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特定技能外国人の就労形態|直接雇用・フルタイムの原則と派遣・出向の可否

calendar_month2022年01月12日
cached2026年10月15日

特定技能外国人の就労形態は、1つの受入れ企業(特定技能所属機関)とのフルタイムの直接雇用が原則です。請負契約・委任契約(業務委託)での就労、複数の企業との同時契約、在籍型出向、副業・兼業は認められません。例外として、農業分野と漁業分野に限り、一定の要件のもとで労働者派遣事業者を所属機関とする派遣雇用が認められています。認められない形態で働かせた場合、本人は資格外活動、企業は不法就労助長罪の対象になり、特定技能の受入れが認められなくなります。

本記事では、契約の種類(雇用・請負・委任)、1社のみという原則と出向・兼業の扱い、フルタイム直接雇用の原則、農業・漁業の派遣雇用の要件、技術・人文知識・国際業務や育成就労との違いを、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 特定技能外国人を雇用できる契約の種類(雇用契約のみ)と業務委託が不可の理由
  • 「一度に就労できる会社は1つまで」の原則と、出向・副業・兼業の扱い
  • フルタイムの直接雇用が原則とされる理由と、パートタイム・派遣が不可の理由
  • 農業分野・漁業分野で派遣雇用が認められる要件
  • 認められない就労形態で働かせた場合のリスク
  • 技人国の派遣、育成就労との違い

就労形態の種類

一般に会社に雇用されて働く場合には、①単一の企業に勤めるか複数の企業に勤めるか、②直接雇用か派遣雇用か、③フルタイムかパートタイムか、といった様々な就労形態が考えられます。一方、特定技能外国人が働く場合には、在留資格「特定技能」を認めた法の趣旨(人手不足分野で即戦力として安定的に就労させ、受入れ企業が支援義務を負う)に反する就労を防止するため、就労形態に制限があります。

就労形態可否補足
1社とのフルタイム直接雇用○原則の形態
派遣雇用(労働者派遣事業者が所属機関)△農業分野・漁業分野のみ、一定の要件のもとで可。他の14分野は不可
請負・委任・業務委託×特定技能雇用契約は「雇用に関する契約」に限られる
パートタイム・短時間勤務×フルタイム(週30時間以上が目安)が原則
複数の企業との同時契約(ダブルワーク)×所属機関は1つ。副業・兼業の資格外活動許可も原則認められない
在籍型出向×出向元・出向先の双方と雇用関係が生じるため不可
移籍型(転籍型)出向△出向先とのみ雇用契約を結ぶ形なら可能性あり。実質は転職と同じで在留資格変更許可申請が必要

契約の種類

日常用語でいう「雇う」という行為は、法的には雇用、請負、委任など様々なものに分類されます。特定技能外国人を雇用する契約(特定技能雇用契約)としては、基本的に民法上の雇用契約(民法623条)が想定されており、請負契約(民法632条)や委任契約(民法643条)、いわゆる業務委託契約によって働かせることは認められません。現代では様々な要素が複合的に含まれる契約も多く、純粋な雇用契約でなくても「雇用に関する契約」であるといえれば認められますが、指揮命令関係のない個人事業主的な働き方は特定技能の対象外です。

特定技能雇用契約は、報酬額が日本人と同等以上であること、一時帰国を希望した場合に休暇を取得させること、帰国旅費の確保など、特定技能基準省令で定められた基準を満たす必要があります。雇用契約の内容を変更・終了・新たに締結した場合は、14日以内に入管へ随時届出を行います。詳細は特定技能の受入企業の条件をご覧ください。

一度に就労できる会社は1つまで

1人の特定技能外国人を複数の受入れ企業が同時に雇うことはできません。特定技能の在留資格は、指定書で所属機関(勤務先)と分野・業務区分が指定されるため、別の会社で働くには在留資格変更許可申請が必要です。

転職は、①同一の業務区分、②試験等で技能水準の共通性が確認されている業務区分の中であれば認められますが、転職先で働けるのは変更許可を受けてからです。転職の手続きは特定技能外国人の失業・転職|在留資格変更の手続きと特定活動6か月をご覧ください。

副業・兼業はできるか

特定技能外国人は、所属機関での特定技能の活動が「主たる活動」であり、他の会社でアルバイトをすることは原則として認められません。資格外活動許可も、受入れ企業の都合による失業中の就職活動期間など限られた場合にしか許可されません。本人から「休みの日に別の店で働きたい」と相談されても、認めることはできません。

特定技能外国人の出向について

出向には、一般的に在籍型と移籍型(転籍型)の2つがあります。

  • 在籍型出向:出向元との雇用関係を維持したまま出向先の指揮命令で働く形態。出向元・出向先という複数の企業と雇用に関する契約を締結することになるため、特定技能では認められません
  • 移籍型(転籍型)出向:出向元との雇用契約を終了し、出向先とのみ雇用契約を結ぶ形態。複数の企業と契約しているわけではないので認められる可能性がありますが、実質は転職と同じであり、出向先が受入れ企業の要件を満たしたうえで在留資格変更許可申請が必要です
グループ会社間の「応援」「ヘルプ」として、所属機関以外の会社・店舗で特定技能外国人を働かせることは、在籍型出向に当たり認められません。複数店舗を持つ会社が自社の別店舗に異動させることは問題ありませんが、別法人の店舗は不可です。

雇用形態

雇用形態は、フルタイムの直接雇用に限られるのが原則です。特定技能制度は、人手不足分野で即戦力として安定的に就労させ、受入れ企業が10項目の義務的支援を行うことを前提としているため、短時間勤務や派遣では制度の趣旨が担保できないからです。ただし、農業分野と漁業分野のみ、一定の要件のもとでフルタイムの派遣雇用が認められています。

建設分野では派遣が明確に禁止され、派遣した場合は誓約違反として受入れが認められなくなります(特定技能建設分野の誓約書とは)。自動車整備分野でも、派遣し、または派遣された者を受け入れた場合は以後5年間の受入れができなくなります。

農業分野の派遣雇用

労働者派遣事業者を受入れ企業(所属機関)として、農業分野の事業者(派遣先)に特定技能外国人を派遣する場合には、派遣雇用形態が認められます。農業分野で派遣が認められる理由は、①季節によって農作業の繁閑がある、②作物によって収穫や種植え等のピーク期が異なる、といったことから、繁忙期に集中して労働力を確保したい、複数の産地間でピーク期に合わせて柔軟に労働力を確保したい、というニーズに対応する必要があると考えられたためです。

派遣元となる労働者派遣事業者には、農業または農業関連業務を行っている、地方公共団体や農業協同組合等が出資している、といった分野別の要件が課され、派遣先の農業者にも労働者を雇用した経験や農業支援活動の経験などが求められます。派遣先ごとの就業期間や就業場所は派遣契約で定め、支援の実施責任は派遣元が負います。

漁業分野の派遣雇用

労働者派遣事業者を受入れ企業として、漁業分野の事業者に特定技能外国人を派遣する場合にも、派遣雇用形態が認められます。派遣雇用の場合、関連業務を行わせるにあたっては職業安定法令を遵守する必要があります。漁業分野で派遣が認められる理由は、①対象魚種や漁法によって繁閑期が異なる、②漁業分野は零細業者が多く、業務地も半島・離島といった地域が多い、といったことから、繁忙期や地域に合わせて柔軟に労働力を融通するニーズに対応する必要があると考えられたためです。

漁業分野の派遣雇用例

典型的なものは、漁業協同組合が派遣元(受入れ機関)となり、組合員の要請に応じて特定技能外国人を派遣する形です。漁業協同組合がこの形で派遣するには、漁協固有の要件として、①組合員の事業または生活に必要な共同利用施設を設置する旨の定款の規定があること、②総会決議で可決されていること、を満たす必要があります。

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認められない就労形態で働かせた場合のリスク

  • 本人:所属機関以外での就労や契約外の業務は資格外活動となり、在留期間更新の不許可や在留資格の取消しにつながる
  • 企業:不法就労助長罪(現行は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。2027年からは5年以下・500万円以下)の対象となるほか、特定技能の受入れ機関の基準を満たさないものとして、新規の受入れ・更新が認められなくなる
  • 届出義務:雇用契約の変更・終了は14日以内の随時届出が必要。届出を怠ると受入れが認められなくなる

詳細は不法就労助長罪とは|2027年厳罰化で罰金500万円をご覧ください。

技人国・育成就労との違い

在留資格派遣転職・兼業
特定技能農業・漁業のみ可。他分野は直接雇用のみ同一分野・業務区分内で可(在留資格変更許可が必要)。兼業不可
技術・人文知識・国際業務可。ただし派遣先が確定し、派遣元・派遣先双方の誓約書が必要(技人国の派遣が超厳格化)同種の業務なら届出で転職可。資格外活動許可を受ければ兼業も可能な場合がある
育成就労(2027年4月〜)農業・漁業で派遣形態が認められる見込み。他分野は直接雇用分野ごとに1〜2年の転籍制限期間。要件を満たせば同一分野・業務区分内で転籍可(育成就労制度とは)

よくある質問

Q. 特定技能外国人を週20時間のパートで雇えますか?

雇えません。フルタイムの直接雇用が原則です。

Q. 農業の派遣なら、派遣先を季節ごとに変えられますか?

可能です。派遣契約で派遣先ごとの就業期間・場所を定め、派遣元が支援と届出の責任を負います。派遣先の変更は派遣元の雇用契約の変更として届出を確認してください。

Q. 自社の別店舗で働かせるのは問題ありませんか?

同じ法人内で、同一分野・業務区分の業務であれば問題ありません。就労場所の変更は雇用契約の内容変更として随時届出の対象になることがあります。

Q. 業務委託で複数の農家を回る「フリーランス的」な働き方はできますか?

できません。業務委託は特定技能雇用契約に当たらず、複数の事業者との契約も認められません。農業分野で複数の農家に行かせたい場合は、派遣元となる労働者派遣事業者を通じた派遣雇用の形を取ります。

まとめ

  • 特定技能外国人の就労形態は、①1つの企業のみへの、②フルタイムの直接雇用が原則
  • 請負・委任・業務委託、複数企業との同時契約、在籍型出向、副業・兼業は不可
  • 農業分野と漁業分野のみ、分野別の要件を満たす労働者派遣事業者からの派遣雇用が可
  • 認められない形態での就労は資格外活動・不法就労助長罪の対象。2027年から罰則引き上げ

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派遣元・派遣先それぞれの分野別要件の確認から、特定技能雇用契約・派遣契約の設計、入管申請まで、一貫してサポートします。

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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