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在留資格「特定技能」とは
法律で定められた人手不足が深刻化している14の産業分野で、高い専門技術をもって働く外国人に認められる在留資格です。
法律で定められた人手不足が深刻な14の産業分野において、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで人手不足を解消し、その産業分野の存続・発展を図り、もって日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。
また、在留資格「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
(1)特定技能1号は、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人に認められる在留資格です。
ここで、「相当程度の知識または経験を必要とする技能」とは「特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準」であることが求められています。
(2)特定技能2号は、熟練した技能を要する業務に従事する外国人に認められる在留資格です。
「熟練した技能」は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を超える非常に高い専門技術性をいいます。
特定技能外国人の失業
(1)雇用先の企業の倒産・リストラなど、自己の都合によらない理由で失業し、経済的困難におかれている特定技能外国人は以下のように扱われます。
ア 今後も日本での就業を望む場合、就職活動中であれば、特定技能の在留資格のまま、在留期限まで日本に在留することができます。
就職活動中の生活費等を賄うための資格外活動許可も、申請があった場合には許可されます(週28時間以内、単純労働も可)。
3か月以上就職先を探すことなく在留しているなど、正当な理由なく3か月以上「特定技能」に係る在留活動を行っていない場合は、在留資格が取り消されることがあります。
イ 特定技能の在留期限到来後も就職活動を行う目的で在留したい場合は、「特定活動」の在留資格への在留資格変更が許可されます(特定技能外国人の場合、在留期間は4か月)。
ただし、
・就職活動を行っていることが証明できること(退職証明書、ハローワークカードなどを提出)
・在留状況に問題がないこと
といった条件を満たす必要があります。
また、この場合の「特定活動」の在留資格は、就職活動の継続を理由として更新することはできません。
この「特定活動」も申請をすれば、生活費を賄うための資格外活動許可が認められます(週28時間以内、単純労働も可)。
なお、この資格外活動許可は、上記アの「特定技能」の時に出したものと合算して90日以内となるように調整して出されます。
ウ 失業保険については、一般的に、日本人と同様に給付を受けることが可能です。
※詳細については所管する厚生労働省(ハローワーク等)への問合せが確実です
特定技能外国人の転職
(1)前述の通り、特定技能外国人は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」(1号)、または、「熟練した技能」(2号)が求められます。
そのため、自由に転職できるわけではなく、原則は同じ特定産業分野内での転職に限られます。
また、同じ特定産業分野内であったとしても、必要とされる技能が異なる業務が複数存在する分野もあります。この場合には、転職しようとしている特定技能外国人が有している技能が、転職先の主として従事する業務(主たる業務)に対応している必要があります。
(2)特定技能の基本方針では、特定産業分野をさらに細分化した「業務区分」という区分けもあり、これも特定技能外国人の転職に関係してきます。
基本方針では、
①同一の業務区分
②試験等で技能水準の共通性が確認されている業務区分
であれば転職が認められるとしています。
つまり、産業分野が異なっても、同じ業務区分内であれば転職ができるというわけです。
例えば、製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)は「産業分野」レベルでは異なります。
しかし、現場で従事する業務の多くが共通しており、「業務区分」レベルでは同じと言える部分があります。この場合、同じ業務区分内では、産業分野の枠を飛び越えて転職することができます。
実際に、この3分野では「製造分野特定技能1号評価試験」という共通の評価試験を実施しており、異なる産業分野間でも、業務区分レベルでは共通する技能を有している確認を受けることができます(上記の②のパターン)。
例:製造分野特定技能1号評価試験の「溶接」の業務区分の技能試験に合格した者は、素形材産業の「溶接」区分→産業機械製造業の「溶接」区分に転職ができます。
※ただし、異なる特定産業分野に転職する場合は、在留資格変更手続が必要となりますのでご注意ください。
まとめ
1 特定技能外国人が失業した時
→就職活動のためなら一定期間日本に在留できる
2 特定技能外国人が転職する時
→原則は同一産業分野内でのみ転職可能
例外的に、異なる産業分野間でも、業務区分が同一なら転職可能