飲食店を営む企業様から外国人の就労ビザを取得したいと多くの相談をいただきますが、まず就労ビザといっても多くの種類があり、ホールやキッチン、店舗を統括するエリアマネージャーなどの職務内容によって、それぞれ取得する在留資格が異なります。
目次
ホールやキッチン業務で外国人を雇用したい場合
飲食店を営む企業から最も多いお問い合わせがこちらになります。
当該業務で外国人を雇用し、就労できる在留資格は主に3つとなります。
※「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」などの在留資格を持っている外国人は、就労制限なく働けますので、職務内容などを気にする必要はありません。
①留学生の資格外活動(アルバイト)
現在日本に多くの外国人留学生が在留しており、彼らは「留学」の在留資格を持っております。
留学生は「資格外活動許可」を得ることによって、週28時間以内のアルバイトが認められております。
このような外国人をホールやキッチンスタッフとして雇用し、当該業務に従事させることは法律上問題なく、多くの居酒屋やレストラン等で外国人留学生がアルバイトを行っております。
ただし、このアルバイトの許可は「留学」という活動に紐づいているため、学校を卒業した後や退学した場合はアルバイト不可となり、引き続きその外国人を雇用したい場合、下記に記載する「技術人文知識国際業務」や「特定活動」などの在留資格に変更することが必要です。
②特定技能(外食業)
在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度で、飲食物調理、接客、店舗管理の業務に従事することが可能です。特定技能の在留資格を取得するには、外国人本人が、「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を良好に修了するか、外食業特定技能1号技能測定試験及び日本語能力試験に合格していることが必要となります。
③特定活動46号
本邦の大学を卒業又は大学院の課程を修了し,学位を授与された方で,高い日本語能力を有する方が対象となります。飲食店に採用され,店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの(日本人に対する接客を行うことも可能です。)が対象となります。※厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。
(1)学歴について
日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られます。短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の修了は対象になりません。
(2)日本語能力について
ア 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方が対象です。
※日本語能力試験については,旧試験制度の「1級」も対象となります。
イ その他,大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方については,アを満たすものとして取り扱います。
店舗管理や飲食店のマーケティング・営業業務等で外国人を雇用したい場合
管理者として複数店舗の管理や売上増につながるマーケティングや営業業務に外国人を従事させたい場合や留学生としてアルバイトをしていた外国人を卒業後も雇用したい場合などがあるかと思います。
その場合は下記の技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得します。
※この在留資格の場合は、ホールやキッチン業務に従事することは出来ません。
技術・人文知識・国際業務
技術・人文知識・国際業務の就労ビザを取得する場合は、外国人本人が大学を卒業または専門学校を卒業している必要性があります。(実務経験での申請の場合を除く)また飲食業界で従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していることが必要です。そして従事しようとする業務は,学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とするものであって,単に経験を積んだことにより有している知識では足りず,学問的・体系的な技術・知識を必要とする業務でなければなりません。
飲食店で技術・人文知識・国際業務の在留資格の該当する職務内容
顧客の大半が外国人観光客の飲食店での、外国語のメニューの翻訳業務、食材等の海外取引業務、来店された外国人の通訳業務などが挙げられます。その他、飲食チェーン店などでは、複数店舗の管理として、発注業務、在庫管理、品質管理、個人情報管理、勤務管理、予算計画、人事管理、コンプライアンス、決算等の業務が該当します。
最後に
飲食店で外国人を雇用する場合に必要となる就労ビザの種類は、まずホールやキッチン業務に従事するのか、管理者業務に従事するのかによって取得する在留資格が異なります。また本人の経歴や学歴によって希望の就労ビザを取得出来るか否かも異なりますので、飲食店で外国人を雇用するにあたっては慎重な判断が必要です。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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