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建設業の技人国ビザ厳格化!施工管理はNG?特定技能との違いと対策

calendar_month2026年06月09日
cached2026年06月10日

2026123日、政府は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定しました。この決定により、建設業で非常に多く見受けられた「施工管理(現場監督)」や「CADオペレーター」名目での技人国人材の運用方針に、決定的な転換が迫られています。

本コラムでは、これからの建設業における「技人国」と「特定技能」の正しい棲み分け、入管が許さない「NG業務」の境界線、そして知らずにやってしまいがちなコンプライアンス違反(不法就労助長罪など)の巨大なリスクについて、行政書士が徹底的に解説します。

本記事の内容を動画でも解説しています

本記事の内容は、行政書士法人タッチ代表の湯田が動画でも詳しく解説しています。文字よりも動画で学びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。

 

なぜ今、建設業における「技人国」審査が厳格化されるのか?

これまで、建設業界では日本の大学や本国の理系大学(建築学科や土木工学科など)を卒業した外国人を、「施工管理」や「CADエンジニア」という名目で技人国ビザで採用するケースが一般的でした。

しかし、実態としては本来の専門的なデスクワークや高度な管理業務ではなく、人手不足を補うために、建設現場に入っての足場組み、コンクリート打設、あるいは重い資材の搬入や現場の清掃など、技人国には該当しない単純作業や手元作業を業務時間の大半または一部でやっているケースが“常態化していました。

本来、入管法において「技人国」ビザでの単純労働(現業)は認められていません。これまでは「現場の安全管理や工程管理といった『施工管理業務』の一環である」という建前で、ある程度のグレーゾーンとして黙認されてきた側面がありました。

しかし、国が本格的な是正に乗り出したのには、明確な理由があります。

【理由】「特定技能(建設分野)」の受け皿が完全に整ったため

建設業の深刻な人手不足に対応するため、国は「特定技能(建設分野)」を整備しました。土木、建築、ライフラインなど、現場でのあらゆる実作業を幅広く行える正規のビザが整い、建設分野はいち早く熟練労働者向けの「特定技能2号」も運用が開始されています。

要するに、「現場の実作業も、職長としての現場統率も堂々とできるビザ(特定技能)が完全に整った」のです。そのため、わざわざ無理な理屈をつけて「技人国」で現場作業をさせる必要性はなくなった、と入管庁は整理しました。

今回の政府決定により、「建設現場での実作業や、職長としての工程管理は『特定技能(1号・2号)』で行う」という方針が明確に適用され、実態調査(現場への立ち入り調査)がかつてない規模で強化されることになります。

 

「現場の施工管理だから大丈夫」は超危険!技人国でのNG業務ライン

多くの建設業者様が誤解されているのが、「現場で職人さんに指示を出して工程管理をしているから、施工管理(技人国)で問題ないだろう」「現場の安全パトロールをしているから安全管理(技人国)だ」という運用です。

入管庁の厳しい基準において、大卒レベルの「高度な専門的・技術的業務」とはみなされず、技人国ビザで常態的に行うことが認められない業務(=特定技能で行うべき業務)は以下の通り明確に整理されています。

  • 建設現場での足場組み、鉄筋、型枠などの組み立て・解体作業
  • コンクリートの打設、左官、内装などの建設実作業
  • トラックからの資材の荷下ろし、搬入、現場内の運搬作業
  • 現場の単なる清掃、ゴミ捨て、片付け作業
  • 職人に対する声かけや、当日の作業の割り振り(現場の職長レベルの業務)
  • 作業員の出退勤・シフト管理や、日々の資材の在庫カウント・発注連絡といった単純な管理業務
  • 現場での定型的な安全確認(ヘルメットや安全帯のチェック等)や、作業手順の直接的な指導

これらは全て、「現場での建設実作業およびその延長線上の管理」に過ぎません。これまでは「工程管理」という名目で通っていたかもしれませんが、今後は「特定技能2号」が担うべき業務として明確に区別されます。

 

【徹底比較】特定技能(1号・2号)と技人国の正しい棲み分け

では、各在留資格で具体的にどのような業務区分けになるのでしょうか。自社の外国人従業員がどこに当てはまるか、以下の表と照らし合わせてみてください。

在留資格 特定技能1 特定技能2 技術・人文知識・国際業務(技人国)
役割のイメージ 建設現場の作業員(職人・多能工) 現場のリーダー・責任者(職長・班長) 建築エンジニア(設計士・積算技術者等)
実作業・資材運搬 〇 可能(メイン業務として実施) 〇 可能(自ら作業も行う) × 不可(研修期間や一時的なものを除き絶対NG
具体的な業務内容 型枠、鉄筋、とび、土工などの建設実作業 複数の建設技能者を指導しながら行う土木作業等、工程管理 建築設計、設計監理、建築積算など
求められる能力 相当程度の技能・日本語能力 熟練した技能・職長としての現場統率力 大学等で修得した専門知識(建築学・土木工学等)の応用

特定技能1号:建設現場の作業員

現場の最前線で建設実作業を幅広く行えます。現場の即戦力として、自ら工具等を持って堂々と作業ができるのは特定技能の領域です。

特定技能2号:現場のリーダー・責任者(職長)

熟練した技能を持ち、「複数の建設技能者を直接指導しながら行う土木・建築作業」や「現場の工程管理」を行うポジションです。「職長」がまさにこれに該当します。
実は、これまで「施工管理」という名目で、技人国として無理やり申請されがちだった「職人たちを直接まとめ、自らも動きながら現場を回す工程管理」は、まさにこの特定技能2号の役割なのです。

技術・人文知識・国際業務:建築設計・設計監理・建築積算

現場の職長ではなく、事務所や現場の事務所(詰所)を拠点とし、「建築設計」「設計監理」「建築積算」といった高度な専門知識を活かした業務に従事する必要があります。CADBIM/CIMを使った設計図の作成、設計図通りに工事が進んでいるかの品質データ作成、原価計算(積算)などが該当します。

「人手が足りないから」といって自ら工具を持ったり、単なる現場の職長として職人に指示を出すだけの業務を日常的に兼務することは認められません。

 

施工管理の「派遣」を受け入れているゼネコン・サブコン様へ(超重要リスク)

建設業では、人材派遣会社から外国人を派遣スタッフとして受け入れているゼネコン様やサブコン様も非常に多いと思います。ここで、企業を根底から揺るがしかねない最大のコンプライアンスリスクについて警告します。

ご存知の通り、労働者派遣法により、建設業における「現場作業(土木・建築などの実作業)」の派遣は全面的に禁止されています。しかし、「施工管理」や「CADオペレーター」といった業務に限っては、例外的に派遣が認められています。

そのため、派遣会社から「技人国」の外国人を『施工管理』名目で受け入れている企業様は多いはずです。

ここで絶対にやってはいけないのが、適法に派遣を受け入れたはずの外国人に、現場で人手が足りないからといって資材運びや現場作業(派遣法で禁止されている建設実作業)をさせてしまうケースです。

これは、入管法違反(資格外活動・不法就労助長罪)になるだけでなく、労働者派遣法違反にもなる「ダブルパンチ」の違法行為です。

これまでは「派遣元(派遣会社)が大丈夫と言ったから」と派遣会社の責任にされがちでしたが、今後は実態として単純労働をさせていた「派遣先(受け入れ側の建設会社)」も不法就労助長罪に問われる可能性が極めて高くなっています。

不法就労助長罪は、最悪の場合「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」が科される非常に重い犯罪です。自社の現場で派遣の外国人がヘルメットを被って資材を運んでいないか、今すぐ確認してください。

 

新入社員(大卒等)の「現場研修」はどこまで認められるか?

建設業界では、新入社員のエンジニア(施工管理技士の卵など)に対して「まずは現場を知る」ために、最初の数ヶ月〜半年程度、職人さんに混ざって現場作業(手元作業)を経験させる研修をすることが一般的です。

「技人国ビザの社員に、このジョブローテーション研修をさせることは違法になるのか?」という疑問が生じるかと思います。

結論から言えば、「明確なキャリアプランに基づく、期間を定めた実務研修」であれば、技人国ビザでも現場作業が認められる可能性はあります

ただし、以下の場合は「研修を偽装した単純労働」とみなされ、不許可リスクが跳ね上がります。

  • 期間の定めがない: 「とりあえず現場で職人の手元をやれ」と配属され、いつ本来の設計や積算業務に行けるかの具体的な計画書(カリキュラム)が存在しない。
  • 常態化: 予定していた研修期間が終わっても、人手不足を理由に自ら作業員として現場に残り働き続けている。

入管庁は今後、この「研修名目の単純労働」についても厳しくチェックする方針です。「とりあえず職人として現場に長期間配置したい」のであれば、大卒であってもまずは「特定技能」で採用することを強く推奨します将来的に経験を積んで本格的なエンジニア(設計・積算など)になった段階で「技人国」へビザを変更すれば、コンプライアンス上の問題は一切生じません。

 

今後の更新申請と「実地調査」の恐怖に備えて

政府の総合的対策では、「資格該当性のない業務に従事させている疑いのある受入れ機関等を調査し、審査を厳格に運用する」と明記されています。

これはつまり、今後は書類審査だけでなく、「実地調査(建設現場や現場事務所への抜き打ちの立ち入り)」のリスクが格段に高まるということです。

実地調査の際、入管の調査員は「本人の作業着やヘルメットの汚れ具合」「手に工具を持っているか」「現場事務所に本人のデスクやPCCADソフト等)があるか」などをシビアに確認します。

そこで「設計や積算業務は一切せず、単に職人をまとめる工程管理や土木作業ばかりを行っている実態」が確認されると、「在留資格に該当しない活動」と判断され、ビザの更新は不許可(=帰国)となります。

手塩にかけて育てた人材をある日突然失うだけでなく、企業側も前述した不法就労助長罪として処罰の対象となり得ます。

 

最後に

2026年は、建設業界における外国人雇用の「ルール」が完全に再定義される年です。

「他のゼネコンもやっているから大丈夫」「今までこのやり方で更新できていたから大丈夫」という横並びの意識や過去の成功体験は、企業のコンプライアンスリスクを最大化させます。

更新時期が来てから慌てても手遅れです。今のうちに自社の外国人従業員の「業務実態」と「在留資格」にズレが生じていないか、徹底的な棚卸しを行う必要があります。

「うちの現場の運用は大丈夫だろうか?」「派遣の受け入れ方に問題はないか?」と少しでも不安に思われた建設会社の経営者様、現場責任者・人事担当者様は、手遅れになる前にぜひ一度、行政書士法人タッチにご相談ください。建設業特有のビザ要件に精通した専門家が、御社を守るための最適な解決策をご提案いたします。

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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