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特定技能の支援体制要件|2027年4月改正で登録支援機関がすべき対応

calendar_month2026年10月05日
cached2026年10月06日

2027年4月1日、特定技能1号外国人への支援体制に関する要件が改正されます(令和7年法務省令第45号)。支援責任者・支援担当者を事業所ごとに常勤で配置すること、支援業務に従事できる者をこの2者に限定すること、支援責任者に養成講習の受講を義務付けること、登録支援機関では支援責任者等1人あたり受託10機関未満・支援対象50人未満とすることが柱です。登録支援機関にとっては人員体制の作り直しが必要になり、受入れ企業にとっても委託先の体制確認が必須になります。

本記事では、現行の支援体制要件のおさらいから、2027年4月改正の内容、人員数の計算方法、登録支援機関と受入れ企業それぞれが今から準備すべきことまでを、出入国在留管理庁の公表資料に基づいて現時点で解説します。

この記事で分かること
  • 現行の支援体制要件(支援責任者・支援担当者、10項目の義務的支援)
  • 2027年4月改正の5つのポイントと、委託先の限定・再委託禁止
  • 受託機関数・支援対象人数から必要な支援責任者等の人数を計算する方法
  • 登録支援機関が今から進めるべき対応(人員・契約・講習・公表)
  • 自社支援の受入れ企業と、登録支援機関に委託している受入れ企業が確認すべきこと
  • 要件を満たせない場合の選択肢

現行の支援体制要件のおさらい

特定技能1号外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、職業生活・日常生活・社会生活上の支援を行う義務を負い、その体制が整っていることが受入れの前提です。支援は自社で行うか、登録支援機関に委託します。

支援責任者と支援担当者

支援を行う機関は、支援責任者と支援担当者を選任する必要があります。支援責任者は支援業務全体の統括と届出等の責任を負い、支援担当者は外国人への実際の支援(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談など)を行います。現行制度では、支援責任者は法人全体で1名いれば足り、常勤である必要もなく、講習の受講義務もありません。支援担当者についても人数や担当できる外国人数の上限は設けられていません。

10項目の義務的支援

番号 支援項目 内容
① 事前ガイダンス 雇用契約締結後、入国前または在留資格変更前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の禁止等を本人が理解できる言語で説明
② 出入国する際の送迎 入国時の空港から住居等への送迎、帰国時の空港への送迎
③ 住居確保・生活に必要な契約支援 住居の確保(連帯保証人等)、銀行口座開設、携帯電話・ライフラインの契約手続の補助
④ 生活オリエンテーション 日本のルール・マナー、公共機関の利用方法、災害時の対応等の説明(8時間以上が目安)
⑤ 公的手続等への同行 住居地届出、社会保障・税の手続への同行、書類作成の補助
⑥ 日本語学習の機会の提供 日本語教室の案内、教材の情報提供等
⑦ 相談・苦情への対応 職場や生活上の相談・苦情を本人が理解できる言語で受け付け、助言・指導
⑧ 日本人との交流促進 地域の行事等の案内、参加の補助
⑨ 転職支援(受入れ側の都合による解雇時) 次の受入れ先の情報提供、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与等
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 支援責任者等が3か月に1回以上、本人および監督者と面談。法令違反を把握したときは関係機関へ通報

登録支援機関の登録要件や支援の内容は登録支援機関になるための条件とはで詳しく解説しています。

2027年4月改正の5つのポイント

出入国在留管理庁が公表した「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」は次の5つです。

項目 現行 2027年4月1日以降
①人員の配置 法人全体で支援責任者・支援担当者を選任。常勤でなくても可 支援を行う事業所(登録支援機関は支援業務を行う事務所)ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者・支援担当者を各1人以上選任(兼務可)
②従事者の限定 明確な限定なし 支援業務に従事できる者を支援責任者・支援担当者に限定
③養成講習 受講義務なし 支援責任者に、入管法・労働関係法令等の養成講習の受講を義務付け
④受託機関数の上限 制限なし 登録支援機関が委託を受けられる特定技能所属機関は、支援責任者等1人あたり10機関未満
⑤支援対象人数の上限 制限なし 支援責任者等1人あたり支援できる1号特定技能外国人は50人未満

①事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者を配置

これまで法人全体で1名の支援責任者を置き、各地の事業所の外国人をまとめて担当する運用が可能でしたが、改正後は支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者と支援担当者をそれぞれ1人以上選任しなければなりません。支援責任者が支援担当者を兼務することは認められています。登録支援機関の場合は「支援業務を行う事務所」ごとの配置になるため、複数の拠点で支援を行っている機関は、拠点ごとに常勤の人員が必要になります。

②支援業務に従事できる者を限定

改正後は、支援業務に従事できるのは選任された支援責任者と支援担当者に限られます。これまで事務職員や外部の通訳者が支援の一部を担っていたケースでは、その整理が必要です。通訳人の同行のように履行を補助する範囲は従来どおり許容されると解されていますが、「支援業務そのもの」と「履行補助」の線引きは微妙で、契約書の文言を含めた点検が欠かせません。

③支援責任者への養成講習の義務付け

支援責任者は、入管法や労働関係法令等を内容とする養成講習の受講が義務付けられます。ただし、2027年4月1日の施行時点で直ちに修了していなければならないわけではなく、入管庁は当分の間、講習を修了していなくても差し支えない旨を示しています。講習の実施機関・日程は今後の告示等で順次案内されるため、公表され次第、早めに受講枠を確保してください。

④登録支援機関の受託機関数は支援責任者等1人あたり10機関未満

登録支援機関が支援業務の委託を受けられる特定技能所属機関(受入れ企業)の数は、支援責任者等1人あたり10機関未満、つまり最大9機関です。入管庁の例示では、25機関から委託を受ける場合は3人の支援責任者等が必要とされています。

⑤支援対象人数は支援責任者等1人あたり50人未満

支援責任者等1人が支援できる1号特定技能外国人は50人未満、つまり最大49人です。入管庁の例示では、120人を支援する場合は3人の支援責任者等が必要とされています。この上限は登録支援機関だけでなく、自社支援を行う受入れ企業にも適用されます。

必要な支援責任者等の人数の早見表

登録支援機関では④と⑤の両方を満たす必要があるため、受託機関数と支援対象人数のそれぞれから必要人数を計算し、多い方が必要人数になります。

支援責任者等の人数 受託できる機関数(登録支援機関) 支援できる外国人数
1人 9機関まで 49人まで
2人 19機関まで 99人まで
3人 29機関まで 149人まで
5人 49機関まで 249人まで
10人 99機関まで 499人まで
例:30機関から委託を受け、支援対象が80人の登録支援機関の場合、機関数からは4人、人数からは2人が必要なので、4人の支援責任者等(常勤)が必要です。しかも事務所ごとの配置義務があるため、2拠点で支援しているなら各拠点に最低1人ずつ置いたうえで合計4人以上にする必要があります。

委託先の限定と再委託の禁止

5つのポイントに加え、省令改正では支援業務の委託に関するルールも見直されています。

  • 一部委託も登録支援機関に限定:現行では支援計画の全部を委託する場合は登録支援機関に限られる一方、一部の委託先には限定がなく、人材紹介会社や通訳・翻訳会社に支援の一部を外注している受入れ企業もありました。改正後は一部委託の委託先も登録支援機関に限られます
  • 登録支援機関による一部支援が可能に:登録支援機関の定義が「支援計画の全部又は一部の実施の業務を行おうとする者」に改められ、登録支援機関が支援の一部のみを受託する形態が明確に認められます
  • 再委託の禁止:登録支援機関が受託した支援業務を他の機関や外部業者に再委託することはできません
現在、登録支援機関ではない事業者に支援の一部(通訳、面談、生活オリエンテーション等)を外注している受入れ企業は、2027年4月までに委託先を見直す必要があります。委託先が登録支援機関であるか、委託している内容が「支援業務そのもの」か「履行補助」か、契約書で確認してください。

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登録支援機関がすべき対応:2027年4月までのチェックリスト

登録支援機関は現在、全国で1万件を超えて登録されていますが、実質的に支援業務を行っていない機関も多く、入管庁はこれを課題視してきました。今回の改正は「実際に支援できる体制を持つ機関だけが残る」方向の見直しです。次の順で準備を進めてください。

  1. 受託機関数・支援対象人数・拠点数の棚卸し:現在の受託契約と支援対象者を事務所ごとに整理し、改正後に必要な支援責任者等の人数を算出する
  2. 常勤人員の確保:必要人数分の常勤の役員または職員を、支援業務を行う事務所ごとに配置する。非常勤や業務委託の支援担当者は常勤へ切り替えるか、支援業務から外す
  3. 支援責任者の養成講習の受講計画:講習の実施案内が出たら速やかに受講枠を確保する。「当分の間」の猶予に頼らず、2027年中の修了を目標にする
  4. 支援従事者の限定への対応:支援責任者・支援担当者以外が支援業務に関与している運用(事務職員による面談、外部通訳への実質的な委任など)を整理し、通訳等は履行補助の範囲に収める
  5. 再委託の解消:他の支援機関や外部業者に支援業務を再委託している場合は、自社の支援責任者等で実施する体制に切り替える
  6. 受託契約の見直し:人員上限を超える受託分は契約の整理(他の登録支援機関への引継ぎ、受入れ企業の自社支援への移行支援)を2027年3月までに完了させる
  7. 受入れ企業への説明:委託元の受入れ企業に対し、改正後の自社の体制(事務所ごとの支援責任者等の氏名・人数)を説明し、継続可否を早めに共有する
  8. 登録事項の変更届出:支援責任者・支援担当者の変更は登録事項の変更に当たるため、選任が決まり次第、期限内に届け出る

スケジュールの目安

時期 やること
2026年10〜12月 棚卸しと必要人員の算出、採用・常勤化の計画、再委託先・外注先の整理方針の決定
2027年1〜3月 常勤人員の配置完了、受託契約の整理、受入れ企業への説明、登録事項変更届出の準備
2027年4月1日 改正省令の施行。事業所ごとの常勤配置、従事者限定、上限が適用
2027年4月以降 支援責任者の養成講習を順次受講。登録更新時には新要件での審査

受入れ企業がすべき対応

自社支援を行っている企業

自社で支援を行っている受入れ企業にも、①事業所ごとの常勤配置、②従事者の限定、③支援責任者の養成講習、⑤1人あたり50人未満の上限が適用されます。複数の工場・店舗で特定技能外国人を雇用している企業は、支援を行う事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者(兼務可)を置く必要があるため、本社の人事担当者1人が全拠点をまとめて担当する体制は認められなくなります。

登録支援機関に委託している企業

委託先の登録支援機関が改正後の要件を満たせなければ、支援計画が適正に実施されていないとして、自社の受入れ要件にも影響します。次の点を委託先に確認してください。

  • 自社を担当する支援責任者・支援担当者は常勤か、どの事務所に所属しているか
  • その担当者が受け持つ受入れ機関数と外国人数は上限内か
  • 支援業務の一部を再委託していないか
  • 支援責任者の養成講習の受講予定はあるか
受入れ企業側の基準全般は特定技能の受入企業の条件、支援計画の基準は特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準をご覧ください。

要件を満たせない場合の選択肢

人員上限と常勤配置の義務により、少人数で多数の受入れ企業を受託してきた登録支援機関ほど影響が大きくなります。要件を満たせない場合の現実的な選択肢は次の3つです。

  1. 受託規模の縮小:上限内に収まるよう受託契約を整理し、超過分は他の登録支援機関に引き継ぐ
  2. 人員増強・拠点集約:常勤の支援責任者等を採用する、または支援業務を行う事務所を1か所に集約して配置義務を軽くする
  3. 登録支援機関からの撤退:支援業務から撤退し、人材紹介や通訳・翻訳など登録を要しない事業に集中する。その場合、委託元の受入れ企業が自社支援または他機関への委託に移行できるよう、十分な期間をもって通知する

2027年4月から始まる育成就労制度では、監理支援機関にも外部監査人の設置や職員数の基準が設けられます。特定技能の登録支援機関と育成就労の監理支援機関の両方を担う団体は、両制度の人員基準を同時に満たす必要があります。監理支援機関の要件は監理支援機関とは?育成就労の許可要件・役割・申請スケジュールをご覧ください。

よくある質問

Q. 支援責任者と支援担当者は同じ人でよいですか?

兼務できます。ただし常勤であること、事業所ごとに1人以上いることが必要です。

Q. 支援責任者の養成講習は、2027年4月1日までに修了していないと登録が取り消されますか?

入管庁は、施行後も当分の間は講習を修了していなくても差し支えないとしています。ただし義務であることに変わりはないため、講習の案内が出たら早めに受講してください。

Q. 「10機関未満」「50人未満」は、ちょうど10機関・50人でも超過ですか?

超過です。1人あたり最大9機関・49人です。

Q. 通訳会社に面談の通訳を頼むのは支援業務の委託になりますか?

支援責任者等が行う面談に通訳人が同行して訳すだけであれば履行補助と解されますが、通訳会社が面談そのものを実施している場合は支援業務の委託に当たり、改正後は登録支援機関以外には委託できません。契約内容と実態を確認してください。

Q. 1号特定技能外国人が2号に移行したら、人数のカウントから外れますか?

支援義務は1号特定技能外国人に対するものなので、2号へ移行した人は支援対象人数には含まれません。

まとめ

  • 2027年4月1日から、支援責任者・支援担当者は事業所ごとに常勤で配置。支援業務に従事できるのはこの2者のみ
  • 登録支援機関は支援責任者等1人あたり受託9機関・支援対象49人まで。自社支援の企業にも49人の上限が適用
  • 支援責任者には養成講習が義務化(当分の間は猶予)
  • 支援の一部委託も登録支援機関に限定され、再委託は禁止
  • 登録支援機関は受託数・人数・拠点の棚卸しと常勤人員の確保を2027年3月までに。受入れ企業は委託先の体制を確認

登録支援機関として2027年4月以降も続けるか、体制を整えてから決めたい

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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