特定技能 インドネシア 受入れ完全ガイド イプコル ペー・ティガ・エム・アイ シスコップ・ツー・エム・アイ

 

近年、特定技能外国人の受入れにおいて、ベトナムに次ぐ巨大な人材供給源として「インドネシア」の存在感が急速に高まっています。

親日的で明るい国民性、若く豊富な労働人口を持つインドネシアは、日本の企業にとって非常に魅力的なパートナーです。また、日本政府とインドネシア政府の間で「特定技能外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書(MOC)」が締結・更新されており、国レベルでの連携が進んでいる点も安心材料の一つです。

しかし、インドネシア人材の受入れ実務は、他国に比べて「制度の変更」や「独自の手続きシステム」が多く、混乱しやすいのが現状です。特に最近の運用変更により、「入管への提出書類は減ったが、やるべき手続き自体は減っていない」という複雑な状況が生まれています。

本記事では、国際業務を専門とする「行政書士法人タッチ」が、最新の運用ルールに基づき、インドネシア人材受入れの「正攻法」と「注意点」を徹底解説します。

インドネシア受入れ「3つのシステム」を確認

インドネシア受入れを理解するための鍵は、インドネシア政府が運用する3つのシステムを正しく理解することにあります。ここを混同すると、手続きがストップしてしまいます。まずは基本となる3つの用語を押さえましょう。

① IPKOL(イプコル):労働市場情報システム

役割: 日本の「ハローワーク」のような求人・求職マッチングサイトです。
企業側のメリット: 日本の受入機関がこのシステムに登録(無料)することで、インドネシア政府公認の求人として扱われます。
直接採用の道: 従来は送出機関任せだった採用が、このIPKOLを通じて直接求職者にアプローチすることも可能になっています。

② P3MI(ペー・ティガ・エム・アイ):職業紹介事業者

役割: インドネシア政府の許可を受けた、現地の民間の送出機関(リクルート会社のような存在)のことです。
利用の任意性: 最新の運用では、P3MIの利用は「任意」とされています。しかし、現地での細かい手続き代行や、大量採用時のスクリーニングを依頼したい場合は、P3MIを利用するのが確実です。日本側の紹介会社を使う場合、その提携先が正規のP3MIであるかを確認する必要があります。

③ SISKOP2MI(シスコップ・ツー・エム・アイ):海外労働者管理サービス

役割: 海外で働くインドネシア人を保護・管理するためのデータベースです。
最重要ポイント: 本人はこのシステムに登録し、「ID番号」と「移住労働者証(E-PMI)」を取得しなければなりません。これがないと、ビザの申請ができなかったり、出国審査で止められたりします。

【図解】受入れの2大ルート:自社に合うのはどっち?

3つの専門用語を理解したところで、具体的な受入れルートを見ていきましょう。

かつては「P3MI(送出機関)」を通すことが一般的でしたが、現在はP3MIの利用は「任意」とされており、企業の方針に合わせてルートを選択可能です。

ルートA:直接採用(IPKOL活用パターン)

コストを抑えたい企業や、既に日本国内に独自の採用チャネル(知人の紹介や特定技能マッチングサービスの利用など)を持っている場合に適したルートです。

  • 概要: インドネシアの職業紹介事業者(P3MI)を利用せず、日本の受入機関が直接、または日本の職業紹介事業者を通じて採用する方法です。
  • 必須ツール「IPKOL: インドネシア政府は、国が管理する求人・求職システム「IPKOL」への登録を強く推奨しています。
    • 登録料: 無料。
    • 手続き: オンラインで登録可能。
    • メリット: IPKOLに登録することで、インドネシア政府公認の正規ルートとして扱われ、悪質なブローカーの介入を防げます。また、雇用契約書をIPKOLに電子データで登録するプロセスが含まれます。

    ルートB:送出機関(P3MI)利用パターン

    現地の細かい手続きや人選をアウトソーシングしたい場合や、大量採用を行う場合に適したルートです。

    • 概要: インドネシア政府認定の送出機関(P3MI)を介して人材の紹介を受ける方法です。
    • 大使館での検証プロセス:このルートを選ぶ場合、特徴的な手続きとして「駐日インドネシア大使館での検証」が発生します。
      日本の受入機関(または日本の紹介会社)は、P3MIとの提携契約書や求人票(Job Order)、雇用契約書(暫定版)を駐日インドネシア大使館に提出し、確認を受ける必要があります。
      • 費用: 無料。
      • 期間: 通常3日程度。
      • 注意: 提携するP3MIは、インドネシア労働省が公表している認定リスト(P3MI一覧)に掲載されている必要があります。

      【最重要】「入管提出不要」の落とし穴と正しい実務

      ここが本記事で最もお伝えしたいポイントです。

      最近の運用変更により、日本の出入国在留管理庁(入管)への在留資格認定証明書(COE)交付申請において、インドネシア側の手続き完了を証明する書類(推薦状など)の提出は不要になりました。

      これを聞いて、「なんだ、面倒なインドネシア側の手続きはもうやらなくていいのか」と考えるのは大きな間違いです。

      入管審査とビザ(査証)発給審査は別物であり、ここで手を抜くと「COEは取れたのに、現地でビザが下りず入国できない」という最悪の事態を招きます。

      落とし穴:ビザ申請には「ID番号」が必須

      日本の入管からCOE(在留資格認定証明書)が交付された後、インドネシア本国のご本人は現地の日本大使館・総領事館で「査証(ビザ)」を申請します。

      この際、インドネシア政府のシステム「SISKOP2MI」から発行された「ID番号」の写し等の提示が求められます。

      つまり、順序としては以下のようになります。

      1. 入管手続き: COE交付申請(インドネシア側書類は不要)→ COE交付
      2. 本国手続き: COEが届いた後、本人が「SISKOP2MI」にオンライン登録。
      3. ID取得: 登録完了後、インドネシア在外労働者保護庁のID番号が発行される。
      4. ビザ申請: 現地の日本大使館へ、COEとID番号を持っていく。

      入管で不要だからといってSISKOP2MI登録を怠ると、ステップ3で止まり、日本に来ることができません。受入機関は必ず本人に対し、「SISKOP2MIへの登録とID取得」を行うよう指導する必要があります。

      落とし穴:出国前の「E-PMI」取得

      ビザが無事に発給された後も、まだ手続きは終わりません。

      本人は取得したビザの情報をSISKOP2MIに登録し、出国前オリエンテーション(OP)を受けるなどして、「移住労働者証(E-PMI)」の発行を受ける必要があります。

      これはインドネシア国民が海外で働くための正式な許可証のようなもので、これがないとインドネシアの空港で出国を止められるリスクがあります。

      落とし穴:日本国内での「在留資格変更」の場合

      技能実習生から特定技能へ切り替える場合など、既に日本にいるインドネシア人を採用する場合も注意が必要です。

      入管への変更申請には証明書は不要ですが、インドネシア政府は以下の手続きを求めています。

      1. 雇用契約書の確認: 受入機関と本人が締結した雇用契約書(原本)を、駐日インドネシア大使館に提出して確認を受ける(郵送可)。
      2. SISKOP2MI登録: 本人がオンラインで登録を行い、E-PMIを取得する。

      特に技能実習からの移行の場合、IPKOLへの求人登録は「必ずしも求められない」とされていますが、SISKOP2MIによるE-PMI発行は必須とされています。

      インドネシア人材の特徴と受入れ後のマネジメント

      手続き面をクリアすれば、インドネシア人材は企業にとって非常に頼もしい戦力となります。彼らが長く定着し活躍するために、知っておくべき文化的背景と配慮のポイントをまとめます。

      宗教(イスラム教)への理解と配慮

      インドネシアは世界最大のイスラム教徒(ムスリム)人口を抱える国です。仕事をする上で以下の点について、面接時などに話し合っておくことが重要です。

      礼拝(お祈り): 1日5回の礼拝がありますが、就業時間にかかるのは通常、昼と午後の2回程度です。1回あたり10分程度ですので、休憩時間を調整するなどで対応可能です。
      食事(ハラル): 豚肉とアルコールを避けます。社食や弁当を手配する場合は、「豚肉を含まないメニュー」かどうかを確認してあげるだけで大きな安心感を与えられます。
      ラマダン(断食月): 約1ヶ月間、日中の飲食を断ちます。この期間中は体力的にきつい場合があるため、重労働の配分を配慮したり、体調を気遣う声かけをするだけで信頼関係が深まります。
      女性の服装: ヒジャブという布をかぶる習慣があるため、制服との兼ね合いなどを事前に話し合っておくとスムーズです。

      これらは「絶対にこうしなければならない」という厳格なルールというよりは、「お互いに歩み寄る姿勢」が大切です。インドネシアの方は柔軟な考えを持つ方も多く、日本の職場環境に合わせて調整してくれることも多々あります。

      受入れ企業が実施すべきチェックリスト

      スムーズな受入れとコンプライアンス遵守のために、以下の項目を必ずチェックしてください。手続き漏れは「ビザ不許可」や「来日遅延」に直結します。

      【受入れ機関(企業)の要件チェック】

      適切な雇用契約の締結: 報酬額が日本人と同等以上であること。
      法令遵守: 労働保険、社会保険および租税に関する法令を遵守していること。
      支援体制の整備: 外国人が業務内容を理解できる体制や、生活支援を行う体制が整っていること。
      支援計画の策定: 日常生活を含めた適切な支援計画を立てていること(登録支援機関への委託も可)。
      定期的な届出: 出入国在留管理庁やハローワークへの随時・定期の届出体制ができているか。

      【インドネシア固有の手続きチェック】

      IPKOLへの登録: 直接採用の場合、インドネシア政府のシステム(IPKOL)で求人を行っているか。
      SISKOP2MIの登録確認: 本人がシステム登録を行い、ID番号を取得しているか(企業側では操作できないため、本人への確認が必須)。
      雇用契約書の認証: 日本国内採用の場合、駐日インドネシア大使館で契約書の確認を受けているか。
      宗教的配慮の確認: 礼拝や食事(ハラル)について、現場の理解と受入れ態勢(話し合い)ができているか。

      行政書士法人タッチのサポート体制

      ここまで解説した通り、インドネシアの特定技能受入れは、日本の入管法だけでなく、インドネシア側のシステム(IPKOLSISKOP2MI)や独自ルールへの理解が不可欠です。

      「入管の申請書は作れるけれど、現地のシステム登録の指示までは手が回らない」
      「紹介会社を使わずに直接採用したいが、IPKOLの登録方法が不安」
      「技能実習からの切り替えで、大使館手続きを忘れていた」

      こうしたお悩みに対し、行政書士法人タッチは包括的なサポートを提供しています。

      私たちが提供できる価値

      1. 最新情報のキャッチアップ: 頻繁に変更される両国のルールを常に把握し、貴社に最適な手続きを案内します。
      2. トータルサポート: 入管への申請取次(COE・変更申請)はもちろん、SISKOP2MI登録の案内や駐日大使館への契約書確認手続きのアドバイスなど、採用から入社までのロードマップを敷くことができます。
      3. リスク管理: 「ビザが出ない」「出国できない」といった致命的なトラブルを未然に防ぎ、スムーズな入社を実現します。

      インドネシア人材は、正しく手続きを踏み、適切な環境を用意すれば、貴社の成長を支える強力なパートナーになります。複雑な国際業務手続きは専門家である私たちにお任せいただき、貴社は万全の体制で新しい仲間を迎え入れてください。

      特定技能インドネシア人材の受入れをご検討中の企業様は、ぜひ一度、行政書士法人タッチまでご相談ください。