外国人従業員が退職した場合、会社が行う手続き

外国人従業員が退職した場合に会社側が行う手続きは、下記の通り原則日本人と同様です。

・雇用保険被保険者資格喪失届の届出
・雇用保険の離職票の交付(外国人も失業保険の受給資格があれば受給が可能です。受給の際に必要ですので、離職票は渡しましょう)
・源泉徴収票の交付
・社会保険の資格喪失届の届出
・住民税の変更手続き
・会社からの貸与品の回収

雇用保険被保険者資格喪失届

上記のうち、「雇用保険被保険者資格喪失届」の届出は基本的には日本人が退職する場合と同様ですが、外国人被保険者用の欄に氏名、在留カード番号、在留期間、派遣又は請負朱楼区分、国籍・地域、在留資格を記入する箇所がありますので、記入忘れないように注意しましょう。(本人の所持する在留カードに在留カード番号等は記載があります)

入管法(正式には出入国管理及び難民認定法)では外国人が離職した場合には雇用側が出入国管理局に届け出るよう努めなくてはならいと定められていますが、ハローワークへこの雇用保険被保険者資格喪失届を提出することで出入国管理局に届け出ることは免除されています。

外国人が雇用保険の対象でない場合は、ハローワークに「外国人雇用状況届出書」を提出しましょう。尚、外国人のうち在留資格が「外交」「公用」または「特別永住者」については、雇用時も出入国管理局に届出不要ですので、離職時も必要ありません。

退職証明書

外国人が退職後、帰国せずに転職等する場合にビザの変更や就労資格証明書の交付申請をする際に出入国管理局に退職証明書を提出する必要があります。

そのため、退職する外国人から求められたら「退職証明書」を交付しましょう。
「退職証明書」には決まった書式はありませんが、労働基準法第22条に規定がありますのでそれに沿って作成してください。

〈労働基準法第22条〉
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

ここで注意しなくてはいけないのは、同条第三項に「労働者の請求しない事項を記入してはならない。」とあります。
もし外国人側に落ち度があり解雇することになった場合でも、外国人が解雇理由について記載しないでほしいと言われた場合は記載してはいけません。

また第四項には、「使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。」とありますので、この点にも注意しましょう。

外国人が退職後帰国する場合

雇っていた外国人が退職後帰国をする場合、日本で年金を受け取ることができないことになります。外国人が厚生年金の加入期間が6カ月以上ある等一定の条件を満たしていれば、日本を出国後2年以内に「脱退一時金」を請求することができます。「脱退一次金」とは厚生年金から支給される一時金のことで、保険料の掛け捨て(日本を離れると将来老齢年金を受け取ることができない)を防ぐため、厚生年金保険の加入期間に応じて支払われます。
この手続きは本人が行うものですので雇用側がすることは特にすることはありませんが、退職時に外国人に説明してあげるとよいでしょう。日本人と比べて外国人は転職することにとまどいがなく、雇用条件がよかったり自分の生活により適しているということになればすぐに転職することが多い傾向があるようです。従業員が退職する際に日本人の場合と異なる点はさほどありませんが、外国人を雇用することになったら同時に退職時に雇用側がどうすべきかについても把握しておくことをおすすめいたします。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

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