外国人の採用が決まり、就労ビザも取得し、ではここからは日本人と同じように就労、というわけには実はいきません。
雇用側には重要な義務があります。「
雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律」の成立に伴って、平成1910月より外国人を雇用する全ての企業に外国人雇用状況の届出義務が課せられました。
この義務を怠ると罰金を科せら
れますので必ず行いましょう。また外国人が退職するときも届出が必要です。

外国人雇用状況の届出の対象の外国人

在留資格が「外交」「公用」となっている外国人と特別永住者である外国人以外の全ての外国人が対象です。雇用する際には日本人と同じように就労制限のなかった「日本人の配偶者等」等の在留資格を持つ外国人を採用した場合も届出が必要です。また外国人の正社員だけでなく、アルバイトやパートで雇用した場合も届出が必要となります。

外国人雇用状況の届出方法と届出先

外国人雇用状況の届出先は、厚生労働大臣(ハローワーク)となります。

届出用紙をハローワークの窓口に提出するか、オンラインでの届出も可能です。

ハローワークに提出する場合

届出用紙はハローワークで配布している他、厚生労働省のホームページからもダウンロードが可能です。
雇用する外国人が雇用保険の被保険者かそうでないか
によって届け出る様式が異なります。

〈被保険者の場合〉

雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届に、在留資格、在留期間、国籍・地域等を記載して届け出ることができます。
届出期限は取得届又は喪失届の提出期限と同様です。(雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内)

なお、在留カード番号の記載も必要ですので、在留カード番号のない取得届または喪失届を使用する場合には「外国人労働者在留カード番号記載様式」に記入をして併せて提出しましょう。
この雇用保険被保険者資格取得届が外国人雇用状況の届出を兼ねていますので、別途外国人雇用状況の届出は不要です。
※尚、雇用保険の加入は日本人と同様です。

31日以上引き続き雇用されることが見込まれること31日未満でも更新の可能性がある場合は加入することになります)
1週間の所定労働時間が20時間以上であることこの2つを満たす場合は雇用保険の加入が義務となります。
アルバイトやパート従業員でも同様です。

〈被保険者でない場合〉

届出様式(第3号様式)に、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域等を記載して届け出てください。
届出期限は雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までです(例:101日の雇入れ→1130日までに届出)
厚生労働省のホームページからダウンロードして記載する場合には、1ページ目の届出内容記入面を用紙の表に、2ページ目の注意書面を用紙の裏にそれぞれ印刷してください。別々の紙に印刷しないよう気を付けましょう。

オンラインで届出をする場合

厚生労働省の外国人雇用状況届出システムを使用します。
以前一度でも
届出により、一度でもハローワークに届出を行ったことのある場合にはこのシステム上でユーザID及びパスワードを取得することはできません。
今後、インターネ
ットによる届出を希望する場合は、届出用紙を提出したハローワークに問い合わせをしてください。

届出を怠るまたは虚偽の届出をした場合

「外国人雇用状況の届出」は全ての事業主の義務です。
これを怠るまたは虚偽の届出を行
うと30万円以下の罰金が科せられます。出し忘れなどある場合には管轄のハローワークに問い合わせをしましょう。

外国人が離職した場合

外国人雇用状況の届出は雇用時だけでなく離職時にも必要です。
雇用保険の被保険者は
喪失届を、そうでない外国人は雇用時と同様の様式第3号を提出しましょう。

外国人を雇用するまたこの届出をする時にも在留カードの確認は必ず行うべきことですがその際には在留期限にも注意を払いましょう。
在留期限を見過ごして雇用をすると不法就労の助長と見なされ、雇用側も罪に問われることもあります。そういったことを防ぐためにもこの届出制度をきちんと守りましょう。
外国人雇用状況の届出個々の事業所における外国人労働者の雇用状況を把握し、外人労働者の雇用の安定を含めた地域の労動力需給の適正な調整及び外国人労働者に対する適切な雇用管理の促進を図ることを目的としたものです。

外国人を不法就労から守り、安心して働ける場を提供することにつながり、雇用側もまた不法就労などのトラブルの回避でき、事業を守ることができます。届出の期限もあり手間がかかるかもしれませんが、オンラインでの届出を利用するなどして期限内に適切に届出を行いましょう。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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