特定技能外国人として採用できる外国人

 

在留資格「特定技能」で外国人を雇おうとする場合、その対象とできる外国人は大きく分けて以下の2つです。国内の外国人も国外の外国人も同様です。

 

・技能実習2号の良好修了者

※従事予定の業務と関連する職種・作業の技能実習2

 

・技能試験および日本語試験に合格している者

 

◎介護分野のみ、

介護福祉士養成施設の修了者およびEPA介護福祉士候補者としての4年間の在留期間の満了者

も在留資格「特定技能」で雇い入れる対象になります。

 

技能実習2号の良好修了者

 

技能実習2号の良好修了者とは、技能実習を210か月以上修了した者であって、技能検定3級合格or技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格者or技能実習実施中の出勤状況や技能習得状況を総合考慮して良好に実習を修了したと認められた者をいいます。

 

詳しくはこちらの記事(リンク:特定技能2号良好修了者とは)をご覧ください。

 

技能試験

 

技能試験は通常は日本国内で行われます。そのため、受験するためには日本に在留していなければなりません。

海外に在住している外国人については在留資格「短期滞在」で来日して受験をします。

不法残留者等、現に日本に在留していたとしても、在留資格を有していない者には受験資格はありません。

また、イラン国籍の者についても、国内での技能試験の受験資格はありませんのでご注意ください。

 

外国人を特定技能で雇い入れる際の採用ルート

 

実際に外国人を特定技能で雇い入れる際の採用ルートとしては、

①当該外国人が海外在住の場合

②当該外国人が日本に在留している場合

2パターンがあります。

雇い入れる予定の外国人が海外在住の場合

 

海外在住の外国人を特定技能で雇い入れるには、在留資格「特定技能」の在留資格認定証明書の交付を受ける必要があります。

 

1 国外にわたる職業紹介を用いる場合

職業安定法は、海外に在住する外国人と日本国内の企業との間の雇用契約をあっせんする職業紹介の場合にも適用されます。

なぜなら、職業紹介は労働者の保護と国内労働市場の秩序維持を図る必要があり、かつ、国内に与える影響が非常に大きく、規制の必要性があるためです。

 

国外にわたる職業紹介・海外の取次機関を用いる場合は、①提携する国外機関の申告、②相手先国に関する書類および取次機関に関する書類を提出する必要があります。

 

書類の具体例としては、

・相手先国の関係法令(+日本語訳)

・取次機関との業務分担について記載した契約書(+日本語訳)

・上記契約書のほか、事業の運営に関する書類(+日本語訳)

・相手先国において当該取次機関の活動が認められていることを証明する書類(+日本語訳)

・取次機関に関する申告書

が挙げられます。

国外にわたる職業紹介の図

国外にわたる職業紹介の図

 

2 海外での職業紹介を用いない場合

受入企業が直接海外で外国人人材を探し、特定技能で直接雇うことは問題ありません。

特定技能の場合においては、雇おうとする外国人が住んでいる国に特段の法令がない限り、受入企業は第三者の仲介を経ず、直接外国人を雇うことができます。

(この点が技能実習生を受け入れる場合との大きな違いです)

 

受入企業のホームページで海外向けに求人広告を出して特定技能外国人を雇うことも可能です。

 

もっとも、雇おうとする外国人が住んでいる国で、外国人を雇う際に遵守すべき手続きがある場合は、その手続きを経る必要があります。

 

また、求人情報・求職者情報を提供するのみで、求人・求職の申込みを行わない(=雇用関係成立のあっせんを行わない)業者は「職業紹介」に当たらないため、このような業者を用いる場合には職豪安定法の許可を受ける必要はありません。

 

※ただし、体裁は求人情報を提供するだけのものですが、外国人と企業の意思疎通をインターネット上でさせ、実質的に雇用契約のあっせんを行っているような業者の場合、「職業紹介」に該当する可能性が出てきます。

「職業紹介」に該当した場合には上述1のような手続きを経なければなりません。

厚生労働省によって「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介事業の区分に関する基準」が示されていますのでご参考ください。

 

雇い入れる予定の外国人が日本に在留している場合

 

雇い入れたい外国人が海外に住んでいる場合に比べ、こちらの方が特定技能の要件を満たす外国人を見つけたり、必要な試験を受けさせたりといったことがしやすいです。

 

日本に在留している外国人は既に何らかの在留資格を持っています。

そのような外国人を特定技能で雇い入れる場合には、在留資格「特定技能」への在留資格変更許可申請が許可される必要があります。

 

1 特定技能への在留資格変更が認められない例

 

在留資格の変更に相当な理由がないと判断された場合は在留資格変更許可が認められません。以下のような例が挙げられます。

 

(1)退学・除籍された留学生

学校の在籍状況が良好でなく、退学・除籍となった留学生は原則として特定技能への在留資格変更が認められません。

※所定の過程を修了して卒業した者や、特別の事情があって「留学」に応じた活動を行っていなかった者はここに含まれません。

 

(2)失踪した技能実習生

失踪は「技能実習」の在留資格に該当する活動を行わないで在留していたと評価され、このような者には原則として在留資格の変更に相当な理由があるとは認められなくなります。

※特別の事情があって「技能実習」に該当する活動を行っていなかった者はここに含まれません。

 

(3)在留資格が「短期滞在」の者

短期滞在から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別な事情が無い限り許可されないため、原則としてこのような者の特定技能への在留資格変更は認められません。

 

(4)在留資格に該当する活動を行うに当たって活動計画の作成が求められるもので、

①その活動計画の性質上、他の在留資格の変更が予定されていないもの

②その活動計画の性質上、当該活動終了後に特定の在留資格への変更・現在の在留資格の更新

が当然に予定されているもの

 

①の例としては、「技能実習(技能実習計画修了前)」、「研修(計画終了前)」、「特定活動(インターンシップ)」などが挙げられます。

まとめ

 

1 雇用予定の外国人が海外在住

→・国外にわたる職業紹介を用いる場合には一定の手続きを遵守する必要がある

・企業が雇用する外国人を直接探す場合、原則手続的規制はなし

 

2 雇用予定の外国人が日本在住

→雇用する外国人を見つける手間は少ないが、在留資格変更ができない場合に注意

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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