経営管理ビザ

飲食店経営で経営管理ビザを取得するための流れとポイントを解説

外国人が飲食店を開業し経営管理ビザを取得するには、実際にお店が営業できる状態にしてから申請しなければ許可を得られません。
つまり、店舗を借りて、調理、配膳、接客、清掃などの作業を行うスタッフを確保し、食品衛生法上の「飲食店営業許可」を得る必要があります。

この記事では飲食店経営で経営管理ビザを取得するための流れとポイントを紹介します。

飲食店経営で経営管理ビザを取得するための流れ

飲食店経営で経営管理ビザを取得するためには、おおむね次の流れで手続きを進める必要があります。

  • 事業計画の策定
  • 店舗の確保
  • 会社設立手続き
  • 保健所での飲食店営業許可の取得
  • 経営管理ビザの申請

ポイントは、経営管理ビザの申請の段階で、既に、店舗を確保し、飲食店営業許可を取得している必要がある点です。

以下、それぞれの時点で注意すべきポイントを解説します。

事業計画の策定

飲食店経営を成功させるためには、事前に計画を立てることが大切です。
外国人が経営する珍しいお店というコンセプトだけでは長続きしません。
飲食店経営のプロの助言を受けるなどして、しっかりしたマーケティング戦略を立てましょう。

なお、経営管理ビザの申請の際は、事業計画書について、その計画に具体性、合理性が認められ、かつ、実現可能なものであることについて、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受ける必要があります。
具体的には次の人たちです。

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士

店舗の確保

飲食店は自宅兼店舗の形態を取ることも珍しくありませんが、経営管理ビザを取得するためには、

  • 1人以上の常勤職員の雇用
  • 資本金3,000万円以上

という事業規模の要件をクリアすることが求められるため、自宅を店舗と兼ねることは、原則として認められません。

また、飲食店営業許可を取得するためにも、保健所の定めた基準をクリアする必要があります。
店舗の確保の段階で、店舗や内装の設計図等を準備して、店舗の所在地を管轄する保健所に事前相談しましょう。

会社設立手続き

法人化して飲食店を営む場合は、店舗の確保と同時並行して、会社設立手続きを進めます。
会社設立で注意すべきことは、経営管理ビザを取得するためには、資本金等の額を3,000万円以上としなければならない点です。
株式会社の場合は、払込済資本の額(資本金の額)、合同会社の場合は、出資の総額を指します。

なお、個人事業で飲食店を営む場合も、事業所の確保や雇用する従業員の給与(1年間分)、設備投資経費など事業を営むために必要なものとして投下されている総額が、3,000万円以上でなければなりません。

保健所での飲食店営業許可の取得

会社設立手続きを終えた後、保健所で飲食店営業許可申請を行います。
その際に必要な書類はおおむね次のとおりです。

  • 営業許可申請・届出書
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  • 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
  • 登記事項証明書

飲食店営業許可申請は、多くの場合、事前相談が必須となっているので、詳しくは保健所の担当者に確認してください。

飲食店営業許可の取得に関連してポイントになるのは次の2点です。

  • 食品衛生責任者を確保すること
  • 営業施設の基準をクリアすること

一つ一つ確認しましょう。

食品衛生責任者の確保

各施設に、「食品衛生責任者」の資格を持った人を置く必要があり、お店の中にその人の氏名を明示しなければいけません。
資格を取るには、都道府県が実施している養成講習会を受講する必要があります。
次の科目について、6時間ほどかけて受講します。

  • 食品衛生学
  • 公衆衛生学
  • 食品衛生法

受講費は1万円程度です。

食品衛生責任者の講習は、経験・学歴を問わず受けることができます。
外国人の方も受講可能ですが、本人確認のために、「在留カードまたは特別永住者証明書」を用意する必要があります。
なお、講習は、日本語で行われるため、日本語が理解(読み・書き・会話)できる事が前提になります。

なお、既に、次のような資格を持っている場合は、養成講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます。

  • 栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生師・食鳥処理衛生管理者・と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者・船舶料理士
  • 食品衛生管理者若しくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者(医師・獣医師・歯科医師・薬剤師など)

営業施設の基準

飲食店の営業では、営業施設の許可基準を満たさないと営業許可は取得できません。営業施設の基準には「共通基準」と「特定基準」の2つがあります。今回は東京都の例を紹介します。

営業施設の構造の共通基準

  • 施設は清潔な場所に位置していること
  • 建物は鉄筋、鉄筋コンクリート、石材等、十分な耐久性を有する構造であること
  • 使用目的に応じて、施設を壁、板などで区画する
  • 床はタイル、コンクリートなどの耐久性があり、排水がよく清掃しやすい構造であること
  • 天井は清掃しやすい構造であること
  • 内壁は、床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造であること
  • 照明の明るさは50ルクス以上であること
  • 換気は、ばい煙、蒸気などの排除設備を設置する
  • 周囲の地面は、耐水性材料で舗装し、排水がよく、清掃しやすいこと
  • 更衣室は、清潔な更衣室又は更衣箱を作業場外に設けること

食品取扱設備の共通基準

  • 器具等の設備は、取扱量に応じた数の機械器具及び容器包装を備えていること
  • 器具等の配置は、作業に便利で、清掃及び洗浄しやすい位置に配置してあること
  • 保管設備は、原材料、食品や器具類等を衛生的に保管できること
  • 冷蔵庫内や調理場内には、温度計を設置すること
  • 給水及び汚物処理の基準
  • 給水設備は、水道水又は飲用的と認められる水を豊富に供給できるものであること
  • 貯水槽を使用する水、井戸水等を使用する場合は、年1回以上、水質検査を行い、成績書を1年間保存すること
  • トイレは、作業場に影響のない位置及び構造で、従事者に応じた数を設け、使用に便利なもので、ねずみ、昆虫などの防除設備、専用の流水受槽式手洗い設備、手指の消毒設備を設けること
  • 手洗い設備は従業員専用手洗い設備と同じで、床には排水溝を設ける
  • 汚物処理設備は、ふたがあり、耐水性で十分な容器があり、清掃しやすく、汚液や汚臭が漏れないものであること

飲食店営業の特定基準

  • 冷蔵施設は食品を保存するために十分な大きさを有すること。
  • 洗浄槽は2槽以上とすること(自動洗浄設備など、衛生上支障ない場合はこの限りでない)。
  • 洗浄及び消毒のための給湯設備を設けること。
  • 客室・客席に換気設備を設けること。明るさを10ルクス以上とすること。
  • 客の使用する便所があること。調理場に影響のない位置、配置であること。また、専用の流水受槽式手洗い設備があること。

経営管理ビザの申請

上記の手続きをすべて終えるか、あるいは許可が取れる見込みが出た段階で、初めて、経営管理ビザの申請が可能になります。
上記までのポイント以外で、飲食店経営で経営管理ビザを取得するために注意すべき点をまとめておきます。

従業員の雇用

飲食店を経営する場合、接客や調理作業が発生します。経営管理ビザではオーナー自ら現業作業(接客、調理、販売)をすることは原則禁止されていますので、これらの現業作業は従業員に任せる必要があります。

また、2025年(令和7年)10月16日以降は、常勤職員を1人以上雇用することが義務付けられています。
常勤職員とは、次のいずれかでなければならない点にも注意してください。

  • 日本人
  • 特別永住者
  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

日本語能力の習得

申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有する必要があります。
日本人又は特別永住者の方以外の場合は、次のいずれかをクリアする必要があります。

  • 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業
  • 日本の義務教育を修了し高等学校を卒業

経歴(学歴・職歴)要件を満たすこと

申請者が、経営に関する学歴か経験を有している必要があります。
具体的には次のいずれかです。

  • 経営管理又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野に関する博士、修士若しくは専門職の学位を取得していること
  • 事業の経営又は管理について3年以上の経験を有すること

最後に

経営管理ビザを取得して飲食店を経営したい方は事前準備で多くの時間を費やすことになりますので、開業日から逆算して計画的にスケジュールを組んで準備する必要があります。
また、2025年(令和7年)10月16日以降は、常勤職員を1人以上雇用することが必須となり、資本金が3,000万円以上必要になるなど、非常にハードルが高くなっています。
専門家のサポート無しで、飲食店営業目的の経営管理ビザを取得することは難しくなっているので、行政書士などの専門家に相談することをおススメします。

この記事の監修者

行政書士法人タッチ 代表行政書士

湯田 一輝

専門分野
外国人ビザ(在留資格)・帰化
主な取扱業務

・外国人在留資格申請、帰化
・対日投資に関する支援業務
 (経営管理ビザ,対日投資コンサルティング等)
・外国人材の雇用、技能実習監理、特定技能登録支援業務

開業以来、国際業務を専門とし、
年間1,000件以上の在留資格・帰化実務に対応

公式サイト
https://touch.or.jp/
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