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特定技能と育成就労の違い|技能実習との比較と企業の使い分け

calendar_month2021年11月27日
cached2026年10月09日

特定技能と育成就労は、どちらも外国人が日本の現場で働くための制度ですが、役割がはっきり分かれています。特定技能は「試験に合格した即戦力を受け入れる制度」、育成就労(2027年4月に技能実習に代わって始まる制度)は「未経験の人材を3年間で特定技能1号の水準まで育てる制度」です。制度上も「育成就労(3年)→特定技能1号(最長5年)→特定技能2号(上限なし)」という一本のキャリアパスとして設計されており、企業は「今すぐ戦力が欲しいか、3年かけて育てるか」で選ぶことになります。

本記事では、技能実習から育成就労への転換を踏まえ、特定技能・育成就労(技能実習)の概要と目的、3つの大きな違い、制度比較表、企業の使い分けと移行ルートを、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 技能実習・育成就労・特定技能それぞれの概要と目的
  • 3つの大きな違い(制度の目的、在留期間とキャリア、技能・日本語の要件)
  • 制度比較表(受入れの仕組み・転籍・転職・費用・人数枠・家族帯同など)
  • 企業がどちらを使うべきかの判断基準と、育成就労→特定技能の移行ルート
  • 技能実習生を受け入れている企業が2027年に向けて確認すべきこと

特定技能と育成就労(技能実習)の違いは?

いずれも制度が複雑で、それぞれ制度上の特徴があります。ここでは特定技能と育成就労(および廃止が決まった技能実習)の違いを比較し、外国人を雇用する企業がどちらの制度を利用するかの判断の参考にしていただければ幸いです。

技能実習・育成就労の概要と目的

技能実習:技能移転による国際協力(2027年3月で新規受入れ終了)

技能実習制度は、1960年代後半から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度を原型に、1993年に制度化されたものです。目的は、日本で培われた技能等を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う「人づくり」に寄与する国際協力の推進で、技能実習法には「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記されています。期間は最長5年で、技能実習計画に基づいて技能等の修得・習熟・熟達を図ります。しかし実態は人手不足を補う労働力として機能しており、目的と実態の乖離や転籍不可による人権上の問題から、2027年4月1日に廃止されます。施行日前に入国した技能実習生は、在留期限まで技能実習のまま活動でき、要件を満たせば2号・3号に移行して最大5年まで継続できます。

育成就労:人材育成・人材確保(2027年4月1日〜)

育成就労制度は、技能実習に代わって2027年4月1日に始まる制度で、目的を「国際貢献」から「人材育成・人材確保」に正面から転換しました。原則3年で特定技能1号の技能・日本語水準まで育成し、そのまま日本で就労を続けてもらうことを前提に設計されています。受入れ分野は特定技能の分野と原則一致し、監理支援機関を通じた受入れが中心です。詳細は育成就労制度とはをご覧ください。

特定技能の概要と目的

特定技能制度は、深刻化する日本国内の人手不足に対応するため、人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる仕組みです。2019年4月に始まり、現在は16分野(2026年1月の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野の追加が決定)が対象です。相当程度の知識・経験を要する「1号」(通算5年)と、熟練した技能を要する「2号」(在留期間の上限なし・家族帯同可)があります。制度の詳細は特定技能1号とは、特定技能2号とはをご覧ください。

特定技能・育成就労の3つの大きな違い

①制度の目的と人材像が違う

  • 特定技能:人手不足への対応。試験に合格した、または技能実習2号を修了した「即戦力」を受け入れる
  • 育成就労:人材育成・人材確保。未経験者を3年かけて特定技能1号の水準まで「育てる」。技能実習の「国際協力・帰国前提」からは転換

②在留期間とキャリアパスが違う

  • 特定技能:1号は通算5年(2号評価試験で8割以上得点した場合の6年特例あり)。2号に移行すれば期限なし。2号の在留は永住許可の「就労5年」要件に算入される
  • 育成就労:原則3年。修了後は特定技能1号に移行することが前提で、育成就労単独で長く在留する設計ではない
  • (技能実習):1〜3号合計で最長5年。帰国が前提

③技能・日本語の要件が違う

  • 特定技能:入国時に分野別の技能試験と日本語試験(N4相当)の合格が必要(技能実習2号の良好修了者は免除)
  • 育成就労:入国時に技能試験はなく、日本語はA1相当(N5相当)の合格または相当する講習の受講。3年後の修了時に技能検定3級相当等とA2相当(N4相当)を目指す
  • (技能実習):入国時の技能・日本語要件なし(介護職種のみN4相当)

特定技能と育成就労・技能実習の制度比較(概要)

項目技能実習(団体監理型)育成就労(2027年4月〜)特定技能1号
目的技能移転による国際協力人材育成・人材確保人手不足への対応(即戦力)
関係法令技能実習法・入管法育成就労法・入管法入管法
在留期間1号1年・2号2年・3号2年(最長5年)原則3年通算5年(6年特例あり)。2号は上限なし
入国時の要件なし(介護はN4)日本語A1相当(N5)の合格または講習技能試験+日本語試験(N4相当)。技能実習2号修了で免除
受入れ分野90職種超の移行対象職種育成就労産業分野(特定技能と原則一致)16分野(+追加予定3分野)
送出機関外国政府の推薦・認定を受けた機関二国間取決め(MOC)に基づく認定送出機関なし(直接採用可。送出し国側の手続きがある国あり)
監理・支援監理団体(許可制)監理支援機関(許可制・外部監査人の設置義務)受入れ企業または登録支援機関(登録制)による支援
マッチング監理団体と送出機関を通じて監理支援機関と認定送出機関を通じて受入れ企業が直接、または国内外の職業紹介事業者を通じて
受入れ人数枠常勤職員数に応じた枠(優良で2倍)常勤職員数の15%(優良30%、指定区域は最大45%)原則なし(介護・建設を除く)。分野ごとの受入れ見込数が上限
転籍・転職原則不可(やむを得ない場合、2号→3号時)分野ごとに1〜2年の制限期間後、要件を満たせば同一分野・業務区分内で可同一分野・業務区分内で可(在留資格変更許可が必要)
家族帯同不可不可原則不可(2号は可)
費用の特徴監理費、送出機関費用(本人負担が大きい国あり)監理支援費(公表義務)、送出し手数料の企業分担(本人負担は月給2か月分が上限)、転籍時の費用按分支援委託費、紹介料、分野別負担金(費用の相場)
その後2号良好修了で特定技能1号へ(試験免除)特定技能1号へ移行(制度の前提)2号へ移行(11分野・試験+実務経験)

企業はどちらを使うべきか:使い分けの判断基準

自社の状況向いている制度理由
今すぐ現場で動ける人材が欲しい特定技能試験合格者・技能実習修了者を直接採用でき、受入れまで2〜6か月
未経験者を自社のやり方で3年かけて育てたい育成就労育成計画に基づく受入れ。転籍制限期間(1〜2年)があり、定着しやすい
日本語教育・支援の体制が社内に薄い育成就労(監理支援機関に委託)/特定技能(登録支援機関に委託)どちらも外部機関に委託できるが、育成就労は日本語講習の機会確保が企業側の義務
班長・リーダーを長期に確保したい特定技能2号(1号から育成)在留期間の上限がなく家族帯同も可。育成就労は2号に直結しない
外食業など1号の新規受入れが停止している分野育成就労(2027年〜)育成就労の受入れ見込数は特定技能1号とは別枠で設定される
技能実習生を受け入れ中で2027年以降も継続したい現在の実習生は技能実習のまま継続→修了後に特定技能1号へ。新規は育成就労施行日前入国者は経過措置。監理団体は監理支援機関の許可を取り直す必要
特定技能と育成就労は「どちらか一方を選ぶ制度」ではなく「つながる制度」です。育成就労で3年育てた人材を特定技能1号で5年、2号で長期雇用する、という10年以上の設計で考えると、採用・教育・評価の投資判断がしやすくなります。入社時点から2号までのキャリアパスを示せる企業が、転籍制限期間を過ぎても選ばれる企業になります。

うちの現場は特定技能で即戦力を入れるべきか、育成就労で3年かけて育てるべきか

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育成就労→特定技能の移行ルートと、技能実習生を受け入れている企業の確認事項

  1. 育成就労(3年):日本語A1相当で入国。1年目に育成就労評価試験初級とA1相当、3年目に専門級等とA2相当を目指す。分野ごとに1〜2年の転籍制限期間
  2. 特定技能1号(最長5年):育成就労の修了(試験合格)で移行。支援は受入れ企業または登録支援機関
  3. 特定技能2号(上限なし):2号評価試験(または技能検定1級等)+分野ごとの実務経験で移行。家族帯同可、永住への道

現在技能実習生を受け入れている企業は、次の点を確認してください。

  • 施行日前に入国した実習生は技能実習のまま継続できる。修了後は特定技能1号へ試験免除で移行するのが一般的(特定技能外国人の採用ルート)
  • 2027年4月以降の新規受入れは育成就労。利用中の監理団体が監理支援機関の許可を取得する予定かを確認する(監理支援機関とは)
  • 工業製品製造業など事業所の産業分類が要件になる分野では、技能実習では問われなかった産業分類が育成就労・特定技能で問われる(特定技能の事業所要件とは)

よくある質問

Q. 2027年4月以降、技能実習生を新たに受け入れることはできますか?

原則できません。施行日直前に技能実習計画の認定申請をしていた場合などの経過措置を除き、新規受入れは育成就労になります。

Q. 育成就労の人材は、育成期間中に特定技能へ切り替えられますか?

育成就労は3年間の育成計画に基づく制度で、途中で特定技能1号の試験に合格した場合の移行は、計画の修了や分野の取扱いによります。基本は3年の修了後に特定技能1号へ移行する設計です。

Q. 特定技能と育成就労で、受入れ企業の要件は同じですか?

日本人と同等以上の報酬、法令遵守、欠格事由がないことなどの基本は共通です。育成就労は育成就労計画の認定と監理支援機関の利用(監理型)、特定技能は支援計画と分野別の協議会加入などが求められます。

まとめ

  • 特定技能は試験合格者・技能実習修了者を受け入れる即戦力の制度、育成就労は未経験者を3年で特定技能1号水準に育てる制度。技能実習は2027年3月で新規受入れ終了
  • 3つの違いは、目的と人材像、在留期間とキャリアパス、技能・日本語の要件
  • 育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→2号(上限なし)が一本のキャリアパス。企業は「今すぐ戦力か、3年育てるか」で入口を選ぶ
  • 技能実習生を受け入れている企業は、経過措置、監理団体の監理支援機関化、事業所の産業分類を確認する

技能実習の修了者を特定技能に切り替えつつ、新規は育成就労で受け入れたい

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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