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特定技能:建設分野の「誓約書」とは

calendar_month2022年01月12日
cached2026年10月09日

特定技能「建設」で外国人を受け入れる企業は、在留資格の申請の際に「建設分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」を提出しなければなりません。誓約する内容は、国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受けること、認定を受けた計画を適正に実施しその確認を受けること、国土交通省の調査・指導に協力することの3つが柱で、これに従事させる業務と、労働者派遣の対象としないことが加わります。誓約に違反した場合や遵守できなくなった場合は、出入国在留管理庁長官と国土交通大臣への報告義務があり、特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。

本記事では、誓約書の位置づけ、誓約事項の一覧、受入計画の認定・適正実施の確認(適正就労監理機関FITS)・国交省への協力の内容、違反した場合のペナルティ、作成時の注意点を、現時点の情報で解説します。

この記事で分かること
  • 建設分野の誓約書とは何か、いつ・どこに提出するのか
  • 誓約事項の一覧(受入計画の認定・適正実施の確認・国交省への協力・従事業務・派遣の禁止)
  • 適正就労監理機関(FITS)の役割と、巡回訪問で確認されること
  • 誓約に違反した場合・遵守できなくなった場合のペナルティと報告義務
  • 誓約書を作成・提出するときの注意点

「誓約書」の内容と位置づけ

建設分野は、特定技能16分野の中でも受入れ企業に課される上乗せ基準が最も多い分野です。国土交通省は「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領~建設分野の基準について~」で受入れ企業の基準を定めており、誓約書はその基準を受入れ企業が遵守することを書面で約束するものです。

「誓約書」の内容

特定技能「建設分野」では、受入企業は「建設分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」を提出しなければなりません。
また、誓約書に書かれた事項を遵守することができなくなった場合には、受入企業はその旨を出入国在留管理庁長官および国土交通大臣に報告する義務があります。

項目内容
正式名称建設分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式)
誰が受入れ企業(特定技能所属機関)の代表者
いつ・どこに在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の際に、建設分野の添付書類として出入国在留管理庁へ提出する。国土交通省への受入計画の認定申請には提出しない
違反時誓約事項を遵守できなくなった場合は、出入国在留管理庁長官および国土交通大臣に報告する義務がある。違反は受入れが認められなくなる事由になる

誓約事項の一覧

番号誓約事項意味
①建設特定技能受入計画について国土交通大臣の認定を受けること在留資格申請の前提。認定証の写しを添付する
②認定を受けた受入計画を適正に実施し、国土交通大臣または適正就労監理機関の確認を受けることFITSの巡回訪問・指導への対応、受入れ後講習の受講
③国土交通省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと資料提出や立入調査への協力
④従事させる予定の業務(業務区分)土木・建築・ライフライン設備のいずれかの区分内の業務であること
⑤労働者派遣および建設業務労働者就業機会確保事業の対象としないこと直接雇用のみ。違反は刑事罰の可能性
誓約書の様式は入管庁が公表する分野参考様式に従います。番号と文言は様式の改訂により変わることがあるため、申請時は最新の様式を確認してください。受入れ要件全体は建設業の特定技能(1号・2号)受入れ完全ガイドをご覧ください。
誓約書の誓約事項と類似して、受入計画の申請の際にオンライン上で宣誓する事項もあります。日本人と同等額以上の報酬・CCUS登録・元請の指導・国土交通大臣への報告などはこれに該当します。

建設特定技能受入計画について認定を受けること

受入れ企業は、1号特定技能外国人の受入れに関する計画について、その内容が適切である旨の認定を国土交通大臣から受ける必要があります。認定申請はオンラインで行い、審査には1.5〜2か月程度かかります。受入計画では、受入れ企業の要件(建設業許可、CCUS事業者登録、JAC加入、監督処分歴)、国内人材確保の取組み、処遇(月給制・昇給)、事前説明、人数枠、安全衛生教育と技能習得の計画などが審査されます。

受入れ企業が雇用する予定の特定技能外国人が在留資格を取得するには、受入計画の認定証の写しを提出する必要があります。認定を受ける前に在留資格を申請しても許可されません。技能実習生を切り替える場合は、在留期限の半年前から認定申請ができるので、期限から逆算して準備してください。

建設特定技能受入計画を適正に実施していることの確認を受けること

受入れ企業は、認定を受けた受入計画を適正に実施することと、適正に実施されていることについて国土交通大臣または適正就労監理機関から確認を受けることが必要です。確認は、巡回訪問、受入れ状況の報告、受入れ後講習の受講状況などを通じて行われます。

適正就労監理機関(FITS)について

国土交通省は、適正就労監理機関(一般財団法人国際建設技能振興機構・FITS)に、受入れ企業の受入計画の実施状況を確認させ、指導・助言を行わせることができます。特定技能外国人の適正な労働環境を確保するためです。FITSは次の業務を行います。

  • 巡回訪問:受入れ企業を訪問し、雇用契約どおりの報酬が支払われているか、従事している業務が受入計画の業務区分内か、安全衛生教育が実施されているか、住環境・支援体制に問題がないかを確認する
  • 受入れ後講習:就労開始後3〜6か月以内に特定技能外国人が受講する講習(建設業の制度、安全、相談窓口など)を実施する
  • 母国語相談ホットライン:特定技能外国人からの相談を母国語で受け付ける
受入れ企業がFITSに対して非協力的である場合、国土交通大臣による指導等の対象になり、特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。巡回訪問の日程調整には応じ、賃金台帳・出勤簿・雇用契約書をすぐに提示できるようにしておいてください。

国土交通省が行う調査または指導に対し必要な協力を行うこと

上記のほか、国土交通大臣が調査・指導を行う場合には、それに対し必要な協力をしなければなりません。これに従わない場合は、特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。2026年1月の政府の総合的対応策以降、外国人の受入れ機関への実態調査は分野を問わず強化されており、建設分野ではFITSの巡回訪問に加えて国土交通省・入管庁による調査が行われることもあります。

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その他の誓約事項

従事させる予定の業務

雇用する特定技能外国人に従事させる予定の業務を誓約書に記載します。土木・建築・ライフライン設備の3つの業務区分のいずれかに該当する業務であることが必要で、区分外の作業を主たる業務にすることはできません。

直接雇用のみ(労働者派遣の対象としない)

労働者派遣および建設業務労働者の就業機会確保の対象としない旨を誓約します。要するに、受入れ企業が直接雇用することのみが認められ、派遣や他社への就業機会の確保の形で働かせることはできません。これに違反した場合は、刑事罰に処される可能性と、特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。

月給制・同等以上の報酬は受入計画側で宣誓する事項ですが、FITSの巡回訪問では賃金台帳で実際の支払いが確認されるため、「契約書は月給制だが実態は日給計算」という運用は誓約書②の「適正実施の確認」に影響します。

誓約に違反した場合のペナルティ

  • 受入れの停止:国土交通大臣の指導等の対象となり、受入計画の認定取消しや新規の認定が受けられなくなることで、特定技能外国人の受入れが認められなくなる
  • 在留資格への影響:受入れ企業の基準不適合として、雇用している特定技能外国人の更新が不許可になる
  • 刑事罰:派遣の禁止に違反した場合などは、労働者派遣法・建設業法上の罰則の対象になり得る。在留資格に該当しない業務をさせれば不法就労助長罪(2027年から5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金)
  • 報告義務:誓約事項を遵守できなくなった場合は、速やかに出入国在留管理庁長官および国土交通大臣に報告しなければならない。報告を怠ること自体が信頼を損なう

誓約書を作成・提出するときの注意点

  1. 最新の様式を使う:分野参考様式は運用要領の改正に合わせて更新される。古い様式での提出は差戻しの原因になる
  2. 代表者が内容を理解したうえで署名する:人事担当者が機械的に作成し代表者が内容を知らないケースでは、巡回訪問での説明が食い違いやすい
  3. 雇用契約書・受入計画と一致させる:誓約書に記載する業務区分が雇用契約書・受入計画の業務内容と一致していること
  4. 受入計画側の宣誓事項・認定要件も一緒に管理する:月給制・CCUS・人数枠などは誓約書とは別の場面で確認されるが、いずれも違反すれば受入れに影響する
  5. 変更時は報告・変更申請を:事業所の移転、代表者変更、業務区分の変更などは受入計画の変更申請と報告が必要

よくある質問

Q. 誓約書は受入計画の認定申請と入管申請のどちらに出すのですか?

在留資格の申請(認定証明書交付・変更・更新)の際に提出します。受入計画の認定申請には提出しません。

Q. 技能実習から特定技能に切り替える場合も誓約書は必要ですか?

必要です。受入れ企業側の要件と誓約は、本人の試験免除の有無にかかわらず同じです。

Q. 一部の現場で特定技能外国人に区分外の作業を手伝わせるのは違反ですか?

主たる業務に付随して関連業務を行う範囲であれば認められますが、区分外の作業が主たる業務になると誓約違反です。業務区分を変更する場合は受入計画の変更が必要です。

まとめ

  • 建設分野の誓約書は、受入計画の認定・適正実施の確認・国交省への協力の3本柱に、従事業務と派遣の禁止を加えた5項目を約束する書類
  • 月給制・CCUS・人数枠などは誓約書ではなく受入計画側で確認される事項
  • 適正実施の確認は適正就労監理機関(FITS)の巡回訪問・受入れ後講習で行われ、非協力は受入れ停止の事由になる
  • 遵守できなくなった場合は入管庁長官と国交大臣への報告義務。違反は受入れ不可・更新不許可・刑事罰のリスク

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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