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研修ビザの条件と技能実習・育成就労との違い|実務研修ができる受入れ機関

calendar_month2021年12月07日
cached2026年10月06日

在留資格「研修」(研修ビザ)は、開発途上国等の人材を一定期間受け入れて技能等を修得させ、帰国後に母国の発展に役立ててもらう「人づくり」のための在留資格です。雇用契約を結ばず、報酬ではなく研修手当(実費)を支給する点、そして民間企業の受入れでは実務を伴う研修ができず、実務研修が認められるのは国・地方公共団体・独立行政法人・国際機関等が実施する研修に限られる点が最大の特徴です。「海外子会社の社員を日本の工場でOJTさせたい」というニーズには研修ビザは使えず、企業内転勤や短期滞在などの別の在留資格を検討することになります。

本記事では、研修ビザの位置づけ、8つの要件、実務研修を含む場合の追加要件、技能実習および2027年4月に始まる育成就労制度との違い、民間企業が海外人材を研修させたい場合の選択肢を、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 研修ビザとは何か(目的・雇用契約なし・研修手当)
  • 研修ビザの8つの要件(技能の性質・年齢・帰国後の従事予定・指導員・報告・帰国旅費・記録・不正行為)
  • 実務研修ができる受入れ機関と、実務研修を含む場合の追加要件(3分の2以下・宿泊施設・生活指導員・保険等)
  • 研修ビザと技能実習・育成就労の違い(比較表)
  • 民間企業が海外子会社の社員等を研修させたい場合の選択肢(企業内転勤・短期滞在・技人国)

研修ビザとは

研修ビザは、開発途上国等の青壮年を一定期間受け入れて技能等を修得させ、帰国後に日本で修得した技能等を活用して母国の発展に寄与してもらうための在留資格です。技能等の修得を目的とする活動であるため、受入れ機関と研修生の間に雇用契約などの雇用関係は存在しません。労働の対価としての賃金ではなく、在留期間中の生活費・交通費などを研修手当として実費支給します。

研修ビザの最大の特徴は、原則として実務(商品の生産・販売、サービスの提供など)を伴う研修ができないことです。例外として、国・地方公共団体・独立行政法人・国際機関等が自ら実施する研修では実務研修が認められています。招へいする外国人を実務作業に従事させたい場合は、研修ビザではなく、雇用契約を結んだうえで技能実習(2027年4月以降は育成就労)や特定技能などの就労できる在留資格で受け入れる必要があります。

項目内容
在留資格研修(入管法別表第一の四)
在留期間1年・6か月・3か月
雇用関係なし(研修手当の実費支給)
実務研修原則不可。公的機関等が実施する研修に限り、研修時間全体の3分の2以下で可
主な利用場面JICA等の国際協力事業、自治体の研修員受入れ、公的機関・独立行政法人の技術研修、民間企業の座学中心の研修

研修ビザの要件

研修ビザの上陸許可基準は、研修生本人に関する要件と受入れ機関に関する要件からなります。

①修得する技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと

「同一の作業の反復のみによって修得できるもの」とは、同じ作業を繰り返すだけで特段のレベルアップが期待できない作業です。単純作業の習熟は研修の対象になりません。

②申請人が18歳以上であり、帰国後に日本で修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること

日本での研修後に開発途上国等への技能移転を図ることが研修ビザの目的であることから設けられた要件です。帰国後の所属先・職務が決まっていることを、派遣元機関の文書等で示します。

③申請人が住所を有する地域において、修得することが不可能または困難である技能等を修得しようとすること

自国で修得できる技能等であれば日本で研修を受ける必要性がありません。招へい理由書、研修実施予定表等で確認されます。

④研修が、受入れ機関の常勤職員で、修得しようとする技能等について5年以上の経験を有する研修指導員の指導の下に行われること

研修指導員の経験年数は他の機関での経験年数も通算できます。また、研修指導員が常に直接指導することまでは求められず、研修指導員がカリキュラムを管理するなど包括的な指導の下に行われていれば差し支えありません。

⑤〜⑧受入れ機関に関する要件

  • ⑤報告体制:研修生が活動を継続できなくなった場合に、受入れ機関が地方出入国在留管理局に対応策を報告すること
  • ⑥帰国旅費の確保:受入れ機関またはあっせん機関が研修生の帰国旅費等を確保していること
  • ⑦記録の保存:受入れ機関が研修の実施状況に関する文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、研修終了日から1年以上保存すること
  • ⑧不正行為がないこと:受入れ機関・経営者・管理者・研修指導員が、研修生に対する暴行・脅迫・監禁、旅券の取上げ、研修手当の不払いなどの不正行為を行っていないこと。過去に不正行為があった場合は、所定の期間(行為の内容により5年または3年等)が経過し、再発防止の改善措置が講じられていること

実務研修を含む場合

実務研修(商品の生産・販売、サービスの提供など、実際の業務を通じて技能を修得する研修)を含む場合は、次のいずれかに該当する研修であることが必要です。

  1. 国・地方公共団体または独立行政法人が自ら実施する研修
  2. 独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)の事業として行われる研修
  3. 独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業として行われる研修
  4. 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の事業として行われる研修
  5. 国際機関の事業として行われる研修
  6. 国・地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる研修、外国の国・地方公共団体等の職員が受ける研修など、告示で定めるもの

そのうえで、実務研修を受ける時間が日本における研修時間全体の3分の2以下であることと、次の受入れ体制が求められます。

  • 研修生用の宿泊施設を確保していること
  • 研修生用の研修施設を確保していること
  • 生活指導員を置いていること
  • 研修中の死亡・負傷・疾病に備えた保険への加入その他の保護措置を講じていること
  • 研修施設について労働安全衛生法に規定する安全衛生上必要な措置を講じていること
一般の民間企業が自社で実施する研修には、実務研修を含めることができません。民間企業の研修ビザは座学・見学・実演の観察などが中心になります。実務を含めて技能を身につけさせたい場合は、研修ビザではなく、技能実習(2027年4月以降は育成就労)、特定技能、企業内転勤などの在留資格を検討してください。

研修ビザと技能実習・育成就労の違い

項目研修技能実習(2027年3月まで新規受入れ)育成就労(2027年4月〜)
目的技能等の修得による国際貢献(人づくり)技能移転による国際貢献人材育成・人材確保
雇用契約なし(研修手当の実費支給)あり(労働者として労働法令が適用)あり(労働者として労働法令が適用)
実務原則不可(公的機関等の研修のみ、3分の2以下)実務実習が中心就労しながら育成
在留期間最長1年最長5年原則3年
受入れの枠組み受入れ機関が直接(監理団体不要)監理団体を通じた団体監理型が中心監理支援機関を通じた監理型が中心
その後のキャリア帰国が前提2号修了で特定技能1号へ試験免除で移行可特定技能1号→2号への移行が前提

研修ビザで受け入れた場合は原則として座学による研修になり、労働者ではなく研修生という位置づけのため雇用契約は不要です。一方、技能実習・育成就労は実務を通じて技能を修得する制度で、雇用契約を結び、労働の対価として賃金を支払います。2027年4月1日に技能実習制度は廃止され育成就労制度に移行しますが、研修ビザは別の在留資格として引き続き存続します。育成就労の詳細は育成就労制度とはをご覧ください。

海外の社員を日本で研修させたい——研修ビザで足りるのか、別の在留資格が必要なのか

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民間企業が海外人材を研修させたい場合の選択肢

「海外子会社の社員を日本本社で数か月研修させたい」という相談は多くありますが、実務を含む研修を民間企業が研修ビザで行うことはできません。目的と期間に応じて次の在留資格を検討します。

在留資格使える場面注意点
研修座学・見学・実演の観察が中心の研修。公的機関等の事業であれば実務研修も可民間企業は実務不可。報酬は不可で研修手当のみ
企業内転勤海外の本店・支店・関連会社に1年以上勤務した社員を日本の事業所に期間を定めて転勤させ、技人国に該当する業務(技術・企画・管理等)に従事させる現場作業(製造ライン等)は不可。実務研修として現場に入れるのは採用当初の限定された期間のみ
短期滞在90日以内の会議・商談・見学・座学研修。報酬を受けない活動に限る就労・実務不可。報酬を伴う活動は不可
技術・人文知識・国際業務日本法人と雇用契約を結び、専門的業務に従事させる学歴・実務経験の要件あり。現業の恒常的な兼務は不可
育成就労・特定技能現場作業を含めて就労させながら育成する対象分野・業務区分に限られ、監理支援機関や支援体制など制度上の要件を満たす必要
企業内転勤の詳細は企業内転勤ビザとは、技人国の「本邦の公私の機関との契約」の考え方は技人国の「本邦の公私の機関」とはをご覧ください。

よくある質問

Q. 研修生に給料を払ってもよいですか?

雇用関係がないため、労働の対価としての賃金は支払えません。在留期間中の生活費・交通費などの実費を研修手当として支給します。

Q. 研修ビザで研修を受けた人を、その後そのまま雇用できますか?

研修ビザは帰国が前提の在留資格で、研修から直接就労の在留資格に変更することは原則として想定されていません。雇用するには、いったん帰国したうえで技人国などの要件を満たして在留資格認定証明書交付申請を行うのが基本です。

Q. 海外子会社の社員を工場で3か月OJTさせたいのですが、研修ビザは使えますか?

民間企業の実務研修は研修ビザの対象外です。海外子会社に1年以上勤務している社員であれば企業内転勤、報酬を伴わない見学・座学なら短期滞在を検討してください。

研修ビザまとめ

  • 研修ビザは技能修得による国際貢献のための在留資格で、雇用契約を結ばず研修手当を支給する
  • 要件は、技能の性質(反復作業不可)、18歳以上と帰国後の従事予定、自国で修得困難、5年以上の経験を持つ研修指導員、報告体制、帰国旅費、記録保存、不正行為なしの8点
  • 実務研修は国・地方公共団体・独立行政法人・JICA・JNTO・JOGMEC・国際機関等の研修に限られ、研修時間の3分の2以下。宿泊施設・研修施設・生活指導員・保険・安全衛生の体制が必要
  • 民間企業が実務を含めて研修させたい場合は、企業内転勤・短期滞在・技人国・育成就労・特定技能から目的に合うものを選ぶ

研修ビザは研修内容や受入れ体制を中心に確認すべきポイントがいくつかありますが、要件を押さえれば取得できます。研修ビザの在留資格認定証明書交付申請、招へい理由書・研修計画書の作成にも対応していますので、海外人材の招へいをご検討の際はご相談ください。

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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