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米国E-1ビザ(条約貿易家)申請サポートとケーススタディ
- 2026年03月18日


目次
複数の海外拠点を持つ企業では、管理職や専門知識を持つ社員を米国拠点へ異動させる場面が出てきます。この「企業内転勤」を担うのがLビザです。E-1・E-2(条約貿易家・投資家)と並んで、日本企業の米国駐在で広く使われている制度ですが、仕組みはEビザとかなり異なります。
この記事では、①LビザとEビザの構造の違い、②L-1A(管理職・役員)とL-1B(専門知識)の違い、③会社側の要件、④個別申請の流れ、⑤Blanket L(一括承認)、⑥家族の帯同、⑦審査でつまずきやすい論点、⑧費用の考え方、⑨EビザとLビザの選び方、の順に、人事・総務・海外事業のご担当者の視点で整理します。
第1・2篇でEビザを扱いましたが、Lビザは判断の主体も、会社側の手続も、根本的に異なります。まずこの違いを押さえてください。
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Eビザ(E-1・E-2) |
Lビザ(L-1A・L-1B) |
|---|---|---|
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判断の主体 |
在日米国大使館・総領事館(領事による1段階審査) |
まずUSCIS(米国国土安全保障省)がI-129ペティションを審査し、承認後に領事が査証を審査(2段階) |
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会社側の手続 |
企業登録(U.S. Mission Japanへの登録) |
米国側の受入企業がUSCISへI-129ペティションを提出(Form I-129, Petition for a Nonimmigrant Worker) |
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根拠となる関係 |
条約国籍(日本国籍者による50%超の所有)+日米間の貿易または投資 |
親会社・支店・子会社・関連会社という資格関係(qualifying relationship) |
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例外的な枠組み |
なし |
Blanket L(一括承認):事前に企業間の資格関係をUSCISに承認してもらい、個々の申請では領事段階から進められる制度 |
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対象者 |
経営者・管理職・必須技能職 |
管理職・役員(L-1A)、専門知識を持つ社員(L-1B) |
つまり、Eビザが「会社の適格性を米国大使館・総領事館に登録し、その枠内で個人を審査する」構造であるのに対し、Lビザは「米国側の受入企業が、個々の社員(または一括の枠組み)についてUSCISへ申請し、承認を得てから査証手続に進む」構造です。米国の受入企業がすでに存在し、そこに日本側から人を送り込む、という前提がLビザにはあります。
Lビザには2つの区分があります。
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L-1A(管理職・役員) |
L-1B(専門知識) |
|---|---|---|
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対象となる職務 |
管理的能力(managerial capacity)または役員的能力(executive capacity) |
会社の製品・サービス・研究・設備・技術・経営手法等について、通常の従業員を超える専門知識(specialized knowledge) |
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海外での勤務要件 |
申請前3年以内に、関連会社等で継続して1年以上のフルタイム勤務 |
同左 |
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米国での滞在上限 |
通算7年(H身分での滞在期間も通算) |
通算5年(同上) |
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新規事務所の場合の初回承認期間 |
1年 |
1年 |
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それ以外の場合の初回承認期間 |
最大3年 |
最大3年 |
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Blanket Lでの扱い |
対象(管理職・役員として) |
対象は「専門職(profession)」の要件も満たす者に限定(後述) |
Lビザの土台となるのは、日本側の会社と米国側の会社の「資格関係(qualifying relationship)」です。親会社・支店・子会社・関連会社のいずれかの関係にあることが必要です。
そのうえで、次の点が求められます。
Lビザの個別申請は、次の流れで進みます。
新規事務所以外の案件では、初回承認は最大3年です。延長は2年ごとに、L-1Aは通算7年、L-1Bは通算5年まで可能です(米国でH区分にあった期間も通算されます)。なお、専門知識で入国した後に管理職・役員へ昇格した場合、通算7年まで滞在するには、昇格後の職務で少なくとも6か月の実績と、その変更についてのUSCISでの承認が必要です。
グループ内で多数の駐在員を継続的に行き来させる企業向けに、Blanket L(一括承認)という制度があります。個々の異動のたびに個別ペティションを出す代わりに、企業グループとしての資格関係をあらかじめUSCISに承認してもらい、以後は個々の異動者が直接、在外公館でL査証を申請できる仕組みです。
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要件 |
内容 |
|---|---|
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① 事業内容 |
申請企業および対象となる各関連会社が、商業取引またはサービス業を行っていること |
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② 米国側事業の実績 |
申請企業が、1年以上事業を行っている米国内の事務所を有すること |
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③ 組織規模 |
申請企業が、国内外に3つ以上の支店・子会社・関連会社を有すること |
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④ 実績または規模(いずれか1つ) |
(a) 過去12か月間にL管理職・役員・専門知識職として10件以上の承認実績、または (b) 米国内の子会社・関連会社の合算年間売上高が2,500万ドル以上、または (c) 米国内の従業員数が1,000人以上 |
Blanket Lは、比較的規模が大きく、多層的な組織構造を持ち、人材のローテーションが定常的に発生している企業を想定した制度です。中小規模の組織や非営利団体は、この基準を満たさないことが多く、その場合は個別ペティションによることになります。
自社がBlanket Lの対象になり得るか、対象となる場合にどう組み立てるかは、組織構造や実績のデータによって判断が変わります。個別にご相談ください。
L-1の配偶者・21歳未満の未婚の子は、L-2として帯同できます。
Lビザの審査で追加資料の要求(RFE:Request for Evidence)につながりやすい典型的な論点です。
Lビザの費用は、米国側の受入企業が負担するUSCISへの申請費用と、申請人が負担するMRV申請料(および渡航前の諸費用)に分かれます。
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項目 |
目安 |
備考 |
|---|---|---|
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I-129申請手数料(USCIS) |
1,385ドル(通常)/695ドル(従業員25人以下の企業・非営利団体) |
初回・延長のいずれにも必要 |
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Fraud Prevention and Detection Fee |
500ドル |
初回のみ(延長では通常不要) |
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Asylum Program Fee |
600ドル(通常)/300ドル(従業員25人以下の企業)/非営利団体は不要 |
初回・延長のいずれにも必要 |
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プレミアム処理(任意) |
2,965ドル |
15営業日以内の一次判断を保証するオプション |
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MRV申請料(申請人負担) |
205ドル |
L・H・O・P・Q等のペティション型ビザ共通 |
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Blanket L Fraud Prevention Fee |
500ドル |
Blanket L対象者に別途必要(上記のFraud Prevention and Detection Feeとは別制度の手数料です) |
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Consolidated Appropriations Act Fee |
4,500ドル |
個別・Blanket Lいずれの申請でも、雇用主が米国内50人以上雇用かつ50%超がH-1B/L-1という基準を満たす場合に課される |
このほか、米国の法律により非移民ビザの発給時に課される追加手数料(Visa Integrity Fee:US$250)が定められています。徴収の開始時期・運用は変更され得るため、申請時点の公式案内でご確認ください。
金額はいずれも2026年8月確認時点のものであり、USCIS・米国務省の料金改定により変更される可能性があります。申請前に必ず最新の公式案内をご確認ください。
両者は要件の性質がそもそも異なるため、単純な優劣ではなく、会社の状況によって向き・不向きがあります。
どちらの制度がより適切かは、会社の所有構造、事業の実態、駐在員の職務内容によって変わります。両制度を体系的に比較した記事は別途整理する予定です。
当事務所(行政書士法人タッチ)では、Lビザでの駐在員派遣を検討される企業に対して、次のようなサポートを行っています。資格関係・要件該当性の一次整理のご相談、在職証明書・辞令・組織図・業務内容説明書等、日本側で必要となる資料の収集・整理・英訳、申請全体のスケジュール管理、DS-160の作成サポート、面接に向けた準備までを一貫して支援します。
管理職・役員該当性や専門知識該当性の評価、Blanket Lの対象可否の判断、組織再編後の資格関係の整理など、米国移民法上の法的評価が必要な場合は、米国提携弁護士(Valvo & Associates)と連携し、リーガルレビューや法的意見書の作成に対応します。
Lビザは、Eビザと並んで日本企業の米国駐在で広く使われる制度ですが、「米国側の受入企業がUSCISへI-129ペティションを提出し、承認後に領事段階へ進む」という2段階の構造は、Eビザの「企業登録→領事審査」とは根本的に異なります。
L-1A(管理職・役員)とL-1B(専門知識)では、求められる立証の性質が異なり、特に専門知識は「一般的な熟練技能ではないこと」の説明が審査の核心になります。
継続的に多数の駐在員を送る大企業には、Blanket Lという選択肢もありますが、要件は個別ペティションより厳格な面もあります。
会社の資格関係・事業実態・駐在員の職務内容を早めに整理し、逆算してスケジュールを組むことが、円滑な派遣につながります。
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別案件に対する法的助言ではなく、個別案件の結果を保証するものでもありません。ビザの発給可否は、USCISおよび在日米国大使館・総領事館による個別審査であり、入国の可否や滞在可能期間は、入国時に米国当局(CBP)が判断します。制度・手数料・運用は変更される可能性があるため、申請前に必ず最新の公式情報をご確認ください。(2026年8月確認時点)
| 2018年8月 | ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立 |
|---|---|
| 2022年4月 | 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」 |
| 専門分野 | 外国人在留資格、帰化申請 外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応 |
| セミナー実績 | 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数 |
| 運営サイト | 行政書士法人タッチ 国際結婚&配偶者ビザサポートセンター 帰化申請サポートセンター 就労ビザサポートセンター 永住ビザサポートセンター 経営管理ビザサポートセンター ビザサポートセンター |
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