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特定技能の事業所要件(日本標準産業分類該当性)とは|対象分野と判定方法

calendar_month2022年05月12日
cached2026年10月15日

特定技能の「日本標準産業分類該当性(事業所要件)」とは、特定技能外国人が働く事業所が、日本標準産業分類に掲げる産業のうち分野ごとに定められたものに該当していなければならない、という要件です。現時点でこの要件が課されるのは「工業製品製造業」と「飲食料品製造業」の2分野で、会社単位ではなく、外国人が実際に働く事業所ごとに判定されます。技能実習にはなかった要件のため、「技能実習生を長年受け入れてきた事業所でも、産業分類が対象から外れていれば特定技能では受け入れられない」という事態が起きます。2027年4月からの育成就労制度でも同じ考え方が採られます。

本記事では、事業所要件の位置づけ、対象になる分野と産業分類、「事業所」の範囲の決め方、事業所の産業の決定方法、工業製品製造業と飲食料品製造業の判定基準の違い、技能実習との違いを、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 事業所要件が特定技能の審査でどう位置づけられているか
  • 対象になる2分野(工業製品製造業・飲食料品製造業)と、それぞれの産業分類
  • 「事業所」の範囲をどう決めるか(工場・事務所・現場・複数の経営主体)
  • 事業所の産業をどう決定するか(主要な経済活動の考え方)
  • 工業製品製造業(製造品出荷額等)と飲食料品製造業(「主として」)の判定基準の違い
  • 技能実習・育成就労との違いと、確認の手順

特定産業分野と事業所要件

在留資格「特定技能」の対象になる産業分野は、法令で定められた16の特定産業分野に限られます(2026年1月の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野の追加が決まり、受入れ開始後は19分野)。このうち、日本標準産業分類該当性(事業所要件)が問題になるのは、現時点で工業製品製造業(旧・素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業の製造3分野)と飲食料品製造業の2分野です。

他の分野にも「就労させる施設・事業所」に関する要件はあります(例:宿泊分野は旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けた施設、自動車整備分野は道路運送車両法の認証工場、外食業分野は飲食サービス業の事業所)。ただしこれらは業法上の許可・認証や事業の種類で判断するもので、日本標準産業分類の分類コードで判定する「事業所要件」とは区別されます。

日本標準産業分類該当性(事業所要件)とは

特定技能の審査では、①外国人の従事する活動が省令で定められた特定産業分野に属する業務か(特定産業分野該当性)、②外国人が従事する活動が特定技能基準省令の要件に適合する契約に基づくものか(契約適合性)が判断されます。工業製品製造業と飲食料品製造業では、この判断要素として、日本標準産業分類該当性(事業所要件)を満たしていることが求められます。

事業所要件とは、特定技能外国人を雇用する契約に基づいてその外国人が活動する事業所が、日本標準産業分類に掲げる産業のうち、分野ごとに告示で定められたものに該当していることをいいます。つまり、外国人に任せる作業が業務区分に当てはまっていても、その作業を行う事業所の産業分類が対象外であれば、受入れは認められません。

日本標準産業分類該当性(事業所要件)の対象

特定産業分野対象となる日本標準産業分類(主なもの)判定の基準
工業製品製造業1号76分類・2号46分類。鉄鋼・非鉄金属、金属製品、はん用・生産用・業務用機械器具、電子部品・電気機械・情報通信機械、自動車・航空機部品、プラスチック製品、繊維工業、パルプ・紙、印刷、ゴム製品、かばん、コンクリート製品、陶磁器、耐火物、電線・ケーブル、こん包業など(医療用機械器具・武器・消火器具は除外)その事業所で直近1年間に対象産業の製造品出荷額等が発生していること
飲食料品製造業食料品製造業(09)、清涼飲料製造業(101)、茶・コーヒー製造業(103)、製氷業(104)、菓子小売業・パン小売業・豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(製造小売に限る)、食料品スーパーマーケット等における総菜・弁当等の製造(2024年追加)など「主として」これらの産業を行っている事業所であること(事業所で行われる事業のうち飲食料品製造が主たるものであること)

工業製品製造業の分類コードの一覧と業務区分の考え方は特定技能「工業製品製造業」の受入れ対象を、飲食料品製造業は特定技能:飲食料品製造業分野で外国人を雇い入れるためにはをご覧ください。

事業所要件は事業主(会社)ではなく、事業所ごとの要件です。同じ会社でも、A工場は対象でB工場は対象外ということがあり、工業製品製造業では分野別機関(JAIM)への加入も事業所ごとに行います。「本社が製造業だから全拠点で受け入れられる」とは限りません。

「事業所」の範囲の決め方

日本標準産業分類における「事業所」とは、経済活動の場所的単位を指します。次の2つを満たす場所が1つの事業所です。

  1. 経済活動が単一の経営主体のもとで、一定の場所(一区画)を占めて行われていること
  2. 財・サービスの生産と供給が、人と設備を有して継続的に行われていること

工場・製作所、事務所・営業所、商店、飲食店、駅・病院・学校、農家などが事業所の例です。同一構内で行われる経済活動でも、経営主体が異なる場合は、経営主体ごとに別の事業所になります。一区画かどうかが一見して明らかでない場合は、売上台帳・賃金台帳などの経営諸帳簿が同一である範囲を一区画とし、そこを1つの事業所と捉えます。

事業所の画定が難しい場合の扱い

ケース扱い
日々従業者が異なり、賃金台帳が備えられていない派出所・詰所等場所が離れていても別の事業所とせず、それらを管理する事業所に含めて1つの事業所とする
農地・山林・海面で行われる農業・林業・漁業それらの活動を管理する事務所・営業所、または事業者の住所を事業所とする。店舗・工場等で農林漁業以外の活動を行っている場合は別の事業所
建設工事の現場現場は事業所とせず、現場を管理する事業所に含める。事業所を持たない個人事業主は住居
鉄道業など一構内に複数の機関(保線区・機関区等)がある場合機関ごとに1事業所。現場責任者がいない場所は責任者のいる機関に含める
一構内に複数の学校が併設されている場合学校の種類ごとに別の事業所。学校内で別の事業を営む場合はその事業も別の事業所
国・地方公共団体法令で別個の機関として定められている組織体はそれぞれ別の事業所。公営企業・収益事業は機関ごとに1事業所

事業所の分類に際しての産業の決定方法

事業所の産業は、その事業所で行われている経済活動が何かで決まります。経済活動とは、①生産・販売される財、②提供されるサービス(消費者向け・自社内向け・他事業所向け)を、産業分類の細分類(4桁)の項目で捉えたものです。本来の活動以外に一時的な要因で行うものは除きます。

  • 単一の分類項目に該当する活動のみを行っている事業所:その活動で産業が決まる
  • 複数の分類項目に該当する活動を行っている事業所:主要な経済活動(通常は売上高・出荷額などが最も大きいもの)で産業を決める
自社の事業所の産業分類を確認するには、①事業所の主製品・主な工程を書き出す、②総務省の日本標準産業分類(分類項目名・説明)で対応する細分類コードを当てる、③分野の告示に掲げる対象分類に含まれているかを確認する、の3ステップが実務的です。判断に迷う場合は、分野別機関(工業製品製造業はJAIM)や協議会への加入申請の際に確認を受けられます。

工業製品製造業と飲食料品製造業の事業所要件の違い

同じ事業所要件でも、2分野では判定の仕方が異なります。

項目工業製品製造業飲食料品製造業
告示の文言対象の産業を「行っている」事業所(「主として」の限定がない)「主として」対象の産業を行っている事業所
判定の基準その事業所で直近1年間に、対象産業の製造品出荷額等(製造品出荷額、客先支給材を加工して受け取る加工賃収入額などの合計)が発生していること事業所で行われている事業のうち、飲食料品製造が主たるものであること(複数の事業を行う場合は売上高等で主たる事業を判断)
1つの事業所が複数の分類に該当するかあり得る。対象の産業で出荷額等があれば、主たる産業が別でも該当し得る原則として1つの事業所に1つの産業分類。主たる事業が飲食料品製造でなければ該当しない
典型的な該当・非該当該当:客先支給の金属部品を加工する下請け工場(加工賃収入)/非該当:設立直後で出荷実績のない工場、医療機器のみを製造する工場該当:食品工場、スーパーのバックヤードで総菜を製造する事業所/非該当:小売が主で製造は一部にとどまる店舗、飲食店(外食業分野で判断)
工業製品製造業で「出荷額等が発生していること」が要件とされているため、新設の事業所は1年分の実績が出るまで受け入れられません。また、製造3分野から工業製品製造業への統合(2024年)と2026年の対象分類の拡大(49→76分類)により、旧記事の分類一覧は現在の告示と一致しません。最新の対象分類は経済産業省の公表資料で確認してください。

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技能実習・育成就労との違い

技能実習は「職種・作業」(何をするか)だけで判断され、事業所の産業分類は問われませんでした。そのため、産業分類が対象外の事業所でも技能実習生を受け入れることができました。特定技能では事業所要件が加わるため、本人が技能実習2号を良好に修了していても、その事業所の産業分類が対象外であれば特定技能には切り替えられません。

2027年4月から始まる育成就労制度でも、受入れ対象は「事業所の産業分類×業務区分」の考え方で判断されます。今技能実習を使えている事業所でも、産業分類から外れると育成就労は使えません。技能実習からの移行や育成就労の受入れを検討する際は、本人の職種の対応より先に、自社の事業所の産業分類を確認してください。制度の全体像は育成就労制度とはをご覧ください。

よくある質問

Q. 本社は製造業ですが、特定技能外国人を働かせる工場は別の産業分類です。受け入れられますか?

事業所要件は外国人が働く事業所ごとに判定されるため、その工場の産業分類が対象外であれば受け入れられません。

Q. 1つの工場で金属加工と食品製造の両方を行っています。どちらの分野になりますか?

工業製品製造業は対象産業の出荷額等があれば該当し得るため、金属加工部分で工業製品製造業の受入れが検討できます。飲食料品製造業は「主として」の要件があるため、食品製造が事業所の主たる事業でなければ該当しません。同じ事業所でも分野ごとに判定が異なるため、両分野で受け入れるには両方の要件を確認する必要があります。

Q. 構内請負で客先の工場に自社の社員を働かせています。どちらの事業所で判定しますか?

受入れ機関は請負会社自身なので、請負会社の事業所が対象の産業分類に該当し、その事業所で出荷額等(加工賃収入を含む)が発生していることが必要です。客先工場の産業分類では判定されません。あわせて偽装請負でないことも審査されます。

まとめ

  • 事業所要件は、特定技能外国人が働く事業所の日本標準産業分類が分野の告示に掲げる産業に該当していること。現時点の対象は工業製品製造業と飲食料品製造業
  • 会社ではなく事業所ごとに判定。事業所の範囲は経営主体と一区画(経営諸帳簿の同一性)で決める
  • 工業製品製造業は「対象産業の製造品出荷額等が直近1年に発生」、飲食料品製造業は「主として飲食料品製造を行う」で判定し、1事業所が複数分野に該当するかも異なる
  • 技能実習にはなかった要件で、育成就労でも同じ。技能実習生の切替えは産業分類の確認から始める

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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