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アメリカH-1Bビザ完全ガイド 申請の流れ・必要書類・費用・期間・2027年度の変更点まで整理

アメリカ就職で候補に上がる就労ビザのうち、H-1B は雇用主主導で進める代表的なビザです。ただし2027年度分は、初回登録期間がすでに終了し、上限枠の選考ルールにも変更が入ったため、従来と同じ感覚では見にくくなっています。

本稿では、まず H-1B の基本を短く押さえ、2027年度分で先に知っておきたい点、申請の流れ、採用後に会社と本人がそれぞれ何をするのか、OPT(卒業後の就労制度)や家族帯同との関係、必要書類、費用、期間、注意点までを順に整理します。

目次

H-1Bとはどんなビザか

H-1B を最初に理解するうえで重要なのは、次の3点です。

  • 一定の専門性を要する職務を対象とした就労ビザであること
  • 雇用主のスポンサーが前提であること
  • 本人単独で先に申請して完結する制度ではないこと

    制度の細部よりも、「会社が主役で動くビザ」という性格を押さえておくと、以降の話の座標が取りやすくなります。

     

    2027年度分でまず知っておきたいこと

    2027年度分について、先に押さえておきたい点は4つです。

    (1) 初回登録はすでに終了している
    米国市民権・移民局(USCIS)は、2027年度の初回登録期間を202634日正午から320日正午(米東時間)と案内し、331日には初回選考の完了を公表しました。20264月時点では、通常の新規 H-1B 登録に今から入るという考え方は現実的ではありません。

    (2) 上限枠の選考ルールが変わった
    USCIS は FY2027 から加重選考方式(weighted selection process)を実施しています。従来のランダム抽選に代えて、上限枠あり案件では、提示賃金水準の見え方が選考結果に影響しやすい仕組みへと見直されています。「抽選がある」という理解だけで動くと、現在の制度からはずれます。仕事内容だけでなく、オファーの賃金水準の見え方も、これまで以上に意味を持つようになっています。

    (3) 一定の新規 petition(請願)で 100,000 ドルの追加負担
    2025年9月21日以降に提出される新規 H-1B petition については、100,000 ドルの追加支払いが必要と案内されています。公表されている案内だけでは、申請形態によって扱いが分かれる余地もあるため、個別案件では代理人を通じて確認しておくのが安全です。いずれにしても、会社側にとっては判断の重い負担になり得る話であり、会社が本当にそこまで負担してでも進める前提なのかを、早めに確認しておくことが重要です。

    (4) H-1B の正式な有効開始日は、原則として101
    米国の会計年度は101日に始まるため、FY2027 分の上限枠あり H-1B は、最短でも2026101日から生効し、就労開始となります。選考で選ばれ、本申請が承認され、DS-160(オンライン非移民ビザ申請書)と面接を済ませても、実際に働き始められるのは10月1日以降です。この日付を先に押さえておくと、OPT の期限管理や入社日の交渉で時期を読み違えにくくなります。

     

    H-1B申請の全体の流れ

    H-1B は本人主導のビザではありません。上限枠あり案件では、おおむね次の順で進みます。

    採用内定・スポンサー方針の確認会社側で登録準備電子登録選考会社側で本申請(Form I-129 の提出) → USCIS 審査・承認 → DS-160 作成面接予約・面接ビザ発給渡航 → 101日以降に就労開始

    気になっている段階がこの流れのどこに位置するかを押さえておくと、以降の章が読みやすくなります。

     

    採用内定後、まず何が起こるのか

    H-1B で最初に動くのは、通常、本人ではなく会社側です。雇用主側が登録に向けた準備を進め、電子登録を経て、選考対象として提出されます。初めて検討する方ほど「まず自分がビザ申請書を用意するのでは」と考えがちですが、H-1B の入口はそこではありません。

    また、登録期間を過ぎると、その年度の入口には乗れません。H-1B を視野に入れた就職・転職活動では、内定が出てからビザの話を始めるのでは遅いことがあり、採用のかなり前から会社とスポンサーの話ができている状態が現実的です。

     

    選ばれた後に何をするのか

    選考で選ばれた後、すぐ本人が面接へ進むわけではありません。まずは会社側で本申請の準備に入ります。USCIS は、選ばれた登録について少なくとも90日間の petition 提出期間を設けると案内しており、この期間に雇用主が上限枠あり petition を提出します。

    この段階では、職務内容の整理、賃金水準の根拠、必要書類の収集、代理人との調整など、外からは見えにくい実務が続きます。H-1B では「選ばれた=すぐ渡航準備」ではなく、選ばれた後から会社側の工程が本格化する、と捉えるほうが実態に近くなります。

     

    USCIS承認後に本人がすること

    USCIS の請願承認後、海外でビザを取得する場合は、DS-160 を作成し、在外公館での面接に進みます。多くの方が「アメリカビザ申請」と聞いてイメージする段階は、H-1B ではここからです。

    H-1B は、会社側の登録・請願が先、本人の DS-160 と面接はその後という順番になります。そのうえで、実際に就労を開始できるのは、最短でも101日以降です。

     

    F-1OPT から H-1B へ切り替える場合

    米国の大学・大学院を F-1(学生ビザ)で修了し、OPT(卒業後の就労制度)で働きながら H-1B に切り替えるルートでは、H-1B 101日まで生効しないため、OPT の期限との間に「空白」が生まれうるのが論点です。パターンは次の4つに整理できます。

    • OPT 101日以降に期限を迎える場合:身分変更(Change of Status)で承認されれば、101日に F-1 から H-1B へ自動的に切り替わり、空白は生じません。
    • OPT 41日〜翌年41日の間に期限を迎える場合(Cap-Gap ExtensionOPT の有効期間中に、雇用主が身分変更を指定した上限枠あり H-1B petition を期限内に提出していれば、F-1 身分と OPT の就労許可が自動的に延長されます。これを Cap-Gap Extension(空白を埋める延長措置)といいます。2025117日発効の USCISDHS 規則改定により、延長の終点は従来の101日から H-1B 申請対象会計年度の翌41日(または H-1B の実際の生効日のうち早い方)まで拡張されました。なお、在外公館での申請(Consular Processing)を指定した petition は対象外です。
    • OPT 失効後の60日猶予期間中に petition が提出された場合F-1 身分は猶予期間で維持されますが、期間中は就労できません。就労の再開は10月1日以降になります。
    • OPT 60日猶予期間の両方が切れている場合Cap-Gap Extension の対象外で、合法身分が失われている状態です。再入学による F-1 回復、他の非移民身分への切替え、米国外からの在外公館での申請など、別の段取りが必要になります。

      なお、100,000 ドルの追加支払いについては、米国内で F-1 身分を維持したまま身分変更で切り替えるケースは公表されている案内上は対象外として読めますが、身分変更が認められず在外公館での申請に切り替わる場合などは扱いが変わり得るため、早い段階で代理人と段取りを共有しておくのが安全です。

       

      家族の帯同(H-4 配偶者・子)

      H-1B 本人は、配偶者と未婚・21歳未満の子を H-4(H-1B の家族帯同ビザ)として帯同できます。運用上のポイントは次のとおりです。

      • H-4 本人に就労権はないのが原則で、就労には別途 EAD(就労許可証)の取得が必要です。
      • H-4 配偶者が EAD を申請できるのは、H-1B 本人について次のいずれかが成立している場合に限られます(a) I-140(雇用ベース移民申請)が USCIS で承認済み、(b) AC21H-1B 6年超の延長を認める制度上の根拠)により6年超の H-1B 延長が認められている。I-140 未承認、または通常の6年以内にとどまる段階では、配偶者は EAD を申請できません。
      • 21歳未満の H-4 の子は EAD の対象外で、21歳到達時点で H-4 身分を失います。学齢の高いお子さんがいる場合は、F-1 等への切り替えを事前に検討する余地があります。
      • 2026年時点の注意点として、USCIS の暫定最終規則(20251030日発効)により、同日以降に提出する EAD 更新申請については、従来認められていた自動延長が原則として認められなくなっています(法令等による限定的な例外を除く)。H-4 配偶者の EAD 更新は、従来以上に早めに着手するのが安全です。

        共働きを前提に米国移住を検討する場合は、H-1B 本人側の移民プロセスの進み具合まで合わせて見立てておく必要があります。

         

        必要書類

        H-1B の必要書類は、会社側で中心になるものと、本人が後半で準備するものに分けて考えると整理しやすくなります。

        会社側で中心になるもの

        • 電子登録に必要な情報
        • 職務内容や雇用条件の整理資料
        • 賃金水準の確認資料
        • Form I-129
        • 会社関係資料
        • 必要に応じた代理人関係書類 など

        本人側で準備することが多いもの

        • パスポート
        • DS-160 確認ページ
        • 証明写真
        • 申請手数料の支払い関係
        • 承認済み請願に関する情報
        • 必要に応じて学位資料や職務経歴資料 など

        見落としやすいポイント

        H-1B では制度の話題に目が向きやすい一方、承認後の DS-160 確認ページ、写真、面接予約時の情報確認といった基本的な部分で、最後に慌てることが少なくありません。承認後は、一つずつ確実に確認していくほうが安全です。

         

        費用

        H-1B の費用は、本人に見えやすいものと、会社側で大きくかかるものに分かれます。

        本人の立場で見える費用は、在外公館でのビザ申請手数料、写真代、面接地までの交通費などが中心です。一方、制度全体で見ると、登録、本申請、代理人費用、書類整備、スケジュール管理など、会社側の負担のほうがずっと大きくなります。

        加えて、2章で触れた 100,000 ドルの追加支払いが関わるケースでは、会社側の判断の重さがさらに増します。実務上は、「本人がいくら払うか」よりも、会社側で実際に負担して進める見通しが立っているかのほうが、先に問題になりやすい構造です。

         

        期間の見方

        就職活動の段階から前倒しで考える

        FY2027 でも、初回登録は3月上旬から下旬、初回選考は3月末でした。H-1B を前提に動く場合、採用のかなり前から会社とスポンサーの話ができているほうが、その年度のスケジュールに乗りやすくなります。内定後に初めてビザの話を切り出すと、その年度の登録期間に間に合わないことがあります。

        「選考通過=すぐ渡航」ではない

        選考で選ばれてから、本申請・承認・DS-160・面接・ビザ発給と段階が続き、就労開始は最短でも10月1日です。承認や面接日程が見える前に航空券や引越し予定を固めすぎると、後から動きにくくなることがあります。実際の準備は、進行状況を見ながら組むほうが安全です。

         

        よくある注意点

        スポンサー可否の確認が遅い

        「その会社が本当にスポンサーできるか」は、早い段階で確認しておきたいポイントです。話だけが進んで、後から「今年は対応できない」「社内決裁が通らない」となると、時間を大きく失うことがあります。

        今年度分の時期感を読み違える

        2027年度分は、初回登録も初回選考も一巡しています。「まだ普通に今年分に入れるはず」という前提で動くと、就職・転職活動の見通しがずれます。

        「抽選」という理解だけで止まっている

        FY2027 からは加重選考方式が導入されており、完全ランダム前提の説明は現在の制度からはずれます。賃金水準の見え方が選考に効くようになっているため、オファーの中身と提示条件の両方を見ておくことが大切です。

        100,000 ドルを単なる「費用が増える話」と受け取る

        この追加負担は、金額の問題である以上に、会社が本当にそこまで負担してでも進める前提かを判断する材料になります。スポンサー意思の現実性に関わる論点として扱っておくと、その後の段取りで迷いにくくなります。

        OPT からの切り替え設計を後回しにする

        米国で学位を取って OPT で働いている方ほど、Cap-Gap Extension の条件(OPT 有効期間中の期限内提出、身分変更の指定)を後から確認することになりがちです。H-1B の生効時期や Cap-Gap の適用関係まで含めて、身分と就労をどうつなぐかは、内定時点で雇用主・代理人・学校の留学生担当者(DSO)と擦り合わせておくと安全です。

        承認後の実務を軽く見る

        制度論に比べて、DS-160、面接準備、確認書類といった後半実務は軽く扱われがちです。実際にはここで止まる相談も少なくないため、最初から流れ全体を順に見ておくことが有効です。

         

        よくある質問

        今年度分として、まだ現実的な余地はありますか

        2026年4月時点では、初回登録期間は終了し、初回選考も完了しています。今から通常の新規登録を前提に組み立てるのは難しい段階です。まずは、今年度分として残された道があるのか、次年度に向けて準備を切り替えるのかを、早めに整理するほうが実務的です。

        会社から「スポンサーできる」と言われました。そのまま進めて大丈夫ですか

        スポンサー表明があっても、登録時期、選考、本申請、100,000 ドルの取り扱い、101日までの身分繋ぎなど、途中で判断が必要になる論点は複数あります。表明の時点で固まっているのは「方針」までであることが多いため、スケジュールと費用負担まで含めて早めにすり合わせておくと安全です。

        OPT から切り替える場合、101日まで働けない空白は生まれますか

        OPT が有効なうちに雇用主が身分変更を指定した上限枠あり H-1B petition を期限内に提出していれば、Cap-Gap Extension により、F-1 身分と OPT の就労許可が自動的に延長されます。20251月の規則改定で、延長の終点が翌41日まで拡張されているため、H-1B の承認が101日に間に合わない場合でも、同じ雇用主での就労を継続できる余地があります。OPT の残期間、petition の提出時期、身分変更指定の3点が揃っているかを、内定時点で雇用主と確認しておくと安全です。

        米国で学位を取った人なら、100,000 ドルは必ず関係しますか

        必ずしもそうではありません。公表されている案内からは、米国内で F-1 身分を維持しながら身分変更で H-1B に切り替えるケースは追加支払いの対象外として読めます。ただし、身分変更が認められず在外公館での申請に切り替わった場合などは扱いが変わり得るうえ、この領域は運用が更新される可能性もあるため、早めに代理人と枠組みを共有しておくのが安全です。

        家族を連れて行く場合、配偶者はすぐ働けますか

        原則としてすぐには働けません。H-4 の配偶者が EAD を取得して就労できるのは、H-1B 本人の I-140 が承認されている場合、または H-1B AC21 に基づく6年超の延長に入っている場合に限られます。共働きを前提にする場合は、H-1B 本人側の移民プロセスの進み具合も合わせて見立てておく必要があります。

        次年度を見据えるとして、今から準備できることはありますか

        学位・職歴・職務内容の整理、提示される職務が H-1B の前提に沿うかの確認、採用側の過去スポンサー実績の把握、家族帯同が必要な場合は H-4 EAD の見込みまで含めた設計など、通年で進められる準備は多くあります。登録期間が始まってから動き出すよりも、通年で整えておくほうが、選択肢は広がります。

         

        まとめ

        H-1B は、アメリカで専門職として働くための代表的な就労ビザですが、実際の進み方には次のような特徴があります。

        • 本人単独で申し込む制度ではない
        • 雇用主のスポンサーが前提になる
        • 上限枠あり案件では、登録時期が非常に重要
        • 選ばれた後も、すぐ面接や渡航準備に入るわけではない
        • 正式に働き始められるのは、最短でも101日以降
        • 2027年度からは選考ルールが加重選考方式に変わり、一定の新規 petition では 100,000 ドルの追加負担も関わる
        • OPT からの切り替えや家族帯同まで含めると、設計は内定時点から始まる

          H-1B を検討するときは、「自分が条件に合いそうか」よりも先に、会社がスポンサーできるか、今年度のスケジュールに乗れるか、H-1B 生効までの身分と就労をどう繋ぐか、費用負担まで含めて実際に進められる前提なのか、を確認することが大切です。流れを順に見ていけば、何を先に確認すべきかはかなり整理できます。

           

          参考資料・公式リンク

          U.S. Citizenship and Immigration Services, H-1B Specialty Occupations

          U.S. Citizenship and Immigration Services, H-1B Electronic Registration Process

          U.S. Citizenship and Immigration Services, H-1B Cap Season

          U.S. Citizenship and Immigration Services, FY 2027 H-1B Cap Initial Registration Period Opens on March 4

          U.S. Citizenship and Immigration Services, FY 2027 H-1B Initial Registration Selection Process Completed

          U.S. Citizenship and Immigration Services, Extension of Post Completion Optional Practical Training (OPT) and F-1 Status for Eligible Students under the H-1B Cap-Gap Regulations

          The White House, H-1B FAQ

          U.S. Department of State, DS-160: Online Nonimmigrant Visa Application

          この記事の監修者
          行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
          2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
          2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
          専門分野 外国人在留資格、帰化申請
          外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
          セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
          運営サイト 行政書士法人タッチ
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