特定技能「ビルクリーニング」とは

 

ビルクリーニング分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れ、ビルクリーニング分野の存続と発展を図り、もって日本の経済・社会基盤の持続可能背を維持することを目的としています。

 

特定技能「ビルクリーニング」の受入見込数

 

ビルクリーニング分野における向こう5年間の受入見込数は最大37,000人です。これを向こう5年間の受入上限として運用されています。

 

ビルクリーニング分野については、「建築物における衛生的環境の確保に関する 法律」(昭和 45 年法律第 20 号。以下「建築物衛生法」という。)の適用対象となる特定建築物が年々増加する中で、ビル・建物清掃員の有効求人倍率は近年高い水準で推移し、平成 29 年度には 2.95 倍に達しており、人材の確保が困難な状況となっています。平成 27 年国勢調査によると、ビル・建物清掃員の職種においては、従業者のうち女性が 70.9%を、65 歳以上の高齢者が37.2%を占めているなど、従前より女性、高齢者を積極的に雇用しています。

しかし、近年の人手不足に鑑み、女性や高齢者が他分野で就労機会を多く得られるようになったためビルクリーニング分野を希望しなくなったことにより、人手不足が加速化していると考えられています。

人手不足によりビルクリーニング業務が適切に行われなくなれば、建築物の衛生状態が悪化し、利用者の健康が損なわれるおそれがあることから、その防止のために特定技能外国人の受入れが必要です。また、ビル・建物清掃員の平成 29 年度の地域ブロック単位の有効求人倍率は、最も高い中国地方が3.80倍、最も低い東北地方が2.03倍であり、全国的に人手不足が深刻な状況であることから、特定技能外国人の受入れが急務であるといえます。

 

特定技能「ビルクリーニング」で従事できる業務

 

(1)主たる業務

 

多数の人が利用する建築物内部の清掃です。例えば、ビル内部において、場所・部位・建材・汚れ等の違いに対して、方法・洗剤・用具等を適切に選択して清掃作業を行うといったことが該当します。

また、清掃作業のほか、客室のベッドメイク作業を行うことが認められます。

 

※「建築物」には「住宅」(戸建て、共同住宅の専有部分等)は含まれないことにご注意ください。一方、共同住宅の共有部分(ロビー、廊下等)は「建築物」に含まれます。

 

(2)関連業務

 

同じ営業所において従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に、専ら従事することは認められません。

ただし、上記(1)の主たる業務とあわせて行う限りにおいて、付随的に関連業務に従事することは差し支えありません。

関連業務の例としては以下のものが挙げられます。

①客室以外のベッドメイク作業

②ベッドメイク作業を除く客室の整備作業

③建物外部洗浄作業(外壁・屋上等)

④建築物内外の植栽管理作業(灌水作業等)

⑤資機材の運搬作業(他の現場への移動等)

⑥資機材倉庫の整備作業

 

特定技能「ビルクリーニング」で外国人を雇用する条件

 

(1)外国人が特定技能「ビルクリーニング」の在留資格を取得していること

 

在留資格とは、外国人が日本に在留し、一定の活動を行うことができる資格をいいます。

特定技能「ビルクリーニング」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。

 

ア 技能水準(試験区分)

 

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。

 

多数の者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部を対象に、場所・部位・建材・汚れ等の違いに対し、自ら判断で、方法・洗剤・用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベルであることを認定する試験です。

 

イ 日本語能力水準

 

①国際交流基金日本語基礎テスト又は②日本語能力試験(N4以上)に合格する必要があります。

 

なお、ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習を良好に修了した者は上記ア・イの試験が免除されます。

 

(2)直接雇用であること

 

雇用形態は直接雇用に限られます。派遣雇用はできません。

ビルクリーニング分野において1号特定技能外国人を派遣し、又は派遣された者を受け入れた場合には、以後5年間は特定技能外国人の受入れができなくなりますのでご注意ください。

 

(3)受入機関対して特に課す条件を満たしていること

 

受入機関一般に課される条件(リンク:特定技能 条件(受入機関))のほか、特定技能「ビルクリーニング」において特に課される条件は以下の通りです。

 

ア 建築物清掃業又は建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所で受け入れること

 

受入企業は、都道府県知事により、建築物清掃業又は建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所で1号特定技能外国人を受け入れる必要があります。

もっとも、登録を受けた営業所において1号特定技能外国人を受け入れた企業が清掃業務を委託しているホテル等の現場で清掃作業に従事することは差しつかえありません。

 

また、1号特定技能外国人の受入れ後に業務に従事する営業所が変更になった場合は14日以内に届出が必要です。これを怠った場合は刑事罰に処せられるのでご注意ください。

 

イ ビルクリーニング分野特定技能協議会の構成員であること

 

受入企業は、厚生労働大臣が設置するビルクリーニング分野特定技能協議会の構成員である必要があります。

 

初めてビルクリーニング分野1号特定技能外国人を受け入れる場合は、当該1号技能外国人の入国後4か月以内にビルクリーニング分野特定技能協議会に加入しなければなりません。4か月以内に加入していない場合には、1号特定技能外国人を受け入れることはできません。その状態で特定技能外国人を就労させると不法就労助長罪に処せられますのでご注意ください。

 

ウ 上記イの協議会に対する協力を行うこと

 

受入企業は、上記イの協議会に対し、

①特定技能外国人の受入れに係る状況の全体的な把握

②問題発生時の対応

③法令遵守の啓発

④特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援

⑤就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析

といったことについて必要な協力を行う必要があります。

 

必要な協力を行わない場合には、1号特定技能外国人を受け入れることはできません。その状態で特定技能外国人を就労させると不法就労助長罪に処せられますのでご注意ください。

 

エ 厚生労働大臣に対する協力を行うこと

 

受入企業は、ビルクリーニング分野への特定技能外国人の受入れに関して、厚生労働大臣が行う必要な調査、指導、情報の収集、意見の聴取、その他業務に対して必要な協力を行う必要があります。

 

まとめ

 

ビルクリーニング分野で外国人を雇用するためには

(1)外国人が特定技能「ビルクリーニング」の在留資格を取得していること

(2)直接雇用であること

(3)受入機関対して特に課す条件を満たしていること

を満たすことが必要となります。

湯田 一輝

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】
国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
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