経営管理ビザ

自宅兼事務所でも経営管理ビザをゲット!事務所選びの必須情報

自宅兼事務所で経営管理ビザを取得できるのか

この記事は、以下のような人に役立ちます。

  • 日本で会社を作って経営したい。
  • 経営管理ビザを取得したい。会社を経営するにあたり自宅をそのまま事務所として使うつもり。
  • 経営管理ビザを取得したいが、予定しているオフィスで大丈夫か心配なところがある。
  • 経営管理ビザに興味がある。
  • 経営管理ビザを絶対にゲットしたい。失敗することのないようぬかりなく準備しておきたい。
  • 経営管理ビザについてインターネットで調べたが、今一つよくわからない。

この記事を読んでいるみなさんの中には、上記に当てはまる人がいるのではないでしょうか。この記事では、経営管理ビザについて、自宅兼事務所という観点から分かりやすく解説していきます。
主な説明の手法としては、以下のような方法を採用しています。

①規範

経営管理ビザをゲットするために求められていること(審査要領等)。守るべきルール。

②①の阻害要因

①に関しありがちな誤解。気を付けておかないとビザをゲットできない可能性のある問題点。

③②のソリューションの例

この記事で経営管理ビザについて知ることができること

この記事では、経営管理ビザと自宅兼事務所について、以下のようなことを知ることができます。

  • 経営管理ビザに関し、「事業所」についてのルール
  • 経営管理ビザを取得するための事務所選びについての必須情報、必ずそろえるべきアイテム
  • 自宅兼事務所でも経営管理ビザをゲットできるのか。自宅兼事務所でビザを取得する方法

モデルケース

経営管理ビザに関しては、そのシステムや提出書類等が複雑・多岐に渡ります。そのため、分かりにくいです。独特な専門用語、今までの人生で見たことも聞いたこともないような話もあるかもしれません。

経営管理ビザ・自宅兼事務所について、インターネットで調べてみても情報がたくさんありすぎて、逆に分かりにくい。せっかく日本でビジネスをやりたいと思っているのに、何がなんだかさっぱりわからず挫折してしまいそうという状況に陥ってしまっても不思議ではありません。

このようなリスクをクリアするためには、なるべく具体的にイメージをもつことがポイントになります。そこで、この記事では、以下のようなモデルケースを使いながら解説します。モデルケースの登場人物になったつもりで記事を読むことにより、みなさんの理解が促進されるでしょう。

モデルケース・自宅兼事務所

リーさんは、中国出身です。今は、日本の賃貸マンション住まい。今度日本で会社を作ってビジネスを始めたいと考えています。
ちなみに、住んでいるマンションの名前は、「レジデンス・タッチ」です。大家さんは、チェンさんという人です。間取りは、ベッドルームが1つ(約11㎡)、リビングルーム(約22㎡)が1つ。正直、あまり広くはないのですが、リーさんはまあまあ気に入ってます。

経営管理ビザ・自宅兼事務所についての事業所存在・確保基準

(1)どのような規範か?

経営管理ビザを取得するためには、一定の基準をクリアしていなければなりません。それらのうちの一つとして、以下のようなものがあります。少し分かりにくいかもしれませんが、あとからしっかり解説します。まずは、どのようになっているか眺めてみましょう。

外国人が経営し又は管理に従事する事業が日本に事業所を有して営まれるものであること。

以下の2つをクリアしている必要

  1. 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
  2. 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び施設を有して、継続的に行われていること。

(2)簡単な説明

上記に書かれていることは、いったいどういうことなのでしょうか。

要約しますとこうなります。リーさんは、これから日本でビジネス(事業)をやろうとしているわけですが、そのビジネスをやるオフィス(事業所)が日本に必要だということです。

さらに、どんなオフィスでもOKというのではなく、2つのポイントをクリアしている必要があります。一つ目は、そのビジネスが特定の物理的スペースを使って行われること。二つ目は、モノを売ったりサービスを提供するとき、スタッフと設備が必要。そして、それが、1回だけではなく継続してずっと行われることが求められます。

事業所についてより具体的に

経営管理ビザ・自宅兼事務所についての事業所存在・確保基準についてを読んだことにより、何となく必要なことが分かってきたのではないでしょうか。そうです、事業所(オフィス)です。

そうは言っても、具体的に何をどうすればいいのでしょうか。どんな形態のオフィスでもいいのか?契約についてどういう風にしたらいいのか?オフィスの内部に必要なものはあるのか?気になることがたくさん出てきたところで、以下ではこれらの疑問について明らかにしていきます。

(1)事業所の形態

事務所選びをどうするか

リーさんは、事業所を選ぼうとしています。選択肢が複数あり、決めかねています。どのような点に気を付けながら、どのような形態のオフィスを選択すればよいのでしょうか。
まず、結論をまとめます。その上でより詳しく説明します。

レンタルオフィス 明確な区切りあり
フリーアドレスプラン ×
マンスリーのレンタルスペース ×(原則)
バーチャルオフィス ×
屋台 簡単に処分できるようなもの ×(原則)
鉄道会社のコンテナを
改良したもの
×

レンタルオフィス

事務所探しをしているリーさんです。会社を設立するときの事務所といえば、昔ながらの一般的な方法としては、ビルの一室を借りるということが考えられます。しかし、それだと高額なコストが必要となることがあります。そこで、コストカットするためレンタルオフィスを使うことが考えられます。最近、さまざまなレンタルオフィスサービスが登場しています。

第一に気になるのが、そのようなレンタルオフィスでも経営管理ビザを取れるのかという点です。結論から言うと、OKです。ただし、ポイントとしては、明確な区切りがあることです。具体的には、壁やドアが設置されていて他の部屋とははっきりと区別されているということです。

したがって、例えば、大部屋のようなスタイルで、どこに座ってもOKというようなフリーアドレスのレンタルオフィスだと経営管理ビザ取得の要件をクリアしません。よって、予防策としては、レンタルオフィスを借りる際、その間取り、レイアウトを確認するというものが考えられます。

ホームページの写真だけだと細部まで分からないという事態も考えられますので、実際に自分の目で見て確認することが最も確実だと言えます。

第二に、マンスリーのレンタルスペース(月単位の短期間賃貸スペース)は、原則として、認められません。なぜなら、経営管理ビザの在留資格についてのアクティビティは、その事業が継続的に運営されることが求められるところ、マンスリーのレンタルスペースではせいぜい数か月で終わってしまいかねないため、「継続的に運営」とは言えないからです。

第三に、バーチャルオフィスです。バーチャルオフィスとは、物理的な個室スペースを借りるのではなく、住所や電話番号等を借りるだけで、実際に経営又は管理を行う物理的なスペースが存在しないというものです。前述したように、経営管理ビザを取得するには、日本国内に事業所を確保することが必要です。入国管理局は、バーチャルオフィスでは事業所を確保しているとは認めてくれないのです。

以上から、バーチャルオフィスは、月に1万円程度で済むので費用面では魅力的ですが、経営管理ビザという観点からは、残念ながら選択肢から外すことになります。

(2)事業所の契約

結局、リーさんは、自宅とは別に新たにビルの一室をオフィスとして借りることに決めました。経営管理ビザを確実にゲットするためには、どういう点に注意する必要があるでしょうか。契約書作成段階において、少なくとも以下の2点に留意するとよいでしょう。

使用目的

賃貸借契約において、「この一室を借りて何に使うのですか」ということです。この点、事業目的であることを明確にしておくべきです。それは、事業用として使用することについて、賃貸人の承諾が得られていることを意味します。
使用目的が「居宅用」とされている場合、経営管理ビザの取得はできないと考えられています。

契約者

賃貸借契約の契約者は、その法人等の名義とし、その事業所を使うのもその法人等であることを明確にすることが必要です。

(3)オフィスの内部に必要なもの

さらに今度はオフィスの内部に入ってみましょう。経営管理ビザの申請に当たり、
実務上一般に最低限必要とされているものとしては、次のものです。

  • 電話
  • ファックス
  • コピー機
  • パソコンetc

上記の備品は、何も特殊なものではなく一般的なオフィスに当たり前のように存在するものばかりです。逆に、普通のオフィスにあってしかるべきものが存在しないというようでは、「本当にちゃんとした事業所なのか?」という疑念を抱かせかねません。遅かれ早かれ、ビジネスを今後やるからにはほぼ必須アイテムとなりますので、用意しておきましょう。ちなみに経営管理ビザを申請するときは、これらのアイテムの写真等を添付することになります。

経営管理ビザを取得するためには自宅兼事務所はダメ?

(1)基本的には自宅兼事務所はNO

そうは言っても事務所を借りるのはコストがかかります。リーさんとしては、事務所を新しく借りるのではなく、自宅の一室をオフィスにしたいと考えています。実際にこのように考える人は多いです。この記事を読んでいるみなさんの中にもそのように計画している人もいるのではないでしょうか。

この点について、基本的には、経営管理ビザを取得するにあたり自宅とは別に事務所を確保する必要があると考えられています。コストを抑えるには、狭いオフィスを借りるという対策が考えられます。経営管理ビザを取得するには、ビジネスモデルにもよりますが、必ずしも広大なスペースは求められません。

(2)自宅兼事務所がOKのこともある

なかなか白黒はっきりしないところなのですが、自宅の一部を事務所として事業をすることが全く不可能というわけではありません。どういうことでしょうか。以下、まず審査要領を示しその意味を簡単に説明した上、具体的に認められるケースとそうでないケースの例をご紹介します。

自宅兼事務所についての規範とその簡単な意味

はっきりと大まかに言ってしまうと、ビジネスエリアとプライベートエリアをはっきり分けるということです。逆に、両者が一体化していたり、密接にくっついているようでは、経営管理ビザは不許可になります。

どのような基準になっているか、以下に示します。簡単な意味も併記しておきます。

①住居目的以外での使用を貸主が認めていること。

【簡単な意味】
住むためとして借りたはずの建物を、勝手にビジネス用に使うのはダメ。大家さんがちゃんと認めてくれていることが必要。モデルケースの場合、チャンさんの同意が必要ということです。

②借主も認めていること。

【簡単な意味】
借主もビジネス用に使うことに同意していることが必要。

③当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること。

【簡単な意味】
ちゃんと仕事専用の部屋がないとダメ。

④当該物件に係る……共用費用の支払いに関する取決めが明確になっていること。

【簡単な意味】
光熱費等の支払いについて、ちゃんと決めてますか?

⑤看板類似の社会的標識を掲げていること。

【簡単な意味】
会社の看板や表札等がある。

経営管理ビザ・自宅兼事務所のポイント

そう言われてもまだピンとこないという人も多いのではないでしょうか。そこで、上記のうち特に重要な2点にフォーカスした上、もっと具体的に説明します。

実務上、特に重要なポイントは、事業目的占有の部屋を有していること、および、社会的標識を掲げていることについてです。

まず、一つ目の事業目的占有の部屋について、一戸建てで例えば1階は事務所、2階は住居というように区分されているような場合は、自宅兼事務所であっても許可されやすいです。反対に、モデルケースのリーさんの場合、ベッドルーム1つとリビングルームしかありませんので事務所と住居の区別を明確にすることは難しいように見えます。さらに、室内に事務機器がなく生活用品しか存在しないならば、経営管理ビザは不許可になっても全く不思議ではありません。

自宅兼事務所として経営管理ビザを取得するための具体的なソリューションの例は、まず一戸建てを借ります。つぎに、住居スペースと事務所スペースを明確に区分した上、平面図を作成します。そして、写真も撮影します。これらの書類を申請時に提出するとよいでしょう。

つぎに、二つ目の社会的標識についてです。具体的な方法としては、会社名を明記した看板を設置する、郵便受けや玄関に事業所の所在を明らかにする標識を設置する等が考えられます。そのうえで、それらの写真を撮影することも忘れないようにしましょう。

まとめ

この記事を読む前に比べて、経営管理ビザを取るための事業所について理解が深まったのではないでしょうか。特に、自宅兼事務所でも大丈夫なのかどうか、クリアになったと思います。念のため、この記事で学んだことを以下でまとめます。

  • 経営管理ビザを取得するためには、事業所に関するルールがある。どのようなオフィスでもいいわけではない。
  • 賃貸借契約書作成時に注意すべきポイントは、使用目的と契約者。
  • オフィスの内部の備品もそろえる。
  • 経営管理ビザを取得するためには、自宅兼事務所とすることは、認められる場合と認められない場合がある。要となるのは、事業所部分と住居部分を明確に区分すること。
この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

2018年8月 ビザ申請・帰化申請専門の「ゆだ行政書士事務所」設立
2022年4月 個人事務所を行政書士法人化「行政書士法人タッチ」
専門分野:外国人在留資格、帰化申請
外国人ビザ関係を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

【セミナー実績】

国際行政書士養成講座、公益財団法人戸田市国際交流会、埼玉県日本語ネットワーク、行政書士TOP10%クラブ、行政書士向け就労ビザ講習会など多数

【運営サイト】
行政書士法人タッチ https://touch.or.jp/
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