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特定技能1号の申請人の条件|9つの基準・2号の要件・変更が認められない例

calendar_month2021年12月10日
cached2026年10月14日

特定技能の在留資格を取得して日本で働くには、受入れ企業の要件とは別に、外国人本人が特定技能基準省令・上陸基準省令に定める基準を満たしている必要があります。特定技能1号の基準は、18歳以上、健康状態が良好、技能・日本語の試験合格(または技能実習2号の良好修了)、保証金の徴収や違約金契約がないこと、送出し国の手続を経ていること、定期的に負担する費用に合意していること、分野別の基準に適合することなど9項目で、これに通算在留期間5年未満という上限が加わります。2号は技能試験に加えて分野ごとの実務経験が必要です。

本記事では、特定技能1号の9つの基準の内容と証明書類、2号の要件、通算5年の考え方、特定技能への変更が認められない例、受入れ企業側で確認すべき点を、現時点の制度に基づいて解説します。

この記事で分かること
  • 特定技能制度の概要と、本人の基準・企業の基準の関係
  • 特定技能1号の9つの基準(年齢・健康・技能水準・旅券・保証金・費用の合意・送出し国の手続・定期負担費用・分野別基準)の内容と証明書類
  • 特定技能2号の要件(技能・実務経験)
  • 通算在留期間5年の上限と6年特例
  • 特定技能への在留資格変更が認められない例(退学した留学生・失踪した技能実習生など)
  • 受入れ企業が採用前に確認すべき点

特定技能制度とは

特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野(現在16分野。2026年1月の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野の追加が決定)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる仕組みです。在留資格の審査では、①外国人本人の基準、②受入れ企業(特定技能所属機関)の基準、③雇用契約の基準、④支援計画の基準がそれぞれ確認されます。本記事は①を解説します。企業側の基準は特定技能の受入企業の条件をご覧ください。

特定技能1号の基準

特定技能1号で外国人を受け入れるには、本人が次の基準を満たしている必要があります。

番号基準主な証明書類
①18歳以上であること旅券(上陸時に18歳以上)
②健康状態が良好であること健康診断個人票(参考様式第1-3号)、受診者の申告書
③技能水準・日本語能力水準を満たしていること分野別の技能試験の合格証明書(または結果通知書)と日本語試験の合格証明書。技能実習2号の良好修了者は技能実習の修了を証する書類・評価調書
④退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること旅券(告示で定める非協力国・地域の旅券は不可)
⑤保証金の徴収・財産の管理・違約金契約等をされていないこと本人の誓約(特定技能外国人の報酬に関する説明書等に含む)
⑥外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して合意していること費用の額・内訳を記載した書類と本人の署名
⑦送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること国により異なる(フィリピンのMWO・DMW、インドネシアのSISKOP2MI等)。入管提出は不要でも送出し国側で必要な手続がある
⑧食費・居住費等の定期負担費用について、内容を理解したうえで合意し、額が実費相当額その他の適正な額で、明細書等が提示されること雇用条件書・徴収費用の説明書(参考様式第1-9号)
⑨分野に特有の基準に適合すること分野所管省庁の告示で規定(分野別の誓約書等)
+特定技能1号での在留期間が通算5年未満であること在留カード・これまでの在留歴(2号試験で8割以上得点した場合の6年特例あり)

①18歳以上であること

日本の労働法制上、18歳未満の労働者に関して特別の保護規定があることから、特定技能外国人についても18歳以上であることが求められます。18歳未満でも在留資格認定証明書交付申請を行うことはできますが、日本に上陸する時点で18歳以上でなければなりません。

②健康状態が良好であること

特定技能の活動を安定的かつ継続的に行えるよう、健康状態が良好であることが求められます。申請時には、指定の項目(胸部X線、血圧、血液検査など)を含む健康診断個人票(参考様式第1-3号)と受診者の申告書の提出が必要です。海外在住者は現地の医療機関で受診し、日本語訳を添付します。

③技能水準・日本語能力水準を満たしていること

次のいずれかを満たしていることが必要です。

  • 試験ルート:各分野の技能試験(例:製造分野特定技能1号評価試験、介護技能評価試験)に合格し、かつ日本語試験(日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト)に合格している。介護分野は介護日本語評価試験の合格も必要
  • 技能実習ルート:技能実習2号を良好に修了しており、従事する業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる(対応する職種・作業は入管庁の対応表で確認)。この場合は技能試験・日本語試験とも免除。日本語試験は、分野と関係のない職種の技能実習2号修了でも免除される
「良好に修了」とは、技能実習2号を2年10か月以上修了し、技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること(不合格の場合は、出勤状況・技能修得状況・生活態度等から良好修了と認められる実習実施者の評価調書があること)をいいます。技能試験は原則として日本国内で行われるため、海外在住者は短期滞在で来日して受験するか、海外で実施される試験を受験します。

④退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域として告示で定められている国(現在はイラン・イスラム共和国)の旅券を所持する人は、特定技能の対象になりません。

⑤保証金の徴収等をされていないこと

特定技能外国人またはその家族等が、保証金の徴収、財産の管理、違約金契約の締結などをされている場合は、特定技能の適正な活動を阻害するため、これらがないことが求められます。送出し機関・紹介会社・受入れ企業のいずれによるものも対象です。

⑥外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して合意していること

特定技能での来日の準備に関して外国の機関(送出し機関等)に費用を支払っている場合、その額と内訳を十分に理解して合意していることが必要です。不当に高額な費用を支払い、多額の借金を抱えて来日することを防ぐための基準です。

⑦送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

悪質な仲介事業者の排除を目的として、日本は送出し国政府と二国間取決め(協力覚書)を作成しています。取決めで「遵守すべき手続」が定められている国(フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーなど)については、その手続を経ていることが必要です。入管への提出書類がなくても、送出し国側の手続を省略すると本人が出国できない、査証が発給されないといった事態になります。詳細はMWO・DMW申請手続きとは、特定技能インドネシア受入れ完全ガイドをご覧ください。

⑧食費・居住費等の定期負担費用について合意していること

在留中に本人が定期的に負担する費用(食費、居住費、水道・光熱費など)は、その対価として供与される利益の内容を本人が十分に理解したうえで合意していること、費用の額が実費相当額その他の適正な額であること、明細書等の書面が提示されることが必要です。社宅の家賃は、借上げ物件なら実際の賃料を居住人数で割った額以内、自己所有物件なら建設・取得費用や耐用年数等を勘案した合理的な額以内が目安です。

⑨分野に特有の基準に適合すること

特定産業分野ごとの事情に応じて、分野所管省庁の告示で個別に定める基準に適合していることが必要です。例えば建設分野では国土交通大臣の受入計画の認定を受けた企業に雇用されること、介護分野では介護日本語評価試験の合格などが該当します。分野ごとの基準は各分野の記事をご覧ください。

通算在留期間5年未満であること

特定技能1号での在留は通算5年が上限です。通算には、特定技能1号として在留した期間と、1号への移行準備のための特定活動の期間が算入され、失業中や再入国許可による出国中の期間、更新審査中の期間も通算されます。ただし、産前産後休業・育児休業、病気・けがによる休業(連続1か月超)、やむを得ない事情で再入国できなかった期間は、申立てにより通算から除かれます。2号の試験で合格基準点の8割以上を得点した1号特定技能外国人は、本人の誓約と受入れ企業の継続雇用の意思・合格支援体制を条件に通算6年まで在留できる特例があります。

内定者は試験に合格しているが、送出し国の手続や通算年数で引っかからないか不安

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特定技能2号の基準

特定技能2号は11分野(介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業を除く)が対象で、本人の基準は次のとおりです。

  • 技能水準:分野ごとの特定技能2号評価試験(または技能検定1級等)に合格していること。日本語試験は不要
  • 実務経験:分野ごとに定める実務経験(例:建設は班長としての経験、外食業は複数の従業員を指導しながら2年以上、工業製品製造業は3年以上の製造現場経験)があること
  • 共通基準:18歳以上、健康状態良好、保証金の徴収等がないこと、送出し国の手続、分野別基準など1号と同様。通算在留期間の上限はない

詳細は特定技能2号とはをご覧ください。

特定技能への在留資格変更が認められない例

日本に在留している外国人を特定技能で雇う場合は在留資格変更許可申請を行いますが、本人の基準を満たしていても、変更に「相当な理由」がないとして認められない例があります。

例理由
退学・除籍された留学生在籍状況が良好でなく「留学」の活動を行っていなかったと評価される(所定の課程を修了して卒業した者、特別の事情がある者は除く)
失踪した技能実習生「技能実習」に該当する活動を行わないで在留していたと評価される(特別の事情がある者は除く)
短期滞在で在留する者短期滞在から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別な事情がない限り許可されない
活動計画の終了前の技能実習生・研修生・インターンシップ等計画の性質上、計画終了前の他の在留資格への変更が予定されていない(技能実習計画修了前、研修計画終了前など)
納税・届出義務を果たしていない者住民税の未納、所属機関等に関する届出の不履行などは在留状況不良として不許可の理由になる
新規受入れが停止している分野への変更外食業分野は2026年4月13日受理分から1号の新規受入れを原則停止。他の在留資格・他分野から外食業1号への変更は原則不許可
技能実習生を特定技能に切り替える場合、本人側の基準は満たしていても、受入れ企業側の要件(特に工業製品製造業・飲食料品製造業の事業所の産業分類)で受け入れられないことがあります。本人の技能実習の職種が対応しているかより先に、自社の事業所が分野の対象かを確認してください(特定技能の事業所要件とは)。

受入れ企業が採用前に確認すべき点

  1. 試験の合格状況:分野・業務区分に対応する技能試験と日本語試験の合格証明書(結果通知書)。技能実習ルートは職種・作業の対応と良好修了の証明
  2. 年齢・健康:上陸時18歳以上。健康診断の受診時期(申請前3か月以内が目安)と指定項目
  3. 国籍と送出し国の手続:非協力国でないこと。フィリピン・インドネシア等は送出し国側の手続の要否と担当者
  4. 費用関係:送出し機関・紹介会社への支払いの額と内訳を本人が理解しているか。保証金・違約金契約がないか
  5. 在留歴:特定技能1号の通算期間、過去の在留状況(退学・失踪・納税の未納など)
  6. 定期負担費用:社宅の家賃・食費等の額が実費相当で、雇用条件書・説明書に明記されているか

よくある質問

Q. 17歳の候補者がいます。申請できますか?

在留資格認定証明書交付申請は可能ですが、上陸時点で18歳以上である必要があります。入国日が18歳の誕生日以降になるよう調整してください。

Q. 日本語試験に合格していませんが、技能実習2号を修了しています。

技能実習2号を良好に修了していれば、日本語試験は免除されます。技能試験も、従事する業務に対応する職種・作業の技能実習2号修了であれば免除です。

Q. 持病があると不許可になりますか?

健康状態が良好であることが基準ですが、就労に支障がなく継続的に活動できる状態であれば直ちに不許可にはなりません。健康診断個人票の内容と医師の所見によります。

Q. 特定技能1号で5年働いた人を、別の分野の特定技能1号で雇えますか?

通算5年は分野をまたいでも合算されるため、1号として再度雇うことはできません。2号への移行が必要です(介護分野には2号がないため、介護福祉士に合格して在留資格「介護」へ変更するルートになります)。

まとめ

  • 特定技能1号の本人の基準は、18歳以上、健康、技能・日本語の試験合格(技能実習2号良好修了で免除)、非協力国の旅券でないこと、保証金・違約金契約がないこと、外国の機関への費用の合意、送出し国の手続、定期負担費用の合意、分野別基準の9項目+通算5年未満
  • 2号は分野別の2号試験と実務経験が必要で、通算上限はない
  • 基準を満たしていても、退学した留学生・失踪した技能実習生・短期滞在・計画終了前の技能実習生・納税未納などは変更が認められない
  • 企業は採用前に試験・年齢・国籍と送出し国の手続・費用関係・在留歴・定期負担費用を確認する

特定技能制度は、「単純労働者の受入れ」「移民政策」といった指摘や技能実習制度の問題点を踏まえて緻密に設計されており、入管に提出する書類も多岐にわたります。まずは外国人本人が満たすべき条件を確認し、一つずつクリアしていくことが重要です。当事務所では、本人の基準の確認を含む特定技能の申請書類の作成・取次に対応しています。

本人の基準は確認できた。あとは受入れ企業側の書類と申請を間違いなく進めたい

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参考資料

この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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