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製造業の技人国|できる業務・できない業務と不許可3パターン【2026年】

calendar_month2026年10月14日
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2026年、製造業で技人国(技術・人文知識・国際業務)を雇用・受け入れている企業の環境が大きく変わりました。出入国在留管理庁が技人国と特定技能の線引きを業種別に示し、派遣には誓約書が義務化され、7月の「第2次出入国在留管理基本計画」では、現場作業に従事する技人国が「対応が必要な不適切な事案」と明記されています。

この記事の結論は3つです。

  • 技人国に任せられるのは「学術上の素養を背景とした専門的な業務」。ライン作業はもちろん、シフト作成・進捗管理・OJTなど「管理」「指導」の名目でも、ラインを回すための作業は該当しない
  • 不許可は「虚偽申請型」「誤認型」「混在型」の3パターンで起きている。製造業で最も多く、最も危ないのは専門業務と現業が混ざる混在型
  • 対策は、技人国社員の1日の業務を書き出し、振り分け、要是正は個別に決める。着手ラインは在留期限の6か月前

自社の技人国社員の配置を確認したい場合は、棚卸しの手順と調査シートをまとめた資料「技人国の実態調査 対策ガイド」をご利用ください。

製造業で技人国にできる業務・できない業務

要点

技人国の該当性は、「作業」の単位で見るとやらせてはいけないことが、「職種」の単位で見ると任せられることが分かります。名目ではなく実態で判断されます。

技人国の3つの基本条件

技人国の許可は、次の3条件で判断されます(出入国管理及び難民認定法 別表第一の二、上陸基準省令)。

条件 内容
① 業務 専門的な知識を要する業務か(技術/人文知識/国際業務)。
単純労働は非該当
② 本人 学歴・経歴がその業務に関連しているか(関連科目専攻の大卒・専門士、
または実務10年)
③ 報酬 日本人と同等以上か

条件の詳細は「技人国の3つの絶対条件」で解説しています。製造業で問題になるのは、ほぼ①業務です。

入管庁の対比表:工業製品製造業の線引き

2026年1月、出入国在留管理庁は「在留資格『技術・人文知識・国際業務』と『特定技能』の違いについて」を公表し、業種別に専門業務と現場業務の線引きを示しました。工業製品製造業は次のとおりです。

在留資格 想定される主な活動
特定技能1号 製造工程・組立工程の作業
特定技能2号 複数の作業員を指導しながら行う製造工程・組立工程の作業、
工程管理
技人国 設計、プログラミング、技術開発

ポイントは特定技能2号の活動内容です。作業員を指導しながら行う作業や工程管理、つまり班長・ラインリーダーの仕事は特定技能2号に置かれていて、技人国ではありません。これまでは「指導」「工程管理」の職務内容でも技人国の許可が出ていた例がありましたが、認められなくなりつつあります。特定技能2号の要件は「特定技能2号とは」で解説しています。

技人国にやらせてはいけない作業

現場の作業単位に落とすと、技人国にやらせてはいけない作業は次のとおりです。

区分 技人国ではできない作業
誰が見ても現場作業 現場での組立て・加工、機械オペレーター
ライン上の目視検査・検品
梱包・ピッキング、資材・部品の運搬
「管理」「指導」の名目でも現場作業 作業員のシフト作成・勤怠管理
ラインの進捗確認・作業員の配置(班長・リーダー業務)
在庫カウント、新人への手作業・機械操作のOJT

注意が必要なのは下の3つ、シフト作成、ラインの進捗確認と配置、新人へのOJTです。「管理」や「指導」と名前が付いていても、ラインを回すための作業であれば現場のオペレーションです。これまで許可が出ていたのに通らなくなっているのが、この部分です。

技人国に任せられる職種(5系統)

技人国に何を任せられるかは、作業ではなく職種で見た方が分かりやすくなります。製造業の職種を大きく5つの系統に分けると次のとおりです。

系統 職種の例 技人国の該当性
設計・開発 製品設計、研究開発、材料技術、CAE・シミュレーション ○
生産技術・製造技術 生産技術、製造技術、工程設計 ○
設備・制御・自動化 設備技術、
自動化・FA、
制御・電気系技術、
製造設備のプログラミング
○
評価・データ 製品評価・試験、データ・IoT ○
品質管理・生産管理 品質基準の策定・不良原因分析/生産計画・原価分析 △ 業務内容による

設計・開発、生産技術、設備・制御・自動化、評価・データは、学術的な素養を背景にした職種なので技人国に該当し得ます。

注意が必要なのは5つ目の品質管理・生産管理です。同じ職種名でも中身で分かれます。品質基準を作る、不良の原因を分析する、生産計画を立てる、ここまでは該当し得ます。ラインで検品する、日々の進捗を追う、これは技人国にやらせてはいけない作業です。たとえ職種名を変えて任せても通りません。

職種ごとの詳しい一覧(15職種)を確認したい場合は、資料「技人国の実態調査 対策ガイド」に収録しています。

「入社後の現場研修」はどこまで認められるか

入社後に現場で研修を行うこと自体は否定されません。ただし、期間が区切られていて、その後に専門業務のポストがあることが前提です。「とりあえず現場で」という配置は研修とは見られず、現場作業への従事と判断されます。

技人国の厳格化はなぜ起きたか:2026年の流れ

要点

2026年1月から7月にかけて、線引きの明示→派遣の誓約書→運用指針の改定→基本計画での名指し、と段階的に厳格化が進みました。

時期 公表されたこと
2026年1月 出入国在留管理庁が「技術・人文知識・国際業務と特定技能の違いについて」を公表。
業種別の対比表で専門業務と現場業務の線引きを明示。
1月23日の関係閣僚会議決定で、
在留資格に該当しない業務への従事を調査し厳格に運用する方針を明記
2026年3月9日〜 派遣で働く技人国について、
派遣元・派遣先の双方に誓約書の提出を義務化(申請分から)
2026年4月15日 技人国の運用指針を改定。
①中小企業(カテゴリー3・4)で言語を使う対人業務に就く場合、
N2相当(CEFR B2相当)の証明が必要
②特定技能・技能実習で暴行や賃金不払いにより受入れ停止中の企業は、
技人国も受入れ不可
2026年7月 第2次出入国在留管理基本計画。
技人国の人が専門性を要しない現場業務に従事している事案を「対応が必要な不適切な事案」と明記

4月15日の改定で製造業に関係するのは2点です。一つは、工場で「通訳」名目の技人国に直接関係する言語能力の証明。もう一つは、特定技能や技能実習で受入れ停止中の企業は技人国も受け入れられなくなったことです。

実務でも変化があります。職務内容説明書や「1日・1週間の業務スケジュール」の提出を求められるケースが増えています。1日のシフトがそのまま審査の資料になる、ということです。業種違いの動きは「建設業の技人国厳格化」で解説しています。

不許可が続出している3パターン

要点

当法人への相談でも、技人国の不許可事例が目立っています。不許可は3つのパターンで起きており、製造業で最も多いのは混在型です。

パターン 何が起きているか 評価
① 虚偽申請型 技人国の業務と偽って申請し、実際はライン作業 論外。在留資格の不正取得と不法就労助長の問題
② 誤認型 「工程管理」「指導業務」「検品」「形式的な品質管理」を技人国の業務だと思っている。
悪意はない
これまで許可が出ていた配置が多く、
前例どおりの名目で更新して通らない事例が出ている
③ 混在型 専門業務と現業が混ざっていて、
申請書には専門業務だけ書いてある
製造業で一番多く、一番危ない。判定の軸は「臨時か、恒常か」

① 虚偽申請型

技人国の業務と偽って申請し、実際はライン作業をさせるケースです。在留資格の不正取得(入管法第22条の4第1項)と不法就労助長罪(同第73条の2)の問題になります。

② 誤認型

「工程管理」「指導業務」「検品」「形式的な品質管理」など。これまでは、このような業務でも技人国の許可が下りていた例が多くありました。しかし、形式的な管理に留まる場合や指導業務は、技人国の該当性がありません。

技人国は「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」です。求人の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます」と書けるような業務は認められません。目安として、学問的な知識がなくても5年、10年行えば誰でも専門的な業務者になれる業務は、技人国には該当しないと考えてください。

③ 混在型

専門業務と現業が混ざっていて、申請書には専門業務だけ書いてあるケースです。例えば、こういう1日です。

時間帯 業務 評価
9:00〜12:00 生産計画の業務 技人国の業務
13:00〜15:00 生産計画の業務 技人国の業務
15:00〜18:00(毎日) ラインのヘルプ(現業) 恒常。申請書に書いていない活動

製造業で一番多く、一番危ないパターンです。判定の軸は「臨時か、恒常か」。繁忙期にごく一時的に手伝うレベルは臨時として許容の余地がありますが、毎日決まって数時間、シフトに組み込まれていれば恒常です。申請書に書いていない活動を日常的に行っている状態になります。

自社の配置がどのパターンに当たるか判断がつかない場合は、無料相談で現在の業務内容と在留資格の整合を確認できます。準備いただく書類はありません。

お問い合わせ内容欄に「無料相談希望」とご記入ください。

派遣で技人国を受け入れている工場の注意点(2026年3月9日申請分〜)

要点

派遣先も誓約書と管理台帳を提出し、調査に協力する立場になりました。「派遣元がOKと言った」は通りません。

主体 求められること
派遣元(派遣会社) 誓約書「現業をさせない」「調査に協力する」、
派遣元管理台帳・就業状況報告書の提出(更新時)
派遣先(受入工場) 誓約書・派遣先管理台帳の提出、
電話確認・実地調査への協力。
申請時に派遣先の確定が必要
在留期間 派遣契約の期間に連動

派遣先の立場で押さえるべき点は2つです。

  • 「派遣元がOKと言った」「就労できるビザがある」という理由は、誓約書に署名する以上通りません。
  • 違法な就労が判明すれば、派遣先も不法就労助長罪の対象です。2026年3月には、不法残留の外国人を派遣で受け入れていた金属研磨工場の工場長が逮捕されたと報道されています。

現場責任者に「この人材には現業を手伝わせない」というルールを徹底してください。

製造業では特定技能の派遣は認められず、直接雇用のみです。派遣で受け入れている技人国を特定技能に切り替える場合は、直接雇用への転換が前提になります。

入管の実態調査:第2次出入国在留管理基本計画が示したこと

要点

2026年7月の基本計画は、技人国の現場業務への従事を「対応が必要な不適切な事案」とし、事業所への実態調査など直接的な情報収集手段を強化すると明記しました。

第2次出入国在留管理基本計画(2026年7月)本文p.21

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を有する者が、当該在留資格の活動内容に該当しない、専門的な技術や知識を要しない現場業務等に従事するといった事案も確認されており、こうした不適切な事案への対応が必要となっている。

今後の方針として、事業所に対する実態調査といった直接的な情報収集手段の強化と、受入れ機関において外国人が本来行うべき活動に従事することを確保する方策について、必要な措置を講じるとしています。つまり、書類の整合ではなく「実際に何をしているか」が見られるということです。

実態と申請内容が食い違うとどうなるか

対象 何が起きるか
外国人本人 次回更新の不許可。
場合によっては在留資格の取消し(入管法第22条の4)
会社 資格外活動をさせたとして不法就労助長罪(入管法第73条の2)。
法人にも罰金(同第76条の2)。
「知らなかった」でも過失があれば免責されない(同第73条の2第2項)。
2027年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に厳罰化

企業が今やること3つ

要点

書き出す、振り分ける、個別に決める。この3つを在留期限の6か月前までに一巡させます。

やること 内容
1 書き出す 技人国社員の1日の業務を書き出し、
申請時の職務内容と入管庁の対比表に突き合わせる。
派遣で受け入れている人も対象
2 振り分ける 問題なし・グレー・要是正の3区分。
確認が必要な人だけ深掘りする
3 個別に決める 要是正は、
業務を資格の範囲内に再設計して技人国を維持するか、
特定技能1号・2号に切り替えるか。
班長・リーダー層は特定技能2号なら正面から任せられる
目安 在留期限の6か月前が着手ライン

すべての技人国社員を深掘りする必要はありません。書き出した業務を対比表と突き合わせ、確認が必要な人だけ個別に判断します。要是正の人は、技人国を維持するための業務再設計と、特定技能への切替えのどちらが現実的かを選びます。在留期限の6か月前が着手ラインです。

よくある質問(FAQ)

班長・ラインリーダーを技人国で雇えますか?

作業員を指導しながら行う作業や工程管理は、入管庁の対比表で特定技能2号の活動とされています。技人国では認められません。班長・リーダー層は特定技能2号への切替えを検討してください。

品質管理は技人国に該当しますか?

中身によります。品質基準の策定や不良原因の分析は該当し得ますが、ラインでの検品や日々の進捗確認は現場作業です。職種名ではなく、1日の業務の実態で判断されます。

工場の通訳として技人国を雇えますか?

雇えます。通訳・翻訳は「国際業務」に該当します。ただし2026年4月15日以降、カテゴリー3・4の企業では日本語能力N2相当(CEFR B2相当)の証明が必要です。また、通訳を必要とする外国人従業員の人数や場面など、通訳業務が主たる業務として実際にあることが審査されます。通訳の合間に日常的にライン作業をさせると混在型になります。

繁忙期に一時的にラインを手伝ってもらうのは問題ですか?

繁忙期にごく一時的に手伝うレベルは、臨時として許容の余地があります。毎日決まって数時間、シフトに組み込まれていれば恒常であり、混在型として不許可の対象になります。

技人国の更新が不許可になった社員はどうすればよいですか?

業務を資格の範囲内に再設計して技人国で再申請するか、特定技能1号・2号へ在留資格を変更するかを個別に決めます。製造業では特定技能の派遣は認められないため、派遣で受け入れている場合は直接雇用への転換が前提になります。

まとめ

  • 技人国に任せられるのは学術上の素養を背景とした専門的な業務。「管理」「指導」の名目でも、ラインを回すための作業は該当しない
  • 不許可は虚偽申請型・誤認型・混在型の3パターン。製造業で最も多いのは混在型で、判定の軸は「臨時か、恒常か」
  • 派遣先も誓約書を提出し、調査に協力する立場。製造業では特定技能の派遣は不可
  • 今やることは、書き出す・振り分ける・個別に決める。在留期限の6か月前が着手ライン

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参考資料

  • 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』と『特定技能』の違いについて」(令和8年1月現在)https://www.moj.go.jp/isa/content/001452975.pdf
  • 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議決定(2026年1月23日)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年3月9日申請分から適用)https://www.moj.go.jp/isa/content/001457164.pdf
  • 出入国在留管理庁 在留資格「技術・人文知識・国際業務」案内ページ(2026年4月15日改定:語学能力の立証・受入れ停止中企業の取扱い)https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
  • 法務省「第2次出入国在留管理基本計画」(2026年7月)本文p.21〜23 https://www.moj.go.jp/isa/content/001467575.pdf
  • 出入国管理及び難民認定法 第22条の4(在留資格の取消し)、第73条の2(不法就労助長罪)、第76条の2(両罰規定)https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
  • 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(2024年6月公布)/同法の施行期日を定める政令(令和7年政令第340号、施行期日2027年4月1日)
  • 共同通信・毎日新聞・産経新聞(2026年3月4日)静岡の金属研磨工場・人材派遣会社の事案(報道)
この記事の監修者
行政書士法人タッチ 代表行政書士 湯田 一輝
2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野 外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
セミナー実績 国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数
運営サイト 行政書士法人タッチ
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