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「技人国」の派遣が超厳格化!派遣先への誓約書義務化と5つの変更点を解説

calendar_month2026年03月13日
cached2026年10月02日

2026年1月の閣僚会議で決定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に基づき、出入国在留管理庁は派遣形態による外国人雇用の審査を抜本的に見直しました。2026年2月24日に「申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて」が公表され、2026年3月9日の申請分から、派遣元・派遣先双方の誓約書の提出、申請時点での派遣先の確定、派遣契約期間に連動した在留期間、派遣先への直接確認という新ルールが適用されています。さらに2026年7月の改訂で、新規採用者の研修後に派遣先を決める場合の例外的な取扱いが追加されました。

結論から申し上げると、技人国ビザの審査において「派遣元(派遣会社)」だけでなく「派遣先(受入れ企業)」の審査・責任がかつてないほど厳格化されています。「派遣会社に任せておけば安心」という時代は終わりました。本記事では、新制度による5つの重大な変更点、提出書類と誓約書の内容、7月に追加された例外、派遣元・派遣先企業がそれぞれ直ちにとるべき対策を、2026年10月時点の情報で解説します。

この記事で分かること
  • 2026年3月9日から適用された派遣「技人国」の5つの変更点
  • 認定・変更・更新それぞれで追加された提出書類と、誓約書で約束させられる内容
  • 2026年7月に追加された「研修後に派遣先を決める」場合の例外と条件
  • なぜ厳格化されたのか(派遣元の拡大解釈と派遣先の黙認)
  • 派遣元・派遣先が負う不法就労助長罪などのリスクと、今すぐやるべき対策

本記事の内容を動画でも解説しています

本記事の内容は、行政書士法人タッチ代表の湯田が動画でも詳しく解説しています。文字よりも動画で学びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。

派遣「技人国」ズバリ何が変わる?【5つの変更点】

今回の運用変更のポイントは、次の5点に集約されます。

変更点2026年3月8日まで2026年3月9日申請分から
①誓約書主に派遣元の書類で審査派遣元・派遣先双方の責任者が署名した誓約書が必須
②派遣先の確定派遣先未定でも許可・更新されるケースがあった申請時点で派遣先が確定していなければ不許可(7月追加の研修例外あり)
③在留期間派遣元との雇用契約が無期なら長期も派遣契約期間に応じて決定
④派遣先への確認書類審査が中心派遣先に対して業務内容・活動状況を直接確認(電話・実地調査)
⑤更新時の書類通常の更新書類派遣元管理台帳・派遣先管理台帳・就業状況報告書を追加

①派遣元・派遣先「双方」の誓約書提出が必須に

これまで技人国ビザは主に派遣元(所属機関)の書類で審査されていましたが、今後は「派遣元」と「派遣先」双方の責任者が署名した誓約書の提出が義務付けられました。特に派遣先企業に対して、「技人国の活動範囲を理解し、その範囲内の業務に従事させる」「入管の調査に協力する」ことを書面で誓約させる非常に重い内容です。

②申請時点で「派遣先」の確定が必要(待機期間の不可)

これまでは「とりあえず派遣会社でビザを取得・更新し、その後に派遣先を探す」という運用が事実上できてしまうケースもありました。今後は、申請の時点で派遣先が確定しており、派遣先での具体的な業務内容が証明できなければ許可されません。

③在留期間が「派遣契約期間」に連動する

これまでは派遣元との雇用契約が「無期」であれば長期のビザが出やすい傾向にありましたが、今後は「派遣先企業との派遣契約期間」が審査に直結します。派遣先との契約が6か月であれば、在留期間もそれに準じた判断(1年や6か月など)になります。短期契約の繰り返しは、更新のたびに書類と手数料が発生することを意味します。

④入管による派遣先への「直接確認・実地調査」の実施

入管庁が書類審査だけでなく、派遣先企業に対して電話での直接確認や、抜き打ちでの実地調査(現場立ち入り)を行うことが明確に示されました。「書類上だけ専門職に見せかける」という手口は通用しません。

⑤更新時の提出書類が大幅増加(管理台帳・就業状況報告書)

在留期間更新許可申請時には、派遣元管理台帳・派遣先管理台帳・就業状況報告書の提出が新たに求められます。入管庁の意図は、「申請時だけでなく、許可後も本当に適法な業務を行っていたか(労働者派遣法を遵守し、単純労働をさせていないか)」を事後的に厳しくチェックすることです。就業状況報告書で実際の業務内容を報告させ、管理台帳で派遣の実態(就業日、労働時間、苦情処理等)と照合し、申請時の誓約書に違反していないかを検証します。矛盾や虚偽が発覚すれば、更新不許可・ビザ取消し・罰則の対象になります。

提出書類と誓約書の内容

入管庁が公表した提出書類チェックシート(2026年7月版)に基づく、派遣形態特有の追加書類は次のとおりです。企業のカテゴリー(1〜4)を問わず必要です。

申請の種類派遣形態で追加される書類
在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
①申請人の派遣労働に関する誓約書(所属機関(派遣元)用)
②申請人の派遣労働に関する誓約書(派遣先用)
③労働条件通知書(雇用契約書)の写し
④労働者派遣個別契約書の写し
在留期間更新許可申請上記①〜④に加えて
⑤派遣元管理台帳の写し
⑥派遣先管理台帳の写し
⑦就業状況報告書

誓約書で約束させられること

派遣元用の誓約書(4項目)
  • 申請書(所属機関作成用)で申告した事項とその他の提出書類の内容が虚偽でないこと
  • 申請人および派遣先に対し、在留資格の活動範囲と申請書の「活動内容詳細」を説明し、理解させていること
  • 入管の関係書類提出指導・事情聴取・実地調査等に応じること。派遣先も調査に応じることを確認していること
  • 派遣先に変更があった場合には、その都度同様の対応を行うこと
派遣先用の誓約書(3項目)
  • 提出書類の内容が虚偽でないこと
  • 在留資格の活動範囲と申請書の「活動内容詳細」を理解し、申請人をその活動に従事させること
  • 入管の関係書類提出指導・事情聴取・実地調査等に応じること
誓約書には「この誓約が虚偽であり、又は反した場合には、本件申請を含め当機関が所属機関となる外国人の在留諸申請の許可等を受けることができない可能性がある」と明記されています。つまり、1人の派遣スタッフについて誓約違反が認められると、派遣元・派遣先が受け入れている他の外国人の申請にも影響します。

2026年7月の改訂:研修後に派遣先を決める場合の例外

新卒などの新規採用者に対して採用直後の研修を行い、その後に派遣先を決める運用の派遣会社から「申請時に派遣先を確定できない」という声が上がったことを受け、入管庁は2026年7月に取扱いを改訂し、次の例外を設けました。

  • 対象:新規採用者に対する研修を行うため、派遣先を申請時に確定できない場合に限る
  • 代替書類:派遣先用の誓約書と労働者派遣個別契約書の代わりに、研修内容を具体的に示す資料、派遣先で従事する予定の業務範囲を具体的に記載した派遣元との労働条件通知書、派遣元用の誓約書、「申請人の派遣先の決定に関する誓約書(派遣元用)」を提出
  • 事後の義務:派遣先が決まったら速やかに派遣先用の誓約書を作成・取得し、派遣元の責任で保管。次回の在留期間更新許可申請時に、派遣先用の誓約書と個別契約書を提出する
合理的な理由なく次回申請時にこれらを提出できない場合は誓約違反とみなされ、その派遣元はこの例外の対象外になるうえ、今後の審査における消極事由になります。例外はあくまで「研修後に必ず技人国該当業務に従事させる」前提のもので、「とりあえずビザを取って派遣先を探す」運用を認めるものではありません。

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なぜ今、厳格化されたのか?(制度変更の背景と「黙認」の横行)

そもそもなぜ、派遣先企業をも巻き込むような厳しい措置が取られることになったのでしょうか。本来、技人国ビザは「大学等で学んだ専門的・技術的な知識を必要とする業務(エンジニア、通訳、マーケティング等)」にのみ従事できる在留資格です。しかし現実には、派遣という形態を悪用し、書類上は専門職として申請しながら、実際の派遣先では「工場でのライン作業」「倉庫での仕分け」「飲食店での接客・調理」といった単純労働(現業)にフルタイムで従事させる違法就労が後を絶ちませんでした。背景には、派遣元・派遣先双方の問題があります。

派遣元による身勝手な「拡大解釈」

  • 「少しでも専門業務があればOK」という曲解:1日の業務の中に少しでも通訳や翻訳が含まれていれば、残りの時間は工場のライン作業や飲食店のホール接客をさせても問題ない、という独自の解釈
  • 「管理」という言葉の乱用:工場での単なる「ライン作業の進行管理」や現場の「備品管理」「在庫管理」を、「生産管理」「経営管理」といった高度な専門業務であるかのように偽って申請する手口

派遣先による「黙認」と責任転嫁

一方で、派遣先企業(受入れ側)にも問題がありました。実際の現場で外国人が現業を行っていることを把握していながら、「派遣元(プロ)がOKと言っているから」「就労可能なビザを持っているから大丈夫だろう」という理由で、技人国該当性のない業務に就いていることを黙認していたのです。派遣という形態では「どんな業務をさせているか」の責任の所在が曖昧になりがちで、この構造に根本からメスを入れるため、入管庁は「派遣先にも直接責任を負わせる(誓約書・実地調査)」という強硬手段に踏み切りました。

同じ流れで、2026年4月15日には技人国全体のガイドラインも改訂されています。実務研修として現業に従事できるのは採用当初の限定された期間だけであること、翻訳・通訳や接客など主に言語能力を用いる対人業務ではCEFR・B2相当(JLPT N2以上等)の言語能力の証明が必要なこと、カテゴリー3・4の企業は代表者申告書を提出することが新たに定められました。派遣で「通訳」名目の申請をする場合は、この言語能力要件も満たす必要があります。

派遣元・派遣先が負うリスクと今後の対策

今回の厳格化により、派遣会社(派遣元)はもちろん、外国人を受け入れる派遣先企業にも極めて重いコンプライアンス上の責任が生じます。それぞれの立場で次の対策を講じてください。

派遣会社(派遣元)が注意すべきこと

派遣先で単純労働をさせていたことが発覚した場合、誓約違反(虚偽申告)として今後の外国人派遣事業が事実上できなくなる(新たなビザ申請が下りなくなる)だけでなく、派遣元企業自体が不法就労助長罪に問われる致命的なリスクがあります。

ここがポイント
  • 既存案件の総点検:現在派遣している技人国スタッフの「実際の現場での業務」を直ちに確認し、管理台帳と就業状況報告書を更新申請に耐える形で整備する。少しでも現業が含まれている場合は、派遣先と業務内容を再設計するか、引き揚げる
  • 派遣先との契約の見直し:労働者派遣個別契約書の業務内容欄を、技人国に該当する専門業務として具体的に記載する。「軽作業」「業務全般」といった曖昧な記載は不許可の原因になる
  • ビジネスモデルの転換(特定技能・人材紹介へのシフト):現場作業を求めるクライアントに安易に技人国で派遣することはもうできない。特定技能は農業・漁業の一部例外を除き派遣が禁止され直接雇用のみのため、製造・飲食・宿泊等の現場人材を求めるクライアントには、人材紹介(職業紹介)や登録支援機関としての支援業務へ切り替える

受け入れ企業(派遣先)が注意すべきこと

「派遣会社から『少しなら現場作業をさせても大丈夫』『このビザで大丈夫』と言われたから」という言い訳は、誓約書にサインする以上、通用しません。違法な就労が発覚した場合、派遣元だけでなく派遣先企業も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

不法就労助長罪の罰則は、現行の「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から、2027年には「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」(併科あり)に引き上げられます。また、更新が不許可になれば、現場の戦力をある日突然失うことになります。詳細は不法就労助長罪とは|2027年厳罰化で罰金500万円をご覧ください。
ここがポイント
  • 「丸投げ」からの脱却:派遣会社から提案される人材の在留資格(ビザの種類)を必ず確認する。技人国であった場合、自社で任せる業務が「本当に大学レベルの専門知識を要する業務か」を社内で厳しく審査する
  • 誓約書に署名する前の確認:申請書の「活動内容詳細」と、自社で実際に任せる業務が一致しているかを現場責任者と確認してから署名する
  • 現場責任者への教育徹底:工場長や店長など、現場で直接指示を出す担当者に対し、「この外国人スタッフには現業(ライン作業や配膳など)を手伝わせてはいけない」というルールを徹底する
  • 実地調査への備え:入管の電話確認・実地調査に対応できるよう、業務内容を説明できる担当者と資料を決めておく

よくある質問

Q. 技人国の外国人を派遣で受け入れること自体が禁止されたのですか?

禁止ではありません。派遣先で行う業務が技人国に該当する専門業務であれば、派遣形態での就労は認められます。変わったのは「派遣先の確定」「双方の誓約書」「派遣先への直接確認」が審査の前提になった点です。

Q. 派遣先が変わるたびに手続きが必要ですか?

派遣元用の誓約書には「派遣先に変更があった場合には、その都度同様の対応を行う」ことが含まれます。新しい派遣先から誓約書を取得し、活動内容を説明・保管したうえで、次回更新時に提出する運用になります。業務内容が大きく変わる場合は、就労資格証明書の交付申請で該当性を確認することをおすすめします。

Q. 現場作業を任せたい場合、どの在留資格を使えばよいですか?

特定技能(16分野の範囲内・原則直接雇用)、または永住者・日本人の配偶者等・定住者の身分系在留資格を持つ人です。派遣で現場人材を供給するモデルは、技人国でも特定技能でも成り立ちません。詳細は就労ビザで単純労働は可能?できる在留資格・できない在留資格を解説をご覧ください。

おわりに:派遣による技人国雇用は「丸投げ」できない時代へ

2026年3月9日以降、技人国ビザでの派遣就労は「安易な労働力確保の手段」としては完全に使えなくなりました。制度を正しく理解し、適法な運用体制を構築しなければ、企業は刑事罰や事業停止といった大きなダメージを負いかねません。

行政書士法人タッチでは、派遣元企業様・派遣先企業様双方に対し、次のサポートを提供しています。

  • 派遣案件の適法性診断(コンプライアンスチェック):現在の派遣契約や実際の業務内容が、新しい入管の審査基準(誓約書の内容)に適合しているかをプロの目線で診断
  • 誓約書・管理台帳・就業状況報告書の整備支援:更新申請で求められる書類を、派遣元・派遣先の実態に合わせて整備
  • 「特定技能」制度への移行サポート:現場業務に従事させたい人材について、特定技能の活用や切り替えを提案
  • 実地調査・監査対応:入管庁からの実地調査や事情聴取に備えた社内管理体制の構築を支援

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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