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監理支援機関の許可要件を徹底解説|6つの基準と審査で問題になりやすいポイント【育成就労】

calendar_month2026年08月21日
cached2026年08月31日

監理支援機関の許可申請(施行日前申請)2026415日から始まっています。20274月の育成就労制度施行を待たずに受付が動き出したことで、当法人にも監理団体の皆様から「自団体の体制で許可が取れるのか」「何を準備すればよいのか」というご相談が急増しています。

本記事では、監理支援機関の許可要件を、育成就労制度運用要領(2026年7月版・第5章第2節)に基づいて整理します。まず要件の全体像を示し、次に要件を1つずつ、細かい基準と提出書類まで掘り下げ、それぞれについて審査で問題になりやすいポイントを解説します。自団体の体制と照らし合わせるチェックリストとしてご活用ください。

本記事の内容を動画でも解説しています

本記事の内容は、行政書士法人タッチ代表の湯田が動画でも詳しく解説しています。文字よりも動画で学びたい方は、ぜひあわせてご覧ください。

 

監理支援機関の許可要件|全体像

許可基準は育成就労法25条に定められており、運用要領では次の6つに整理されています。

  • 1 法人形態:営利を目的としない法人であること
  • 2 業務実施の能力:実施者の数・常勤役職員の数・相談応需体制
  • 3 財産的基礎:債務超過の状態にないこと
  • 4 個人情報の保護:個人情報適正管理規程の作成と措置の実施
  • 5 外部監査:要件を満たす外部監査人の設置
  • 6 適正遂行能力:法令遵守・中立的運営・事業所要件・運営規程

    これに加えて、欠格事由(26)に該当しないことが必要です。

    最初に最も重要な点をお伝えします。これらの基準は、許可を取得する時点だけ満たせばよいものではありません。許可を得て事業を行っている間に基準を満たさなくなった場合、許可の取消しの対象になり得ます。以下の内容は、申請のためのチェックリストであると同時に、許可後も維持し続けるべき体制の解説です。

    要件1|法人形態——事業協同組合はそのまま該当、ただし「組合員限定」

    基準の内容

    監理支援機関になれるのは営利を目的としない法人に限られます。現在の監理団体の大多数を占める事業協同組合は、規則44条の「中小企業団体」としてそのまま法人形態要件を満たします。技能実習と同様です。

    ただし重要な限定があります。事業協同組合・商工会議所・商工会・農協・漁協については「監理支援を行う実施者が当該団体の会員・組合員である場合に限る」とされており、事業協同組合が監理支援できるのは自組合の組合員だけです。

    このほか、職業訓練法人、公益社団法人・公益財団法人も認められています。8類型に当てはまらない法人には例外ルート(規則4419)があり、()過去3年以内の人材育成支援業務の実績を通年・複数年度で実施していることの客観的立証と、()重要事項の決定と業務の監査を行う機関の設置、の両方が必要です。

    問題になりやすいポイント

    事業協同組合が申請前に済ませるべき準備は2つです。

    • 組合員名簿の整備:申請で実施者2者以上の見込みを示す「会員・組合員等一覧表」に載せる見込み実施者は、申請時点で組合員である必要があります。育成就労の申請の根拠にする企業が未加入なら、加入手続を申請前に完了させてください。なお、許可後に新しく加入した組合員は、その時点から監理支援の対象にできます。
    • 定款の確認:定款に監理支援事業を行う旨の記載が必要で、定款変更は総会の特別議決と行政庁の認可を経ます。認可が完了してからでないと許可申請ができないため、ここだけで数か月単位のリードタイムが発生します。

      要件2|業務実施の能力——数字で決まる3つの基準

      規則45条に、実施者の数・常勤役職員の数・相談応需体制という3つの基準が定められています。

      (1)実施者は2者以上

      独立性・中立性の担保のため、監理支援を行う実施者は原則2者以上必要で、1社専属は認められません。新規申請では「許可後速やかかつ確実に2者以上となる見込み」を会員・組合員等一覧表で示します。記載事項は、実施者予定者の名称・住所・代表者、1年間の受入れ予定人数、受入れ見込み時期、分野・業務区分です。

      注意点として、運用要領には「許可後1年以内に、実際に、予定どおり育成就労外国人を受け入れる必要がある」と記載されています。基準として問われるのは実施者2者以上であるため、最低ラインは1年以内に2者以上の受入れが現実に始まっていることですが、一覧表と実績が大きく乖離すると、申請時の見込みの信憑性を疑われ、指導の材料になり得ます。実現可能な受入れ計画とセットで作成してください。

      (2)常勤役職員の数——2人以上/÷8/÷40

      監理支援の実務に従事する常勤の役職員が、次の3つすべてを満たす必要があります。①2人以上いること、②実施者の数÷8を超えていること、③外国人の数÷40を超えていること

      実施者の数

      必要な最低人数

      外国人の数

      必要な最低人数

      1〜15

      2人

      1〜79

      2人

      16〜23

      3人

      80〜119

      3人

      24〜31

      4人

      120〜159

      4人

      32〜39

      5人

      160〜199

      5人

      カウントのルールは次のとおりです。

      • 「実務に従事する」の範囲は広く、あっせん、監査・訪問指導のほか、入国後講習の事務や相談対応の担当者も含みます
      • 他業務との兼務は可(実務と経理の兼務など)。ただし専ら総務・経理のみの者は算入不可
      • 機関全体で判定され、事業所ごとの充足は求められません

        最重要の注意点として、この人数は申請時点で満たしている必要があります。「新規申請時は1人で、事業開始までに2人に増員する」計画は運用要領で明確に否定されています。採用リードタイムを考えると、移行準備の中で最も時間を要する項目になり得ます。

        よくある質問①|「常勤」とは?

        基準の条文は「常勤の役員又は職員」であり、役員も職員も対象です。常勤の判定基準(運用要領4-28)は次のいずれかです。

        • 所定労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週所定労働時間30時間以上
        • 雇用保険の被保険者で、週所定労働時間30時間以上

          給与形態(日給・月給)は問いません。対象者ごとの扱いは次のとおりです。

          対象者

          扱い

          役員(理事等)

          監理支援の実務に従事し、常勤性を満たせば役員のままカウント可

          派遣労働者

          不可(雇用契約が派遣元にあるため)

          移籍型出向者

          常勤職員として取り扱い可

          よくある質問②|出向者は数えられる?

          出向の形態と出向元によって結論が分かれます。移籍型出向(転籍して監理支援機関と雇用契約を締結)は常勤役職員として算入可能ですが、在籍型出向(出向元に籍が残る)は実務上ほぼ使えません。

          在籍型が使えない理由は、実施者と密接な関係を有する役職員の業務関与制限(運用要領5-114116)です。密接な関係を有する役職員は、その実施者への監理支援業務に、個人情報管理と入国後講習以外は関与できません。そして運用要領は、密接な関係を有する者の具体例として「実施者と資本関係がある会社(子会社、グループ会社等)からの出向者」を明示しています。この関与禁止は、直接の担当だけでなく、上司・決裁者としての指示、口出し・助言、第三者を介した影響力行使まで含む広い禁止です。

          技能実習時代に見られた「組合員企業からの在籍出向で監理業務を回す」体制は、育成就労では成立しにくいとお考えください。移籍型に切り替えた場合でも、過去5年以内に実施者の役職員だった方は元の勤務先への監理支援に関与できないため、担当割りの設計(別の監理支援責任者の選任等)が必要です。

          (3)相談応需体制・保護体制

          外国人からの相談に母国語で対応できる体制が求められます。柱は3つです。

          • 母国語相談:使用言語の通訳人を確保(常勤配置が望ましいが、非常勤・外部委託も可)。雇用契約書・業務委託契約書に通訳する言語を明記。実施者や送出機関の職員・関係者を通訳人とするのは中立性の観点から不適切とされています(運用要領5-20)
          • 夜間・休日対応:緊急連絡先の共有、電話・メール・SNS・翻訳アプリ等でいつでも母国語相談ができる体制
          • 緊急時の保護体制:事業所から実施場所まで、通常の業務時間内に日帰りで往復して保護対応ができる位置関係。離島等の例外はありますが、隣接都道府県にも事業所がない遠隔監理は保護体制なしと判断されることがあります

            広域展開している団体は、どの事業所がどの実施者をカバーするのか、距離要件の観点から総点検が必要です。また、専ら転籍者のみを受け入れるモデルは「3年間を通じた一連の監理支援能力なし」と判断される場合があることも要領に明記されています。

            要件3|財産的基礎——債務超過でないこと

            基準の内容

            規則46条により、債務超過の状態にないことが基準です。資産額の下限はなく、直近の事業年度末時点の貸借対照表で判定されます。

            直近期末で債務超過だった場合の救済ルートもあります。申請時に直近月の月次試算表を併せて提出するなどして債務超過の解消が確認できた場合に限り、基準を満たすと認められます(運用要領5-21)。この場合、債務超過の原因・解消方法・今後の運営を記載した改善説明書も必要です。

            主な提出書類(全申請者共通)は次のとおりです。

            • 直近2事業年度の貸借対照表・損益計算書(収支計算書)
            • 直近2事業年度の法人税確定申告書の写し(e-Taxは受信通知添付)・納税証明書
            • 預金通帳の写し等、現金・預貯金の額を証する書類

              設立直後などで2事業年度分が存在しない法人は、存在する書類(設立時貸借対照表等)で可。決算後・総会未承認で税務署未提出の場合は、確実に提出することが確認できる場合に限り写しで差し支えないとされています。

              問題になりやすいポイント

              • 通帳の写しは残高の確認だけでなく、事業所賃料や役職員給与など法人の入出金が適正に行われているかの確認にも使われると要領に明記されています。監理費会計と本体会計の混在や使途不明な支払いは、申請前に整理してください
              • 債務超過のチェックは申請時の一回きりではありません。許可後に債務超過に陥った場合も、指導・改善命令・許可取消しの対象になります

              要件4|個人情報の保護

              国の指針に基づいて個人情報適正管理規程を作成し、規程に定めた措置を実施していることが求められます。規程は監理支援事業を行う事業所ごとに必要で、記載事項の例は運用要領の別紙4に示されています。

              ポイントは、取り扱う職員の範囲の明確化と職員教育、本人からの開示・訂正請求への対応と外国人への周知、苦情処理体制、漏えい・滅失・毀損の防止措置、不要となった情報の破棄ルールなどです。確認書類は規程の写しと組織体系図。技能実習で同種の規程を整備済みの団体は、育成就労法と指針に合わせた改訂で対応できますが、教育記録など運用の痕跡も残しておくことをお勧めします。

              要件5|外部監査——最大の難関

              技能実習では外部役員か外部監査かの選択制でしたが、育成就労では全ての監理支援機関に外部監査の措置が義務付けられます

              (1)外部監査人になれない者——想像より広い

              関係先

              なれない者

              実施者(受入れ企業)

              実施者本人・役職員(過去5年以内を含む)/配偶者・二親等以内の親族/実施者と顧問契約を結ぶ弁護士等・実施者から会費を受ける法人

              自団体

              役職員(過去5年以内を含む)/組合員・会員などの構成員とその役職員

              その他

              監理支援対象外の育成就労実施者・その役職員/他の監理支援機関・その役職員/取次ぎを受ける送出機関・その役職員

              誤解が多いポイントとして、監理支援機関自身と顧問契約を結んでいる弁護士等は「直ちには密接な関係に該当しない」と要領に明記されています。つまり、傘下企業の顧問はNG、団体自身の顧問はOKです。

              例外として、技能実習制度で監理事業に携わっていない非常勤の「指定外部役員」だった方は、辞任後5年以内でも「元役職員」の欠格に該当しません(規則附則5)。ただし緩和されるのはこの点だけで、士業資格等・講習修了・公表同意など他の要件はすべて必要です。技能実習の指定外部役員には資格要件がなかったため、現在の指定外部役員が組合OBなど非資格者の場合、そのまま外部監査人にスライドさせることはできません。

              (2)必要なもの——資格・講習・公表同意

              • 資格:弁護士・社会保険労務士・行政書士(それぞれの法人も可)。士業以外では、入管法令・労働法令に関する高度な知識経験を客観的に立証できる者(大学教授等)や、講習実施の相当な実績を持つ非営利の告示機関も可能ですが、立証のハードルは高く、実務上はほぼ士業への依頼になります
              • 講習:過去3年以内に外部監査人に対する講習を修了(経過措置として、施行前の技能実習の監理責任者等講習の受講者も選任可)。法人受任の場合は、実地監査を指揮する監査実施責任者(複数選任可)が受講します
              • 公表同意:氏名・所在地等が機構ホームページで公表されることへの同意

              (3)外部監査の方法——3か月ごとの確認と年1回の同行

              • 定期の確認:監理支援事業を行う各事業所につき3か月に1回以上、責任役員・監理支援責任者からの報告聴取と、事業所での設備確認・帳簿書類の閲覧により業務の遂行状況を確認し、報告書を機関に提出します
              • 同行監査:機関が実施者に対して行う監査に、各事業所につき1年に1回以上同行し、報告書を提出します。「1年に1回以上」は前回実施日から1年以内が期限です

                報告書は帳簿書類として事業所への備置きが必要です(電磁的記録可)。外部監査人の要件は申請時点から許可期間中を通じて満たし続ける必要があり、就任後に候補者が傘下企業の顧問になった、講習の3年期限が切れた、という時点で許可要件を欠くことになります。

                外部監査人の選び方・報酬・契約の実務は、シリーズ第2で詳しく解説しています。

                要件6|適正遂行能力——法令遵守・中立運営・事業所・運営規程

                包括的な要件で、運用要領では4つに整理されています。

                (1)法令に従った遂行の意思・能力・体制

                監理支援費の用途・金額を明示した徴収、名義貸しの禁止、事業所ごとの監理支援責任者の選任、転籍を含む育成就労継続のための支援、省令基準に従った監査の実施、そして実施者と密接な関係を有する役職員を個人情報管理・入国後講習以外の業務に関与させないこと。これらを適切に遂行する意思・能力・体制が審査で確認されます。

                (2)中立的な事業運営

                送出機関の役員と監理支援機関の役員の兼任は認められません。海外の送出機関と資本・役員のつながりがある団体は、役員名簿の突合が必須です。

                (3)事業所の要件

                項目

                求められること

                所在地

                風俗店の密集地、同一建物内・隣接に風俗店がある場所は不可

                名称

                公的機関と誤認させるもの(愛称含む)は不可。完全同一名称の機関があれば改称を検討

                独立性

                他の事業者の事業所・住居との混在不可。他社事務所の一角や、他社の作業場を通らないと入れない構造は不可。実施者の事業所が隣接する場合は、動線分離・予約制相談・近隣貸部屋の確保等でプライバシー保護

                便宜供与の禁止

                実施者等が所有する土地・建物への設置不可。第三者所有でも実施者等からの転借は有償無償を問わず不可。賃貸借の連帯保証人に実施者等を立てることも原則不可

                面積・レイアウト

                おおむね20㎡以上+来訪者対応の場所・動線、個室・パーティション等での相談スペース確保。遊休スペースを除いた実利用面積で判断

                「組合員企業のビルにオフィスを間借りしている」は典型的な不適合事例です。物件の所有関係・転貸関係・保証人を、登記と契約書ベースで総点検してください。

                (4)適正な事業運営

                法の主要条文の内容を盛り込んだ業務運営規程の整備(例は運用要領別紙5。個人情報適正管理規程との一体化も可)と、送出機関から取次ぎを受ける場合の要件——申請・届出済みの送出機関のみ利用、届出済みの国・地域からの取次ぎのみ、日本・送出国法令の遵守、渡航費用等を貸し付けた外国人へのあっせん禁止——が確認されます。

                審査でよく問題となる5つの落とし穴

                • 1 申請時点主義:職員数、見込み実施者の組合加入、定款変更の認可。いずれも申請時点で完成している必要があり、「許可後に整える」計画は通りません
                • 2 許可後1年以内の受入れ実施:1年以内に少なくとも2者以上の受入れが実際に始まっていること。一覧表との大幅な乖離は見込みの信憑性に疑義を生じさせます
                • 3 要件は許可期間中ずっと:職員の退職、債務超過への転落、外部監査人の要件喪失は、その時点で取消しリスクに直結します
                • 4 人的関係の総点検:組合員企業出身の役職員、送出機関役員との兼任、外部監査人候補の顧問先・親族関係。すべて書面で洗い出してください
                • 5 事業所の物件関係:所有・転貸・連帯保証を登記と契約書で確認してください

                まとめ|体制の整備は「書類の書き方」の問題ではありません

                監理支援機関の許可審査で問われるのは、申請書の書き方ではなく、団体の体制と商流そのものです。役員構成、職員の頭数、組合員名簿、事業所の物件関係、送出機関との契約。いずれも修正に数か月を要するものばかりです。事前申請はすでに始まっています。自団体の現在地の確認から始めてください。

                行政書士法人タッチのサポート

                当法人では、監理団体の皆様向けに次のサポートを提供しています。

                • 体制診断:6要件に沿って、自団体のどこが審査で問題になるかを診断
                • 監理支援機関の許可申請サポート
                • 外部監査人としての就任

                  「この役員構成で通るか」「外部監査人の候補が要件を満たすか不安」という段階のご相談でも結構です。お問い合わせフォームまたはお電話からご連絡ください。

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                  本記事の根拠資料:育成就労制度運用要領 第5章第2(20267月版)/外国人技能実習機構「よくあるご質問(監理支援機関の許可申請関係)

                  執筆:行政書士法人タッチ 代表社員 湯田一輝

                   

                  この記事の監修者
                  行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
                  2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
                  2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
                  専門分野 外国人在留資格、帰化申請
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