「特定技能1号」の在留資格に必要な試験

 在留資格「特定技能1号」の上陸許可基準として

 

①技能試験の合格

②日本語試験の合格

 

が必要です。

 

しかし、「技能実習2号を良好に修了している者」に該当すれば、この2つの試験への合格を免除されます。

技能実習2号良好修了者とは

 「技能実習2号を良好に修了している者」に該当するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1 要件

(1)技能実習の職種と特定技能の業務区分が一致していること

 

そもそも、技能実習で修得した技能に係る職種と、特定技能として就業する予定の業務区分が一致している必要があります。

 

(2)期間

 

技能実習1号を「1年」、技能実習2号を「110月以上」、計210か月以上修了している必要があります。

 

(3)ア 技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格

 

イ アの試験に合格していない場合は、評価調書等で、技能実習実施中の出勤状況が良いこと、技能の修得状況が良いことといった点が認められる必要があります。

評価調書とは、実習実施者が作成した技能実習の実習状況を評価した文書です。

2 旧法下の技能実習生の場合

①技能実習法施工前の技能実習2

②改正前の「特定活動」(在留資格「研修」に係る特定活動)

 

といった旧法下の技能実習生であっても、上記のような基準で良好に修了したことを証明できれば、技能実習2号良好修了者と同等に扱われ、技能試験・日本語試験が免除されます。

3 技能実習が複数の職種や作業にまたがっている場合

 複合的な業務に従事していた場合、サブとなる分野の業務について210か月以上の修了がなかったとしても、

 

①メイン・主となる分野の業務に210か月以上従事

②サブとなる分野の技能検定3級(またはこれに相当する技能実習評価試験)の実技試験に合格

 

が満たされれば、技能実習2号良好修了者と扱われます。

「技能実習」から「特定技能」への移行

1 帰国は不要

技能実習は、日本で得た技術を本国に持ち帰らせるということが目的の制度ですので、在留資格の変更は一時帰国した後にするのが原則です。

 

しかし、技能実習2号良好終了者が特定技能に在留資格を変更する場合は、一時帰国する必要はありません。

 

2 試験免除の範囲 

技能実習2号良好修了者が特定技能の技能試験を免除される範囲は、その技能実習に関係する職種・作業に対応する分野です。

したがって、異なる分野の業務の特定技能を取得する場合には、その業務に対応する技能試験に合格する必要があります。

 

なお、日本語試験については、異なる分野の特定技能の場合でも免除されます。

(介護分野に係る介護日本語評価試験は免除されませんのでご注意ください)

3 技能実習3号について

 

3号技能実習生は、実習期間中は原則として「特定技能」に在留資格を変更することはできません。

なぜなら、技能実習計画を終了することが前提となっている在留資格であり、この場合に「特定技能」への変更を認めることは法の趣旨に反すると考えられているためです。

まとめ

「技能実習2号を良好に修了している者」は技能試験と日本語試験を免除されます。

 

そして、「技能実習2号を良好に修了している者」とは、①技能実習を210か月以上修了した者で、②出勤状況・技能習得状況などが総合的に良い者をいいます。

 

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

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