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特定技能「宿泊」とは
宿泊分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れ、宿泊分野の存続・発展を図り、もって日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。
特定技能「宿泊」の受入見込数
宿泊分野における向こう5年間の受入れ見込数は最大22,000人で、これを向こう5年間の受入れの上限として運用されています。
平成29年の訪日外国人旅行者数は2,869万人であり、これは平成24年と比較すると約3.4倍増加しています。
さらに、「明日の日本を支える観光ビジョン」における訪日外国人旅行者数の政府目標(2020年4,000万人、2030年6,000万人)の達成に向けた宿泊需要に対応するためには、これを支える宿泊分野の人材確保が必要不可欠です。
しかし、宿泊分野では、現時点で既に約3万人の人手不足が生じているものと推計されており、さらに、今後の訪日外国人旅行者の増加等に伴い、5年後(平成35 年)までに全国で10万人程度の人手不足が生じると見込まれています。
以上のような状況に対応するため、宿泊分野において、一定の専門性・技能を有し、その能力を用いたフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の様々な業務に従事する外国人を受け入れることにより、宿泊分野の深刻な人手不足の解決に繋げることが、当該分野の基盤を維持し、今後も発展させていくために必要不可欠とされています。
前述の通り、向こう5年間10万人程度の人手不足が見込まれる中、今般の受入れは毎年2.8%程度の生産性向上を図るとともに、国内人材の確保のための取組を進めることにより、労働効率化(5年間で5万人程度)及び追加的な国内人材の確保(5年間で3万人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる数を上限として受け入れるもので、過大な受入れ数とはなっていません。
特定技能「宿泊」で従事できる業務
(1)主たる業務
特定技能「宿泊」で従事できる業務は、宿泊サービスの提供に係る業務です。その例としては以下のようなものが挙げられます。
①宿泊施設におけるフロント
②企画・広報
③接客
④レストランサービス
(2)関連業務
関連業務に専ら従事することは認められません。ただし、主たる業務をあわせて行う限りにおいて、付随的に従事することは認められます。
特定技能「宿泊」の関連業務の例としては、
①旅館・ホテルの施設内の土産物売店における販売業務
②旅館・ホテルの施設内の備品の点検・交換業務
などが挙げられます。
特定技能「宿泊」で外国人を雇用する条件
(1)外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を取得していること
在留資格とは、外国人が日本に在留し、一定の活動を行うことができる資格をいいます。特定技能「宿泊」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。
ア 技能水準(試験区分)
宿泊業技能測定試験に合格する必要があります。フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの業務について、定型的な内容であれば独力で実施できる能力が求められます。
イ 日本語能力水準
①国際交流基金日本語基礎テストまたは②日本語能力試験(N4以上)のどちらかに合格する必要があります。
(2)直接雇用であること
フルタイムの直接雇用に限られます。派遣雇用は認められません。宿泊分野において1号特定技能外国人を派遣し、又は派遣された者を受け入れた場合には、以後5年間は特定技能外国人の受入れができなくなりますのでご注意ください。
(3)受入機関に対して特に課す条件を満たしていること
受入機関一般に課される条件(特定技能条件(受入機関))のほか、特定技能「宿泊」において特に課される条件は以下の通りです。
ア 受入企業および就労施設が所定の要件を満たしていること
受入企業および就労施設は
①旅館業法2条2項に基づく旅館・ホテル営業の形態で旅館業を営んでいること
②旅館業法3条1項の許可を受けていること
③風営法2条6項4号に規定されている施設(ラブホテル等)に特定技能外国人を就労させないこと
④風営法2条3項に規定する接待を特定技能外国人に行わせないこと
を満たしている必要があります。
受入企業が上記の要件を満たさずに特定技能外国人を就労させると、資格外活動罪や不法就労助長罪といった犯罪が成立しますのでご注意ください。
また、特定技能外国人の受入れ後に業務に従事する事業所が変更になった場合は、14日以内に届出が必要です。
この届出を怠った場合、刑事罰に処されますのでご注意ください。
イ 協議会の構成員であること
受入企業は、国土交通省が設置する宿泊分野特定技能協議会に加入する必要があります。
特に、宿泊分野の特定技能外国人を始めて受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入しなければなりません。協議会に加入せずに特定技能外国人を就労させた場合には、不法就労助長罪に処されますのでご注意ください。
ウ 協議会に対し必要な協力を行うこと
受入企業は、上記イの協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。
協議会に対し必要な協力を行わない場合には、不法就労助長罪に処されますのでご注意ください。
エ 国土交通省に対し必要な協力を行うこと
受入企業は、国土交通省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行う必要があります。
国土交通省に対し必要な協力を行わない場合には、不法就労助長罪に処されますのでご注意ください。
オ 登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合には、当該登録機関が所定の要件を満たしていること
受入企業が、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関も受入企業と同様に上記イ・ウ・エの条件を満たしている必要があります。
まとめ
特定技能:宿泊分野で外国人を雇い入れるためには、
(1)外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を取得していること
(2)直接雇用であること
(3)受入機関に対して特に課す条件を満たしていること
以上のことが必要です。
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士
湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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