外国人留学生の採用活動を行っている企業から、この学生は就労ビザを取れますか?といった問い合わせを数多くいただきます。せっかく採用コストや時間をかけて、外国人留学生に内定を出したのに、入管に申請してみたら許可をもらえなかったということにならないよう、きちんと就労ビザの要件を確認し、採用活動を行っていくことが重要です。

目次

留学ビザから就労ビザ取得までの流れ

①外国人留学生との採用面接

②内定

③入管へ「在留資格変更許可申請」の提出
※翌年3月卒業者の場合、前年の12月頃が申請可能です。
例)20223月卒業予定外国人の場合は、202112月から申請可能

④審査期間(約13カ月)

⑤結果の通達

外国人留学生が卒業後に取得する在留資格

よく就労ビザが必要という言葉を用いますが、就労ビザ(在留資格)といってもいくつも種類があり、外国人の経歴や学歴、入社後に従事する業務内容によって取得できるビザが異なります。
そして、外国人留学生が取得する就労ビザを現状主に下記の2つに分かれます。

技術・人文知識・国際業務

主な職種:文系では、営業、財務、人事、総務、企画、通訳翻訳、語学教師、デザイナーなどが挙げられます。
一方理系では、システムエンジニア、プログラマー、設計、生産技術な
どが挙げられます。

技術人文知識国際業務では、術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とし、いわゆる単純労働系の仕事は該当しません

特定技能

特定技能1号は14業種があり、業種ごとに従事可能な業務が定められております。
主な職種:介護職、建築物内部の清掃、建設業の現場作業、外食業飲食物調理接客舗管理、ホテルの接客、農業の栽培管理農産物の集出荷・選別等、漁業での業務、鋳造・金属プレス加工など様々な業務に従事することが可能です。

ただし、業種ごとに行われる試験に合格していること必要であったり、受入機関の要件が細かく定められております。詳細な要件については下記に記載いたします。

技術・人文知識・国際業務と特定技能の取得要件

技術・人文知識・国際業務と特定技能それぞれ取得要件について説明させていただきます。

技術・人文知識・国際業務の要件

⇒技術・人文知識・国際業務の要件については別ページで詳細に説明させていただきます。

特定技能の要件

特定技能の在留資格を取得するには、外国人本人は、各特定産業分野の試験に合格する必要があります(「特定技能1号」は日本語試験にも合格する必要があります)。

試験は全国で行われており、「特定技能試験」などでネット検索すると日程や試験科目を調べることが出来ます。
ただし,技能実習2号を良好に修了した技能実習生は,技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について関連性が認められる場合,試験が免除されます。

特定技能受入企業の条件

特定技能は2019年に、同分野での深刻な人手不足に対応するため設けられた制度でありますが、立法にあたっては「事実上の移民政策」との声が上がり、外国人が増えることへの反対意見が多数ありました。
そのためもあり、特定技能分野で問題が多発しないよう当該制度は非常に緻密に定められており、企業側の負担が大きいのも現実です。
(1)外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
特定技能外国人の報酬の額や労働時間などが日本人と同等以上etc...
(2)受入れ機関自体が適切であること
法令等を遵守し「禁錮以上の刑に処せられた者」などの欠格事由に該当しないこ
保証金の徴収や違約金契約を締結していないことetc...
(3)外国人を支援する体制があること
(4)外国人を支援する計画が適切であること
その他、1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関は,当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し,当該計画に基づいて支援を行わなければなりません。

最後に

留学ビザから就労ビザの切り替えは、採用面接時から当該外国人の経歴や学歴をもとに、会社が求める人材(従事させたい職務内容)で、就労ビザが取得できるか否かを判断しなければなりません。

当事務所も企業の採用面接に入らせていただき、書類選考時に就労ビザを取れるか否か判断させていただく機会がありますが、やはり最初の時点でこの見極めに失敗すると、その後の採用活動の全てが無駄になってしまうケースがあります。

そのため外国人の採用においては、きちんと在留資格の要件を確認し、慎重に判断していくことが何より重要となります。