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特定技能の入管申請は誰がする?登録支援機関と行政書士の役割【2026】

calendar_month2026年10月05日
cached2026年10月06日

特定技能の入管申請(在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請・更新許可申請)は、書類を「作成する人」と、入管に「提出する人(申請取次者)」を分けて考える必要があります。提出は、受入れ企業の職員・登録支援機関の職員・行政書士・弁護士のうち、入管の承認または届出を受けた者が行えます。一方、報酬を得て申請書類を作成できるのは行政書士・弁護士に限られ、2026年1月1日施行の改正行政書士法で「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得た書類作成が明確に禁止されました。登録支援機関が支援委託料の一環として申請書類を作成する従来の運用は、違法となるリスクが高まっています。

本記事では、特定技能で入管に提出する申請・届出の種類、「作成」「取次」「代理」の違い、申請取次者になれる人と手続き、2026年の行政書士法改正の内容、登録支援機関と行政書士の役割分担、受入れ企業が選べる体制と契約上の注意点を、現時点の情報で解説します。

この記事で分かること
  • 特定技能で入管に提出する申請・届出の一覧と、誰が作成・提出できるか
  • 「書類作成」「申請取次」「代理」の法律上の違い
  • 申請取次者になれる人(受入れ企業・登録支援機関・行政書士)と承認・届出の手続き
  • 2026年1月施行の改正行政書士法で禁止された行為と罰則
  • 登録支援機関ができること・できないこと、行政書士の役割
  • 受入れ企業が選べる3つの申請体制と、契約・費用で確認すべきこと

特定技能で入管に提出する申請・届出の一覧

特定技能の受入れでは、採用時の在留資格の申請だけでなく、受入れ後の届出も継続して発生します。いずれも「官公署に提出する書類」です。

申請・届出 提出のタイミング 主な添付書類
在留資格認定証明書交付申請(COE) 海外在住者を採用するとき 特定技能雇用契約書、1号特定技能外国人支援計画書、受入れ企業の概要書、技能・日本語試験の合格証等
在留資格変更許可申請 国内在住者(技能実習生・留学生等)を切り替えるとき 同上+本人の在留状況に関する書類
在留期間更新許可申請 在留期限(1年・6か月・4か月)ごと 雇用契約の継続を示す書類、支援の実施状況、納税・社会保険の状況等
随時届出 雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、支援委託契約の締結・変更・終了、受入れ困難の発生等から14日以内 届出書(事由ごとの様式)
定期届出 年1回(毎年4月1日〜5月31日) 受入れ状況、支援実施状況、活動状況に関する届出書
登録支援機関の届出 登録事項の変更、支援業務の休止・廃止等 登録支援機関自身が提出
所属機関が提出義務を負う随時届出・定期届出は、登録支援機関が所属機関に代わって提出することはできません。在留諸申請の「申請取次」とは異なり、届出の代行は入管法上認められていないため、支援委託契約の有無にかかわらず所属機関自身(または行政書士)が行います。定期届出は2026年4月提出分から年1回に統合され、電子届出は所属機関のアカウントで提出します。届出の全体像は特定技能所属機関・登録支援機関の届出|誰が・いつ・何を出すかの一覧をご覧ください。

「書類作成」「申請取次」「代理」は別物

「申請は誰がするのか」という問いが混乱しやすいのは、1つの申請に3つの行為が含まれているからです。

行為 内容 根拠法 報酬を得て行える者
書類作成 申請書・理由書・支援計画書・届出書などを作る。オンライン申請システムへの入力も含む 行政書士法第1条の2・第19条 行政書士・弁護士のみ(本人・受入れ企業自身が自分の書類を作るのは自由)
申請取次 作成済みの書類を本人に代わって入管に提出する。本人の出頭が免除される 入管法施行規則(申請等取次制度) 承認を受けた受入れ企業・登録支援機関・公益法人の職員、届出済みの行政書士・弁護士
代理 本人に代わって申請行為そのものを行う(COE交付申請の受入れ企業職員、法定代理人) 入管法施行規則 法定代理人、COE交付申請における受入れ企業の職員等

ポイントは、申請取次は入管法上の制度であり、行政書士法の規制対象ではないことです。登録支援機関の職員が、受入れ企業や行政書士が作成した書類を入管に提出する行為は、改正後も適法です。問題になるのは「報酬を得て書類を作成する」部分だけです。

申請取次者になれる人と手続き

在留諸申請は本人が入管に出頭するのが原則ですが、申請等取次制度により、地方出入国在留管理局長が適当と認める者が本人に代わって申請を提出できます。

取次者 取次ぎできる外国人の範囲 必要な手続き
受入れ企業の職員 自社で雇用している、または雇用しようとしている外国人とその家族 地方出入国在留管理局長の承認(申請等取次者証明書、有効期間3年)。承認要件として、入管協会等が実施する「出入国在留管理行政に関する研修会」の受講が必要
登録支援機関の職員 支援を委託されている1号特定技能外国人 同上の承認。オンライン申請を行う場合は、受入れ企業(法人単位)からオンライン申請の代行依頼を受けていることが必要
行政書士・弁護士 依頼を受けたすべての外国人 地方出入国在留管理局長への届出(届出済証明書)。行政書士は所属する行政書士会の研修修了が前提
公益法人の職員 外国人の円滑な受入れを目的とする公益法人が受け入れる外国人 地方出入国在留管理局長の承認
受入れ企業の職員は、在留資格認定証明書交付申請については取次者ではなく「代理人」として申請します。登録支援機関の職員は代理人にはなれないため、COE交付申請も取次者として提出します。承認手続きの詳細は就労ビザの申請方法|在留資格変更と認定証明書の流れ・期間・手数料もあわせてご覧ください。

2026年1月の行政書士法改正で何が変わったか

2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、業務制限規定(第19条)に「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」官公署に提出する書類を作成することを禁じる文言が追加されました。改正の背景には、登録支援機関や人材紹介会社などの無資格者が、「コンサルティング料」「支援パック料金」といった名目で実質的に書類作成を代行して報酬を得る運用が常態化していたことがあります。

項目 改正前 2026年1月1日以降
報酬を得た書類作成の禁止 禁止されていたが、「支援委託料に含まれる」「無償で作成」といったグレーゾーンが存在 「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て作成することを明文で禁止。包括的な支援委託料の中に書類作成が含まれる形も違法とされる可能性が高い
罰則 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。両罰規定により、職員個人だけでなく法人にも100万円以下の罰金
依頼した企業側 明確な規定なし 違法な書類作成を依頼した受入れ企業も、両罰規定や不法就労助長との関係でリスクを負う
登録支援機関が報酬を得て作成できない書類の例
  • 在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書
  • 1号特定技能外国人支援計画書、雇用条件書、理由書・説明書
  • 随時届出・定期届出の届出書(受入れ企業が提出義務を負うもの)
  • 在留申請オンラインシステムへの入力代行
「無償で作成し、別途支援委託料を受け取る」という形も、名目を問わず報酬を得ているとみなされます。

登録支援機関ができること・できないこと

登録支援機関の本来の役割は、1号特定技能外国人に対する職業生活・日常生活・社会生活上の支援です。入管申請との関係では、次のように整理されます。

できること できないこと(報酬を得て行う場合)
  • 受入れ企業や行政書士が作成した申請書類を、承認を受けた職員が入管に提出する(申請取次)
  • オンライン申請システムで、作成済みの書類を提出する(受入れ企業からの代行依頼が前提)
  • 申請に必要な情報(本人の経歴、住居、支援の実施状況など)を収集し、受入れ企業や行政書士に提供する
  • 支援計画に基づく10項目の義務的支援(事前ガイダンス、定期面談、相談対応等)の実施
  • 支援の実施状況を受入れ企業に報告する
  • 登録支援機関自身が提出義務を負う届出(登録事項変更・休止廃止・再開、特異事案報告)の作成・提出
  • 定期届出のうち、自らの支援実施状況を記載する別紙1と署名欄の別紙2を作成し、委託元の所属機関に提供する(定期届出本体の作成・提出は所属機関)
  • 申請書・理由書・支援計画書など、受入れ企業や本人が提出する書類の作成
  • 受入れ企業の随時届出・定期届出の作成、および所属機関に代わっての提出(提出の代行は報酬の有無にかかわらず不可)
  • オンライン申請システムへの入力代行(作成に当たる)
  • 申請の可否や書類の記載内容に関する有償のコンサルティング
  • 「申請サポート料」「書類チェック料」など名目を変えた報酬の受領

登録支援機関の業務の全体像は登録支援機関の業務とはで解説しています。なお、2027年4月の省令改正で支援業務に従事できる者は支援責任者・支援担当者に限定され、登録支援機関の役割はより「支援」に純化されます。詳細は特定技能の支援体制要件|2027年4月改正で登録支援機関がすべき対応をご覧ください。

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行政書士の役割:作成・取次・相談を一貫して担う

行政書士(および弁護士)は、報酬を得て申請書類を作成できる唯一の専門職であり、届出済みの申請取次行政書士であれば提出まで一貫して行えます。特定技能の申請における行政書士の役割は次のとおりです。

  • 要件の事前確認:本人の技能・日本語試験の合格状況、受入れ企業の基準適合性(報酬、法令遵守、欠格事由、協議会加入)、支援体制の適否を確認し、不許可リスクを事前に潰す
  • 書類作成:申請書、特定技能雇用契約書・雇用条件書、支援計画書、受入れ企業の概要書、理由書・説明書を作成。分野別の協議会加入証明や誓約書も整える
  • 申請取次:入管への提出、追加資料の対応、審査状況の確認。オンライン申請にも対応
  • 受入れ後の届出:所属機関の随時届出(14日以内)・定期届出(年1回)の作成と提出。登録支援機関が代行できない領域のため、自社で対応できない企業は行政書士に依頼する。更新申請の管理
  • 制度変更への対応:2026年4月の技人国ガイドライン改訂、2026年10月の手数料改定、2027年4月の支援体制要件改正・育成就労制度開始など、頻繁な制度変更を踏まえた助言
行政書士法人タッチは申請取次行政書士として、特定技能の認定・変更・更新申請、届出、登録支援機関の登録申請・変更届出まで対応しています。登録支援機関と連携する場合は、支援業務は登録支援機関、書類作成と申請は当事務所という分業で、受入れ企業の契約を適法な形に整えます。

受入れ企業が選べる3つの申請体制

改正行政書士法のもとで、受入れ企業が適法に選べる体制は次の3つです。

体制 書類作成 提出(取次) 向いている企業
①自社完結 受入れ企業の職員が自社の書類として作成 承認を受けた自社職員が取次ぎ、またはオンライン申請 受入れ人数が多く、人事部門に専任担当を置ける企業
②行政書士に一括依頼 行政書士が作成 申請取次行政書士が提出 初めての受入れ、不許可リスクを下げたい企業、更新・届出の管理も任せたい企業
③登録支援機関+行政書士の分業 行政書士が作成(登録支援機関は情報収集まで) 登録支援機関の職員または行政書士が提出 すでに登録支援機関に支援を委託しており、支援と申請を分けて適法化したい企業
「登録支援機関が書類を作り、登録支援機関が提出する」体制は、支援委託料に書類作成の対価が含まれる限り、2026年1月以降は違法リスクがあります。③の分業に移すか、②に切り替えてください。

契約・費用で確認すべきこと

  1. 支援委託契約書の業務範囲:「申請書類の作成」「申請サポート」「届出書の作成」といった文言が含まれていないか。含まれている場合は、支援業務のみに限定する契約に改める
  2. 費用の内訳:月額の支援委託料に書類作成の対価が実質的に含まれていないか。書類作成は行政書士との直接契約で、別建ての報酬にする
  3. 情報収集と作成の線引き:登録支援機関が本人や企業から情報を集めて行政書士に渡すのは適法。登録支援機関が申請書のドラフトを作って行政書士が「確認印を押す」だけの形は、実質的な作成者が登録支援機関とみなされるリスクがある
  4. オンライン申請の代行依頼:登録支援機関にオンライン申請の提出を任せる場合は、受入れ企業(法人単位)から代行依頼の誓約書を出す必要がある
  5. 届出の作成者:随時届出・定期届出は受入れ企業の提出義務。自社で作成するか、行政書士に依頼する。登録支援機関に作成を頼まない

特定技能の受入れにかかる費用の全体像は特定技能外国人を雇用するにはいくらかかるの?をご覧ください。なお、2026年10月1日以降に受け付けられる変更・更新申請の手数料は、許可される在留期間に応じた段階制(1年なら窓口33,000円・オンライン27,000円)に改定されています。

よくある質問

Q. 受入れ企業の職員が自社で書類を作るのは問題ありませんか?

問題ありません。行政書士法が禁じているのは「他人の依頼を受けて報酬を得て」作成することです。自社が提出する書類を自社の職員が作るのは自由で、取次者の承認を受ければ提出も自社で行えます。

Q. 登録支援機関が無償で書類を作ってくれると言っています。大丈夫ですか?

支援委託料など何らかの対価を受け取っている以上、「無償」とは認められない可能性が高く、改正法の「いかなる名目によるかを問わず」に該当するリスクがあります。依頼した企業側も両罰規定の対象になり得るため、行政書士に直接依頼してください。

Q. 登録支援機関が申請取次者として入管に提出するのは違法ですか?

違法ではありません。申請取次は入管法上の制度で、承認を受けた登録支援機関の職員は、支援対象の外国人について適法に提出できます。

Q. 登録支援機関に定期届出・随時届出の提出まで任せられますか?

任せられません。所属機関の届出は登録支援機関が代わって提出することができないと入管庁が明示しています。登録支援機関が関与できるのは、定期届出の別紙1(支援実施状況)・別紙2(署名欄)を作成して所属機関に渡すところまでです。

Q. 行政書士に依頼した場合、本人や企業の担当者は入管に行く必要がありますか?

申請取次行政書士が提出するため、原則として出頭は不要です。入管が直接確認したい事項がある場合に限り、出頭を求められることがあります。

Q. 2027年4月の改正で、登録支援機関と行政書士の役割は変わりますか?

書類作成と取次の整理は変わりません。2027年4月からは支援業務に従事できる者が支援責任者・支援担当者に限定され、登録支援機関の受託数・支援人数に上限が設けられるため、登録支援機関は支援に集中し、申請は行政書士または受入れ企業が担う分業がより明確になります。

まとめ

  • 特定技能の入管申請は「書類作成」と「提出(申請取次)」に分けて考える
  • 提出は、承認を受けた受入れ企業・登録支援機関の職員、届出済みの行政書士・弁護士が行える
  • 報酬を得て書類を作成できるのは行政書士・弁護士のみ。2026年1月の改正行政書士法で「いかなる名目によるかを問わず」禁止が明文化され、法人にも罰金
  • 登録支援機関は支援と情報収集・取次に徹し、書類作成は行政書士へ。受入れ企業は支援委託契約の業務範囲と費用内訳を確認
  • 自社で作成・提出する体制も適法。人数や体制に応じて3つの体制から選ぶ

登録支援機関と行政書士、どちらに何を頼めばいいか整理したい

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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