」

新制度では、単なる管理監督だけでなく、より積極的な支援が求められます。

本人意向の転籍(転職)への対応

育成就労制度では、同一の受入れ機関で就労した期間が1年~2年(分野ごとに設定)を超え、一定の技能・日本語レベル(A1A2相当等)があれば、外国人本人の意向による「転籍」が認められます。

監理支援機関は、転籍を希望する外国人に対して、ハローワークや「外国人育成就労機構」と連携し、転籍先のあっせんや相談対応を行う重要な役割を担います。

派遣形態の導入(農業・漁業分野)

農業や漁業など季節性のある分野においては、「労働者派遣等監理型育成就労」として、派遣形態での受入れが認められるようになります。

この場合、監理支援機関は派遣元・派遣先の監査を行う必要があり、複雑なスキームへの理解が求められます。

日本語能力向上の支援

育成就労制度では、「特定技能1号」水準の人材育成が目的であるため、日本語能力の要件が段階的に設定されています。

• 就労開始前:A1相当(N5等)
• 育成就労終了時:A2相当(N4等)

監理支援機関は、受入れ企業が適切な日本語学習機会を提供しているか、試験の受験をサポートしているか等を厳しくチェックする必要があります。

5. まとめと今後の対策

「育成就労制度」は、これまでの制度の反省を活かし、外国人を一時的な労働力ではなく、「育てるべき人材」として扱う制度です。その要となる監理支援機関には、高いコンプライアンス意識と支援能力が求められます。

既存の監理団体の皆様へ:

財務要件のクリア:債務超過の解消に向けた計画が必要です。
外部監査人の選定:中立的な立場の専門家(行政書士等)を探しておく必要があります。
人員体制の見直し:受入れ企業数・外国人数に応じた適正な人員配置が必要です。

制度の施行は2027年ですが、準備期間を含めると時間は多くありません。分野ごとの運用方針など、詳細なルールはこれから順次公表されていきます。

行政書士法人タッチでは、最新の法改正情報を常にキャッチアップし、監理支援機関の設立許可申請や、外部監査人としての就任、既存監理団体からの移行コンサルティングを行っております。

新制度への対応にご不安な受入れ企業様、組合様は、ぜひお早めにご相談ください。


次のステップ:

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