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20246月に公布された改正法により、長年続いた「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました。この新制度は、人材育成と人材確保を目的とし、労働者としての権利保護やキャリアアップの道筋を明確にするものです。

制度の施行日は令和9年(2027年)4月1日と閣議決定されました。

本記事では、新制度において極めて重要な役割を担う「監理支援機関(かんりしえんきかん)」について、その役割や許可要件、申請スケジュールを、現時点で判明している法令・省令案に基づき、専門家である行政書士が詳しく解説します。

 

1. 監理支援機関とは:技能実習監理団体からの移行

「監理支援機関」とは、これまでの技能実習制度における「監理団体」に代わる新たな機関です。

育成就労制度には、受入れ企業が単独で行う「単独型」と、監理支援機関が監理・支援を行う「監理型」がありますが、大半の受入れは後者の「監理型」になると予想されます。

 

監理団体との違いと許可の必要性

既存の監理団体がそのまま自動的に監理支援機関になれるわけではありません。許可基準が厳格化されており、新たに許可を受ける必要があります

 

ここがポイント

技能実習制度の監理団体も、新制度下で監理支援事業を行うためには、改めて「監理支援機関」としての許可を受けなければなりません。許可を受けなければ、監理支援事業を行うことはできません。

 

中立性と独立性の厳格化

新制度では、受入れ機関(育成就労実施者)との癒着を防ぐため、「中立性・独立性」がより厳しく求められます。

例えば、受入れ機関と「密接な関係」を有する役職員は、原則としてその受入れ機関に対する業務に関与できません(入国後講習などの一部業務を除く)。

また、監理支援機関の役職員1人あたりが担当できる受入れ機関数も「8社未満」と上限が設けられ、適切な監理ができる体制が義務付けられました。

 

2. 監理支援機関の役割:より厳格な監理と保護

監理支援機関は、受入れ機関(育成就労実施者)と外国人材の間に入り、適正な育成就労が行われているかをチェックし、支援する役割を担います。

 

主な業務内容

1. 実地監査と指導の強化

受入れ企業に対して、以下の頻度で監査や指導を行う必要があります。

• 実地監査: 3ヶ月に1回以上の頻度で、受入れ企業に対して実地監査を行います。
• 実地確認・指導: 育成就労開始から1年を超えない期間については、特に手厚いサポートが必要とされるため、1ヶ月に1回以上の頻度で実地確認等の指導を行うことが求められます。

 

2. 相談・支援体制と情報公開

外国人材からの母国語での相談に応じる体制や、緊急時の対応能力が求められます。

また、透明性を高めるため、受入れ機関から徴収する「監理支援費」の金額等をホームページ等で公表することが義務付けられます。

 

3. 転籍(転職)の支援と費用調整

ここが制度改正の大きな目玉です。

新制度では、やむを得ない事情だけでなく、一定の要件(就労期間や技能検定基礎級合格など)を満たせば、本人の意向による転籍が可能になります。 監理支援機関は、ハローワークや外国人育成就労機構と連携し、この転籍支援を行う役割も担います。

 

転籍に伴う費用の按分(コストシェア)

外国人材が転籍する場合、新しい受入れ機関(転籍先)は、前の受入れ機関(転籍元)に対し、初期費用(育成費用等)の一部を補填する仕組みが導入されます。

• 1年6ヶ月未満で転籍: 定められた額の6分の5を支払う
• 2年6ヶ月以上で転籍: 定められた額の4分の1を支払う といった具合に、就労期間に応じた按分率が設定される予定です。監理支援機関は、こうした手続きの調整役としても機能します。

 

3. 監理支援機関の許可要件:ここが変わった!

許可を受けるための要件は、従来の監理団体許可よりも厳格化されています。これから申請を考える法人が押さえておくべき重要ポイントを解説します。

 

外部監査人の設置義務化(最重要)

監理支援機関の許可要件として、「外部監査人」を設置し、その監査を受けることが必須となります。これは、内部の馴れ合いを防ぎ、適正な業務運営を担保するためです。

• 誰がなれるか: 弁護士、社会保険労務士、行政書士などの有資格者、または育成就労に関する知見を有する者で、かつ養成講習を受講した者。
• 中立性: 受入れ機関と密接な関係を有しない者でなければなりません。
• 役割: 監理支援機関の業務執行状況を監査し、不正がないかチェックします。

 

財産的基礎(財務要件)

安定した運営を行うため、債務超過がないことが許可基準として明確に定められています。財務状況が不安定な団体は、許可を取得・更新することができません。

 

③ 実施体制(職員数)の基準

監理支援事業に従事する常勤役職員の数について、以下の基準を満たす必要があります。

• 監理支援を行う受入れ企業数(実習実施者数)に対して:8社につき1名以上
• 監理する育成就労外国人数に対して:40人につき1名以上

 

コンプライアンスと不法就労助長罪の厳罰化

新制度導入に合わせ、入管法も改正され、不法就労助長罪の罰則が引き上げられました(「3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金」から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金へ)。

監理支援機関は、受入れ企業が法令を遵守しているかを厳しくチェックする立場にあり、高いコンプライアンス意識が求められます。

 

4. 申請スケジュール:2027年施行に向けて

施行日は2027年(令和9年)41です。 これに向けたスケジュール感は以下の通りです。

時期 内容
現在~2026 分野別運用方針の決定
2026年4月~ 事前申請の受付開始(予想)
2027年41 育成就労法 施行

許可申請から許可が下りるまでには審査に数ヶ月を要します。施行日である202741日からスムーズに新制度での事業を開始(または移行)するためには、2026年4月頃から開始が見込まれる「事前申請」の段階で手続きを行うことが極めて重要です。

特に、外部監査人の選定定款の変更新基準に合わせた人員体制の整備には時間がかかります。直前になって慌てないよう、今から計画的な準備が必要です。

 

5. まとめ:早めの準備が鍵

育成就労制度における監理支援機関は、単なる手続き代行ではなく、外国人材のキャリア形成と保護、そして日本の産業を支える人材確保を担う重要なプラットフォームとなります。

要件が厳格化された分、許可を取得・維持することは、その機関の社会的信頼性の証明とも言えます。

行政書士法人タッチでは、育成就労制度への移行・新規参入を目指す皆様に対し、以下の専門的なサポートを行っております。

• 要件診断: 既存の監理団体様が新制度へ移行できるかの詳細な要件チェック
• 体制構築支援: 新規で監理支援機関設立を目指す法人様への定款作成・組織図作成アドバイス
• 外部監査人対応: 外部監査人の要件を満たす専門家の紹介や連携サポート
申請書類作成: 膨大な事前申請書類の作成・提出代行

制度の詳細は現在も議論が進められており、各産業分野ごとの「分野別運用方針」も2026年1月に公表されました。最新情報を常にキャッチアップし、2027年のスタートダッシュに遅れないよう、今から準備を進めましょう。

監理支援機関の許可申請や新制度への対応に関するご相談は、行政書士法人タッチにお任せください。