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育成就労制度とは?技能実習廃止の真実と企業が備えるべき「転籍・コスト・移行」の全貌
- 2025年12月19日
外国人雇用サポートセンターEmployment of Foreigners
行政書士法人タッチ


2027年(令和9年)より、現在の「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。
慢性的な人手不足が深刻な課題となっている介護業界において、外国人介護スタッフの力はもはや不可欠です。しかし、「制度が変わると受入れのハードルが高くなるのでは?」「うちの施設は『育成就労』と『特定技能』、どちらの制度で受け入れるべきなのか?」「育てた人材がすぐ他施設に転籍(転職)してしまうのでは?」と不安や疑問を抱える事業者様も多いのではないでしょうか。
特に介護分野においては、厚生労働省から他分野よりも厳しい独自の「固有要件(日本語能力A2.2相当の要件化や、独自の評価試験、日本人常勤職員数による受入れ上限など)」が示されています。
この記事では、外国人材のビザ申請や労務管理に強い「行政書士法人タッチ」が、厚労省の最新の分野別運用方針等に基づき、介護分野における育成就労・特定技能の受入れ条件、特有のルール、費用、そして施設側が最も警戒する「転籍ルール」までを徹底解説します。
目次
これまでの「技能実習制度」は、日本の技術を開発途上国へ移転する「国際貢献」を建前としていました。新しい「育成就労制度」は、この建前をなくし、明確に「日本の人手不足分野における人材育成と確保」を目的として創設されます。
最大の特徴は、「育成就労の3年間で人材を育成し、即戦力である『特定技能1号』へスムーズにステップアップさせる」という、連続性のあるキャリアパスが制度として設計された点です。
他分野の特定技能には「特定技能2号」が存在しますが、介護分野にはありません。その代わり、専門の在留資格である「介護」への移行ルートが用意されています。 育成就労や特定技能の期間中に「介護福祉士」の国家資格を取得すれば、在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も可能となる在留資格「介護」へ変更できます。
これは、外国人材にとって日本で長く働き続けるための強力なモチベーションとなります。
介護分野において、各制度がどのように違うのか、主なポイントを比較しました。
| 項目 | 技能実習(旧制度) | 育成就労(新制度:2027年~) | 特定技能1号 |
| 目的 | 国際貢献(技能移転) | 人材育成・確保 | 即戦力の人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 原則3年 | 通算上限5年 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 条件付きで「本人意向の転籍」が可能(※原則、介護分野内に限る) | 同一業務区分内で可能 |
| 在留開始時の日本語 | N4程度(※実習期間中に必須化) | 「A2.2相当」レベルの試験に合格 | A2.2および「介護特定技能評価試験(日本語)」に合格 |
| 移行・更新要件 | 技能評価試験等の合格 | 介護育成就労評価試験(専門級)と介護特定技能評価試験(日本語)の合格 | 介護福祉士取得で在留資格「介護」へ移行 |
新制度への移行に向けて、「うちの施設は育成就労でゼロから育てるべきか? それとも特定技能で即戦力を採用すべきか?」と悩まれる経営者様は少なくありません。
ここでは、外国人の能力や受入れコストなど、施設が最も気になるポイントを比較表で整理しました。
| 比較項目 | 育成就労(育成枠) | 特定技能1号(即戦力枠) |
| 外国人の能力・経験 |
【未経験・初心者】 ゼロから自施設のやり方を教え込む必要がある。 |
【即戦力】 一定の技能・経験を持ち、すぐに現場で活躍できる。 |
| 在留開始時の日本語力 |
【ごく基本的な業務会話レベル】 日本語教育の参照枠「A2.2相当」レベルの試験に合格。 |
【日常会話・介護の専門語彙レベル】 「A2.2相当」レベルの試験及び「介護特定技能評価試験(日本語)」に合格。 |
| 主な採用ルート | 主に海外から現地の送出機関を通じて新たに呼び寄せる。 | 国内にいる留学生や転職者の採用、または海外からの呼び寄せ。 |
| 受入れコスト(毎月)の相場 |
【監理支援費】約3万〜5万円/月 監理支援機関への毎月の監査指導費などが発生する。 |
【支援委託費】約2万〜3万円/月 登録支援機関への委託費が発生。(※自社で支援を内製化すればゼロ円だがハードルは高い) |
| 初期費用の目安 |
【高め】 海外の送出機関への手数料、入国前後の法定講習の費用、渡航費などがかかる。 |
【比較的抑えやすい】 国内採用の場合は渡航費が不要。入国後講習も不要。 |
| 転籍(転職) |
制限あり 当分の間は「2年間」の転籍制限が設定される。 |
制限なし |
★ベストな選択は「組み合わせ(ハイブリッド)」
最もおすすめなのは、「育成就労でゼロから人材を育成し、3年後に特定技能へ移行。さらに働きながら介護福祉士を取得させ、在留資格『介護』として長く活躍してもらう」という計画的な受入れです。
介護分野で外国人材を受け入れる場合、厚労省が定める他分野にはない独自の厳しいルールをクリアしなければなりません。
育成就労・特定技能ともに、受入れ施設は厚生労働省が組織する「介護分野における特定技能協議会」に加入することが義務付けられています。
この協議会は、各地域の受入れ状況の把握や、不適正な受入れの防止、情報共有を目的としています。外国人を初めて受け入れてから一定期間内に加入手続きを行う必要があります。
特定技能1号および育成就労において従事できる業務は、施設における「身体介護等(入浴、食事、排せつの介助など)」およびそれに付随する支援業務が中心です。 これまで、利用者の居宅を訪問して行う「訪問系サービス」への従事は原則禁止されていましたが、制度の見直しにより、以下の「一定の要件」を全て満たす場合に限り、訪問介護等の業務への従事が認められることとなりました。
※これにより、施設内ケアだけでなく、将来的に訪問介護の担い手としても外国人材を見据えた採用計画を立てることが可能になります。
施設が育成就労や特定技能の実施者として認定を受けるには、以下の体制を整える必要があります。
【育成就労の基本人数枠】
| 育成就労実施者の常勤の職員の総数 | ① 一般の育成就労実施者の人数枠 (基本人数枠) |
② 優良な育成就労実施者の人数枠 (基本人数枠の2倍) |
③ 優良な監理支援機関の監理支援を受け、かつ指定区域(地方)に住所がある優良な育成就労実施者の人数枠(基本人数の3/5) |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 育成就労実施者の常勤の職員の総数の20分の3(15%) | 育成就労実施者の常勤の職員の総数の10分の3(30%) | 育成就労実施者の常勤の職員の総数の20分の9(45%) |
| 201人以上300人以下 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101人以上200人以下 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51人以上100人以下 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41人以上50人以下 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31人以上40人以下 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9人以上30人以下 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
※常勤職員数に育成就労外国人及び技能実習生の数は含まない。なお、特定技能などほかの在留資格の外国人は含む。
育成就労では、受入れ企業の常勤職員数に応じて、受け入れられる人数に上限が設けられています。
事業所ごとに、事業所の常勤介護職員(育成就労外国人を除く。)の人数に応じた受入れ人数の上限が設けられます。なお、事業所の育成就労外国人の総数は当該事業所の常勤介護職員の総数を超えないことが条件です。
介護は「対人サービス」であり、利用者やスタッフとのコミュニケーションが事故防止に直結します。そのため、厚労省の運用方針により、他分野とは異なる独自の試験や、毎年の目標設定が厳格にルール化されています。
育成就労は、3年後に「特定技能1号」へ移行するための育成期間であり、段階的な目標が設定されています。主たる技能として「身体介護等」を設定し、計画的に修得させます。
育成就労を経ずに、最初から「特定技能1号」として受け入れる場合(海外からの直接採用や国内の留学生の採用など)は、就労開始(ビザ申請)時点で「介護特定技能評価試験(技能)」「介護特定技能評価試験(日本語)」および「A2.2相当以上」の日本語試験のすべてに合格している必要があります。
3年間の育成を終え、技能試験と日本語試験(介護特定技能評価試験等)に合格すれば、特定技能1号へ在留資格を変更できます。万が一試験に不合格だった場合でも、最大1年間の「在留期間の延長(再受験)」が認められる特例措置があります。 さらに特定技能の期間中に「介護福祉士」の国家資格を取得できれば、更新上限のない在留資格「介護」へと移行し、日本で永続的にキャリアを積むことが可能になります。
外国人材が多額の借金を抱えて来日し、失踪の原因となることを防ぐため、お金に関するルールが極めて厳格に規定されています。
| 費用の種類 | 負担者 | 解説 |
| 講習費(育成就労の入国前後等) | 施設 | 外国人に直接・間接的に負担させることは厳禁です。 |
| 渡航費(来日費用) | 施設 | |
| 帰国旅費(終了時の帰国等) | 施設 | 育成就労を終えて(特定技能へ移行せず)帰国する場合、施設(または監理支援機関)が負担します。 |
| 技能・日本語試験の受験料 | 施設 | 受験料や受験のための交通費は施設負担です。 |
| 居住費(家賃)・食費等 | 外国人(実費のみ徴収可) | 合意の上、「適正な実費」に限り給与からの控除(労使協定必須)が可能です。相場より高い家賃の徴収は違法です。 |
本国の送出機関に対して、外国人が支払う手数料等に上限が設けられました。
「育成就労計画に記載された報酬月額の2ヶ月分を超えないこと」が絶対条件です。これを超過した費用を支払わせていたことが発覚した場合、機構による認定が取り消される可能性があります。
育成就労外国人の給与は、「同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上」でなければなりません。外国人であることを理由に低賃金にすることは違法です。また、夜勤等を行わせる場合は、当然ながら適正な割増賃金や夜勤手当の支払いが必要です。技能が向上する2年目、3年目においては、適正に昇給を行うことも求められます。
育成就労制度で施設側が最も不安視しているのが「本人意向の転籍(転職)」が条件付きで認められる点です。
育成就労で本人の希望による転籍が認められるには、以下の条件を全て満たす必要があります。また、転籍は原則として「介護分野内」に限られます。
介護は継続した利用者のいる対人支援サービスであり、利用者との信頼関係醸成や専門知識の修得に時間を要すること、また大都市圏への過度な人材流出を防ぐため、当分の間、介護分野の転籍制限期間は「2年」とされています。
「介護育成就労評価試験(初級)」に合格していること。
「A2.2相当以上」の要件を判定する試験等に合格していること。
法律上、原則の転籍制限は1年ですが、これを介護分野のルール通り「2年」に設定するためには、施設側が以下の待遇向上策を講じることが必須要件となります。
これらを怠ると、1年で転籍されてしまうリスクがあります。
「高い初期費用を払って受け入れたのに、転籍されたら大損だ」という施設の不満を解消するため、【転籍先の施設が、転籍元の施設に対して初期費用の一部を補填(支払う)する】ルールが設けられました。
【初期費用の補填額の算定割合(1回目の転籍の場合)】
(※主務大臣が告示で定める初期費用額に、以下の割合を掛けた額を転籍先が転籍元へ支払います)
| 転籍元の施設で働いた期間 | 転籍先が補填する割合 |
| 1年以上〜1年6ヶ月未満 | 6分の5 |
| 1年6ヶ月以上〜2年未満 | 3分の2 |
| 2年以上〜2年6ヶ月未満 | 2分の1 |
| 2年6ヶ月以上 | 4分の1 |
介護分野は転籍制限が2年のため、実質的に適用されるのは「2年以上」の補填割合となります。このように、転籍先の施設は多額の負担を強いられる仕組みになっており、安易な引き抜きを抑制します。
大都市圏への人材流出を防ぐため、本人意向で転籍してくる人材を受け入れる施設側にも厳しい制限があります。
外国人材の人権を守るためのルールは年々強化されており、違反した施設には厳格な指導や厳しい罰則が待っています。
日本人スタッフを含め、同種の業務を行う労働者に対して不当な解雇や雇い止め(非自発的離職)を発生させた施設は、新たな育成就労の受け入れができません(計画認定の取消対象)。
また、給与未払いやハラスメントなどが原因で外国人材を「行方不明」にさせた場合も、取消対象となります。
これから始まる「育成就労制度」および「特定技能制度」においては、「外国人を対等な労働者として適正に評価し、育成する」ことが強く求められます。
特に介護分野においては、特定技能協議会への加入、厳しい日本語要件のクリア、日本人常勤職員数による受入れ上限の管理、転籍制限を設けるためのキャリア支援プランの作成、そして最終的な「介護福祉士」取得に向けた長期的なサポート体制の構築など、自施設単独で全てを把握し運用するのは困難を極めます。
「育成就労と特定技能、どちらで受け入れるべきか迷っている」
「転籍リスクを抑え、介護福祉士取得まで長く定着してほしい」
「信頼できる監理支援機関や登録支援機関を紹介してほしい」
このようなお悩みは、外国人材のビザ申請と労務管理の専門家である「行政書士法人タッチ」に全てお任せください。
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| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
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