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技人国の実態調査が本格化|第2次入管基本計画の要点を解説

calendar_month2026年09月29日
cached2026年10月08日

結論:技人国の「現場業務」は実態調査の対象になる

2026年7月、法務省が「第2次出入国在留管理基本計画」を公表しました。技人国(技術・人文知識・国際業務)で外国人を雇用している企業に関係するポイントは3つです。

  • 入管は、技人国の外国人が専門性を要しない現場業務に従事している事案を「対応が必要な不適切な事案」と明記した
  • 書類審査に加え、事業所に対する実態調査など直接的な情報収集を強化する
  • 受入れ機関(雇用企業)に対し、本来の活動に従事させることを確保する措置を講じる

これに、2027年4月1日施行の不法就労助長罪の厳罰化が重なります。技人国の社員に現場作業をさせている企業は、実態調査が来る前に業務内容の棚卸しと是正が必要です。

本記事の内容を動画でも解説しています

本記事の内容は、行政書士法人タッチ代表の湯田が動画でも詳しく解説しています。文字よりも動画で学びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。

第2次出入国在留管理基本計画とは

出入国在留管理基本計画は、入管法第61条の9に基づき法務大臣が定める計画で、今後およそ5年間の入管行政の方針を示す文書です。概ね5年ごとに策定され、2019年4月の第1次計画から7年ぶりの改定となります。

法律や省令ではないため、計画自体が企業に義務を課すものではありません。ただし、入管の審査運用や法改正は、こうした計画で事前に方針が示されてから動きます。今後の運用変更の予告として読むべき文書です。

基本計画が名指しした技人国の「現状の課題」

計画は「外国人の適正な在留管理の実現」の章で、現状の課題として次のように記載しています。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を有する者が、当該在留資格の活動内容に該当しない、専門的な技術や知識を要しない現場業務等に従事するといった事案も確認されており、こうした不適切な事案への対応が必要となっている。 出典:法務省「第2次出入国在留管理基本計画」(PDF)本文p.21

同時に、正確な実態把握は容易でなく、必要な仕組みが十分に整備されていないことも課題と述べています。入管は「把握しきれていないので、把握できる仕組みを作る」と宣言した形です。技人国の基本要件は「技人国の3つの絶対条件」で整理しています。

今後の方針:事業所への実態調査と受入れ機関への措置

今後の方針(本文p.22〜23)で、技人国に関係する記載は次の3点です。

項目計画の記載
実態調査事業所に対する実態調査といった直接的な情報収集手段の強化
受入れ機関への措置所属している者の活動の把握や責任・指導の在り方も含め、受入れ機関において外国人が本来行うべき活動に従事することを確保する方策に関し、必要な措置を講じる
審査運用従事可能な業務範囲に係る案内の充実を含めた在留審査等の運用改善。違法行為を行った者への在留審査の厳格化。必要なら法令上の措置も検討

注目すべきは「受入れ機関において」という書き方です。これまで技人国の活動内容は本人の申請審査で見るものでしたが、この記載は、入管が企業側に社員の活動を把握・指導する責任を求め、それを確保する措置を講じると言っています。実態調査や運用改善は、本人だけでなく企業を対象に動くと読むべきです。

実態調査で現場従事が判明した場合のリスク

対象リスク
外国人本人次回更新の不許可、在留資格の取消し(入管法第22条の4)
企業資格外活動をさせたとして不法就労助長罪(入管法第73条の2)の対象。法人にも罰金(同第76条の2)

不法就労助長罪は2027年4月1日から厳罰化

2024年6月成立の改正入管法(令和6年法律第60号)により、不法就労助長罪の法定刑が引き上げられます。施行日は2027年4月1日(令和7年政令第340号)で、育成就労制度の開始と同日です。

改正前改正後(2027年4月1日〜)
法定刑3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)
法人両罰規定により罰金同左

不法就労と知らなかった場合でも、過失があれば処罰を免れません(第73条の2第2項)。在留カードの確認や、在留資格と業務内容の照合を行っていない状態は「過失なし」とは言えません。技人国の社員に現場作業をさせているケースは、資格外活動としてこれに該当し得ます。

自社の技人国社員の業務が在留資格の範囲内か判断がつかない場合は、企業向け無料相談をご利用ください。

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技人国を受け入れる企業が行うべき是正6ステップ

是正は全員一斉ではなく、一人ひとり個別に、更新期限から逆算して進めます。以下は製造業を例にした流れです。

STEP内容
1業務内容の棚卸し
2是正要否の評価(3区分)
3対応方針の個別検討
4特定技能の受入体制整備
5申請準備
6在留資格変更申請

STEP1 業務内容の棚卸し

調査シートに技人国社員一人ひとりの基本情報・学歴・日本語能力・就労実態・申請履歴(全24項目)を入力し、乖離を数値化します。

  • 業務内訳は1週間の勤務時間を100%として、通訳翻訳・管理業務・事務・現業作業の割合を実態どおりに記入する。現業の割合を少なめに書くと、対応方針を誤る
  • 派遣で受け入れている技人国も対象に含める。派遣元と共同で、誓約書・管理台帳の整備とセットで進める

STEP2 是正要否の評価

区分対応
問題なし現状維持。職務内容書・記録を整備し、説明できる状態にする
グレー業務配分の調整で是正できるか検討
要是正STEP3へ。在留資格の変更等を個別に検討

全員を疑うのではなく、全件を振り分けて確認が必要な案件だけ深掘りする進め方が、現場負担を抑えます。

STEP3 対応方針の個別検討

学歴・日本語能力・家族構成・キャリア希望によって最適解は一人ずつ異なります。製造業の場合の4つの選択肢は次のとおりです。

選択肢主な要件・前提向いているケース
① 技人国の維持業務を資格の範囲内(生産管理・品質保証・設計・通訳翻訳等)に再設計し、職務内容書・記録を整備企画・管理系の適性がある、現業比重の調整で足りる
② 特定技能1号分野別の1号評価試験+日本語試験(N4等)に合格。技能実習2号良好修了者は免除。家族帯同不可ライン・現場業務が中心
③ 特定技能2号1号を経由せず直接変更可。2号評価試験+実務経験等。更新上限なし・家族帯同可班長・ライン長層、家族滞在の家族がいる
④ 特定活動46号日本の大学卒(学士)または高度専門士+N1等。現場作業を含む幅広い業務が可能要件を満たす学歴がある(専門士のみは対象外)

※ 特定技能2号は現行では日本語試験不要ですが、基本計画で「2号に日本語要件を追加する」旨が明記されており、今後変更されます。

STEP4 特定技能の受入体制整備

A:自社支援B:登録支援機関へ委託
内容義務的支援10項目を自社で実施支援業務を外部委託(相場:1名あたり月2〜3万円程度)
ポイント過去2年間の中長期在留者の受入れ・管理実績+支援担当者の選任が要件。技人国を雇用してきた企業は満たせることが多く、人数が多いほどコストメリットが大きい委託しても入管への届出義務は企業に残る

共通事項として、分野別協議会への加入が必要です(製造業はJAIM)。なお、製造業の特定技能に派遣は認められないため、派遣で受け入れている技人国を特定技能へ是正する場合は直接雇用への転換が必須です。建設業での考え方は「建設業の技人国厳格化と特定技能」を参照してください。

2027年4月からは支援の委託先が登録支援機関に限定され、登録要件も厳格化されます(基本計画p.23)。体制の型は2027年4月までに決めておく必要があります。自社支援への切り替えも選択肢です。

STEP5・6 申請準備と在留資格変更申請

  • 評価試験・日本語試験の受験計画と受験支援
  • 雇用条件書・支援計画書ほか申請書類一式の作成、協議会入会手続
  • 地方出入国在留管理局へ変更申請。審査の目安は2〜3か月、追加資料要求への対応も想定
  • 試験合格者から順次申請する。全員一斉でなくてよい

逆算スケジュール

棚卸し・評価・個別検討に約3か月、申請準備・審査に約3か月。在留期限の6か月前が着手ラインです。2027年4月(不法就労助長罪厳罰化・育成就労制度施行)を「整備済み」で迎えるなら、着手は2026年中になります。

留意点として、是正のための変更申請は、同時期の新規採用(留学生の技人国への変更など)の審査に影響し得ます。申請の順序とタイミングの設計が必要です。

まとめ

  • 第2次出入国在留管理基本計画は、技人国の現場業務従事を「不適切な事案」と名指しし、事業所への実態調査と受入れ機関への措置を打ち出した
  • 2027年4月1日から不法就労助長罪は5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に。過失でも免責されない
  • 是正は「棚卸し→評価→個別検討→体制整備→申請」を一人ずつ、更新期限から逆算して進める

行政書士法人タッチは、相談件数1万件超・支援先177社の実績を持つ国際業務専門の行政書士法人です。技人国社員の業務内容の一次診断から、特定技能への切替え、支援体制の整備まで対応しています。自社の状況を確認したい場合は、企業向け無料相談からご連絡ください。

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監修:行政書士法人タッチ 代表社員 湯田一輝(行政書士)。国際業務専門。相談件数1万件超、支援先177社。

出典

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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