
2027年(令和9年)4月の制度開始に向けて、実務現場では「育成就労制度」の詳細が次々と明らかになっています。特に企業の皆様が最も気にされる「結局、何名まで雇えるのか?」という受入れ人数枠については、従来の技能実習制度から大きな変更点があります。
本記事では、外国人雇用の専門家である行政書士法人タッチが、最新の情報に基づき、育成就労制度の受入れ人数枠と受入れ枠が実質的に減ってしまう企業の具体例をわかりやすく解説します。
目次
育成就労制度とは?技能実習からの大きな転換点
育成就労制度は、これまでの「国際貢献(技能移転)」という建前を廃止し、「我が国の人手不足分野における人材の育成・確保」を明確な目的として創設されました。
最大の目標は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能・日本語能力(A2相当)を有する人材を育成することです。
【受入れ人数枠】技能実習制度との決定的な違い
従来の技能実習制度では、1号(1年目)、2号(2・3年目)といった区分ごとに人数枠が管理されていました。
しかし、育成就労制度ではこの区分が廃止され、「3年間の通算人数」で上限が設定されます。
基本的な考え方
受入れ可能な人数の上限は、企業の常勤職員の数に応じて決まります。
- 計算の対象: 1年目〜3年目までの育成就労外国人の合計。
- 対象外となる人: やむを得ない事情で転籍してきた者、3年を超えて延長している者などは、枠外としてカウントされます。
常勤職員数別:受入れ人数枠の一覧表
監理型(監理支援機関の支援を受ける形態)における、基本人数枠は以下の通りです。
| 常勤職員数 | ①一般の受入れ枠(基本枠) | ②優良な受入れ枠(基本枠の2倍) | ③地方×優良の受入れ枠(基本枠の3倍)★ |
| 301人以上 | 総数の15% ($3/20$) | 総数の30% ($3/10$) | 総数の45% ($9/20$) |
| 101~200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51~100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 31~40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9~30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 1~8人 | 3人~9人 | 4人~18人 | 5人~24人 |
「常勤職員」には、育成就労外国人や技能実習生は含まれません。ただし、特定技能外国人など他の在留資格の外国人は常勤職員としてカウントできます。
最新の「地方への配慮施策」による拡大枠
今回の改正で注目すべきは、地方(指定区域)の優良企業に対する優遇措置です。
基本人数枠の3倍まで受入れ可能(上記表の③)
「優良な監理支援機関」の指導を受け、かつ「地方(指定区域)」に住所がある「優良な育成就労実施者」であれば、基本枠の3倍まで受入れ人数を拡大できます。
- 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県以外の道県。
- 上記8都府県のうち、過疎地域に該当する市町村。
- 例:埼玉県秩父市、千葉県勝浦市、東京都奥多摩町、神奈川県真鶴町など。
転籍(転職)者の受入れに関する制限
育成就労制度では一定の要件下で「本人意向による転籍」が認められますが、受入れ側には以下の制限があります。
- 転籍者の割合: 在籍する育成就労外国人のうち、本人意向の転籍者は3分の1を超えてはなりません。
- 大都市圏への集中防止: 大都市圏(指定区域外)の企業が地方から転籍者を受け入れる場合、その割合は全体の6分の1以内に制限されます。
注意!受入れ人数枠が「実質減少」する企業の具体例
今回の改正により、受入れ可能な人数が実質的に少なくなる企業があります。特に以下のケースに該当する企業は、事前の対策が必要です。
① 従業員数1~2名の小規模な受入れ企業
技能実習制度では、常勤職員数が1〜2名の企業であっても、1号枠で3名、2号枠で6名、合計で最大9名の実習生を受け入れることが可能でした。 しかし育成就労制度では、常勤職員1名の企業の基本枠は3名、2名の場合は6名に制限されます 。
これまで「毎年3名ずつ」採用し、常に計9名の体制を維持していた企業は、新制度では総枠が埋まると、誰かが帰国や転籍で抜けるまで次の採用ができなくなります。
② 「優良認定」に適合しない企業
新制度でも、法令遵守や育成体制が優れた「優良な受入れ機関」には、人数枠の拡大措置があります。
認定を受けられない「一般」区分の企業は、優良企業の半分以下の人数しか受け入れられません。これまで優良認定を前提に多くの実習生を雇っていた企業が、新制度で認定を逃すと、大幅な減員を余儀なくされます。
③ 日本人スタッフの離職が続く建設企業
建設分野には、「育成就労外国人の数が、常勤職員(主に日本人)の総数を超えてはならない」という独自のルール(上乗せ基準)が適用される見込みです 。
日本人スタッフが退職して常勤職員数が減ると、それと同時に外国人の受入れ上限も自動的に引き下げられます。
まとめ:2027年 育成就労開始に向けた企業の備え
育成就労制度への移行により、単純な人数枠の計算だけでなく、「優良要件の適合」や「地方特例の活用」が人材確保の鍵となります。
- 優良実施者の認定を目指すことで、人数枠は2倍になります。
- 地方企業であれば、監理支援機関の選定次第で3倍の受入れも視野に入ります。
行政書士法人タッチでは、貴社の職員数や所在地に基づいた最適な受入れシミュレーションを承っております。新制度へのスムーズな移行は、準備の早さで決まります。
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