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林業分野で特定技能外国人を受け入れるには|業務・試験・協議会の要件

calendar_month2026年01月14日
cached2026年10月05日

特定技能外国人の雇用を検討する際、または既に雇用している企業様にとって、最大の経営課題の一つが「支援業務をどうするか(誰がやるか)」という問題です。毎月のランニングコストがかかる「登録支援機関への委託」を続けるべきか、コスト削減とノウハウ蓄積を目指して「自社支援(企業単独型)」に切り替えるべきか。自社支援への切り替えは、過去2年以内の中長期在留者の受入れ実績(または相談業務経験者の選任)、指揮命令系統にない支援責任者・担当者、母国語対応体制などの要件を満たせば可能で、外国人10名なら年間数百万円の委託料をゼロにできます。一方、2027年4月1日からは支援体制要件が改正され、自社支援の企業にも事業所ごとの常勤配置、支援責任者等1人あたり50人未満の上限、養成講習が適用されます。

本記事では、特定技能制度に精通した行政書士法人タッチが、「登録支援機関への委託」と「自社支援(企業単独型)」の違い、コスト比較、切り替えの条件、2027年4月改正の影響、建設分野の注意点を、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 登録支援機関への委託と自社支援(企業単独型)の違い(比較表)
  • 義務付けられている10の支援項目と、自社でこなせるかの判断基準
  • 自社支援に切り替える3つのメリットとコスト試算
  • 自社支援で受け入れるための条件(実績・支援責任者の中立性・言語対応・法令遵守)
  • 2027年4月改正で自社支援にも適用される新要件
  • 切り替えの手続き(届出)と、建設分野の特例

1. 特定技能の「企業単独型」とは? 登録支援機関との違い

特定技能外国人を雇用する企業(特定技能所属機関)には、入管法に基づき、外国人の職業生活・日常生活・社会生活上の「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施する法的義務があります。この支援の実施方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。

①登録支援機関に委託する(外部委託型)

支援計画の実施の全部(または一部)を、国の登録を受けた「登録支援機関」に委託する方法です。委託先が登録支援機関に限られるのは「委託するなら登録支援機関へ」という意味であり、要件を満たした企業が自社で支援することを禁止するものではありません。専門的な手続きや多言語対応をアウトソーシングできるため社内リソースを割かずに済む一方、外国人1名あたり月額2万〜3.5万円程度の委託料がかかります。

②企業単独型で受け入れる(自社支援型)

支援計画の作成から実施までをすべて自社で行う方法です。要件さえ満たせば外部に委託する必要がなく、委託コストをゼロにできます(社内担当者の人件費や通訳ツール等の実費は必要)。

項目登録支援機関に委託自社支援(企業単独型)
外部費用1名あたり月額2万〜3.5万円程度0円(人件費・通訳費等は自社負担)
社内の体制窓口担当者がいればよい支援責任者・支援担当者の選任、母国語対応体制が必要
要件登録支援機関側が支援体制の要件を満たす自社が中長期在留者の受入れ実績等の要件を満たす
ノウハウ社内に蓄積しにくい社内に蓄積する
トラブル対応委託先経由でタイムラグが出やすい自社で即時対応できる
定期届出所属機関が提出し、登録支援機関の支援実施状況を取りまとめる所属機関がすべて作成・提出
2027年4月以降委託先の登録支援機関が常勤配置・受託数上限等の新要件を満たす必要自社に常勤配置・50人未満の上限・養成講習が適用

「登録支援機関への委託」と「企業単独型」の割合は?

制度開始当初は、ノウハウ不足や手続きの煩雑さを懸念し、約8割以上の企業が「登録支援機関への委託」を選択していました。一方、「企業単独型(自社支援)」での実施は約2割以下にとどまっています。しかし近年は、受入れ人数が増えて委託料負担が年間数百万円規模になった、外国人が社内に定着して外部の手を借りる必要性が薄れた、2027年の育成就労制度を見据えて社内に育成ノウハウを貯めたい、といった理由から、途中で自社支援に切り替える企業が増えています。

具体的に何をする? 義務付けられている「10の支援項目」

自社支援に切り替えると、次の10項目を自社の支援責任者・支援担当者が実施することになります。これらを自社でこなせるかが、切り替えの判断基準です。

番号支援項目自社で行う場合のポイント
①事前ガイダンス雇用契約締結後、入国前(変更前)に労働条件・活動内容・保証金の禁止等を本人が理解できる言語で説明。3時間程度が目安
②出入国時の送迎空港と事業所(または住居)の間の送迎
③住居確保・生活契約支援社宅の提供や賃貸契約の保証人対応、銀行口座・携帯電話・ライフラインの契約補助
④生活オリエンテーション日本のルール・マナー、交通機関、災害時の対応など。8時間以上が目安
⑤公的手続きへの同行住民登録、納税、社会保険の手続きへの同行・補助
⑥日本語学習の機会提供日本語教室の案内、教材の情報提供
⑦相談・苦情への対応職場・生活上の相談に本人が理解できる言語で対応。通訳業者や翻訳ツールの活用も可
⑧日本人との交流促進地域の行事・自治会への参加サポート
⑨転職支援(会社都合の場合)人員整理等で解雇する場合、次の就職先を探す手伝い(情報提供・推薦状・求職のための有給)
⑩定期的な面談・行政機関への通報3か月に1回以上、支援責任者等が本人および監督者と面談し記録を残す。法令違反を把握したら関係機関へ通報。面談の実施状況は年1回の定期届出(毎年4月1日〜5月31日)で報告

これらを「社内の総務担当者」と「通訳スタッフ(または翻訳ツール)」で対応できるのであれば、自社支援への切り替えは十分に可能です。届出の全体像は特定技能所属機関・登録支援機関の届出|誰が・いつ・何を出すかの一覧をご覧ください。

登録支援機関から「企業単独型」に切り替える3つのメリット

メリット1:年間数百万円規模のコスト削減

最も大きなメリットはコストです。特定技能外国人10名を雇用し、委託料が月額3万円/名の場合、登録支援機関への委託は月額30万円×12か月=年間360万円。自社支援なら外部委託費は0円です。年間360万円の削減は中小企業にとって大きなインパクトで、浮いた資金を外国人の賃金アップや日本人社員への語学手当に充てることで、会社全体の満足度と定着率を向上させることができます。

メリット2:社内ノウハウの蓄積と組織力強化

外部に丸投げしていると、社内に「外国人材マネジメント」のノウハウが蓄積されません。自社で支援を行うことで社員が異文化理解を深め、トラブル対応力も身につきます。将来的に外国人リーダー(特定技能2号等)を育成する際や、2027年の育成就労制度で3年間の育成を担う際の貴重な資産になります。

メリット3:トラブルへの迅速対応と信頼関係の構築

「夜中に熱が出た」「アパートの水漏れ」などの生活トラブルに対し、外部機関を経由すると対応にタイムラグが生じがちです。自社社員が即座に対応することで、外国人従業員からの信頼は格段に上がります。この信頼関係こそが、失踪や離職を防ぐ最強の対策となります。

企業単独型(自社支援)で受け入れるための条件

「コストを削減したい」という理由だけで自社支援は認められません。入管法で定められた「支援体制の基準」を満たす必要があります。

条件内容
中長期在留者の適正な受入れ実績過去2年以内に、中長期在留者(就労ビザを持つ外国人等)を適正に受け入れた実績があること。または、同等の支援業務経験(過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事)のある役職員が支援責任者・支援担当者として在籍していること
支援責任者・支援担当者の選任と中立性支援責任者と支援担当者(兼務可)を選任する。重要なのは、支援担当者が外国人の直属の上司や現場監督など指揮命令系統の上位にないこと(相談の中立性を保つため)
言語対応体制の確保外国人が十分理解できる言語(母国語等)で支援できる体制。社内に通訳スタッフを常駐させる必要はなく、通訳業者との契約や翻訳ツールの活用でも認められる
記録の作成・保管支援の実施状況に関する文書を作成し、雇用契約終了後1年以上保管する
法令遵守・欠格事由なし過去5年以内に労働法令・入管法令違反がないこと、支援の実施費用を外国人に負担させないこと、受入れ機関の一般要件を満たすこと

2027年4月改正で自社支援に追加される要件

2027年4月1日施行の省令改正(令和7年法務省令第45号)により、支援体制の要件が次のとおり厳格化され、自社支援の企業にも適用されます。

  • 事業所ごとの常勤配置:支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者・支援担当者(兼務可)を各1人以上選任する。本社の担当者が全拠点を遠隔で担当する体制は不可
  • 従事者の限定:支援業務に従事できるのは支援責任者・支援担当者のみ。通訳等は履行補助の範囲に限る
  • 支援責任者の養成講習:入管法・労働関係法令等の養成講習の受講が義務(施行後当分の間は未修了でも可)
  • 支援対象人数の上限:支援責任者等1人あたり49人まで。50人以上を雇用する場合は2人以上必要
  • 一部委託の限定:支援の一部を外注する場合も、委託先は登録支援機関に限られる

改正内容と準備の手順は特定技能の支援体制要件|2027年4月改正で登録支援機関がすべき対応をご覧ください。複数の工場・店舗で受け入れている企業は、拠点ごとに常勤の担当者を置けるかが自社支援への切り替え可否の分かれ目になります。

自社支援に切り替えたら、年間いくら浮いて、2027年4月以降は拠点ごとに何人の常勤が必要になるか

受入れ人数・拠点数・現在の委託料をお伝えいただければ、
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切り替えの手続き

  1. 要件の確認:受入れ実績または相談業務経験者の有無、指揮命令系統にない担当者の候補、言語対応の方法を確認
  2. 支援責任者・支援担当者の選任:就任承諾書・誓約書・履歴書を整える
  3. 支援計画の変更:自社支援の内容で1号特定技能外国人支援計画を作り直す
  4. 登録支援機関との委託契約の終了:契約の解約時期を調整し、支援の引継ぎ(相談履歴・面談記録)を受ける
  5. 入管への随時届出:「支援計画の変更」(参考様式第3-2号)と「支援委託契約の終了」(参考様式第3-3-2号)を事由発生から14日以内に提出
  6. 運用開始:定期面談・記録の作成を開始し、翌年度の定期届出に備える
切り替え時期は、登録支援機関との契約更新のタイミングと、年1回の定期届出(4月1日〜5月31日)の対象期間を意識すると整理しやすくなります。期間の途中で切り替えた場合、定期届出では委託期間と自社支援期間を分けて取りまとめます。

【建設分野の特例】JACとFITS、CCUSへの対応

「建設分野」で特定技能外国人を受け入れる場合、分野独自の上乗せ基準があるため、自社支援でも次の対応が必須です。

  • 建設技能人材機構(JAC)への加入:JAC(またはその正会員団体)に加入し、行動規範を遵守する。賛助会員は年会費24万円、受入負担金は1人あたり月額12,500円
  • 国際建設技能振興機構(FITS)の受入れ:適正就労監理機関(FITS)による巡回指導や調査に協力する
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録:受入れ企業と特定技能外国人本人のCCUS登録
  • 月給制と昇給:日本人と同等額以上の報酬を月給制で安定的に支払い、技能の習熟に応じた昇給を行う

建設分野では自社支援でもJACの会費や受入負担金などのコストが発生しますが、登録支援機関への委託料と比較すれば大幅なコストダウンが見込めるケースが多くあります。詳細は建設業の特定技能1号受入れ完全ガイドをご覧ください。

2027年「育成就労」を見据えた戦略的選択

2027年4月1日に技能実習制度が廃止され、「育成就労制度」が始まります。新制度は「特定技能1号水準の人材育成」を目的とするため、受入れ企業にはこれまで以上に質の高い育成・支援能力が求められます。育成就労では監理支援機関を通じた受入れが基本ですが、受入れ企業自身が日本語教育の機会確保や生活支援に関与する場面は増えます。今から自社支援に切り替え、社内に支援ノウハウを蓄積しておくことは、新制度へのスムーズな移行だけでなく、転籍制限期間が過ぎても外国人材に「選ばれる企業」になるための重要な投資です。制度の全体像は育成就労制度とはをご覧ください。

よくある質問

Q. 外国人を初めて雇う会社でも自社支援はできますか?

過去2年以内の中長期在留者の受入れ実績がなく、相談業務経験者もいない場合は要件を満たせないため、初回は登録支援機関に委託し、実績を積んでから切り替えるのが一般的です。

Q. 支援担当者を現場の班長にしてもよいですか?

外国人の直属の上司や指揮命令を行う立場の人は支援担当者になれません。総務・人事など現場の指揮命令系統外の人を選任してください。

Q. 一部だけ自社で行い、通訳だけ外部に頼むことはできますか?

通訳人の同行など履行補助の範囲なら可能です。支援業務そのものの一部を外注する場合、2027年4月以降は委託先が登録支援機関に限られます。

Q. 行政書士に支援を委託できますか?

行政書士が登録支援機関として登録していれば委託できます。登録していない行政書士に委託することはできません。なお、申請書類・届出書の作成は自社支援でも行政書士に依頼できます(特定技能の入管申請は誰がする?)。

まとめ

  • 自社支援(企業単独型)は、受入れ実績または相談業務経験者、指揮命令系統外の支援責任者・担当者、母国語対応体制が揃えば可能。委託料をゼロにし、ノウハウを蓄積できる
  • 10の支援項目を総務担当者+通訳(ツール)でこなせるかが判断基準
  • 2027年4月からは自社支援にも事業所ごとの常勤配置・49人の上限・養成講習が適用。拠点ごとに担当者を置けるかを先に確認
  • 切り替えは支援計画変更と委託契約終了の随時届出(14日以内)で完了する

行政書士法人タッチでは、受入れ人数が増えてきた企業様に向けて、自社支援の適性診断(要件・コスト試算)、支援内製化サポート(切り替え手続き・社内マニュアル・担当者教育)、自社支援を行いながら書類作成や法改正対応のみを行政書士が担う顧問サービスを提供しています。

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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